高千穂さんのご縁です。

【いい日・悪い日】を仏教から見てみると…

🔶「いい日・悪い日」を仏教から見直します

「今日は吉日?それとも凶日?」——占いに心が揺れることはあります。

仏教、特に浄土真宗の視点では、日を良し悪しで決めつける前に、自分の在り方と他者への配慮を問い直すことが大切だと説かれます。

今回は、仏教説話(ジャータカ)を手がかりに、「いい日・悪い日」をどう受け止め直すかを整理します。

🔶説話で学ぶ「日取り」の落とし穴

都の一家が婚礼当日に占いへ行き、占い師の機嫌を損ねた結果、「今日は不吉、明日にせよ」と言われます。

都側は一方的に延期を決め、田舎の花嫁側は約束を守られないまま、その日のうちに別の縁談で嫁入りしてしまいます。

翌日、都の一家が迎えに行くも時すでに遅し。口論は取っ組み合いにまで発展します。

通りがかった賢者は、「星の動きで事の善し悪しは決まらない。行いそのものが善し悪しを左右する」と諭します。

教訓は明快です。占いに依存し、約束や思いやりを後回しにすれば、良いはずの日も悪い日に変わってしまいます。

🔶浄土真宗の視点—占いよりも「自省と責任」

親鸞聖人は、占いや祈祷に頼り切って判断を委ねる姿を「悲しい人間の性(さが)」として見つめます。

星や暦が私たちの価値や結果を決めるのではありません。決めるのは、今この瞬間の選択とふるまいです。

「よい日かどうか」は外的条件ではなく、他者を尊び、約束を守り、心を尽くす私の姿勢によって育ちます。

不確実な世の中で迷う私を、そのまま見捨てないと誓う阿弥陀さま(摂取不捨)に遇うとき、拠りどころは占いではなく“御恩に報いる実践”へと向きます。

🔶「いい日」に変える具体的な視点

・約束を最優先にします:相手の準備・時間・期待を尊重することが、日を良いものに変えます。

・判断の責任を引き受けます:外部の“お告げ”に逃げず、理由と影響を言語化して自分で決めます。

・相手の都合を織り込みます:自分の事情だけで動かず、関係者の事情を事前に確認し合います。

・結果ではなく姿勢を整えます:万一、予定外の事態でも、誠実な対応が「悪い日」を「学びの日」に変えます。

🔶今週のまとめ

占いは参考にはなりますが、拠りどころにはできません。

「良い日」は暦が与えるのではなく、約束を守り、他者を思いやり、自ら責任を引き受ける私の行いがつくります。

揺れる心をそのまま抱えつつも、摂取不捨のはたらきに遇い、今日を「よく生きる」実践へと転じていきたいものです。

来週のテーマは「旅と本願寺」です。どうぞお楽しみに。

お話は、熊本市中央区京町にある仏嚴寺の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。