冬の潮風が吹く丘の上の図書館で、司書の千晶は、かつて片想いしていた同級生・拓真と再会する。声をかけられぬまま、彼の借りた本の貸出カード裏に、鉛筆で綴られた短い詩を見つける。それは週ごとに書き換わり、やがて二人しか知らない海辺の地名を含むようになる。春が近づく中、図書館の貸出カードは廃止されることが決まり、詩も終わりを迎えていく。最後に残ったのは、淡く揺れる「さよなら」の二文字。消えかけた鉛筆の跡と海風の匂いの中で、千晶はかつての記憶と向き合い、心の奥に静かに残るものを見つめる。
Information
- Show
- FrequencyUpdated Semiweekly
- PublishedAugust 18, 2025 at 8:00 AM UTC
- Length4 min
- Season1
- Episode13
- RatingClean