アワノトモキの「読書の時間」

粟野友樹,星野良太,Work-Teller

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

  1. 1日前

    ep53-5『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』後編/「いきなりステーキと自発」「やっちゃった!は中動態」

    どうも、ホシノです。 さて、今期大注目の選書、栗原康さんの『サボる哲学』の掘り下げ後編です。 今回はまず、本書の冒頭に登場する「いきなりステーキ」のエピソードから。当時、コロナ禍の煽りもあって業績不振に陥っていた同社が、テレビの密着番組で社内改革の様子を放映していました。そこで社長が放った「いきなりステーキがダメなら、いきなりオイスターを作ろう!」というアイデアに、栗原さんは痛く感動したそうです。なぜならそれこそが、社長の「自発」に他ならないから。自発に理由なんていらない、「やっちゃいたくなっちゃったんだから」という人間の衝動こそが最も尊いのではないか、と栗原さんは説きます。 しかし現代のビジネス社会は、計画(PDCA)によって人間を管理し、「自発」という不確定要素を排除しようとしがちです。栗原さんは、そんな管理社会から逃れ、自発性を爆発させて生きた集団として「海賊」の歴史を紐解いていきます。 海賊と聞くと無法者のイメージがありますが、実は非常にフラット組織だったそう。船長は選挙で選ばれ、働きが悪ければ交代させられるシステムだったとか。商船で奴隷のように武力支配されていた乗組員たちが、襲撃された際に喜んで海賊側へと寝返っていったのは、そこが「自発でいられる場所」だったから。利益の追求や計画に縛られない、自由で人間らしい生き方がそこにはありました。 この「やっちゃった」という自発的な生き方は、かつて日本でも一世を風靡した國分功一郎さんの著書『中動態の世界』とも深く繋がっています。能動でも受動でもなく、自分の意思を経る前の「思わずやってしまった」という状態。これこそが、資本主義の支配から逃れるヒントになるのかもしれません。 ほかにも、1970年代に大阪で起きた「田中機械」の工場乗っ取りエピソードなど、思わずニヤニヤしてしまうような、計画を軽やかに裏切る「やっちゃった」話が満載です。 読めば勇気づけられる、今ホシノが最もおすすめしたい一冊。ちなみに著者の栗原さんの写真を見たアワノさんは、「勝手にチェックのシャツを着た小太りの人を想像してたけど、普通にモテそうな人でイメージと違った!」と驚いていました。

  2. 7月13日

    ep53-4 『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』前編/「やっちゃった!の生き方がいい」

    どうも、ホシノです。 今回は私が勢いで同著者の本を8冊まとめ買いした選書、栗原康さんの『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』を掘り下げていきます。 (今回は本題前の雑談が長めで失礼しました…!) さて、『サボる哲学』です。タイトルにある「逃散(ちょうさん)」とは、日本の農民たちが領主の圧政から逃れるために行った歴史上の反抗行為のこと。ストライキの逃げるバージョンのようなものです。労働が当たり前(むしろ美徳)の常識から逃げちゃえ、的なメッセージですね。 この本は、労働とアナーキズムについての理解を深めてくれる一冊ですが、著者の栗原さんは冒頭でアナーキストを「無支配主義者」と定義しています。世の中がいかに支配者側の都合のいいようにシステム化され、構造化されているかを自覚した上で、「たまには反抗しておいたらいいんじゃない?」というスタンスで書かれているように思います(個人的には、徹底して抵抗せよ、というスタンスじゃないのが好印象だったんですよね)。 ホシノが特に惹かれたのは、栗原さんの「とにかく短く言い切る言葉を連ねる」という軽快な文体です。とにかく読みやすくてニヤニヤしてしまうのに、いざ読み進めると驚くほど詳細に歴史の元をたどって紐解いてくれるので、ものすごく勉強になります。 なかでも個人的に勇気づけられたのが、「やっちゃった」という生き方です。これは自主性(場やルールに従うニュアンス)とは異なり、自らの意思や意図が影響する前の、思いがけない行動(突発性)を指しています。「やってみたくてやっちゃった」という人間の素直な行動を大事にしようというメッセージは、ビジネスでよく言われる「PDCA」よりも、最近注目されている「DDRRRR(ディザイア・ドゥ・リフレクト・リフレーム・リアライズ)」の考え方にも通じるものを感じました。予定調和のプランに縛られず、動くことで自分の価値を見出していく自発的な生き方は、今の時代にこそ響くものがあるのでは。 本の中では、そんな「やっちゃった」エピソードの塊のようなアナーキストの先駆者・大杉栄の生き様についても語られています。 次回は、この本の中でさらに面白かった「海賊」のお話をご紹介します。お楽しみに!

  3. 7月5日

    ep53-3「論理的思考とは何か」後編/「世界の論理、4つの『型』」「日本人は共感を重んじる?」

    どうも、ホシノです。お待たせしました!アワノさんの選書、渡辺雅子さんの『論理的思考とは何か』を深掘りする第2弾をお届けします。 ビジネスの世界にいると、アメリカ発の「結論ファースト(PREP法)」こそが正解だと思いがちですが、本書では国や文化の歴史に深く根ざした「独自の論理的思考」が4つの領域に分けて明かされます。 【経済領域】アメリカ:効率性とゴール達成の論理主張を3つの根拠で支える「5パラグラフ・エッセイ」が主流。ビジネスでおなじみの逆算思考やロジックツリーも、ここから来ています。 【政治領域】フランス:公共の利益と議論を尽くす論理ある主張(正)に対して必ず反対意見(反)を戦わせ、最後にそれらを統合した合体版(合)を導く構造。過去の哲学者の思想を引用しながら議論を深めることが求められます。 【法律領域】イラン:真理と規範を守る論理晴れて白黒をつけるのが目的。最後にはことわざや詩(ポエム)、神への感謝を織り交ぜるのが論理的とされる、聖典に基づいた世界観です。 【社会領域】日本:共感と道徳心の論理判断基準は「周りの人から共感されるか否か」。作文でも自分の体験を通じた変化や成長(起承転結)を語り、クラスメイトと感覚を共有することを重んじます。 日本の学校教育では「自分の経験を語ってどう成長したか」というプロセスが良しとされるため、社会人になって急に「アメリカ式の結論ファースト」を求められて苦労するのは、ある意味で当然のことなのかもしれません。 著者の渡辺さんは、利害や正義がぶつかり合うこれからの時代だからこそ、衝突を回避できる「日本的な社会領域の論理」が重要になってくるのではないかと結んでいます。 状況や相手に合わせて、乗るロボット(論理の型)を上手に乗り換える……そんな柔軟なメタファーを意識してみると、ビジネスもコミュニケーションもぐっと面白くなるはずです。 次回からは、栗原康さんの『サボる哲学』についてお話します。どうぞお楽しみに。

  4. 6月26日

    ep53-2「論理的思考とは何か」前編/「4つの論理的思考法」「採点不能の衝撃」

    どうも、ホシノです。今回はアワノさんの選書、渡辺雅子さんの『論理的思考とは何か』を掘り下げます! まずは著者の驚きの原体験から。日本の大学からアメリカのコロンビア大学院へ進学した著者ですが、提出した英語のレポートが教授からなんと「採点不能(0点以下)」と突き返されてしまいます。書き直しても連続で拒否され、悩んだ末に「アメリカ式の構造」に書き換えた途端、一気に高評価に!この衝撃から、国や文化によって「論理のルール(プロトコル)」が全く異なることに気づき、研究が始まったそうです。 ビジネスで盲信されがちな「結論・根拠・結論(PREP法)」もアメリカ式の一つの型。イランなど他国ではその型で説明しても通用しないのだとか。 今回はそのプロローグとして、ベースとなる「4つの論理的思考法」を解説してもらいました。 論理(演繹):一般法則に当てはめて結論を導く(売上=単価×客数など) レトリック:感情に訴えかけ、人を説得する(政治家やジョブズが得意な技術) 科学(アブダクション):起きた結果から「なぜ?」と仮説を立てて検証する 哲学:「そもそも売上とは何か?」と物事の本質を突き詰める 「議論がかみ合わない」という時は、この4つのアプローチがすれ違っているのかも。相手や状況に応じて使い分ける認識を持つと、ビジネスでもかなり役立ちます。ちなみに科学や哲学思考が好きなアワノさんに対し、私ホシノは抜群に「レトリック」が好きだと判明しました(笑)。 次回はいよいよ、文化や国による論理的思考の違いという本論へ迫ります。お楽しみに!

  5. 6月18日

    ep53-1 「論理的思考とは何か」「サボる哲学」/「ホテル暮らしのアワノ」「脱Apple・3kg減量」

    どうも、ホシノです。 お久しぶりの配信となる今回。相方のアワノさんはホテル暮らしの単身赴任で超がつくほどの多忙中。慌ただしい日々の中、ホシノの方はというと、長年連れ添ったシステムから離れて「脱Apple」を敢行。Google Workspace等への移行と同時に、画面も時計機能も一切ない、ただ生体ログを取るだけの「Fitbit Air」を導入しました。睡眠の質や心拍を可視化して自分の身体の声を気にし始めたところ、なんと現在までに3kgの減量に成功!見た目もかなりスリムになりました(笑)。 そんな身体と対峙する変化の中で、新シリーズ53として、お互いが今期読んでいく2冊の選書を紹介し合います。 今回、ホシノが選んだ本は、栗原康さんの『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』です。過激なイメージのある「アナーキスト」を、冒頭で「無支配主義者」と定義する著者の熱量溢れる文体に一気に引き込まれ、なんと勢いで著作を8冊もまとめ買いしてしまいました。 一方、アワノさんの選書は、渡辺雅子さんの『論理的思考とは何か』です。ビジネスシーンで盲信されがちな「結論、根拠、結論」というアメリカ式の合理的なロジカルシンキングだけが世界の正解ではない。フランス、イラン、そして日本など、それぞれの国や文化の歴史に深く根ざした「独自の論理的思考」が存在することを明かす、「思考を1つに絞るな」というメッセージが心に刺さる一冊です。 詳しい内容は次回以降お話していきますね!お楽しみに。

  6. 5月18日

    ep52-5『未完の西郷隆盛』(先崎彰容さん)/ヤポネシア論と独自の視点を持つこと

    こんにちは、ホシノです。前回に引き続き、先崎彰容さんの著書『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』(新潮選書)をテーマにお届けします。 今回は、西郷隆盛が島流しにされた奄美大島のエピソードを中心に、島尾敏雄の「ヤポネシア論」についてアワノさんが紹介してくれました。 ヤポネシア論とは、日本を大陸の東端としてではなく、北海道から沖縄、さらには南の島々へと海でつながる文化圏として捉え直す視点のことです。 そこには「日本の近代化って本当にこれでよかったんだっけ?」「日本人ってなんだっけ?」という本質的な問い直しが含まれているそうです。 前回も少し触れましたが、実はホシノも、奄美大島に住んでいた経験があります。今回の収録では、本には書かれていない現地のリアルな空気感や、教科書的な英雄としての西郷隆盛とは少し違う、島の人々に伝わるエピソードなども交えてお話しさせてもらいました。 学校で教わるような大きな物語を鵜呑みにせず、違う視点を持って自分なりの見方を作っていくこと。そんな歴史を相対化する面白さを感じていただける内容になっています。ぜひお聴きください!

  7. 5月11日

    ep52-4『未完の西郷隆盛』(先崎彰容さん)/なぜ日本人は彼を論じ続けるのか?

    こんにちは、ホシノです。今回からはアワノさんの選書ターン。先崎彰容さんの著書『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』(新潮選書)をテーマにお届けします 。 大河ドラマで2回も主役になるほど、日本人に圧倒的な人気を誇る西郷隆盛 。今回の配信では、「なぜ私たちは150年も前の人物を、今もなお何回も引っ張り出したくなるのか?」という、この本が提示する本質的な問いについてアワノさんが紹介してくれました 。 アワノさんの解説によれば、そこには明治維新と第二次世界大戦(敗戦)という、日本が外国の圧力に負け、大きく変化した歴史が関係しているそうです 。西洋化や近代化(大久保利通的なもの)と引き換えに失ってしまった、日本人らしい死生観や「敬天愛人」に代表される思いやりの心 。それらを一身に体現している象徴として、私たちは西郷隆盛という存在にロマンを求めているのかもしれません 。 番組内では、氷河期世代として自身の生き方に迷いながら近代日本の思想を問い直す著者・先崎さんご自身の魅力にも触れています 。福沢諭吉から司馬遼太郎、三島由紀夫、吉本隆明に至るまで、錚々たる知識人たちがこぞって西郷隆盛を論じてきた背景は非常に興味深い内容でした 。 実は私自身も、西郷隆盛は好きな歴史上の人物だったのですが、以前「奄美大島」を訪れた際に、彼に対する少し違った見方が生まれる出来事がありました 。 次回の後編では、その奄美大島でのエピソードや、彼の島妻であった「とぅま(愛加那)」さんの話題も交えながら、さらに深掘りしていく予定です 。そちらも合わせてお楽しみに!まずは前編、ぜひお聴きください。

  8. 5月4日

    ep52-3 『本当のことを書く練習』(土門蘭さん)/「情報化」と「野外教育」の接点

    こんにちは、ホシノです。引き続き、土門蘭さんの著書『本当のことを書く練習』(ダイヤモンド社)をテーマにお届けします。 今回は、この本を読んでホシノが個人的に「残しておきたい」と感じたポイントをアワノさんと語り合いました。 一つ目は、養老孟司さんの言葉として紹介されていた「情報化」について。自分が五感を通して感じた事象を、他の人にも伝わる「言葉」にしていくプロセスを「情報化」と呼ぶそうです。しかし現代は、すでに誰かが情報化したものをインプットし、アウトプットするだけの「情報処理」に偏りがちではないでしょうか。このお話を読んで、アワノさんが取り組まれている「野外教育」との意外な共通点に気づきました。座学(=情報処理)では得られない、自然の中で「自ら感じ、体験する」ことこそが、自分にとっての「本当のこと(=情報化の第一歩)」に迫る大切なアプローチなのだと実感しました。 二つ目は、「生きること」と「考えること」のバランスについて。書くこと(=考えること)に行き詰まった土門さんが、散歩に出て外の世界(=生きること)に触れたことで、再び書くべきことに出会えたというエピソード。自分の中に潜るだけでなく、他者や外の世界と交差することで「本当のこと」が書けるようになるというバランス感覚は、土門さんが小説だけでなくインタビューの仕事も大切にされている理由に繋がっているようです。 そして最後に、「書くことは一つのレジスタンスである」というお話。世間の常識や大きな圧力に飲み込まれそうになったとき、「自分はどう感じているのか」を言葉にして書き留めることで、それに抵抗する強さが生まれます。自分軸をしっかり持っている強い人たちは、きっと日頃から「本当のこと」に迫るために、書き、考えている人たちなのだと思います。 アワノさんの次回の選書『未完の西郷隆盛』にも通じそうなこの「強さ」のお話。ぜひお聴きください!

番組について

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

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