ナマケもん戦略研究所 ラジオ

ナマケもん

『ナマケもん戦略研究所 ラジオ』は、著者がこれまでに執筆してきた思想・社会批評・経営論を耳から味わえるかたちで届ける試みです。現代社会を覆う「効率」「競争」「正しさ」といった規範に対し、ナマケモノのように「小さく・深く・しなやかに」生きる知恵を語り直します。番組では、『ナマケもん戦略』『MBA的常識の限界』『絶滅の巨人』に示した経営論から、『ブラックなホワイト社会』『優しい全体主義』に描かれた社会批評、さらに『嘘の社会学』『死の社会学』によるメキシコ社会研究まで、多彩な著作のエッセンスを紹介します。 本ラジオは、資本主義の限界や制度の疲労と再生、無条件の承認、共同体的秩序の可能性、そして文化や倫理の再構築をテーマに、複雑な議論を声によって物語として伝えます。聴く人が「勝つため」ではなく「続くため」の視点を取り戻し、自らや組織のあり方を考え直すきっかけとなることを目指します。 あわせて、テキスト連載や最新記事はNoteで配信しています。ぜひこちらもご覧ください → note.com/orangeman_x

  1. 【週刊】ナマケもんマガジン 第8回

    9H AGO

    【週刊】ナマケもんマガジン 第8回

    (2025-11-09) 週刊「ナマケもんマガジン」は、NOTEで過去1週間で投稿された連載記事の解説とオリジナル音楽を融合した思想系エンターテインメントです。 テーマは“どう勝つか”ではなく“どう続くか”。拡大量と効率至上を超え、Non-Exhaustive Growth(消耗しない成長)を語ります。 後半では『ブラックなホワイト社会』『制度敗戦』などの著作をモチーフに制作した楽曲を公開。 NOTE、Youtube、Spotify、Apple Podcastと連動し、思想・音楽・制度論、経営思想、文化論、社会論など、ジャンルを超えて横断するナマケもんの世界へ。 ★ NOTE:https://note.com/orangeman_x ★ Spotify:https://open.spotify.com/show/0j8dq3eGR2MEtDcTzTHiyt?si=HNERZsCVS5CEOB9_l2LMBg ★ Apple Podcast:https://podcasts.apple.com/us/podcast/ナマケもん戦略研究所-ラジオ/id1839105994 ★ Youtube 再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL2dBzmu5dVYFRLdl5Nx7sOQ_aGixVoufh #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth Ⅰ.連載記事の解説パート ① 『勝ち残るより、生き残るキャリア』第2章「人気企業の光と影 ― ケース分析」 大手企業の「安定」神話を、制度疲労という視点から剝ぎ取る一章です。就職ランキング上位の業界は成熟と硬直が進み、人気のピークが変化適応力の衰えと同義になる。終身雇用の維持と生産性向上が同時要求となる矛盾、意思決定の鈍重化など、巨人病の兆候を具体例で示します。ラベルではなく文脈を読むこと――キャリアを「選ばれる側」から「選ぶ側」に取り戻す転回が静かに提案されます。制度の反射ではなく、自分の生活リズムと価値に合う働き方を選ぶ勇気を促す内容です。     ② 『「危険な国」メキシコに生きる。』第3章「主要カルテルのプロフィール」 カルテルを「経済・政治・地域社会と結びつく制度」と捉え直し、各組織のビジネスモデル差――物流支配、資金・暴力のスピード、地域経済への浸透――を比較します。彼らは国家の外にあるのではなく統治の空白を埋め、物資配布や祭礼支援を通じて社会的正当性を作り出す。暴力は支配の言語として機能し、非公式な秩序が生活を支える現実が描かれます。治安論を超えた「制度機能不全の影」の分析で、次章の統治へと議論が接続されます。       ③ 『ナマケもん戦略 入門書』第7章「BCGマトリクスとポートフォリオ経営を問い直す」 市場成長率×占有率で資源配分を決める古典を、拡大量前提という思想から再審します。鍵は「Non-Exhaustive Portfolio」――伸びに集中ではなく、疲れない構造の設計。負け犬とされた事業にも関係資本や地域信頼の価値が眠る一方、花形は燃え尽きやすい。成長と休息を往還する「動的均衡型ポートフォリオ」を掲げ、エネルギー消費と持続可能性を新たな軸に据えることで、経営を人間のリズムへと引き戻します。       ④ 『やさしい全体主義』第6章「やさしい全体主義が壊すもの」 正しさと共感が制度化・市場化されると、人々は「正しくある競争」に巻き込まれ、最初に失われるのは他者への寛容です。アルゴリズムが平均的正しさを導き、誰も命令せずとも同方向へと従う「やさしい支配」が完成する。自由は許可制の多様性へと退化し、共感は評価・ランキングの対象となって排除を生む。やさしさの名による不自由――その構造を静かに露わにし、次章で「無理に正しくあろうとしない自由」へ向かう準備を整えます。     ⑤ 『制度敗戦Ⅰ ― 日本的価値観がひらく未来』第2章「金融自由化の衝撃と制度の転換点」 護送船団・メインバンクが支えた相互依存の安定から、金利自由化・外為法改正・資本取引の国際化を経て、市場に晒される経済へ。自由化は資金の奔流を生み、マネーが実体を凌駕するバブルを呼び込む一方で、理念としての企業共同体は「非効率」とされ解体が進む。だが瓦礫の下からは、地域金融や協同組合といった「信頼の経済」が見え始める。制度の終わりは人間の再発見で終わる――敗戦から創生への静かな転回点を描きます。     Ⅱ.音楽コーナー(Music Section) 『ナマケもんと、いっしょ!』 連載「究極の生存戦略」から生まれた一曲。ファンク系J-POPの軽快なビートに、呼吸がゆっくり整う不思議なグルーヴが宿ります。「Slow is strong, not defeat(遅さこそ生き残る力)」というフレーズが主題で、速さと効率の規範が強まる社会に対し、立ち止まる勇気を温かく差し出す。英語と日本語が自然に混ざる歌詞は「循環のリズムは、いのちのリズム」と響き、戦わない強さ=しなやかな抵抗としての遅さを聴覚化します。日曜の余白にそっと寄り添う、森のポップ哲学。       #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth #スローキャピタリズム #思想系エンターテインメント #持続する社会 #ナマケもんラジオ

    27 min
  2. 【週刊】ナマケもんマガジン 第7回

    NOV 2

    【週刊】ナマケもんマガジン 第7回

    (2025-11-02) 週刊「ナマケもんマガジン」は、NOTEで過去1週間で投稿された連載記事の解説とオリジナル音楽を融合した思想系エンターテインメントです。 テーマは“どう勝つか”ではなく“どう続くか”。拡大量と効率至上を超え、Non-Exhaustive Growth(消耗しない成長)を語ります。 後半では『ブラックなホワイト社会』『制度敗戦』などの著作をモチーフに制作した楽曲を公開。 NOTE、Youtube、Spotify、Apple Podcastと連動し、思想・音楽・制度論、経営思想、文化論、社会論など、ジャンルを超えて横断するナマケもんの世界へ。   ★ NOTE:https://note.com/orangeman_x ★ Spotify:https://open.spotify.com/show/0j8dq3eGR2MEtDcTzTHiyt?si=HNERZsCVS5CEOB9_l2LMBg ★ Apple Podcast:https://podcasts.apple.com/us/podcast/ナマケもん戦略研究所-ラジオ/id1839105994 ★ Youtube 再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL2dBzmu5dVYFRLdl5Nx7sOQ_aGixVoufh #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth Ⅰ.連載記事の解説パート ① 『勝ち残るより、生き残るキャリア 第1章』 高度成長がもたらした「会社は家族」という物語は、終身雇用や年功序列を通じて生活世界まで包摂する強い制度を育てました。しかし成長が鈍化すると、庇護の装置は一転して選別と排除の仕組みに変容します。株主資本主義の浸透は「社員の物語」を「投資家の物語」へと置換し、人気企業ほど制度疲労のリスクを抱えるという逆説を露わにしました。本章は惨憺たる現実を告発するのではなく、依存から距離を取り「巨人にならない勇気」を取り戻す覚醒の書として、個人のキャリアを制度外部の倫理へ接続する道筋を示しております。   ② 『「危険な国」メキシコに生きる。第2章』 麻薬カルテルは突発的な怪物ではなく、国境・需要・貿易の構造の上で長期的に形成された「影の経済制度」です。グアダラハラの台頭と崩壊、逮捕が導いた分裂、NAFTA以降の物流最適化、そして軍事作戦が逆説的に促した分散化——これらは暴力の局地化と「制度的代謝」を生みました。CJNGのような“新世代”は麻薬に限らぬ複合的ビジネスへ適応し、違法と合法の境界を横断します。「危険」を数値で測る発想の限界を踏まえ、歴史・制度・市場の三層で現実を読むことこそが、日常のリスクを管理するための知的基盤であると論じております。   ③ 『ナマケもん戦略 入門書 第6章』 アンゾフの成長マトリクスは拡大量を羅針盤にしてきましたが、価格競争・コスト増・失敗確率・疲弊の四重苦を内包します。本章は「どこへ広げるか」ではなく「どうすれば疲れずに続けられるか」へ軸を切り替え、関係資本の深化・物語の共有・余白の設計という三点からNon-Exhaustive Growthを定義します。規模の追求が利幅を圧縮し関係性を脆弱化させる局面では、顧客との信頼と選好の物語を育てることが収益の粘度と復元力を高めます。「しない勇気」「止まる判断」を意思決定の選択肢に戻すことが、現代の企業にとって戦略上の柔軟性を回復させると結論づけております。   ④ 『やさしい全体主義 第5章』 理念としての「正しさ」は、指標化・審査・補助制度と結びつくと市場価値へと転写されます。ESG/SDGsが信用スコアに化けると、実質より「達成の形式」が優位となり、企業は正しさを信じるのではなく活用する主体へ転じます。マーケティング化は共感を装飾として消費し、異議申し立ては「価値毀損」とみなされる。ここに、善意が自発的服従を生む「やさしい支配」のメカニズムがあります。本章は、制度と市場に吸収された倫理を再び羅針盤として取り戻すために、評価の枠外に残る批判の自由と、実践の具体性を守る必要を静かに提起しております。   ⑤ 『制度敗戦Ⅰ ― 日本的価値観がひらく未来 第1章』 戦後の日米は異なる制度設計を採りつつも、国家が成長を牽引する時代を共有しました。日本は護送船団とメインバンク、持ち合いによる外圧緩和の下で長期投資を実現し、米国はインフラと軍需の公共投資が大量生産・消費を駆動しました。だが成功の制度記憶はやがて硬直化へ反転し、オイルショックとスタグフレーションは新自由主義的再編を加速させます。本章は「繁栄の設計図」が次の敗戦を準備するという逆説を描き、制度が支えから拘束へ変質する臨界点を歴史的に示します。その認識は、制度の外延拡張ではなく、価値観と関係性から制度を再起動する道へと読者を導いております。   Ⅱ.音楽コーナー(Music Section) 『何もしないことを許さない社会』 軽やかなJ-popとジャズファンクの融合は、耳に心地よいグルーヴで「効率至上」の日常に立ち止まる余白を差し込みます。歌詞は、休暇さえ生産性に回収される現代を描きつつ、「存在するだけで価値がある」という原初の倫理を回復する呼びかけです。スラップ気味のベースと煌めくシンセの上で、ボーカルが「ぼんやりする自由」を肯定する。速さを価値とみなす世界で、テンポを落とす決断は敗北ではなく養生であり、関係を深めるための呼吸法です。踊れるのに刺さる――この逆説の快楽が、思考の硬直をほどき、明日の忙しさに抗う小さな勇気へと変換してくれる一曲でございます。   #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth #スローキャピタリズム #思想系エンターテインメント #持続する社会 #ナマケもんラジオ

    27 min

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『ナマケもん戦略研究所 ラジオ』は、著者がこれまでに執筆してきた思想・社会批評・経営論を耳から味わえるかたちで届ける試みです。現代社会を覆う「効率」「競争」「正しさ」といった規範に対し、ナマケモノのように「小さく・深く・しなやかに」生きる知恵を語り直します。番組では、『ナマケもん戦略』『MBA的常識の限界』『絶滅の巨人』に示した経営論から、『ブラックなホワイト社会』『優しい全体主義』に描かれた社会批評、さらに『嘘の社会学』『死の社会学』によるメキシコ社会研究まで、多彩な著作のエッセンスを紹介します。 本ラジオは、資本主義の限界や制度の疲労と再生、無条件の承認、共同体的秩序の可能性、そして文化や倫理の再構築をテーマに、複雑な議論を声によって物語として伝えます。聴く人が「勝つため」ではなく「続くため」の視点を取り戻し、自らや組織のあり方を考え直すきっかけとなることを目指します。 あわせて、テキスト連載や最新記事はNoteで配信しています。ぜひこちらもご覧ください → note.com/orangeman_x