残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

ジャスミンが「自由よ!」と歌うノベーション(1651回)

劇団四季の「アラジン」の日本語訳をされている高橋知伽江のパッションに感動しました

曰く

"実は、あの歌の原詩にはFreeとか Freedom

という言葉は一つも無いのですよ。でも、“すべてが新しい世界”、それは、何もかもが新しく新鮮に感じられるということでしょう。

お城の中に閉じ込められてきたジャスミンが、魔法のじゅうたんで大空に飛び立ち、生まれて初めて“解き放たれる”瞬間、『そうか、これが自由なんだ!』と感じる。

空から見下ろす世界のすべてが彼女には新しく映る。その感動が、そのままお客様に伝わるようにしたかったのです。

ジャスミンが「自由よ!」と歌う、その気持ちー心の底から湧き上がるような喜びが、お客様に届けばいいなと思っています」"

ここから私は思いました

1、原文よりも価値

2、作詞家のパッションの源

3、価値から共感、大義への昇華

1、原文よりも価値

劇団四季のアラジンは、何回観ても感動で涙が溢れてしまう、本当に大好きなミュージカルなのですが、その日本語訳に、こんなパッションが込められていたのかと、さらに感動しました

サビの「A Whole New World」の訳詩を高橋さんは「自由」という言葉で、表現されているのですが、これは、原文よりもその場面で展開される気持ちや、伝えたい価値観を、日本語で表現したということかもしれないと思いました

その方が物語の中での主人公のパッションがより伝わる、その気持ちを表現することが、実は原歌詞を作られた人の気持ちも、よりリアルに表現できる、そんなことができるのは、ある意味、訳詞の時点でのイノベーション、と呼ぶべきものだなあと思いました

2、作詞家のパッションの源

しかし、これを実現するのは、相当大変なことかと思いました。何故、原文通り訳さないのか、想像ですがざまざまな軋轢があったとではないかと思います

それを貫き通すことができるのは、常日頃、自らのパッションの源を信じて、突き進むことができている方なのだろうなあと思いました

3、価値から共感、大義への昇華

それができるのは、イノベーターリップルモデルとして、3つのフレーム(パッション、仲間、大義)へのつながりを生むアクティビティがあるからと思います

高橋さんは、自らのパッションに従って、自由よ、としたわけですが、それだけではなく、その先にいる、お客様に、主人公のジャスミンの心叫びが届いて欲しい、そして皆んがそれを感じて欲しいという思いがあるということだと思います

それは、パッションからはじまり、スタッフやキャストの仲間と共に、より多くのお客様にすばらしい物語を届けたい、という大義があるからこそ、自らのパッションに従うことができるというループを生み出していると思います

舞台を見させて頂いた私は、その場面で、主人公の、自由よ、との歌に、心から涙が溢れました。パッションと大義が、私の心に、キャストの皆さんのを通じて、届いた、その証拠だと思います

ということで、本当に素晴らしいミュージカルの、劇団四季のアラジンは、まさに訳詞の高橋さんによって、より素敵なスピリッツを注入され、スタッフ、キャストの皆さんのスピリッツを注入され、出来上がってると思いました

一言で言えば

ジャスミンが「自由よ!」と歌うノベーション

そんな話をしています^ ^

参考:劇団四季 『アラジン』ブロードウェイ公演 プログラム 今、解き放たれる『アラジン』の魅力『アラジン』日本語訳詞・高橋知伽江さんに聞く 田中裕子 企画・製作 四季株式会社 日本語歌詞 高橋知伽江 https://www.shiki.jp/applause/aladdin/