EP#139 「老後」は、もはや死語だ! 自ら限界を決める必要はない

就職・転職の扉をひらく「ことばランド」

今回は「老後」について、考えてみます。就職に役立つ内容というのが、コンセプトなのに、なぜ「老後」なんだ、と思いますよね。誰もが老います。では「老後」ってどういう意味なのか分かりますか?

どの辞書を引いても、「老いた後」としか書いていないんです。字の通りです。では「老いた後」に何があるのか。それは「死」しかない。「老後」とは、何のための言葉なんだろう。人は、生まれてから成長すると思っています。それは間違いない。では、どこから老いるのか、このポイントは分からない。はい、きょうから老いますので、と言われた経験もない。いつの間にか、なんです。

就活でも「終身雇用」という言葉を聞いたことがあると思うのですが、それは「定年」を迎える60ないし65歳までの「長期契約雇用」にしか過ぎないことは、もう当たり前になっています。昔は、55歳定年で、公的年金や企業年金なども含めて70歳くらいまで保証されていたし、大体その年齢で一生を終えていたのです。だから「老後」ということばは、大体「定年」を目安に使われていた。ところが、今は80、90は当たり前。60歳定年から後、2,30年生きていかなくてはならい。いわゆる終身雇用ということばは、もはや通用しない。

寺山修司が「懐かしのわが家」という詩冒頭、こう書いています。

昭和十年十二月十日に

ぼくは不完全な死体として生まれ

何十年かかかって

完全な死体となるのである

僕たちは、生まれてから成長している過程で、すでに完全な死体になるために生きている。つまり、生まれた瞬間から「長い老後」を生きているとも言える。この詩の最後にこう言っているんです。

僕は

世界の涯てが

自分自身のゆめのかなにしかないことを

知っていたのだ。

人生100年時代です。僕たちは「100年の老後」を生きることになる。死の間際まで夢を追い続ければ、世界の涯てはまだまだ広げられるということだと思います。であれば、どこから老後だという考えをしなくてもいい。つまり、勝手に限界を決める必要がないってことです。

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さて、2022年6月から始まった「ことばランド」は、ずっと江川さんとのコンビで続けてきました。残念ながら、5月から前田一人でお伝えすることになりました。

江川さんにMCをしていただいて、リスナーの方から「名コンビ」とまで言われてきました。この番組は、江川さんと江川さんのファンの方に多く、支えられてきました。ありがとうございました。今後も、スポットで江川さんにMCをお願いしたいと思っています。

引き続きお聴きいただけると嬉しいです。

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