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Ep.740 PFN「PLaMo翻訳」が霞が関へ──ガバメントAI「源内」採用と新社長体制の船出(2025年12月4日配信)

本日は、日本のAI開発における歴史的な一日となるかもしれません。2025年12月2日、株式会社Preferred Networks(PFN)の「PLaMo翻訳」が、デジタル庁の運用するガバメントAI環境「源内(Gen-nai)」において正式に利用開始されました。

これまで、政府や自治体が利用するAIといえば、OpenAIなどの海外勢が主流でした。しかし、今回採用された「PLaMo翻訳」は、PFNが独自に開発した純国産のモデルです。このモデルの強みは、なんといっても「日本語の解像度」にあります。海外製AIに見られるような不自然な言い回しや、専門用語の誤訳を極限まで減らし、行政文書のような硬い文章でも、文脈を損なわずに正確に翻訳できる点が評価されました。これが霞が関のインフラとして組み込まれたことは、日本のスタートアップ技術が国家のセキュリティ基準をクリアし、実務レベルで海外巨大テック企業と競合できることを証明したと言えます。

また、PFNにとってこのニュースは、単なる「官公庁への導入事例」以上の意味を持ちます。実は先週の11月27日、PFNは創業以来の大きな体制変更を行いました。長年CEOを務めた西川徹氏が会長に退き、代わってCTOとして技術を牽引してきた岡野原大輔氏が新社長に就任したのです。 「技術の天才」として知られる岡野原氏がトップに立った直後のこの発表は、PFNが「研究開発」のフェーズから、技術を社会実装し、国のインフラさえも支える「実業」のフェーズへと完全に移行したことを象徴しています。

MN-Coreという独自のAI半導体を持ち、その上で動くPLaMoという独自の頭脳を持つPFN。ハードとソフトの両方を握る彼らが、日本の「デジタル主権」を取り戻すための切り札として、政府の中枢で動き始めました。