あっ!司法書士に聞いてみよう! ー 宮城県司法書士会 -

【2025.4月】配信ドラマ「地面師たち」でも注目~司法書士の本人確認について~(中島靖雄会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトークの一部(要約)と概要をご紹介しています。

2025年月4月24日㈭は、宮城県司法書士会の中島靖雄(なかじま やすお)さんが「司法書士の本人確認」についてお話をしてくださいました。

※不動産登記についての過去の記事はこちらをご覧ください。

 前半の始まりトーク  本人確認の基本と重要性について

ー 今日のテーマは「本人確認について」ですね。話題になった配信ドラマ「地面師たち」でも取り上げられていたのでいつかお聞きできるのでは?と思っていました。まずは基本のところからお願いいたします。

中島 はい、ほとんどの皆様は銀行講座や携帯電話などをお持ちかと思いますけれども、契約の際に免許証やマイナンバーカードなどの提出を求められていると思います。

本人確認がなぜ必要かと申しますと、なりすましによる本人の意図しない契約を防いだり、本人が契約を行う権利・能力がないのに契約をしようとする、そういったことを防ぐ目的があります。

ー たとえば相続などでも、司法書士さんに何かお願いする時は必ず本人確認があるのですか?

中島 そうですね、我々司法書士は法律で国民の権利を擁護することが使命そして規定されておりまして、その一環として、ご依頼を受けて手続きをさせていただく際には、関連法令に基づいて本人確認をさせていただく決まりになっております。

ー 実際にどういったケースがあるか具体的なところをお聞きしていいですか?

中島 例えば買い主様の立場に立つと、不動産売買の場合に、お金を払って購入したのに売主(売買の)権利を持っていない方だったりして、結果的に自分のものにならなかったという状況を防ぐことに確認の意義があります。

ー まさに「地面師たち」みたいですね

中島 また、売主様の立場に立ちますと、買主様本人は購入する気がないのに、ご家族の方が勝手に購入を進めてしまい、あとからそのことを知ったご本人が取り消しをして契約自体がなくなるなど、そういった状況を防ぎます。

ー 不動産売買の場合は、買主も売主も両方の本人確認が必要なんですね

中島 はい、両方が依頼者になりますので、買主様、売主様、両方とも本人確認をいたします。

ー では相手が法人の場合はどういった確認になるのですか?

中島 法人様の場合は、その法人の担当者様をベースにお話しをお伺いしたりとか、代表者様の確認をいたしますが、犯罪収益移転防止法における「実質的支配者」と言われる方もいらっしゃるので(株式を持っていたり)そういった方の確認も行うのですが、ラジオをお聞きの方は個人の方が多いと思いますので、今回は個人に絞ったお話をさせていただきます。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:30前後からです。)

※音源はApple、Spotify、Amazon等の各Podcastでも配信しています。  
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。

リクエストコーナー

 後半の始まりトーク  具体的な本人確認の方法と事前対策

司法書士の中島靖雄さんと番組パーソナリティの笹崎久美子

ー 後半もよろしくお願いいたします。後半はどんなお話になりますでしょうか?

中島 先ほど一般的な本人確認についてお話をさせていただきましたけれども、特殊な事例についての本人確認についても簡単にご紹介などさせていただければと思います。

通常、不動産売買に伴う登記申請の際には、売り主の方から登記済証(とうきずみしょう)や登記識別情報通知・・・俗に言う権利証と呼ばれる書類ですね。そちらを提供していただく必要があるのですが、この権利証ですけれども、購入した時、もう少し正確に言いますと、登記を法務局に申請し、法務局で不動産登記簿の方に記録された時に一度だけ発行されるもので、紛失をされてしまっても再発行はできない書類となっております。

こちらは昔から同様の取り扱いなので、例えば私が生まれる前に発行された権利証などもいまだに有効なものとして取り扱われます。

ですので、中にはこちらを紛失されている方も当然おられまして、その場合には、本人確認情報という書面を登記申請の際に法務局に提出することもございます。

で、まさにその本人確認情報という書面なんですけれども、「地面師たち」というドラマをご覧になった方は、その一場面で司法書士から売主(ドラマでは詐欺師とそちらに雇われた全く別人でしたけれども)があの質問を受けている状況があったかと思いますが、まさにそれです。

ー 実際にドラマのような質問をすることはあるのですか?

中島 ございます。基本的には先ほどの本人確認の内容をベースにしますが、そのほかに本人がその不動産を持っていることの証拠となる書類、例えば固定資産税の納税通知書だったり購入した時の売買契約書だったり、あとは電気、ガス、水道などの公共料金の支払い通知書、そういったものをご提示いただいて、さらにご本人に間違いないですかという事の確認をしていきます。

さらに 本人ならば通常答えられると思われる情報の質問を行いますが、例えば、生まれ年の干支(えと)、あとはご年齢、対象の(今回売却する)不動産を取得した経緯、どのようにその不動産を利用していたか、あとは紛失してしまった経緯など、そういったことを質問していきます。

ー 「地面師たち」では普段利用しているスーパーの名前も尋ねていましたが、中島さんもそういったことを聞くときがあるのですか?

中島 そうですね、そこを自宅として使っていてどこに通勤していましたか?など、そういったことを情報として事前にいただいてた方でしたら、そういう質問をするということもございます。

ー ある程度の生活のご様子がわかったうえでお尋ねするという形なんですね

中島 うそうですね、お近くでどちらに買い物に行っていましたか?という質問をしたりすることがあります。

あとは、本人を語る・・・いわゆる別人であることを防ぐために、(私個人のお話ですが)できるだけご自宅を訪問させていただいて、できるだけ面談をさせていただくように、仲介業者の方にご協力をお願いしております。