文学ラジオ空飛び猫たち

世界のYA文学第1回 泣けない大人に自分を重ねる『涙の箱』ハン・ガン作

文学ラジオ世界のYA文学第1回の紹介本

『涙の箱』

ハン・ガン作、きむ ふな訳、junaida装画・挿絵、評論社

https://www.hyoronsha.co.jp/search/9784566024892/

⁠⁠⁠⁠⁠

パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。ぜひお聴きください!

【今回の内容】

文学ラジオの新シリーズ、世界のYA文学の第一回目/YAとは何か/自分がいつ泣いたか思い出す童話/装丁がいい/大人に自分を重ねて読めた/著者プロフィール/ハン・ガンのノーベル文学賞受賞から一年/作品概要/出版経緯や翻訳裏話が聴けるK-BOOKラジオ/序盤のストーリー紹介/純粋な涙とは/純粋イコール無垢ではない/影の涙の存在/泣きたくても泣けないおじいさん/役所広司主演の映画『PERFECT DAYS』を思い出す/涙することで気付ける自分の強さ/ハン・ガンの短編集『回復する人間』を思い出す/子どもの質問がいい/幼稚園のときに泣いた記憶/美しいものに泣く感覚について/次回予告

【参考情報】

YA(ヤングアダルト)とは 日本YA作家クラブのHPより

https://jya.iinaa.net/aboutya.html

Podcast番組「聴いて、読んで、楽しむ★K-BOOKラジオ」で『涙の箱』の出版経緯や児童文学の翻訳についてなど、翻訳者と担当編集者が出演されて話されています。

Spotify:https://open.spotify.com/episode/4wrOnNg6JJbTiIcQM9gaUP?si=0267b4717a8a49ef

文学ラジオ空飛び猫たちで紹介したハン・ガン作品

第1回『ギリシャ語の時間』

第28回『回復する人間』

第87回『引き出しに夕方をしまっておいた』

第133回『すべての、白いものたちの』

第142回『そっと 静かに』

第161回『少年が来る』

第162回『別れを告げない』

ーーーーーーー

版元サイトより

ーーーーーーー

ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話

この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して

 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。

 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。

「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。

 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。

 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。

「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。

怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。

……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は

純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、

いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」

―本文より―

涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。

🐾

🐾

【文学ラジオ空飛び猫たち】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。 案内役はダイチとミエの二人。毎週月曜日朝5時に配信。

X・Instagram:@radiocatwings

SNS・配信プラットフォームの一覧はこちら:⁠⁠https://lit.link/radiocatwings⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

【初めて聴く方へのおすすめ記事】

⁠⁠https://note.com/cafecatwings/n/nab636ad54a35⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

【リスナーからのお便りを随時受付中!】

⁠⁠https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScjMAr5xOgOziXxy_hbMNhZKj7wx6pcXFEpuc_RtJYJ30TXbg/viewform⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

【メルマガ発信中!】

文学ラジオ空飛び猫たち通信:⁠⁠https://radiocatwings.theletter.jp⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

無料版では海外文学情報や紹介予定の本などをご案内。有料版(月額500円)ではラジオを応援していただける方に向けて編集後記をお届けしています。詳しくは以下をご覧ください。

⁠⁠https://radiocatwings.theletter.jp/posts/ec394b10-714e-11ec-8877-f74ef45dcd97⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

【SNSでご投稿ください!】

番組の感想・リクエスト・本を読むきっかけになったなど、 #空飛び猫たち をつけて、SNSに投稿していただけると励みになります。よろしくお願いします!

【お問い合わせ】

⁠⁠bungakucafe.catwings@gmail.com⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

X・InstagramのDM