気候とアートのダイアローグ

#3-2〔後半〕「しなの長沼・お屋敷保存会」天利一歩さん・太田秋夫さん(長野市)

『気候とアートのダイアローグ』は、アートを通して気候危機や社会問題に対して活動している、長野県のアーティストや実践者たちにインタビューする番組です。

今回は前回に続いて、長野市長沼で築200年以上の古民家「米澤邸」の修復保存や、新しい町づくりに取り組んでいる、一般社団法人しなの長沼・お屋敷保存会の会長・天利一歩さんと、事務局長・太田秋夫さんのインタビューをお届けします。

2019年の台風19号で甚大な被害を受けた、長野市長沼。天利さんや太田さんたちは、しなの長沼・お屋敷保存会の活動を通じて、長沼のシンボルのひとつである「米澤邸」の修復保全や、地域全体の歴史や文化の継承、そして新たなコミュニティづくりに取り組んでいます。

後半となる今回は、戦国時代から続く長沼の歴史や産業の移り変わり、2019年の台風19号・東日本台風の被害状況や「復興」の状況、そして今後目指す地域のあり方についてうかがいました。

►天利一歩さん

一般社団法人しなの長沼・お屋敷保存会会長。

►太田秋夫さん

一般社団法人しなの長沼・お屋敷保存会事務局長、Hope Apple代表。

►一般社団法人しなの長沼・お屋敷保存会

長野市長沼地域に古くからある古民家や土蔵などの利活用を通じて、2019年の台風19号による水害後のコミュニティの再生と地域内外の交流を図ることを目的として設立。

https://naganumaoyashiki.org/

►米澤邸

1818年、長沼の有力な農民である米澤家が創建。約500坪の敷地は旧長沼城侍屋敷の要所に位置し、屋根材の重さや揺れを小屋組で共有する伝統構法で建てられています。

►長沼

戦国時代には武田信玄が拓いた城下町として、江戸時代には宿場町として、そして近代を境に養蚕からリンゴ果樹へと産業を変化させながら栄えてきた歴史を持つ、千曲川沿いの地域。歴史的に洪水が多く、建造物や地域のあり方に反映されています。

►信州アーツ・クライメート・キャンプとは…

文化芸術の視点から気候変動や地球環境の課題を見つめ、信州・長野県で行われているさまざまな取り組みを知り、取り組んでいる人に学び、ともに考え、変化していく、コモンスペースをつくっていこうというプロジェクトです。https://note.com/artsclimate_camp

►INFOTMATION

・2019年台風19号(東日本台風)

同年10月12日に日本に上陸し、静岡県、関東甲信、新潟県、東北地方などで記録的な大雨となり、死者100名を超える甚大な被害をもたらした。→wiki

・公費解体

行政が所有者に代わって被災家屋などを解体・撤去する制度。2019年台風19号による被害に際して、長野市は2020年、「半壊」以上の家屋を対象に制度の申請受付を開始した。

※『気候とアートのダイアローグ』は、信州アーツカウンシルと信州大学人文学部の共同プロジェクト、「信州アーツ・クライメート・キャンプ」のポッドキャストです(制作:八燿堂)