親子の生態図鑑

せいちゃんとまっさ

せいちゃん(娘)とまっさ(父)が、暮らしの断面に生じる微細な異変を、言葉で固定していく『親子の生態図鑑』。父は導く者である以前に、しばしば娘に気遣われる存在であり、観察者と被観察者はいつの間にか入れ替わる。子どもの率直さと大人の逡巡が交差するところで、日常はひそかに硬質の光を帯びる。今この瞬間の声を残し、十年後の父が慎ましく拾い上げるための、親子の生態記録である。

  1. 5月21日

    #43 スペシャル大地図

    A4の紙の裏に、二人は架空の街を作った。 牢屋かもしれないハンバーガーショップ、カマキリの形をしたホテル、ビールジョッキの取っ手が道路になっているビール屋さん。地図というより、街が絵になっている。いや、絵が街になっている。モグラ叩きゲームではモグラの代わりにまっさが飛び出してきて、まっさを叩く。 この街で最大の出来事は、トンネルと高速道路の開通だった。まっさが住む街とせいちゃんが住む街がつながった瞬間、二つの世界が急に発展した。インフラは、距離を縮めるだけじゃなく、可能性を増やす。5歳の都市計画は、そのことを知っていた。 街のトップはせいちゃんだ。だからホワイトハウスもある。博物館も、図書館も、ゴミ集積所も——「さすが大統領」とまっさが言うと、せいちゃんはゴミ収集車の動線まで考えた。権力と責任は、セットで降ってくる。 カバン屋さんの取っ手が道になっていることに気づいたのは、作り終わってからだった。 今回の問い 街に必要なものは何か。警察、消防署、ゴミ集積所——最後に気づくのは、いつも地味に大事なものだ。 二つの街をつなげると、なぜ世界は広くなるのか。 いい街ができました。

    11分

番組について

せいちゃん(娘)とまっさ(父)が、暮らしの断面に生じる微細な異変を、言葉で固定していく『親子の生態図鑑』。父は導く者である以前に、しばしば娘に気遣われる存在であり、観察者と被観察者はいつの間にか入れ替わる。子どもの率直さと大人の逡巡が交差するところで、日常はひそかに硬質の光を帯びる。今この瞬間の声を残し、十年後の父が慎ましく拾い上げるための、親子の生態記録である。