徒然なる自動車業界の将来動向

Mike

100年に一度の大変革期の真っただ中、先行き不透明の自動車産業の情報をまとめて共有いたします。 ・市場の将来予測をするにあたってルチル・シャルマの未来予測(2018年発刊) の10個の観点の理解を深める情報を発信しています。 ・ますます高まる『地政学』を自動車業界で深堀して見えてくる『中国』『電動化』『自動運転』の統合した競争力を強化する構造を明らかにすることを試みています。 ・自動車業界の大きなニュースを題材にその裏に見える戦略や意図を紐解きます。 ぜひ気楽に聞いて、皆さまの仕事や興味の深堀にご利用ください。 <補足> シーズン1 (#1-xx)は、日本語で発信し、シーズン2(#2-xx)は英語での発信となっています。取り扱うトピックスが同じエピソードは、 "-xx"のところが同じ数字となりますので、日本語を聞いた後に英語版を聞くと、内容を理解しやすく、リスニング強化に活用できることを狙っています。ぜひ活用ください。

  1. 6月7日

    #1-366 USMCA2.0へ向けた北米自動車関税の行方

    ポットキャスト2年目に突入しました。 今回は、2026年7月のUSMCA共同レビューに向けた北米自動車産業の地政学リスクと、企業が取るべきサバイバル戦略についての解説をお伝えします。要約は以下の通りです。 1. 国境往復モデルの脆弱性と関税リスク北米の自動車製造は、国境を何度も越える複雑な分業体制(国境往復モデル)に依存しています。もし2026年のレビューで合意できず協定が失効した場合、関税の複利効果によりサプライチェーン全体で約330億ドルのコストショックが発生するリスクを抱えています。さらに、2026年1月に施行されたメキシコの新関税政策により、FTA非締結国(アジア等)からの輸入品に最大50%の関税が課され、陸揚げコストが急増しています。 2. ルールの厳格化(ROO・RVC・LVC)とBOMへの影響USMCAの原産地規則(ROO)は、設計段階からのBOM(部品構成表)構築の絶対条件となっています。 RVC(地域内原産地比率): 現行75%が義務付けられており、特にエンジンやバッテリーなどの**「スーパーコア部品」への要求が厳格**です。電子部品に中国製基板などを使用すると、USMCAの免税資格を失うだけでなく、米国通商法301条の対中制裁関税も課される「ダブルペナルティ」のリスクがあります。LVC(労働価値コンテンツ): 時給16ドル以上の労働割合を義務付けており、メキシコでの生産立地戦略に直接影響を与えています。一方で、2023年の紛争処理パネル裁定で認められた**「ロールアップ」**という計算手法は、RVCを満たした部品を「100%北米原産」とみなすことができるため、サプライヤーにとって強力な武器となります。3. 米国の強硬姿勢とOEMの対抗戦略2026年のレビューに向けて、米国は中国企業の「裏口迂回」を防ぐため、RVCの82%への引き上げや、「米国単独製造比率50%」の導入など過激な条件を要求する可能性があります。これに対し、日系OEM(トヨタ、ホンダ等)は、サプライヤーに対して北米域内調達を強制し、中国資本への依存を断ち切るデカップリングを進めています。また、業界全体として極限まで在庫を減らす「ジャスト・イン・タイム」から、関税リスク等に備えて在庫バッファを持つ「ジャスト・イン・ケース」へと不可逆的な移行が起きています。 4. 結論:サプライヤーへの実務的示唆激動の環境下で企業が生き残るためには、以下の3点が不可避であると提言されています。 設計初期から原産地を考慮する「関税エンジニアリング」の実践。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの来歴(SBOM)から中国資本を追跡・監査するITプラットフォームの構築。USMCA破棄やルールの極限化など、複数シナリオの財務モデリング(P/L試算)と拠点戦略の再考。

    #1-366 USMCA2.0へ向けた北米自動車関税の行方
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番組について

100年に一度の大変革期の真っただ中、先行き不透明の自動車産業の情報をまとめて共有いたします。 ・市場の将来予測をするにあたってルチル・シャルマの未来予測(2018年発刊) の10個の観点の理解を深める情報を発信しています。 ・ますます高まる『地政学』を自動車業界で深堀して見えてくる『中国』『電動化』『自動運転』の統合した競争力を強化する構造を明らかにすることを試みています。 ・自動車業界の大きなニュースを題材にその裏に見える戦略や意図を紐解きます。 ぜひ気楽に聞いて、皆さまの仕事や興味の深堀にご利用ください。 <補足> シーズン1 (#1-xx)は、日本語で発信し、シーズン2(#2-xx)は英語での発信となっています。取り扱うトピックスが同じエピソードは、 "-xx"のところが同じ数字となりますので、日本語を聞いた後に英語版を聞くと、内容を理解しやすく、リスニング強化に活用できることを狙っています。ぜひ活用ください。

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