Cobe.fm 本好きコンサル2人の読後感想戦

Miki Watanuki/Nozomi Tanaka

コンサル×アートでフリーランスっぽく働くみき(左)と、コンサル・リサーチ会社を経営するのぞみ(右)の二人で、1冊の本を実際に読んで感じたこと、思ったことをふんわり楽しく話します。ビジネス書から戯曲・小説、SF、ノンフィクションまで幅広く取り上げています。読書が好きな人、本が好きな人、学びが好きな人、ぜひお耳に合いましたら。 "読むことは人を豊かにする。聴くことは人を謙虚にする" みき(Tw: @miki_apreciar) のぞみ(Tw: @Nozomitnk) 書き起こしサービスLISTENはこちら:https://listen.style/p/hv5wngkh?LUsFq7mq

  1. 9月7日

    中谷宇吉郎 雪を作る話 #3:科学を紙芝居で伝えるべきか

    世界で初めて人工雪の結晶を作った物理学者・中谷宇吉郎。その科学エッセイを読みながら、雪の結晶の美しさ、自然を「作る」ことで理解する研究者の姿勢、そしてAI時代の私たちの知性について、みきとのぞみが語り合います。 -- 立春の日だけ卵が立つという俗説に、中谷宇吉郎はどう向き合ったのか。科学的に疑うこと、わかりやすく伝えること、そして人の想像力を育てるファンタジーの役割について話します。美しい結晶の思い出から、雪かきや雪上30キロ走のつらい記憶まで。雪を知るのぞみと、今年こそ本物の結晶を見たいみきが語る最終回です。 立春の日だけ卵が立つ?/俗説を疑う科学者の視点/ワールドカップの結果を予想するタコ/百年後にも読める文章/『かんざしを挿した蛇』と科学教育/科学を紙芝居で伝えるべきか/メディアの特徴を生かして伝える/現代の科学コンテンツ/刺激の強い時代と自然への関心/科学教育におけるファンタジーの力/『アナと雪の女王』から雪の科学へ/美しい雪と生活を苦しめる雪/雪かきと雪上30キロ走/人工降雪機と中谷宇吉郎の研究/真夏に読む雪の本/今年こそ本物の雪の結晶を見たい アダルトサイトで数学を教えている台湾人(エロなしの模様):https://melmagazine.com/en-us/story/math-lessons-on-pornhub

  2. 8月31日

    中谷宇吉郎 雪を作る話 #2:"雪の結晶は天から送られた手紙"

    世界で初めて人工雪の結晶を作った物理学者・中谷宇吉郎。その科学エッセイを読みながら、雪の結晶の美しさ、自然を「作る」ことで理解する研究者の姿勢、そしてAI時代の私たちの知性について、みきとのぞみが語り合います。 -- 「雪の結晶は天から送られた手紙である」この美しい言葉は、単なる詩的表現ではありません。結晶の形から上空の状態を読み解いた中谷の研究を手がかりに、「作ること」と「わかること」の関係を考えます。AIなら理解していなくても成果物を作れてしまう時代に、人間が本当に理解するとはどういうことなのか。話はPowerPointと仕事の未来にまで広がります。 スキー場で結晶を見るチャンス/豪雪地帯の巨大なつらら/中谷宇吉郎はなぜ雪に魅せられたのか/答えのない人工雪研究に四年間を捧げる/『茶碗の曲線』と中谷宇吉郎の弟/平凡社スタンダードブックスの装丁/紙の本の重さと魅力/雪の結晶は天から送られた手紙/結晶に書かれた空の状態という暗号/自然を理解するためにまず作ってみる/作ることとわかること/科学者の現場主義/AIで作ったものを自分は理解しているのか/AIが生み出すブルシットジョブ/PowerPointと理解力/AI時代に成果物を評価する意味/木を見て森を見ず

  3. 7月6日

    ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』#2:意識の濁流、スタンプラリー、叙情と叙述

    Part 2では、『灯台へ』をめぐる二人の読み方の違いが、よりはっきりしていきます。 みきは『灯台へ』を、口に出す前の心の動き、整理される前の意識の流れをそのまま書いた小説として受け止めます。ビジネスの世界では許されない「雰囲気」や、理由と結果に回収されない気分が、小説ではそのまま存在できる。一方ののぞみは、内面を直接書かれるよりも、動作や表情や物の動きだけを見せてほしいタイプ。そこから、「読む濁流」としてのウルフの文体、説明も接続詞も少ないまま人々のすれ違いを描く小説のあり方について話していきます。 話はさらに、足立美術館で見た横山大観、庭園を写真に収めて帰っていく観光客、舞台の感想をブログに書くためにメモを取る観客、そして旅先の居酒屋で偶然始まる東京03の感想戦へ。何かを「味わう」とはどういうことなのか。観光や鑑賞は、いつのまにかスタンプラリーになってしまうのか。それでも、スタンプを押すように出かけることにも、何かが残るのではないか。二人の考えは揺れながら交差します。 最後にたどり着くのは、「叙情」と「叙述」の違い。心を直接語られるよりも、事象だけを置いてほしいのぞみ。世の中そのものが叙情でできているように感じるみき。『灯台へ』の感想から始まった対話が、美術館、観光、舞台、旅、俳句へと広がりながら、二人それぞれの感じ方の輪郭を浮かび上がらせるPart 2です。

  4. 6月29日

    ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』#1:最高の1500円と人間の意識の形

    今回はヴァージニア・ウルフ『灯台へ』を読みます。 まずは、のぞみが発見した「最高の1500円」の話から。デパ地下で買った一本の生わさびが、塩、手巻き寿司、しそ、きゅうりと合わさって、生活の満足度を静かに底上げしていく。続いてみきは、映画を観たあと、後輩に部屋を片付けてもらった週末の話へ。本棚が整い、眠っていた本と再会し、新しいマットの上でごろごろする時間のなかで、「ケア」や「触れ合い」の感覚が立ち上がります。 そこから話題は課題図書『灯台へ』へ。出来事だけを追えば、灯台に行けなかった日と、十年後に灯台へ行く日を描いた、ほとんど何も起きない小説。でも、みきはそこに「人間の心の形がそのまま描写されている」と感じ、ウルフの天才性に圧倒されます。一方ののぞみは、視点がするすると移り変わる文体の読みづらさを手がかりに、伊藤亜紗さんの文章、濱口監督との対談、『自分一人の部屋』における「女性は鏡である」という思想へと話を広げていきます。 生活の小さな贅沢、映画と部屋掃除、そして百年前の小説。ばらばらに見える話題が、『灯台へ』のなかにある「意識」「ケア」「他者を見ること」へと少しずつつながっていくPart 1です。

  5. 6月15日

    ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』#3

    part3では、下巻に入っていよいよ推理が進みはじめる場面から、二人は「論理とは何か」という話をしていきます。アドソはウィリアムの背中を見ながら、論理をただの不変の武器としてではなく、「一度その中に入り、また外へ出る」ことで初めて使えるものとして理解しはじめる。みきとのぞみは、その成長の速さに驚きながら、アドソの“生徒力”の高さについて盛り上がります。 エーコが『薔薇の名前』を推理小説の形式で書いた理由にも話は及びます。人が死ぬから面白い、というだけではなく、証拠から推論し、仮説を立て、また見直すという営みそのものが、人間の思考の純粋な形なのではないか。のぞみは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』やアンジャッシュのすれ違いコントにも通じる「推理の快楽」を語り、みきはミステリーを読みながらも、どこか一度きりで満足してしまう感覚を話します。 難解な修道院、迷宮の文書館、七日間で三年分くらい成長していくアドソ。二人は、読み切るのにかなり苦労したことを率直に話しつつ、それでも「読めてよかった」と振り返ります。後半では、失われたアリストテレス『詩学』第二部をAIで再現できるのか、自分の過去の思考をAIに読ませたら「過去の自分」は立ち上がるのか、という話へ。エーコの小説から、記号、推理、AI、自己のログへと話題が広がっていきます。 最後には次回の課題本選びへ。『侍女の物語』やクッツェ『恥辱』も候補に上がりつつ、次に読むのはヴァージニア・ウルフ『灯台へ』に決定。『薔薇の名前』を読み終えた二人が、少し疲れながらも、また難しそうな本へ向かっていく締めくくりの回です。

  6. 6月8日

    ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』#2

    part2では、『薔薇の名前』の中心にある「アリストテレス『詩学』の第二部」をめぐって、みきがかつて作った『詩学』のサマリーを手がかりに話が進みます。現存する『詩学』は悲劇を論じた書物であり、そこでは「哀れみ」と「恐れ」を呼び起こし、カタルシスを与えるものとして悲劇が重視されている。では、もしその続きに「喜劇」や「笑い」について書かれた第二部があったとしたら——。 二人は、「キリストは笑ったのか」という問いがなぜ人の命を賭けるほど重大だったのかを考えながら、この小説の読みにくさと、その奥にある豊かさについて語ります。のぞみは、記号論、キリスト教の宗派対立、迷宮の謎解きに自分がうまく乗り切れなかったことを率直に話し、みきはむしろ、現代の論理的思考とはまったく異なる中世の人間の頭の中を、わかる形で立ち上げてくれる小説として読んだと語ります。 自由に本を読めない文書館、知識欲を制限される修道士たち、異端という概念、聖典の解釈が人を裁き、死に至らせる世界。そこには、記号が記号を呼び、解釈がさらに解釈を生んでいくエーコの思想が見えてきます。薔薇そのものは消え、名前だけが残る。笑いをめぐる禁忌、失われた書物、燃え尽きる文書館を通して、二人は「中世」と「現代」がどこかで重なり合う感覚にも触れていきます。 読みにくい。けれど、ただ難しいだけではない。人間の考え方そのものが別の時代にあったことを、ミステリーの形を借りて体験させる小説として、『薔薇の名前』をもう少し奥へと歩いていく回です。

評価とレビュー

5
5段階評価中
4件の評価

番組について

コンサル×アートでフリーランスっぽく働くみき(左)と、コンサル・リサーチ会社を経営するのぞみ(右)の二人で、1冊の本を実際に読んで感じたこと、思ったことをふんわり楽しく話します。ビジネス書から戯曲・小説、SF、ノンフィクションまで幅広く取り上げています。読書が好きな人、本が好きな人、学びが好きな人、ぜひお耳に合いましたら。 "読むことは人を豊かにする。聴くことは人を謙虚にする" みき(Tw: @miki_apreciar) のぞみ(Tw: @Nozomitnk) 書き起こしサービスLISTENはこちら:https://listen.style/p/hv5wngkh?LUsFq7mq

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