晩年、軽井沢を舞台にした本格探偵小説を書いた、ミステリーの巨匠がいます。
 横溝正史(よこみぞ・せいし)。
 横溝を一躍有名にしたのは、金田一耕助が事件を解決する、『本陣殺人事件』『獄門島』『八つ墓村』。
 多くの作品がテレビドラマ化、映画化されました。
 特に彼の名を全国に広めたのが、『犬神家の一族』です。
 横溝が48歳のとき、雑誌に連載をスタートさせたこの小説は、日本古来の因習、家督争いをベースに、湖から飛び出した2本の足など、ショッキングなシーンが描かれ、大きな話題になりました。
 名監督、市川崑が、二度も映画化。
 興行収入で成果を上げるだけではなく、作品としても数々の賞を受賞しました。
 この小説での成功を受け、横溝は軽井沢に別荘を購入。
 夏の間は、信州の涼やかな風に吹かれながら、執筆に励みました。
 彼が10年もの歳月をかけて完成させた『仮面舞踏会』は、晩年の傑作。
 避暑地・軽井沢で起きた殺人事件に、金田一耕助が挑む物語です。
 ミステリー小説、推理小説、捕物帳、大衆小説からジュブナイルまで、多彩なジャンルを書き分けた横溝ですが、最も好んだ肩書きは「探偵小説家」でした。
 5歳で母を亡くした彼は、臆病で人見知り。
 父の再婚相手には、血のつながらない兄弟が多くいて、孤独な思いが募ります。
 そんな中、彼の心の支えは、国内外の探偵小説を読むことだけだったのです。
 さらに彼を襲った病魔、結核。
 病気のせいで、思うように執筆できない辛さも味わいました。
 江戸川乱歩に認められ、デビューを果たすも、ヒット作は続かない。
 一時は忘れられた存在になったのですが、1970年代、角川春樹のプロデュースで、時のひとに返り咲きました。
 なぜ横溝は、何度も不死鳥のように蘇ることができたのでしょうか。
 今も多くのファンを魅了する探偵小説家、横溝正史が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?
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- FrequencyComplete
- Published22 March 2025 at 09:27 UTC
- Length13 min
- RatingClean
