テツアンドガク~ふつうに哲学ですけど何か?

【4-1】美徳なき時代/After Virtue

今回のテーマはA・マッキンタイア「美徳なき時代/After Virtue」。2回完結で収録してます。

◆1回目:この本の概略について

◆2回目:なぜ今、約40年前に発売されたこの本を取り上げたのか?その面白さは?

【「美徳なき時代」てどんな本なの?】

◆作者:アラスデア・マッキンタイア

・1929年スコットランド出身~現在はアメリカ在住の思想家。

・1950年代にアメリカへ移住。カソリックへ改宗。

『美徳なき時代/After Virtue』

◆「現代における徳とは?」がテーマ。

◆冒頭の語り

「災害が起きて、現代の技術・装置や科学の説明が意味をなさない状況=ディストピア的な状況を想像してみてください。」

→倫理学的な状況では、今がディストピア的状況である。

◆カント、ヒュームなどによる啓蒙的な思想家による倫理の限界

・カントの理性や法則、ヒュームの道徳的な感情に基づく理論では限界がある。

◆アリストテレス『二コマコス倫理学』の再解釈

アリストテレスの倫理学:人間の目指すべき、本来あるべき姿に近づけることが必要

◆「徳」について

①プラクティス(実践)の徳

忍耐力、誠実さ、公正さ・・・行動における性質

②人生の統一性をもたらす徳

勇気がある、忠誠心・・・「この人はこういうひとだった」といえるもの

③歴史や共同体において形成していく徳

年長者への尊敬、謙虚さ、協調性 

◆「物語論的自己同一性」

・自分の人生を振返り、物語りとして語るときに「自分はこのような人間であった」と語るときに必要なもの

・近代主義的な人間観へのアンチテーゼ

個人主義的な人間観(共同体から切り離されたもの)や

自然科学的・物理的な人間観(身体と心を切り離したもの)

⇔過去の物語(人生、経験)を通じて、他者や共同体の中でコミュニケーションで成り立っている人間観