ヒダテン!ボイスドラマ

飛騨高山を舞台にした珠玉のボイスドラマをお届けします。コミュニティFM Hit's FM(Hida Takayama Tele FM) で放送中の人気ラジオ番組! ヒダテン!のCV声優10名 が入れ替わりパーソナリティを務める「Hit’s Me Up!(ヒッツ・ミー・アップ!)」の中で放送されているボイスドラマです!ボイスドラマを通じて飛騨高山の魅力に触れてみてください! <番組の特徴> ・ 飛騨高山を舞台にしたボイスドラマを多数制作! これまでに100本以上の作品を発表し、地元の魅力を物語として発信 ・ 放送情報   放送局1: Hit's FM(Hida Takayama Tele FM)   放送時間:毎週金曜10:30-11:00/毎週土曜13:30-14:00   放送局2: FMらら(FMラインウェーブ株式会社)   放送時間:毎週金曜13:00-13:30   配信:Spotify、apple(iTune)ミュージック、amazonミュージック、YouTubeミュージック、CastboxなどのPodcastで番組とリンクして配信中! 飛騨高山の美しい風景とアニメ文化をつなぐ、唯一無二のラジオ番組! 「Hit’s Me Up!」を聴けば、新たなエンタメの扉が開きます!

  1. ボイスドラマ「いつかの弁当」

    2日前

    ボイスドラマ「いつかの弁当」

    マッチングアプリで元上司とブラインドデート!?不器用すぎる大人の恋の物語 【ペルソナ】 ・さくら(CV=29歳:岩波あこ)=静と同じ市民課に務める市職員。彩羽にとっては相談できる唯一の女性 ・彩羽(いろは=18歳/CV:坂田月菜)=高校生のとき東京から高山市街地へ引っ越してきて、卒業後は高山市役所市民課で働く市職員 ・静(しずか=61歳/CV:日比野正裕)=大学新卒以来高山市役所市民課で働く生え抜きの市職員 【プロローグ:市役所の休憩室】 ◾️SE:休憩室のざわめき/お湯を沸かす音など 「いただきま〜す」 「まあ、おいしそうなお弁当」 「あ・・さくらさん・・」 遅い昼食をとろうと休憩室に入ると 新人の彩羽と目が合った。 ちょうどお弁当を食べようとしていたらしい。 「お疲れ様です!」 私はさくら。 高山市役所で働く市民課の戸籍係。 彩羽は住民登録係だから、仕事上はそんなに接触はないんだけど・・ いや。 それは違うわね。 ちょっと前までは接触どころか、 彩羽のおうちでご飯まで食べるような関係だったし。 実は、彼女のお祖父様が、私の元上司。 詳しいことは、前編の『最後の弁当』『最初の弁当』を聴いてね。 「さくらさんもいまからお昼ですか?」 「うん。 遅くなっちゃったけど・・ 彩羽さんも?」 「はい。 朝からずっとバタバタして・・マイナンバーの申請とかいっぱいで」 「それ、こも豆腐?」 「そうです・・」 「ひょっとして・・・部長・・いえ、おじいさまの手料理?」 「はい!」 「すごいわねえ、部長、じゃなくて、おじいさまも」 「部長でいいですよ。 その方があの頃を思い出してワクワクするし」 「ごめんなさい。じゃ、お言葉に甘えて」 「こも豆腐って珍しいんですか?」 「ううん、その逆。 むしろ、高山のソウルフード」 「へえ〜」 「お豆腐を”こも”に包んで、茹でてから出汁で煮込むの」 「”こも”?」 「わらで編んだむしろよ。 ほら、お豆腐の表面にわらの模様があるでしょ」 「うん」 「ほんのり、わらのいい香りもしない?」 「ホントだ〜」 「お祝いごととか、ハレの日に出すお料理なのよ」 「知らなかった〜」 「あ、それと・・飛騨牛のしぐれ煮も」 「そう。私が美味しい!って言ったら、毎日お弁当に入れてくれるの」 「へえ〜」 「汁気をしっかり切ってご飯に乗せてるから、お肉がしっとりして美味しいんだ〜」 「部長って・・・彩羽さんにはホント、優しいのねえ」 「・・さくらさん・・・」 「なあに?」 「あの・・・さくらさんに相談したいことがあるんですけど・・・」 向き直った彩羽が、急に真面目な顔になる。 「今日・・・役所が終わってから少し話せませんか?」 「いいわよ。 じゃあ・・・あそこにする? あの・・なんだっけ・・・名前のない・・カフェ」 「やった。前から行きたかったんだ、あのお店」 彩羽は、私の返事を聞くと、安心したように声を弾ませた。 「抹茶バスクチーズケーキ! 食べたーい!」 【シーン1:名前のないカフェ】 ◾️SE:カフェのガヤ 「どうしたの?彩羽さん 食べないの? チーズケーキ」 「はい。 お腹は減ってるけど・・・おじいちゃんのこと考えると・・」 「え?」 「考えれば考えるほど、胃が痛くなりそう」 ※急に深刻になり身を乗り出す 「部長、どうかしたの?まさか・・どこか悪いとか?」 「いや、実は・・・さくらさんにお願いしたいことがあるんです・・・」 「お願い?」 ※悩んだ末に思い切って 「あの・・・おじいちゃんを止めてください!」 「え?なに?いきなり・・」 「このままだと、マッチングアプリに結婚させられちゃう!」 「ちょっとちょっと。 話がよく見えないわ。 落ち着いてお話して」 「はい・・あ・・ごめんなさい」 「マッチングアプリって?」 「恋人とか結婚相手を探すやつです」 「そんなことは知ってるわ」 「おじいちゃん、私が働き初めてから毎日お弁当作ってくれてるんですけど」 「そうね」 「毎朝、朝市で食材買いに出かけるの」 「まあ」 「で、野菜売ってるおばちゃんと仲良くなって」 「ああ、あのおばちゃん?」 「はい。 それで、おばちゃんから、独り身でいるのは大変だからって」 「え? それで?」 「マッチングアプリに登録しなさいって言われて・・」 「登録しちゃったの?」 ※泣きそうな声で 「はい」 「部長ったら・・・」 「私、こっそりおじいちゃんのスマホのぞいたんですけど」 「だめよ、そんなことしちゃ」 「いいの、おじいちゃん危なっかしいんだから。 アカウントのデータ入力だって、私がしてあげてるもん」 「まあ」 「それが最近『いいね!』を結構もらってて」 「部長って、ビジュ悪くないもんね」 「とうとう『お会いしましょ』ってメッセージまで来ちゃったんです」 「あらまあ・・ でも、いいことじゃない」 「なんで? さくらさんはそれでホントにいいんですか?」 「いいに決まってるわ。 部長、奥さん亡くされてからだいぶ経ってるし」 「それそれ。 おばあちゃんだって許すわけない」 「許すわよ」 「どうしてそんなことわかるんですか?」 「だってあのときは部長、見ていて胸が締め付けられるほど痛々しくて・・ 声もかけられなかったもの」 「だったら、よけいダメでしょ」 「ううん。そんな部長が彩羽さんのおかげで、こんなに明るくなったのよ。今度は自分が幸せになる番じゃない」 「違う。次はさくらさんの番なの!」 「また、わけのわかんないこと言って」 「さくらさん」 「なあに?」 「おじいちゃんのこと、好きじゃないんですか?」 「えっ・・な、なに言ってんの!」 「だって・・だって、おじいちゃん、 このままだと誰かと結婚しちゃうかもしれないのに・・」 「い、いいんじゃない・・?部長にとっても、その方が」 「そんなん、絶対よくない」 「言い切っちゃうのね。 でも、彩羽さん・・ 私は・・・大賛成よ。 だって部長には、幸せになってほしいもの」 「それは幸せなんかじゃないって! もう〜、なんて言えば、わかってもらえるの〜」 「さあさあ、それよりケーキ、食べましょ。 上に乗ったアイス、とけちゃうわよ」 「わかった〜。 もう、やけ食いだぁ。 あ・・・でもさくらさん、ひとつだけ約束して」 「なにを?」 「おじいちゃんがマッチングアプリの相手と会うより前に 一度うちへ来ること」 「いいけど・・・なんで? ご無沙汰だから、部長びっくりするんじゃない」 「おじいちゃんはいいの」 彩羽の主張が、だんだん支離滅裂になってくる。 それでも、困り眉のまま、ケーキを口に運ぶと、 「んま〜い!抹茶とチーズのマッチングが、も最高!」 私は思わず吹き出しそうになる。 若いっていいなあ・・・ 結局、週末に彩羽の家へお邪魔することになったけど。 【シーン2:彩羽の家】 ◾️SE:玄関の扉を開ける音 「いらっしゃい!さくらくん!」 彩羽のおうち。 というより部長のご自宅。 部長自ら満面の笑みで迎えてくれる。 4月にリタイアされてから顔を見るのは初めて。 なんだか、在職してるときより、顔色よくなったんじゃないかしら。 「さあ、今日は私が手料理を振る舞うから、 さくらくんはゆっくりしてってくれ」 「いらっしゃ〜い」 後ろから彩羽がひょっこり顔を出す。 「座って座って、さくらさん」 言われるまま食卓へ腰を下ろすと、私の横に彩羽も座った。 「ねえ、おじいちゃ〜ん。 今日はなに作ってくれるの〜?」 「今日のメインディッシュは飛騨牛の『朴葉味噌焼き』だよ。 さくらくんが来るっていうから 奮発してA5ランクのロースにしたんだ」 「わ、やったぁ」 「ホントはフィレにしようと思ったんだがね、 フィレの旨味が味噌の味に負けてしまうといけないから」 「なんだか部長、すっかりプロのシェフみたいですね」 「いやあ、まだまだ勉強中さ。 そうそう、肉は薄切りのロースだけど、野菜をたっぷり入れるからね。飛騨一本太ネギにしめじ、えのき、まいたけ・・」 「おいしそう」 「おじいちゃん、マッチングアプリのお相手にいいとこ見せたいんでしょ」 「え?」 「なっ、な、なにを言うんだ、いきなり・・」 「いつデートするんだっけ〜?」 「ばっ、ばかなこと言ってないで・・・ さ、さくらさんにお茶でも淹れてあげなさい」 「あ、私やります」 「だめ。さくらさんは座ってて。 お客さんなんだか

    20分
  2. ボイスドラマ「if。君のその手に触れられたら」

    6月12日

    ボイスドラマ「if。君のその手に触れられたら」

    もし、あの日、古い町並で“あの音”を聞かなかったら。 飛騨高山の伝統工芸「一位一刀彫」をテーマに描く青春ボイスドラマ。 【ペルソナ】※Yew(ユウ)は一位の木の英語名/marja(マリヤ)は一位の木のフィンランド語名 ・ユウ(17歳)/山﨑るい=高根町で生まれた少年/市街地の叔父の家に居候して高校へ通う。市街地の工房で出会ったアッシュに一目惚れして軽い気持ちで一位一刀彫に興味を持つ ・アッシュ/本名はアストリッド(18歳)/山﨑るい=フランス人の留学生。ワーキンングホリデーで出会った一位一刀彫に魅せられて本気で修行したいと思い文化活動ビザ取得を目指す ・マリヤ(17歳)/岩波あこ=ユウの遊び仲間/ユウに好意を寄せるが告白していない ・親方(68歳)/日比野正裕=一位一刀彫の職人。飛騨の匠 ・先生(40歳)/日比野正裕=優しいめがねをはめた先生 [シーン1:古い町並】 ◾️SE:古い町並の雑踏 「Je suis désolée.」 ※アッシュの声(CV:リア)=https://hidaten.com/wp-content/uploads/2026/05/Aicha-Lea.mp3 「え?」「何語?」 「フランス語でしょ」 古い町並に面した一位一刀彫の工房。 通りから見えるところで、女の子がノミをふるってる。 思わず声をかけたら、振り返ったのはなんと・・・金髪の女性だった。 「ちょっともう〜。行くよ、ユウ!」 横で怖〜い顔してボクを睨んでいるのは、同級生のマリヤ。 怒ると怖いんだよなあ。 そのやりとりを見ていた、ブロンド女子が笑ってる。 ボクの名前はユウ。 生まれた家は高根町。 市街地の叔父さんちから高校へ通う一年生。 入学したのは今年の4月。部活は帰宅部。 放課後はいつも寄り道して、古い町並で遊んでる。 で、ボクと同じように古い町並をぶらぶらしてたのがマリヤ。 話しかけたら、同じ高校の同じ一年生だったんだ。 どこに住んでるの、って聞いたら・・ 「荘川よ」 「へえ〜」 「放課後どんなに急いでも 1時間以上バスを待たなきゃいけないの。 だからいつもブラブラしてる。 あんたは?」 「ボクは帰宅部。 実家は高根だけど、市街地のおじさんちに居候」 「荘川と高根じゃ、真逆ね。 はは・・」 という感じで、意気投合。 以来ほとんど毎日、2人で古い町並を徘徊。 今日も今日とて歩いてたら、聞きなれない音が聞こえてきた。 耳をすましたら、なんとノミの音。 あとから聞いたら一位一刀彫っていうらしい。 工房が公開されてて、実演をしてた。 職人さんは若い女の子っぽい。 藍染めの作務衣に、頭に巻いた白い手ぬぐい。 脇目も振らず一心不乱にノミをふるう。 その仕草にボクの目は釘付けになっちゃって・・ それで、つい声をかけちゃったんだ。 まさか金髪女子とは・・・ 少し気恥ずかしくて、足早に立ち去るボクとマリヤ。 「行くよ、ユウ」 背中越しに、フランス語が聞こえてきた。 「Salut!」 ※アッシュの声(CV:リア)=https://hidaten.com/wp-content/uploads/2026/05/Lea.mp3 なんか、周りの観光客にも笑われてるような気がして。 高山駅までの間、マリヤはずうっとボクを睨んでいた。 [シーン2:古い町並の公開工房】 ◾️SE:古い町並の雑踏 「ハーイ!ユウ! マリヤも!」 笑顔でアッシュがボクたちを出迎える。 奥の親方は相変わらず怖い顔。 アッシュというのは、ブロンドの女の子。 マリヤが言ったように、フランス人だった。 翌日。 結局ボクたちは・・ っていうかボクは、アッシュに魅せられて また、工房へ行ったんだ。 マリヤはあきれてたけど、ついてきた。 アッシュは、一位一刀彫の工房で働く、見習い職人。 見習い、とはいっても、この夏でもう一年になるらしい。 で、どちらからともなく、話をするようになって・・・ あ、もちろん、日本語でね。 彼女、アッシュは、英語、フランス語、日本語がペラペラなんだ。 (※以下、流暢な日本語で) 「私、去年の夏に、高山へ来た。 ワーキングホリデーね。 最初は外国人観光客向けのゲストハウスで働いてたの。 お休みの日に、この工房で実演を見てすごくショック受けた」 「なんで?」 「フランスにも木彫りってあるんじゃないの?」 「あるよ。 でも全然違う。 フランスの木彫りはまず先に粘土で模型を作る。 それから彫刻刀とヤスリで磨き上げていくの」 「ふうん」 「でも、一位一刀彫はすごい。 ヤスリを一切使わずに、鋭いノミのタッチだけで完成させるんだもの」 「そうなんだー」 「一度削ったら修正がきかない一発勝負の緊迫感。 ノミだけで動物の毛並みや躍動感を表現してしまう職人の技。 信じられない」 「へえ〜」 「それで親方に頼み込んだの。弟子にしてほしいって」 「よくあの親方が弟子にしてくれたなあ」 「毎日押しかけたもの」 「すごっ」 「箸置きとか根付けなら、もうけっこう自信あるんだ」 「すごいね、アッシュ」 「あの・・・実は・・ボクも弟子入りしたいんだ」 「えっ?」 「今日にでも、親方に言うつもりだった」 「そお〜いいんじゃない。 でもハードル高いよ〜」 突然の言葉に一番驚いたのはマリヤだった。 「本気なの?ユウ」 マリヤの瞳が一瞬、悲しみをたたえたような気がした。 [シーン3:学校のチャイム】 ◾️SE:教室の雑踏 「マリヤ〜、行こうぜ」 「ごめん、ユウ。 今日からはひとりで行って」 「え?なんで?」 「この前の休み、お父さんが自転車を高山駅まで運んでくれたんだ。 駅の駐輪場も定期で借りてくれたの。 自転車なら荘川行きのバスに間に合うもん。 だからもう、工房へはいかない」 「そ、そっか・・・」 (※ここは、わざとらしく話をかえる) 「ねえ、それより聞いて。すごいのよ、高山駅の駐輪場って。 高校生は定期利用で毎月最大500円まで補助されるんだって」 「その言い方、宣伝みたいだな。まわしものか」 「ごめんね、ユウ・・」 「え・・」 「がんばって・・・」 マリヤは寂しく笑って、教室から出ていった。 教室にはボクひとりがとり残された。 [シーン4:アッシュの帰国】 ◾️SE:工房の雑踏 それからボクは、ひとりで工房へ通った。 当然素人にノミなんてさわらせてもらえない。 だからアッシュと親方の作業をずうっと見ている。 圧倒的な熱量でイチイに向き合う二人。 小気味いいノミの音が工房に響く。 木屑がふわりと舞うたび、落ち着いたイチイの香りが鼻腔をくすぐる。 ノミをふったあとは、二人の静かな呼吸音。 普段のアッシュからは想像できないような真剣な表情。 髪をラフにまとめて、ツナギの袖まくり。 額に汗を浮かべながら木を削る。 学校にいるどの女子よりも、 いや、ボクが今まで見てきたどんなものより輝いている。 一位一刀彫という伝統工芸に人生を賭けているんだ。 アッシュの作業をじっと見ていた親方がノミを持つ。 その直後。 響き渡る槌音。 匠の一振りが、ただの四角い木の塊から、命を削り出す。 生まれたのは、福を呼び込む「ふくら雀(すずめ)」。 あっという間にできちゃうんだ・・ アッシュが削り出したのは、香合(こうごう)という茶道具。 すごいな。外国人なのに、風流をちゃんと理解してる。 いや、それよりなにより、なんといってもすごいのは、イチイの木か。 『日本で最も気高い木』というのはヤバすぎてエモい。 「なに〜?ユウ、無口になっちゃって」 沈黙を破ったのは、アッシュだった。 いまだ。 「あ、あの・・・親方・・・ ボクを弟子にしてください!お願いします!」 切り出すタイミングがチョームズい。 親方は何も言わずに、次の作品にとりかかる。 おけおけ。 一発でオッケーもらえるなんて思ってないし。 次の日からもずっと、ボクは通い続けた。 初めて親方の口が開いたのは10日目。 「イチイの木っていうのは赤と白なんだ」 「外側の白太(しらた)と、中心の赤太(あかた)に分かれてるだろう」 「匠はな、この2色の境界線を計算して彫るんだ」 「そうすると、色を塗ってねえのに、キレイな紅白の作品になる」 こうして、ポツポツと話してくれるようになった。 そんなある日。 「ねえ、ユウが初めてここに来てからもうひと月ねえ」 アッシュがボクを工房の裏へ呼び出して言った。 「私は、来月で、日本に来てから一年になるんだ」 「へえ〜。 一年でこんなにうまくなれるんだ。 やっぱセンスかな・・」 「喜んでる場合じゃないのよ」 「え?」 「ワーキングビザは一年で切れちゃうか

    17分
  3. ボイスドラマ「初恋」

    6月5日

    ボイスドラマ「初恋」

    8歳の春、さくらと出会った少年・澪桜。 それから7年――。 15歳になった澪桜のそばには、いつも支えてくれる同級生・若葉がいた。 ある日の放課後。春の嵐が荘川を襲う中、若葉は澪桜のために傘を届けようとする。国の天然記念物「荘川桜」を舞台に描く、切なくて優しい青春ラブストーリー・・・ 【ペルソナ】 ・澪桜(れお/15歳/CV:岩波あこ)=東京から荘川へ引っ越してきた少年。東京ではいじめを受けていたPCオタク。保小中一貫教育の学校でみんなが顔見知りという環境からなかなか友達ができない。その反動もあって、同級生たちの自慢で国の天然記念物でもある荘川桜を妬ましく思う ・若葉(めい/15歳/CV:岩波あこ)=澪桜の同級生。密かに澪桜を慕っているが、表立って告白したりはしない。影でいつも澪桜を応援し、味方になってくれる ・荘川さくら(年齢不詳/CV:岩波あこ)=荘川桜の精。自分の姿が見える者には優しく接する 【シーン1:中学校の教室】 ◾️SE:教室のチャイム 『澪桜くん、付き合ってください!』 「ごめん」 『え・・』 ああ、まただ。 今月に入ってこれで3人目。 いや、ホント・・ わざわざ告ってくれる女子には申し訳ないんだけど・・・ 誰かと付き合うとか、ないから。 だけどオレ、そんなに彼女に見えるのかなあ・・ 廊下で一部始終を見ていた若葉が笑う。 オレの後ろの席の女子。 いや。顔は笑ってないけど、心は笑ってる。 オレにはわかる。 絶対そうだ。 若葉は・・・ 六厩(むまや)に住んでる。 冬、お天気お姉さんが、 ”今朝の高山市内で最低気温が一番低いのは・・”って伝えるとこ。 中学入る前に国府から引っ越してきて・・・ だから、中学入ったとき、若葉には友だちが一人もいなかった。 ここは、保育園から小学校、中学校まで一貫教育だからな。 8歳で東京から越してきたオレと一緒だ。 なんか境遇が似てたから、自然と話すようになって、今に至る。 オレの名前は澪桜。 荘川の中学校に通う三年生。 特に仲のいい友だちというのはいなくて・・・ 話せるのはやっぱ、若葉くらい。 ま、どーでもいーけど。 おっと、もうこんな時間。 よしっ。 駆け足で下駄箱へ。 外へ出ようとするオレに、 「澪桜」 後ろから声をかけてきたのは・・ 「どこ行くの?」 「若葉・・」 「あんた、今日掃除当番でしょ」 「え?違うし」 「3日前に谷口くんに代わってもらってたじゃない」 「あ・・」 「今日は谷口くんの当番だから、澪桜が代わってあげなきゃ」 「あ〜っ!そっかぁ〜」 「なに?用事あんの?」 「うん・・まあ」 「ま〜た、荘川桜?」 「いや・・まあ・・・ そうだけど・・・」 「しょうがないなー。 私が代わってあげるから、行ってきたら?」 「ホントか?」 「疑うんならやめよっかな・・」 「ごめんごめんごめん。 ありがと!若葉!マジで助かる!神! 今度ジュース奢るわ」 「リアクションでか! ま〜ったくアキもせずによく行くわねー、毎日毎日」 「まあな」 「さあ、先生見回りに来ちゃうから早く行って!」 「やばっ、んじゃ行くわ。 じゃあな、若葉。また明日!」 「いってらっしゃーい」 オレは慌ててチャリ置き場へ。 ん? なんか若葉って、いつもオレを助けてくれてんじゃね? ほかの友だちは、毎日荘川桜公園に行くっていったら、 アイタタタ・・って笑ってたのに。 やっぱ持つべきものは友だわ(笑) 結局、自転車をベタ漕ぎして、荘川桜公園に着いたのは30分後だった。 【シーン2:荘川桜公園】 ◾️SE:小鳥のさえずり 『今日は早かったわね、澪桜』 荘川桜の下でさくらがオレを迎えてくれる。 さくらは7年前、8歳のときからの友だち。 不思議なことにオレ以外の人には見えないみたいなんだ。 こうやってちゃ〜んとここにいるし、手にも触れられるのに。 あ、触れられるって言っても、触ってくるのはさくらだけど。 見たとおり、オレよりずうっとお姉さん。 歳をきいても教えてくれない。 500歳以上離れてるから数えられない、って わけわかんないこと言って・・ オレは中学に入っても、放課後はほとんど毎日、荘川桜公園に行く。 町屋(まちや)にある家とは反対方向だけど。 どうせ、帰っても誰もいないし。 介護福祉士のママは、高山に越してきてからずうっと忙しいから。 オレにとって本当に”友だち”って言えるのはさくらだけだった。 こうやって、さくらと過ごすひとときが、かけがえのない時間。 毎日こないと、なんだかさくらが消えてしまいそうだし・・ 『ねえ澪桜。毎日アキもせずに、よく来るわね』 「もう〜。 さくらまで若葉みたいな言い方しないでよ」 『若葉って?』 「あ・・・ えっと・・学校の友だち。 中学入る前に、国府から引っ越してきたんだって」 『おんなのこぉ〜?』 「そ、そうだけど・・・ なんだよ?」 『やるじゃない。 澪桜もすみにおけないわねえ』 「やめてくれよ、そんな時代劇みたいな言い方」 『あらそう? でも時間ってのは偉大ね〜』 「なんで?」 『だって、ついこの前まで こまっしゃくれて、こ〜んなにちっこい澪桜くんだったのに。 たった7年で、彼女まで作っちゃって』 「ちょ、そんなんじゃないから!」 『ふうん。 じゃ聞くけど。 澪桜はその子のことが、好きなの?』 「ばっ、ばかなこと言うなよ! 好きなわけないだろ!」 『じゃあ、若葉ちゃんの片思いかぁ』 「そういうんじゃないんだってば」 『うふふ・・・照れちゃって・・・かわいい』 オレは顔を真っ赤にして、大きな声でさくらに答える。 156号を走るクルマのドライバーがこっちを見ながら 不思議な顔をして通り過ぎていく。 『ねえ今度、ここへ連れてきて』 「え? 誰を?」 『決まってるでしょ、若葉ちゃんに』 「そんな。や・・やだよ」 『どうして?』 「だって・・・さくらのこと、まだ言ってないし」 『ここで言えばいいじゃない』 「無理。 そんなこと・・・できない」 『会ってみたいなあ。澪桜の初恋の人に』 「だから違うって。 初恋の人は・・・」 『え・・』 「いや・・なんでもない。 そ、それに、きっと若葉にも見えないよ。 さくらのことは」 『わかんないわよ。 澪桜と心がつながってれば、見えるかも』 「見えないって」 『うふふ。やっぱ澪桜ってかわいい』 そう言って、いつものように頭を撫でてくる。 いつまでオレを子ども扱いするんだよ。 って思いながら、決してオレは抗わない。 【シーン3:春の嵐】 ◾️SE:雷のごろごろ言う音 『澪桜、なんか今日は雷神の機嫌が悪いみたい』 「え?どういうこと?」 『聞こえるでしょ。ほら・・・ きっとすぐに、ここへも来るわ』 「か、雷? どうしよう、オレ、傘持ってきてない。 急いで帰らないと・・」 『もう間に合わないみたい』 「え・・」 『澪桜の家、町屋までは急いでも30分かかるでしょ。 雷神はもうそこに来てるもの』 「え〜っ! じゃあ、どうすればいいんだよ」 『こっちにいらっしゃい』 え・・・ ドキっとした。 そのとき・・ ◾️SE:LINEの着信音 『どうしたの?』 「LINE・・・若葉だ」 『あら』 ◾️SE:LINEを開く音「ピ」 「澪桜、まだ荘川桜公園? 傘、学校に忘れてるよ。 天気予報、夕方から春の嵐だって。 大丈夫?」 「うん・・?」 「置きチャリで傘持ってってあげる。 もう向かってるから。 動かずに待ってて」 「あのバカ・・」 『なんて?』 「若葉が・・傘を持ってここへ向かってるって」 『そんな・・・もう降ってくるわよ』 「オレ・・・行ってくる」 『待ちなさい』 「え・・・でも」 『町屋からここまで、 156号には、いっぱい私のこどもたちがいるから。 若葉を守ってあげる』 「どうやって・・・」 『雨は避けられないけど。 転んだり、車と接触しないように、結界をつなぐわ』 そう言ってさくらは目を閉じた。 小さな声でなにか唱えている。 ほどなく、大粒の雨が降り出した。 若葉・・・大丈夫か! さくらが、以前と同じように、振袖を大きく振る。 すると、新緑の荘川桜が桜吹雪に包まれる。 『お願い。 若葉を守って。こどもたち!』 雷雲が御母衣湖を黒く塗りつぶしていく。さっきまでの静寂を切り裂くように、冷たい風が吹き抜けた。空を見上げた瞬間、雨の音が激しく世界を叩きつける。 雨はあっという間に本降りになった。 雨粒が、アスファルトを白く煙らせる。 春の嵐が荘川桜の

    15分
  4. ボイスドラマ「澪桜」

    5月29日

    ボイスドラマ「澪桜」

    東京から荘川へ引っ越してきた8歳の少年・澪桜。新しい学校に馴染めず、孤独を抱える彼の前に現れたのは、荘川桜の精を名乗る不思議な女性「さくら」だった――。 国の天然記念物「荘川桜」を舞台に描く、春のファンタジー。春風と桜吹雪の中で紡がれる、“優しさ”の物語をぜひお聴きください。 【ペルソナ】 ・澪桜(れお/8歳/CV:岩波あこ)=東京から荘川へ引っ越してきた少年。東京ではいじめを受けていたPCオタク。保小中一貫教育の学校でみんなが顔見知りという環境からなかなか友達ができない。その反動もあって、同級生たちの自慢で国の天然記念物でもある荘川桜を妬ましく思う ・荘川さくら(年齢不詳/CV:岩波あこ)=荘川桜の精。自分の姿が見える者には優しく接する 【シーン1:荘川桜公園】 ◾️SE:小鳥のさえずり 『なにしてんのぉ?』 「えっ」 『だめじゃない。 空洞(うろ)に花びらなんて詰め込んじゃ。 くすぐったいわ』 びっくりしたぁ。 こんな朝早くの荘川桜公園。 誰もいないと思っていたのに。 いきなり声かけてくるんだもん。 着物きた女の人・・ 振袖に桜の花が咲いてる。 成人式? ・・はとっくに終わってるよね。 ピンクの長い髪が春風にたなびいてる。 『どこの子? 見ない顔ねえ』 もう・・うるさいなあ。 おばさんには関係ないだろ。 『おばさん? って、誰のこと?』 「えっ? いまオレ、声出してないのに・・・」 『や〜っとお口開いた』 「なんだよ、おばさん」 『おばさんなんてどこにいるの?』 「いるじゃん、そこに。 お、ば、さ・・ うっ・・・」 口に桜の花びらがくっついて・・・ しゃべれない・・ 手で口を塞いでるみたいに。 『ふふ・・ おいたはダメよ』 なんなんだよ、このおばさ・・・ おねえさんは・・・ 『そうそう。 最初からそう呼んでくれればいいのに』 「ぺっ、ぺっ。 もうわけわかんないよ」 『きみ、どこから来たの? 清見?国府?市街地?』 「東京」 『トウキョウ?それどこ?』 「東京も知らないのかよ。 ここ荘川から直線距離で215 km東」 『へえ〜 ボク、物知りなのね』 「ボクって呼ぶな」 『じゃあなんて呼べばいいの?』 「レオ。 『ミオ』っていう字に『桜』って書いてレオ」 『まあ、私とおんなじ名前』 「え? おば・・おねえさんは?」 『私はさくら。 ね、一緒でしょ』 「どこが。 おんなじなのは『桜』だけじゃねえか」 『澪桜はどうしてここへ来たの? 荘川桜公園へ』 「引っ越してきたんだ」 『そう。 おうちは?』 「町屋(まちや)ってとこ」 『荘川の中心ね〜。 素敵じゃない』 「おねえさんは?どこに住んでるの?」 『ここよ。荘川桜だもの』 「ふうん」 『私も引っ越してきたのよ。65年前に』 「どこから?」 『あそこ』 「え?」 そう言っておねえさんが指差したのは、川。 ってか、ダム? 『そうよ。 昔住んでいたとこは、あの水の底』 「そうなんだぁ」 『澪桜はどうしてひとりでいるの? おかあさんは?』 「ママは高山の老人ホームだよ。 夜まで帰ってこない。 介護福祉士だから」 『カイゴフクシシ・・・? 澪桜は難しい言葉知ってるのね』 「そんなん誰でも知ってるじゃん。 知らないのは、おば・・おねえさんだけだし」 『さくら』 「え?」 『さくら、って呼んで』 おねえさんはニッコリ微笑んだ。 ボクは顔をまっかっかにして黙り込む。 屈んでボクの顔を覗き込むおねえさん。 桜色の髪の毛がふわっと風に舞った。 『じゃあお友だちは? お友だちと遊ばないの?』 「友だちなんて・・・いない」 『どうして? 学校、行ってるんでしょ』 「行ってるけど」 『学校ってほら、 みんな楽しそうに遊んでるじゃない』 「みんなはね」 『どういうこと?』 ボクは荘川桜の根元に座り込む。 おねえさんも、ボクの横に座った。 って、えっ? 着物、汚れちゃうよ、おねえさん。 『さくら』 「さ、さくら。 ねえ、着物に土がついちゃうじゃん」 『大丈夫。この着物は汚れないから』 「へ?」 『それより、”みんなは”楽しそう、ってどういうこと? 澪桜は楽しくないの』 「だって・・」 『話してよ』 さくら・・顔、近いって。 『学校が嫌いなのかな』 「違うよ。 ここの学校は、保育園から小学校、中学校までずうっと一緒なんだ」 『うん、知ってる』 「だから、僕以外は、み〜んな仲がよくて、 楽しそうにお話してる」 『澪桜も入れてもらえばいいじゃない』 「無理だよ」 『どうして?』 「言っても・・・きっと入れてもらえないもん」 『そんなことないわよ。 仲間に入れて、って言えばいいのよ』 「無理」 『無理じゃない』 「さくらには、わからないんだ」 『なにが?』 「だってボク・・・ 東京にいたときから、友だちなんていなかったから」 『まあ』 「誰もボクには近寄らなかったし、いつも陰で悪口言ってた」 『え』 「きっとボクは他の子から見たらキモいんだよ」 『キモいってなに?』 「知らないよ!そんなん・・ き、気色悪い、ってことだろ」 『なに言ってんの。 澪桜はすごく可愛いし、かっこいいじゃない』 「さくらは大人だから、そう見えるだけ」 『大人とか子どもとか関係ないでしょ』 「関係ある」 『もう〜、ほんとに頑固ちゃんねえ』 「みんなから見たら、ボクなんてどうせウザオだし」 『ま〜たヘンな言葉使って』 「だって東京の友だちはそう呼んでたもん」 『なによ、それ』 「自慢話がウザイ、マウントとるのがウザイ、って」 『そうだったの?』 「違うよ。 プログラミングがわからないって言ってる女子に、コードとか教えてあげたしー、 英語の授業でー、フツーに会話文読んでただけなのに」 『英語話せるんだ』 「ボク、幼稚園までアメリカに住んでたから」 『すごいじゃない』 「大人はすぐそやって言うけど、子どもから見たらウザイんだって」 『よくわかんないんだけど』 「わかってもらえなくたっていい。どうせみんな一緒だから」 『荘川のお友だちもそうなの?』 「うん」 『そうかなあ』 「そうに決まってる」 『私は、そうは思わないな』 「なんでさ?」 『だって、そんな風に思う子なんてここにはいないから』 「うそだ」 『うそじゃない』 「じゃあ証拠見せろ」 『証拠? どうしようかなあ・・・』 「ほら、やっぱり嘘じゃん」 『もう〜しょうがないなあ』 さくらはそう言って、ボクにウィンクした。 そのあと目を閉じて着物の袖をふわぁっと振ると・・ ◾️SE:風の音 /桜吹雪 「えっ!?」 ものすごい桜吹雪。 まるで本当の吹雪のように荘川桜の周りをぐるぐる廻る。 ボクの周りも。 しばらく目を閉じていると・・・ 『いいわよ』 ボクはおそるおそる、ゆっくりと目を開ける。 はらはらと落ちてくる桜の花びら。 目の前が開けてくると・・・ 「えっ!」 ボクはまた驚いて腰を抜かしそうになった。 もう1本の桜の木の前で、学校のみんなが楽しそうに話をしてる。 同級生も、下級生も、上級生も・・・ 足が、少しずつ遠のいていく。 すると、 『行かないの?』 「だって、またウザイって言われるもん」 『誰もそんなこと言ってないでしょ』 だって・・・だって・・・ 『勇気を出して一歩踏み出さなきゃ、前には進めないわよ』 でも・・・ 『ほらぁ』 さくらに背中を押されて、 ボクはうつむきながらみんなの方へ歩いていく。 すると、その中の一人がボクを見つけた。 大きく手を振ってる。 ほらほら、やっぱり、そうじゃん。 帰れってことだよ。 『違うでしょ』 後ろを振り返るボク。さくらは『前を向け』って目で合図した。 ボクを見つけた子が近寄ってくる。 『一緒に、あそぼ』 「え? ホント?」 言い終えるより前に、ボクの手をつかんでひっぱっていく。 振り返ると、さくらが満面の笑みで手を振っていた。 『私の言ったとおりでしょ』 頭の中にさくらの声が響く。 それからみんなといろ〜んなことをお話した。 もうすぐ荘川の里ってとこでイルミのイベントが始まる。 そのあとは田んぼで田植え。 来月になれば、山菜採りもできるからみんなで行くって。 わ、ボクも誘われちゃった。どうしようかなぁ。 楽しくワイワイやっていると あっと言う間に時間はすぎていく。 気がつけば、夕陽がダムに沈み、みんな帰っていった。 またひとりぼっち。 『もうひとりぼっちじゃないわよ』 「さくら」 『さ、帰る準備しなさい』 「え・・

    13分
  5. ボイスドラマ「NAGACHIKA後編」

    5月22日

    ボイスドラマ「NAGACHIKA後編」

    もし、本能寺の変で織田信忠が生き延びていたら――。 女子高生・知花と戦国武将・金森長近の魂が入れ替わったことで、歴史は大きく動き始める。 燃え盛る二条御所。死を覚悟した信忠と長則。その運命を変えようとするのは、“歴史を知る”ただひとりの少女だった・・・ 【ペルソナ】 ・金森長近(ながちか/59歳=本能寺の変の時点での年齢/CV:日比野正裕)=知花と入れ替わる ・金森知花(ちか/17歳/CV:坂田月菜)=高山市街地の高校2年生。レキジョで剣道部 ・金森長則(のりピー/19歳=本能寺の変の時の年齢・享年/CV:日比野正裕)=長近の第一子 ・織田信乃(しの/17歳/CV:坂田月菜)=知花の親友。少しだけわがまま 【プロローグ:1582年/京都・二条御所「本能寺の変」】 ◾️SE:襖を開く音 『なに! 明智光秀が謀反だと!?』 『信長様は自害? まことか、まことの話か!』 『嫡男(ちゃくなん)の信忠(のぶただ)様は? ・・・逃れて、二条御所へ?』 『行くぞ!長則(ながのり)! 二条御所じゃ!なんとしても信忠様(わかどの)をお守りせねば!』 ◾️SE:燃え盛る炎の音 『遅かったか! おのれ!光秀!御所に火を放つとは!正気の沙汰か!』『ええい!放せ!長則!止めるでない!』『信忠様〜! この長近めがすぐに参りまするぞ〜っ!』 ◾️SE:炎の轟音 【シーン1:1582年/二条御所/入れ替わった長近】 ◾️SE:燃え盛る炎の音 「ハッ! え?え?え?なにこれ?なにこれ?あっつつつつつぅ!やだ!ここはどこ〜!?」      「父上、いかがなされました? お気を確かに!」 「父上? なに言ってんの? あんた誰?」 「ご乱心めされましたか? 金森長近が第一子、長則をお忘れですか」 「金森長近・長則〜? いやいやいやいや、わけわからんし。 ってかなにコレ!? 火事じゃん!火事!119番しなくちゃ!」 「明智軍の所業にござろう。 そう言ったのは父上ですぞ」 「明智? 明智光秀? てことは、まさか、本能寺の変? てここ、京都ってこと〜!?」 「本能寺ではござらん。 二条御所でござる」 「二条御所? てことは織田信忠〜?」 「信忠様がまだこの中におられます! 父上はさっき、火の中へ飛び込もうとされたではないですか」 う〜ん。 わけわかんないながらも、なんか見えてきたぞ〜。 ううううううう、レキジョの血が騒ぐ。 本能寺の変、といえば、1582年。 明智光秀が起こした日本史上最大のクーデター。 「敵は本能寺にあり」 本能寺にいた織田信長を不意打ちして、自害に追い込んだ。 確か、信長の第一子・信忠も二条御所へ追い込んで自害させたはず。 信長はすでに、家督を信忠に譲っていたから、 信忠が正式な織田家当主だったもんね。 いや、信忠だけじゃないわ。 この長則もここで・・ 「父上!」 「あ、うん、ごめんごめん」 「父上が行かぬのなら、某(それがし)が火の中へ参ります!」 「待って待って待って!  スト〜ップ! のりピー、いったん落ち着いて」 「のりぴー?」 「今突っ込んだら、あんたの生存ルート消滅確定だから!」 「なにをおっしゃっているのか、よくわかりませぬが・・・ 武士(もののふ)が主君に殉じるのは誉れにございましょう!」 「だ〜からダメだって! アタシだってそれなりのレキジョなんだから! 信じなさい」 「れきじょ?」 「いい、ようく聞いて。 織田信忠、ってか信忠様?が自害しちゃったら、 織田家は跡目争いでガタガタになるの。 結局あの『サル』に全部持っていかれちゃうんだから!」 「さ、猿・・・? 羽柴殿のことですか?」 「そうよ! 秀吉! 昔から三英傑の中で一番好きくないし。 えらそうに大河とか出ちゃってさ。 なことはどーでもいいけど、ようく考えるのよ、のりピー」 「は、はあ・・・」 「このままだと、明智の軍勢によって信忠様は自害させられちゃうでしょ」 「それは・・・口惜しいですが・・」 「でも、今ならまだ明智の包囲網には穴があるはず!」 「穴・・・? 二条御所は完全に囲まれておりますぞ!」 「甘〜い! あ、ちょっと古いか・・ いい?令和のレキジョをなめないでよ。 ここ、二条御所の隣は公家(くげ)のお屋敷でしょ?」 「確かに・・」 「あそこの壁を壊して逃げ込むルートがあるはず! 公家の屋敷なら、明智軍もすぐには手を出せないから」 「なんと・・・公家(くげ)の屋敷を通り抜けると!? しかし、そのような不作法、信忠様が許されるかどうか・・・」 「なこと言ってる場合じゃないでしょ。 公家の屋敷からみんなで変装して脱出するのよ! 忠臣蔵的な感じ?」 「忠臣蔵とは・・・?」 「いや、なんでもない。 とにかく、アタシが信忠様を説得する。 のりピーは、亡くなった兵士たちの具足を貸りてきて。 脱出用の替え玉にするよ!」 「替え玉・・・なるほど! 承知つかまつった! 父上、本気で信忠様を救うおつもりなのですな!」 「ったり前じゃん! アタシがここにいるってのも、必ずなんか理由があるんだから! もっぺん言うけど、レキジョをなめんじゃないよ!」(※見栄を切る) 「御意!」 「あっ、そうだ。 のりピー、木刀とか持ってない? こう見えてアタシ、剣道三段なんだ」 「なにをおっしゃっているのですか、父上。ご自身をよくご覧くだされ」 「え?」 そう言って、自分の体を見渡すと、鎧から下がっているのは・・・なんと真剣! 鞘から抜くと・・・ ズシリと重い・・・ ふん。 空(くう)に向かって一閃する・・・ 「これは・・・いい!」 「そりゃあ、そうでしょう。 天下の名刀・正宗(まさむね)ですから」 くぅ〜っ!とうらぶでも、正宗の4振は、抜けてるからねー。 思わず身震いする。 でもこれがホントの・・・武者震いだ! 「では、父上・・」 「うん・・・ いくぞ!のりピー!」 ◾️SE:轟々と燃える炎の音と2人の力強い足音「ガシャッ!ガシャッ!」 【シーン2:1582年/二条御所から逃れた信忠と長則・長近】 ◾️SE:ししおどしの音 「なんとか、無事に二条御所から逃(のが)れたけど ここからが大事だからね」 目の前に、織田信忠と金森長則が座る。 うっわー、こんなシチュエーションが体験できるなんて。 生きててよかったぁ〜! あ〜あ、スマホがあればなあ・・・この画(え)、ぜ〜ったい、バズるのに。 「信忠様。 この度は勝手なことをして申し訳ありませんでした。 世の中ではいま、信忠様は自害されたことになっております。 それを理解したうえで、このあと歴史がどうなるか伝えるから。 よ〜く、聞いてね。 まず、信長様に手をかけた明智光秀。 あやつは、もうすぐサルに制圧されるから。 あ、サル・・羽柴秀吉ね。 そのあとは清洲会議。 結局、秀吉が推した三法師(さんぼうし)がポスト信長になっていくの。まだ3歳なのにねー。 え? ん、そうよ。信忠様のお子さん。 傀儡よ、傀儡。 実権は秀吉が握って、その力を借りて天下を統一するってわけ。 ん?あれ? なんか、あんまし興味ない感じ?」 そうかぁ・・・ 二条御所でアタシたちが助けたとき、信忠はもう自刃を覚悟していた。 長則も信忠に殉じようと思ってたんだ。 替え玉を使ったから、すでに2人は、歴史上から消えている。 名前もなく、ただ生き残ることは『屈辱』でしかないんだ。 アタシ、とんでもないことしちゃったのかなあ・・・ ううん。いや、違う。 戦とか名誉とか、そんなんホントにくだらない。 生きることの方が、そんなものよりよっぽど大切だ。 アタシは絶対に間違ってなんかいない! まだ火の手が収まらない二条御所。 そのはるか向こうには赤く燃える本能寺。 ぼう〜っとそれを見ながら、魂が抜けたような信忠。 仕方ないわね。 尊敬する父・信長が、信頼していた光秀に自刃させられたんだもん。 生きる気力もない、ってか。 もう〜。仕方がないなあ。 「おい、長則!のりピー!」 「あ・・は、はい!父上」 「この状況で、信忠様があのようになるのは仕方がない。 だが、お前までそんな呆けていてどうするの?」 「はっ」 「実はアタシに少し考えがあるんだ」 「と申しますと・・・」 「飛騨の国、って知ってる?」 「はい、三木自綱(みつき よりつな)の領地でござるな」 「3年後にアタシ、ってか、金森長近は、その三木を討つ」 「え?」 「飛騨に城下町を築くんだ」 「それは、遠見(とおみ)、

    18分
  6. ボイスドラマ「NAGACHIKA/前編」

    5月15日

    ボイスドラマ「NAGACHIKA/前編」

    本能寺の変。 燃え盛る二条御所で、織田信忠を救おうとしていた戦国武将・金森長近。 しかし次に目を覚ますと、そこは2026年の高山の高校だった。 歴史好き女子高生・知花の体に入った長近は、現代の“歴史”と向き合うことになる。 飛騨高山を築いた名将・金森長近。その知られざる想いを描く、「ヒダテン!」歴史ファンタジー作品! 【ペルソナ】 ・金森知花(ちか/17歳/CV:坂田月菜)=高山市街地の高校2年生。レキジョで剣道部 ・織田信乃(しの/17歳/CV:坂田月菜)=知花の親友。少しだけわがまま ・金森長近(ながちか/59歳=本能寺の変の時点での年齢/CV:日比野正裕)=知花と入れ替わる ・明智光宏(あけち先生/55歳=本能寺の変の光秀の年齢/CV:日比野正裕)=実は生徒思いの教師 【プロローグ:1582年/京都・二条御所「本能寺の変」】 ◾️SE:襖を開く音 『なに! 明智光秀が謀反だと!?』 『信長様は自害? まことか、まことの話か!』 『嫡男(ちゃくなん)の信忠(のぶただ)様は? ・・・逃れて、二条御所へ?』 『行くぞ!長則(ながのり)! 二条御所じゃ!なんとしても信忠様をお守りせねば!』 ◾️SE:燃え盛る炎の音 『遅かったか! おのれ!光秀!御所に火を放つとは!正気の沙汰か!』『ええい!放せ!長則!止めるでない!』『信忠様〜! この長近めがすぐに参りまするぞ〜っ!』 ◾️SE:炎の轟音 【シーン1:2026年/高山市街地の高等学校】 ◾️SE:学校のチャイム 「ハッ! ど、どこじゃ?ここは!」 ◾️SE:教室の扉を開ける音 「はーい、席についてー。 歴史の授業、始めるぞー」 「信忠!信忠様は!?」 「ちょっとぉ、知花。 大丈夫? 寝ぼけてんの? 明智先生、こっち見てるよ」 「明智!明智だと!?」 「しっ。だまって」 「じゃあ、先週の続きなー。 織田信長の天下取りまでやったから・・・」 「こやつ、上様を呼び捨てに!」 「だから、静かにして、って」(※ここ、小声で) 「う、うむ。わかった。して、お主は?」(※ここも、小声で) 「もう〜、なに言ってんの。 信乃でしょ、シノ」(※ここ、小声で) 「シノどの。 すまぬ。ときに、ここは、どこじゃ?」(※ここも、小声で) 「ま〜た、歴史のゲーム? それ放課後にして」(※ここ、小声で) これは、どういうことだ。 わしはつい先ほどまで二条御所にいたはず。そうだ、信忠様をお助せんと火の中へ・・・ だが、ここは?どこだ? 「ということで、教科書128ページ。 ここ試験に出るからなー。 比叡山延暦寺の焼き討ち。1571年の衝撃的な事件だ」 「なに!?」 「もっと声落として」(※ここ、小声で) 「こ、心得た」(※ここ、小声で) 「信長は仏罰も恐れず、山を丸ごと焼き払った。 まあ、今で言う『サイコパス』だな」 「信乃どの、さいこぱすとは何ものじゃ?」(※ここ、小声で) 「和訳すると、ってこと?えっと・・狂人、とか、人でなし、ってことかな」(※ここ、小声で) 「なんだと!(※椅子から立ち上がる) この無礼者!」 「ちょ、知花!」(※小声で叫ぶ) 「ん?どうした?金森。 なんだまた の血が騒ぐのか?」 「明智どの、よいか。よく聞くがよい。 わしもあのとき軍勢にいたからな。 あのとき、延暦寺は武装した僧兵(そうへい)の集団だった。 上様は、 『味方にならなくとも良いが、せめて中立を守れ。 さもなくば山を焼き払う』 と何度も警告していたのじゃ。 それを無視し続けたのは延暦寺の方であろう」 「まあ、そんなことはわかっとる。 オレも歴史の教師だぞ。 じゃあ聞くがな、金森。 どうして信長は、僧だけでなく、 山にいた女子供まで切り捨てた?」 「う・・それは・・・」 わしとて、好き好んでそんな行為をするものか。 だが、あのとき、上様に逆らえる者などこの世にはいなかった。 「なんとか、女子供だけでも逃してやりたかった・・」(※苦悶の言い方) 「あ、それ、テレビで見た」 「しかもな、オレが許せんと思うのは、 信長がそれを家来にやらせた、ということだ。 自らは手をくださず、明智光秀と羽柴秀吉に命じた。 これを卑怯と言わずしてなんとする」 「う・・うう・・・」 返す言葉もない。 思い出さぬようにしておったのだが・・・ わが人生の”汚点”と言ってもいいのやもしれぬ。 この奇妙な世界で、明智という名を持つ者に ここまでやり込められるとは・・・ 無念なり。 【シーン2:2026年/高山城址】 ◾️SE:高山城址の雑踏 「いいか、みんな。 せっかく社会見学に来たのだから、 なにかを学んで帰るんだぞ」 わしが、このあやかしの世界に来てから はや一月(ひとつき)の月日が流れた。 いまごろ二条御所はどうなっておろうか・・信忠様は? 長則は無事にお守りいたしておるのか・・ 心配でたまらぬ・・ 「知花、ま〜た、ぼ〜っとして。 高山城址(たかやまじょうし)だよ。 前から来たい、って言ってたじゃない」 「高山城址・・・?」 「珍しいねえ。 レキジョの知花が知らないなんて」 「高山城を築いたのは、みんなもよく知ってる金森長近だ」 「え・・・そうなのか」 「天正13年。1585年。 長近は、 三木自綱(みつき よりつな)を滅ぼして飛騨の領主となった」 「天正13年・・・だと。 本能寺よりわずか3年で・・」 「それを命じたのは、秀吉だ」 「ひ・・・秀吉どのが? ということは、つまり・・・」 「その3年後に高山城の築城が始まり、完成までに16年を要している」 「では・・・なぜ、いまその城がないのか」 「ま、改易とかいろいろあって 高山城は、元禄8年に取り壊された、ということだ。 この城址(しろあと)を見て、何か感じるものはないか?」 「あはれなり」 いったい、なにがあったというのか。 わしは、苔むした城址を眺めながら、心に寒い風が吹くのを感じていた。 【シーン3:2026年/体育祭・騎馬戦】 ◾️SE:騎馬戦の賑わい 「ぬかったぁ! 敵の術中にまんまとハマるとは!」 まさか、このあやかしの世界にも『合戦』があるとは思いもしなかった。 『体育祭』という戦の中の『騎馬戦』というものらしい。 しかも信乃どのの推薦により、我が軍、1組の大将はこのわし。 総大将は、明智殿である。 徹底的に策を練り、戦に臨む。 ふむ。敵の兜を奪えば、勝ち戦となるのだな。 首をとるということか。わかりやすい。 心得た。 なにより戦場での振る舞いは、わしに利があるはずじゃ。 ◾️SE:ホイッスルの音 笛の音とともに戦は始まった。 しかし、敵の2組はひたすら猪突猛進。 これは・・・いかなる戦術か。 考え過ぎてつい油断したのが、失敗であった。 敵の突進をかわそうと転進を命じた際、馬は大きくよろめく。 いかん! このままでは馬が潰れ、わしの足が地についてしまう! わしは咄嗟に、崩れゆく馬の背を己の体幹で支えた。 馬である信乃たちの肩に全ての荷重を預けて強引に体勢を戻す。 その瞬間。 わしの足首に、激痛が走った。 うっ・・・ 落馬こそ免れたものの、これでは・・・ 戦を指揮する大将が、初手(しょて)で負傷するとは・・ 長近、一生の不覚なり! 「知花!大丈夫!?」 「なんの、これしき!心配無用じゃ」 「金森、見せてみろ」 「大したことではない」 「うむ・・・そうか。 よし。 残念だが、棄権しよう」 「なんだと?」 「体育祭の本文は、戦いに”勝つ”ことではない」 「なに・・」 「生徒の体を守ること。決して傷つけないこと。 それが、総大将であるオレの仕事だ」 「うむ・・・ 理(ことわり)だな。 そうか・・・ 明智殿がわれらのこと、慮(おもんばか)る気持ちはよくわかった。 だが、貴殿も武士(もののふ)であれば理解できよう。 大将が敵に背を向けるなど、あってはならぬこと。 頼む。明智殿。 武士(ぶし)の情けだ。 わしの体はなにひとつ問題はないのだ」 「先生、あたしたちからもお願いします! 知花は剣道部のエースなんだし。 自分のことはよくわかってるはずです。 続けさせてください!」 十兵衛、いや、明智殿は、わしの目をしばし見つめたのち、口を開いた。 「わかった・・・そこまで言うなら・・・ だが、約束だ。 決して無理はしないこと。 もし、少しでも難しいと思ったら棄権するぞ」 「御意。 かたじけない、明智殿」 「知花、よかったね」 「ああ、恩にきるぞ」 「よ〜し、いくぞ! 川中島だぁ」 「

    17分
  7. ボイスドラマ「たまゆら」

    5月8日

    ボイスドラマ「たまゆら」

    一瞬の出会いが、未来をつくる。 1986年と2026年をつなぐ、酒と記憶の物語。 酒蔵に漂う香り、受け継がれる技、そして想い。 母から娘へ、そして時を超えて紡がれる物語。 万葉の歌に詠まれた「たまゆら」―― それは一瞬でありながら、永遠に残る記憶。 飛騨高山の歴史とともに描く、切なくも温かなタイムリープの物語です・・・ 【ペルソナ】 ・依羅伽/瑛里菜(えりか=母:25歳/えりな=娘:25歳/CV:山﨑るい)=市街地で老舗の酒蔵の女性杜氏。1986年と2026年に母娘として同時に存在する。母娘2代とも新しいお酒を開発してきた。新酒は90周年に向けて発売予定。名前は「大吟醸たまゆら」 ・静流(しずる/30歳/CV:日比野正裕)=上宝村在住。市制50周年の1986年に市街地へ 【プロローグ:万葉集】 ◾️SE:万葉の詠み方で(少し節をつけて) 『玉響昨夕見物今朝可戀物』 たまゆらに きのふのゆふべ みしものを けふのあしたに こふべきものか 【シーン1:1986年11月/依羅伽(市制50周年の賑わい)】 ◾️SE:町の賑わい(あちらこちらで「おめでとう!」の声) 『50周年、おめでとうございます!』 「ありがとうございます! よろしければ、できたばかりの新酒、試飲してください」 『へえ〜、なんていう銘柄なんですか?』 「実はまだ決めてないんです。 仮にたとえるなら・・・”たまゆら”かな・・・」 『”たまゆら”・・・いい名前だ』 「あ、よかったら中でどうぞ」 『はい、じゃあ・・・お言葉に甘えて』 高山市全体が祝賀ムードに包まれた1986年11月。 高山市制50周年を祝うムードが町中に漂っていた。 私の名前は、依羅伽。 上三之町で・・というか、古い町並で・・・ ああ、どうしても言い慣れないなあ、”古い町並”・・・ 保存地区の選定からもう何年も経つのに・・ そう、うちはその古い町並に300年以上続く酒蔵。 昔からのお客さんは『加賀屋』と呼ぶ。 私は、『女将』として切り盛りしている。 まだまだ女人禁制がはびこる世界。 うちの蔵でも少し前まで『仕込み部屋』に女性は入(はい)れなかった。 私が女将になってから、強引にルールを変えたんだ。 何十年ぶりかで世に出す新酒。 市制50周年に間に合うように仕込んできたけど、 私に言わせると、『完成』はまだちょっと先かな。 まずは、このめでたい景気の中で試飲していただくことにした。 最初のお客さんは、リュックを背負った青年。 DCブランドっぽいトレーナーに、ケミカルウォッシュのジーンズ。 地元の人・・じゃないかも・・・ 『いただきます・・・』 店の奥で青年の声がする。 私は和らぎ水(やわらぎみず)を取りに水場へ。 戻ってみると、店内に青年の姿はなかった。 あら、もうお出かけ? お水はいらないのかしら。 結構アルコール度数高いお酒だったんだけど。 町並の喧騒が木戸越しに聞こえてくる。 うちは角打ちをしていないから、 店の中は静まり返っていた。 【シーン2:2026年5月/瑛里菜】 ◾️SE:店内にたくさんの外国人(雑踏) 「Have a nice trip in Hida! またのお越しを、お待ちしとります!」 『セ・ボン(C'est bon)!』(合成音声) おっと! フランス語やったか! ま、いいや。 私の名前は、瑛里菜。 古い町並に340年以上続く酒蔵で、杜氏として働く。 幼い頃から亡き母・依羅伽に付いて、蔵人(くらびと)として学んできた。 杜氏になったのは今年、25歳の誕生日。 それだけじゃない。 母が亡くなってからは『若女将』としても、店を切り盛りしている。 そうそう。だから毎日忙しいのよ。 さっきまで大賑わいだった試飲カウンターも片付けないと・・・ あれ? まだ誰かいる? 目を瞑ってお酒を飲んで・・・って ん? あんなおっきな蛇の目猪口(じゃのめちょこ)、うちにあったか? 「あ〜、すっごく美味しい。 ・・・あれ?」 「こんにちは・・」 「女将さん? ・・なんか・・・さっきと雰囲気変わりました?」 「え・・? どういうことですか?」 「さっきまで割烹着、着てませんでした?」 「割烹着? そんなもん、着ませんよ」 「なんで?だって・・・ あれ?なんかお店の中もナウいし・・」 「ナウい?」 「こんなカウンターとか、自動販売機なんてありましたっけ?」 「自動販売機?」 「ほら、そこの・・」 「試飲用のコイン投入口ですけど・・」 「なに・・?それ・・・」 「ちょっとすみません、その・・・ お猪口みせてもらえます?」 「あ・・はい・・・」 「この蛇の目猪口・・・ 小さい頃に見たことあるような・・・」 「小さい頃・・・?」 「ちょ〜っと失礼・・」 「あ・・・ それ・・飲みかけですけど・・・」 この味・・・ まろやかなのに芳醇・・でも・・・ ガツンとくる辛口・・・ そしてこの香り・・・ 記憶のどこかに残っているような・・・ 「あの・・・」 「あ、ごめんなさい! 私ったらつい・・」 「いえ、全然いいんですけど・・・」 「よかったらもう一杯飲まれますか。 いまならまだ氷室の限定大吟醸がありますよ」 「ああ、結構です。 それより、もう行かなきゃ・・・」 そう言って、彼は逃げるように店を出ていった。 なんか、青い顔してたけど、大丈夫かしら・・・ 私は手のひらの、蛇の目猪口をそっと見つめる。 分厚くて武骨な、でもどこか温かみのある古い猪口。 猪口を手にしたまま、仕込み蔵へ。 ひんやりとした静寂の中。 ここで私は新しい吟醸酒を仕込んでいる。というか開発中。 高山市制90周年に向けた、記念の大吟醸だ。 あと一歩。 何かが足りない。 美味しいけど、味が綺麗すぎるんだよなあ・・・ 櫂(かい)入れをしながら、猪口を顔に近づける。 うっすらと残る芳醇な香り。 これって・・ 亡き母が以前嗅がせてくれたあの香りに似ている・・ さっき一口飲んだときも、水の透明感みたいなキレを感じたし・・・ 「・・まさかね」 呟きは、酒蔵の重厚な梁に吸い込まれていった。 【シーン3:2026年5月/酒蔵】 ◾️SE:扉を強く開ける音 「すっ、すみませんっ!」 息を切らしてお店に駆け込んできたのはさっきの青年。 出ていってから、10分も経っていない。 「誰か、いませんか!」 私は、いそいそと仕込み蔵からお店へ。 「あ、あなたはさっきの・・」 「はい、この酒蔵の女将で杜氏。瑛里菜と申します。 どうかしましたか?」 「あの、町が・・ヘンなんです!」 「町が・・ヘン?」 「はい、だって・・・ さんまち通りが、外人さんでいっぱいになってて・・ すごい数だし・・・」 「ああ、外国人ね。 まあ・・・今日は週末だしね」 「みんな、テレビがついたトランシーバーを持ってる」 「トランシーバー・・・? それって・・・・・スマホじゃない?」 「それにもっと・・もっと・・・大変なのは・・・」 「はあ・・」 「電柱も電線もなくなっちゃっている!」 「あ、そこ? そういえば気づかなかったわ」 「しかも、秋なのになんかあったかい」 「秋じゃなくて春でしょ」 「なに言ってんですか。 いまは秋でしょ。11月。 市制50周年であんなに賑わってんじゃないですか?」 「5月だけど」 「え!? ちょっと待って・・・ 頭が混乱して思考が追いつかない」 「仕込み水、飲みますか?」 「あ、ありがとうございます」 彼は水を一気に飲み干すと、私の目の前に顔を近づけた。 「教えてください」 「あ、はい・・なんでしょう」 「今日は何年ですか?」 「え・・」 「昭和何年?」 「昭和? いやいやいや、令和でしょ。 令和8年」 「令和ってなんですか?」 「なんですかって・・・ 昭和、平成、令和の令和じゃない」 「え・・・」 (※2人同時に) 「頭痛くなってきた」「頭痛くなってきた」 「ひょっとしてだけど・・・ まさかとは思うけど・・・ あなた、タイムトラベルしてきたとか言わないよね?」 「ははは・・そんなばかな・・ だったら君は未来人? ここはバック・トゥ・ザ・フューチャーの世界ですか」 「じゃあ今年は何年なの?」 「1986年。昭和61年」 いや〜。 アニメの世界じゃ、異世界と時間軸の話が溢れてるけど・・・ 大丈夫か、この人・・・ ってか、まさかホントにタイムトラベラーなのか・・・ 「ここって高山市ですよね?」 「そうよ。 あなた、一体どこの世界線から来たの?名前は?」 「ぼ、僕の名前は、静流と言います。 家は吉城郡上宝村(よしきぐん かみたからむら)。 高山市の市制50周年のイベン

    21分
  8. ボイスドラマ「スワロウテイル」

    5月1日

    ボイスドラマ「スワロウテイル」

    飛騨・上宝に眠る“失われた財宝”を巡る、ひとりの女性トレジャーハンター。その名は朱羽。またの名は”スワロウテイル”。 父から託された地図、ギフチョウの痣、そして戦国時代に消えた黄金・・・点と点だった記憶がつながるとき、運命が大きく動き出す。 考古学とロマン、史実と伝説が交差するヒダテン!史上、最もスケールの大きな冒険譚・・・ 【ペルソナ】 ・朱羽(CV=小椋美織)=あげは(27歳)=神岡鉱山で働いていた父の遺志を継いだ正体不明のトレジャーハンター。 通称は「スワロウテイル」。右肩にギフチョウのような痣がある ・静流(CV=日比野正裕)=シズル(29歳)=上宝出身の考古学者。地元の伝説伝承を調べ保護活動を続けている。朱羽にはいつも先を越されるため異常に警戒し嫌悪している ・鉄兵(CV=日比野正裕)=てっぺい(故人享年38歳)=朱羽の父。生活のために神岡鉱山で閉山まで働く。一生をかけて江馬氏の財宝を探していた 【プロローグ:神岡鉱山2001年】 ◾️SE:鉱山のガヤ〜遠くでドリルが岩を削る音、鉱石を運ぶトロッコのガタゴトという音 『朱羽、ようく聞くんだ』 2001年の春。 パパが、私の目を見て語りかける。 巨大な神岡の鉱山。 5歳の私にとって坑道は、地下深く広がる迷宮のように見えた。 パパの作業服は、鉱泥(こうでい)で赤黒く汚れている。 『神岡鉱山はあと2か月で閉山になる』 「うん」 『でもな、パパはついに見つけたんだ』 「え?なに?」 『宝の場所だよ』 「ホント?」 『ああ、本当さ。 パパ、いつも言ってるだろ。 ”上宝は宝の郷(さと)だ”、って』 「上宝っておうちのとこ?」 『ああ、そうだよ。 神岡と上宝はね、つながってるんだ』 「ふうん」 『宝の場所を書いた地図は朱羽に預けるから』 「どうして?」 『朱羽がいないと地図は完成しないんだよ』 「わかんない」 『それに・・・もしもパパがいなくなっても大丈夫なように』 「パパいなくなっちゃうの? そんなのイヤ! 朱羽、ひとりになるのは絶対にやだ!」 『心配しなくてもいい。パパはいなくならないから』 「約束だよ」 『ああ、約束だ。 朱羽もパパと約束してくれ。 今からこの地図の説明をするから、ようく聞くんだ』 パパは、9つに折った地図を開く。 大きな地図。 両手を広げたよりもおっきい。 『地図がなくてもわかるように頭の中に入れなさい。 閉山するまで。あと2か月の間に』 「うん。わかった」 『ようし、いい子だ。 こっちへおいで』 これが、パパと交わした最後の言葉だった。 その日の夜。 全層(ぜんそう)雪崩。 いわゆる『春の雪崩』が 池ノ山(いけのやま)の飯場(はんば)を直撃。 夜食を食べていたパパは、なす術(すべ)もなかった。 「パパのうそつき」 ひとりぼっちになった私は どれほどパパを憎んだか・・・ だけど、パパとの約束を忘れることはなかった。 【シーン1:パパの遺志】 ◾️SE:キャンパスの大教室 「先生、その見解には地質学的な視点が欠けていませんか?  神岡の池ノ山(いけのやま)周辺は、当時から地表に鉱石が現れていたはずです。 江馬氏が密かにその一部を掌握していたとしたら? 公的な記録に残さず、 『隠し銀』として運用していた可能性は否定できないはずです!」 「それはあくまで仮説だ。 物証がない以上、考古学としては認められないよ」 「物証がないのは、探し方が間違っているからです」 「君のシミュレーションは面白いが、『単なる願望』に過ぎない。 考古学とは、出土した遺物から歴史を組み立てる学問なんだ。 宝探しじゃないんだよ」 15年後。 私は東京の大学で考古学の教授とやり合っている。 互いに顔もわからない大教室の一番前と後ろ。 岐阜県から招かれた客員教授・静流。 フィールドは私の故郷、上宝だという。 あ〜。私、ダメなタイプだ、これ。 「今日の授業はここまで。 また、議論を戦わせよう」 ふん。 やなこった。 そんなことしている時間なんてない。 15年前。 パパがいなくなったあと、 私をひきとったのは、市街地に住む画商。 高齢の夫婦だった。 養父はかつて神岡鉱山で働いていたという。 子どものいなかった老夫婦は 私を小学校から中学、高校までいかせてくれた。 卒業後はアルバイトで学費を稼ぎながら、東京の大学へ。 学ぶのは、考古学。日本中世史。地質学・地理学。 最新の科学的発掘方法から、古文書の読み解き。 地形図の読解まで、必要な知識を貪欲に学んだ。 講義のない日は、登山のサークルでフィールドワークを鍛える。 バイクの免許も取った。 そして、文化財保護法。 「調査名目」で正当に掘るための手続きや、発見した際の権利関係を学ぶ。 大学生活の途中で、養父母は揃って天に召された。 身寄りのない2人だったから、見送りは私ひとり。 二度目の喪主には涙もなかった。 またひとりぼっちになったけど、 今度は、お店と知識が残っている。 私一人が暮らすには十分なお金も。 大学卒業と同時に、私は高山へ帰郷。 画商の看板はそのままに、 美術品を整理してバイクを購入した。 そして・・・ いつも持ち歩いているパパの地図。 大学の4年間じっくり研究した。 地図の中に隠されていたのは5つの財宝。 飛騨銀の錫杖(しゃくじょう)。 蒔絵(まきえ)の香箱(こうばこ)。 銘刀「高原長光」(たかはら ながみつ)。 ギフチョウを模した銅製の香炉(こうろ)。 そして、黄金の軍扇。 ひとつひとつ説明すると時間が足りないので、詳細は省略。 財宝を推理したのは、パパ。 あの日、私に話してくれた内容は、全部覚えている。 では、どうやって場所を解き明かすか? ヒントは、パパが地図に書き込んでいた印。 最初インクの滲みだと思ってた。だけど、拡大してよく見ると、それは蝶の形。 『春の女神』ギフチョウだった。(※7:40) そう! 神岡鉱山はかつてギフチョウの生息地。 愛好家の間じゃ、神岡ブランドのギフチョウは特別な存在。(※7:51) まさか、「ギフチョウの吸蜜(きゅうみつ)ポイント」? 推理は的中。 印はカンアオイの群生地だった。 ギフチョウの幼虫にとって唯一の餌。食草だ。 さらに上宝の断層と地質を分析。 自然な空洞と人工の坑道が、もっとも接近する地点を特定した。 あとはひたすら古文書を読み解く。 大学で学んだ中世史の知識から、江馬氏の敗走ルートを再構成。 「敵に奪われない道=人が通れない難所」をバイクと登山技術で踏破。 卒業してからここまでくるのに5年間かかった。 【シーン2:スワロウテイル】 ◾️SE:バイクの走り去る音 『オーマイガー! 』 『またしても、スワロウテイルか』 『今までに何度やられたか!』 先生、ありがと。 教授が地団駄を踏む様子が目に浮かぶ。 私は41号線をフルスロットルで駆け抜ける。 バックパックの中には『江馬氏の軍扇(ぐんせん)』。 黄金の龍をあしらった七曜紋(しちようもん)が描かれている。 私の名は朱羽。 またの名を”スワロウテイル”。 違法スレスレの悪名高いトレジャーハンターと言われている。 ふん。 なんとでも言えばいい。 私はパパが探し続けた江馬氏の財宝を手に入れたいだけ。 それが私の生きる目的だから。 かつて栄華をほしいままにした江馬氏の財宝。 探していた江馬氏の五宝(ごほう)は、軍扇でコンプリートした。 あとは、パパと私の悲願。 江馬氏の埋蔵金だけ。 だけど、腑に落ちない。 古物商だけでなく、 考古学者や郷土史家たちまで、今になって動き出したのはなぜ? 考えられる原因は3つ。 1つ目は、神岡鉱山閉山から20年以上が経過したこと。 当時の未公開資料や「旧坑道図」が一部デジタル化・公開されている。 2つ目は、上宝の山間部で集中豪雨による土砂崩れが発生したこと。 「江馬氏の家紋が入った漆器の破片」が土砂から発見された。 そして3つ目は、私が手に入れた『五宝』の情報。(※11:00) それが闇のマーケットに流れたこと。 誰が情報を流した? きっとあいつだ。 考古学者の静流。 いつも仕事の邪魔をする研究者。 静流が私をおびきだすために仕組んだに違いない。 先を越される前に急がないと。 【シーン3:奥飛騨温泉郷平湯/隠し湯】 ◾️SE:温泉の環境音 「お邪魔します・・・あ・・ これは失礼」 奥飛騨温泉郷・平湯の露天風呂。 しまった・・ 混浴だってこと、忘れていた。 まあ・

    20分

評価とレビュー

5
5段階評価中
4件の評価

番組について

飛騨高山を舞台にした珠玉のボイスドラマをお届けします。コミュニティFM Hit's FM(Hida Takayama Tele FM) で放送中の人気ラジオ番組! ヒダテン!のCV声優10名 が入れ替わりパーソナリティを務める「Hit’s Me Up!(ヒッツ・ミー・アップ!)」の中で放送されているボイスドラマです!ボイスドラマを通じて飛騨高山の魅力に触れてみてください! <番組の特徴> ・ 飛騨高山を舞台にしたボイスドラマを多数制作! これまでに100本以上の作品を発表し、地元の魅力を物語として発信 ・ 放送情報   放送局1: Hit's FM(Hida Takayama Tele FM)   放送時間:毎週金曜10:30-11:00/毎週土曜13:30-14:00   放送局2: FMらら(FMラインウェーブ株式会社)   放送時間:毎週金曜13:00-13:30   配信:Spotify、apple(iTune)ミュージック、amazonミュージック、YouTubeミュージック、CastboxなどのPodcastで番組とリンクして配信中! 飛騨高山の美しい風景とアニメ文化をつなぐ、唯一無二のラジオ番組! 「Hit’s Me Up!」を聴けば、新たなエンタメの扉が開きます!

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