SUNDAY MORNING WAVE

東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授が地震・津波をテ-マにわかりやすく解説する『地震に自信を』を中心に、防災・減災に役立つ情報と音楽をお送りします。

  1. 2日前

    【地震に自信を】津波防災の日と世界津波の日について(2026年11月1日 今村文彦先生)

    11月5日は、日本国内で定められた「津波防災の日」であり、国連が制定した国際デーである「世界津波の日」でもあります。11月5日の由来は、1854年11月5日(旧暦)に発生した安政南海地震における逸話「稲むらの火」にちなんでいます。現在の和歌山県広川町で、地震後に潮が大きく引く様子を見た濱口梧陵(はまぐち ごりょう)は、大津波が迫っていると直感しました。日が落ちて暗くなる中、村人に危険を知らせ高台へ誘導するため、自らの田にあった大切な稲わら(稲むら)に松明で火を放ちました。この火を目印に高台へ避難した村人たちは、直後に押し寄せた津波から命を救われました。濱口梧陵は救命にとどまらず、被災後は村人の離散を防ぐため私財を投じて巨大な防波堤(広村堤防)を建設しました。この堤防は、約90年後の昭和南海地震でも村を津波から守り抜いています。この「迅速な避難教育」と「事前防災の重要性」が、現在の津波防災の原点となっています。①津波防災の日(2011年制定)2011年の東日本大震災の甚大な被害を受け、津波対策を総合的に進める目的で「津波対策の推進に関する法律」が制定され、11月5日が日本国内の「津波防災の日」に制定されました。②世界津波の日(2015年制定)日本の呼びかけにより、2015年12月の国連総会にて140カ国以上が共同提案し、全会一致で11月5日が「世界津波の日(World Tsunami Awareness Day)」として正式に採択されました。津波は発生頻度こそ高くないものの、一度起きると甚大な被害をもたらすため、風化させない意識と事前の備えが不可欠です。   国際連携と次世代教育として、「高校生サミット」があります。国内外の高校生が集まり、東日本大震災をはじめとする過去の震災の教訓の継承や、今後の防災・減災・復興についての意見交換を行う場になります。今年は岩手県盛岡市と釜石市で開催されました(10月20日~22日)。日本を含む14か国の高校生約140人が参加し、「わたしたちがつくる未来の防災」をテーマに被災地視察やグループ討論が行われました。

    【地震に自信を】津波防災の日と世界津波の日について(2026年11月1日 今村文彦先生)
  2. 10月26日

    【地震に自信を】アジア太平洋防災閣僚級会議仙台開催1年前シンポジウム(2026年10月25日 今村文彦先生)

    「アジア太平洋防災閣僚級会議仙台開催1年前シンポジウム」が、11月7日(土)14時~16時、仙台市中小企業活性化センター多目的ホール(AER5階)を会場に開催されます。 郡市長の挨拶・講演、二つの基調講演「アジア太平洋地域の災害と日本の役割」内閣府大臣官房審議官(防災担当)大塚大輔氏/「東北大学災害科学国際研究所の15年間の歩みと今後の展望」所長 越村俊一氏、また、「それぞれの15年―仙台から未来の防災を考える」と題したパネルディスカッションが行われる予定です。参加は無料で、定員は200名(先着)、Logoフォームで申し込みを受け付けています。https://www.city.sendai.jp/apmcdrr/apmcdrrsendai/1year.html 日本初開催となるアジア太平洋防災閣僚級会議は、国連防災機関(UNDRR)日本政府(内閣府)仙台市の主催・共催で2027年10月25日(月)〜 29日(金)、仙台市(仙台国際センター等)で行われます。参加者規模はアジア太平洋地域の約60カ国から、防災担当閣僚、国際機関、NGO、学術機関、民間企業など約5,000人で、「仙台防災枠組 2015-2030」の目標期限に向け、地域全体の災害リスク削減に向けた進捗評価と具体的な行動計画を協議します。また、事前防災と「より良い復興」の定着・推進を目的としています。日本の防災知見・技術の共有、アジア太平洋地域で頻発・激甚化する風水害や海洋災害に対し、地域連携によるレジリエンス向上の具体策が話し合われます。さらに、5,000人規模の受け入れによる開催地(仙台・宮城)への経済波及効果と、市民レベルでの防災意識の再啓発なども期待されています。

    【地震に自信を】アジア太平洋防災閣僚級会議仙台開催1年前シンポジウム(2026年10月25日 今村文彦先生)
  3. 10月19日

    【東北大学防災UPDATES!】環境変動への海洋生態系の応答(2026年10月18日 須賀利雄先生)

    変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)所長 東北大学災害科学国際研究所教授 須賀利雄先生 観測史上最強に迫るエルニーニョ現象をはじめ、従来の「常識」が通用しないような環境の変化に対して、海の生態系がどのように応答し、変化していくかを理解し、その予測を可能にすることは、水産資源の持続的な利用や海洋環境の健全性の維持のために不可欠です。私たちが呼吸している酸素の約半分が海洋生態系によってもたらされていることからも、これは明らかでしょう。しかし、エルニーニョ現象などの気候変動の物理学的な側面は、気象学や海洋物理学の物理法則によって理解され、予測が可能なのに比べて、生態系の変動予測についての研究は、まだ始まったばかりと言っても過言ではありません。物理的な因果関係だけでは、生態系変動の予測はできず、生物の生理学的応答や順応などを扱う必要があり、さらに、漁業活動が生態系に与えるストレスも考慮するなど、異なる学術分野を融合した研究が必要なのです。これを実現するために設立されたのが変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)です。東北大学と海洋研究開発機構が共同で運営するWPI-AIMECでは、分野を超えた議論を重ね、海洋生態系変動の予測可能性を追求する研究が本格化してきました。分野融合研究の拠点となる建物も青葉山で建設が始まり、2028年秋に完成する予定です。市民の皆さんにも開かれた研究拠点として、公開スペースを充実させるつもりです。ご期待ください。

    【東北大学防災UPDATES!】環境変動への海洋生態系の応答(2026年10月18日 須賀利雄先生)
  4. 10月19日

    【地震に自信を】新書のご紹介(2026年10月18日 今村文彦先生)

    今村文彦監修『大津波・巨大地震に負けない! 最強防災+生き残る術』(フォルドリバー刊)は、2026年9月に発刊された防災実践ガイドです。「最新の科学的知見」と「自衛隊の実践的ノウハウ」が融合した実践的な一冊として、専門機関や防災関心層から非常に高い注目と評価を集めています。■専門性と信頼性の高さ(専門家監修)南海トラフ巨大地震や首都直下地震、富士山大噴火といった大規模災害に対して、科学的根拠に基づいた的確な備えと行動指針が示されています。■陸上自衛隊の全面協力による圧倒的な実践性現場のプロである陸上自衛隊が全面協力しており、自衛隊員15名のインタビューや実際のサバイバル・避難ノウハウを掲載。防衛省自衛隊東京地方協力本部の公式X等でも紹介されるなど、現場に即した生存術として信頼を得ています。■100の方法をイラスト・写真で図解「津波襲来時の行動」「流されたあとの救助・被助法」「避難所での生き延び方」など、100の具体的ステップを豊富な写真とイラストで解説。子供から高齢者まで直感的に理解しやすい構成になっています。■災害発生直後から避難生活までをカバー単なる備蓄リストにとどまらず、発災直後のパニック回避から避難生活での衛生・体力維持、津波からの脱出法まで、生存に必要なプロセスが段階的に整理されています。 一過性のマニュアルにとどまらず、一家に1冊置いて繰り返し確認・共有するのに適していると思い、推薦いたします。https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784752270119

    【地震に自信を】新書のご紹介(2026年10月18日 今村文彦先生)
  5. 10月12日

    【地震に自信を】「ぼうさいこくたい」について(2026年10月11日 今村文彦先生)

    「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)」は、産・学・官・民の多様な主体が結集し、国民全体の防災意識向上と知見の共有を図る日本最大級の防災イベントです。2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議において「仙台防災枠組2015-2030」が採択されたことを契機に、政府や関係機関が連携し、国民一人ひとりの防災意識の向上や「自助・共助」の取り組みをさらに推進することを目的として2016年に始まりました。第2回は仙台で開催されています。行政、企業、大学、NPO、地域団体などが日頃の防災活動や最新技術、復興の知見を発表・交流するプラットフォームとしての役割を担っています。現地での講義型セッションや体験型ワークショップ、屋外車両展示などに加え、オンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式を展開しており、子どもから専門家まで誰もが身近に防災を学べる場が提供されています。11回目を迎える今年は、鳥取県のエースパック未来中心、鳥取県立美術館周辺などを会場として、10月17日(土)・18日(日)の2日間にわたり開催されます。「共に考え・備え・守る ~『支え愛』で守る命と暮らし~」をテーマに、発災から10年を迎える鳥取県中部地震をはじめ、さまざまな災害の教訓を踏まえ、地域での助け合いの重要性を全国へ発信します。気候変動に伴う災害の激甚化や人口減少が進む中、専門知識やテクノロジーを地域社会の「共助」へとつなげ、国民一人ひとりが主体的に行動できる「災害に強い社会づくり」を牽引していくことが大きく期待されています。

    【地震に自信を】「ぼうさいこくたい」について(2026年10月11日 今村文彦先生)
  6. 10月6日

    【東北大学防災UPDATES!】エルニーニョ、観測史上最強となる可能性が高まる(2026年10月4日 須賀利雄先生)

    変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)所長 東北大学災害科学国際研究所教授 須賀利雄先生 春からエルニーニョ現象が継続しており、冬に向けてさらに発達する見通しです。エルニーニョは太平洋赤道域の東部から中央部にかけての海面水温が平年より高くなる現象で、世界中に異常気象をもたらします。通常、東風(貿易風)によって西側に集められている暖かい海水が、風が弱まることで東へ広がり、その結果、海面水温を押し上げます。水温が高くなった海域では激しい上昇気流によって積乱雲が発達します。この大気の「エンジン」が赤道付近の西側から東へ移動することで地球全体の空気の流れが変わり、各地で干ばつや森林火災、大雨などの災害を引き起こすのです。日本では冷夏、暖冬になる傾向があります。過去最強だった1997〜98年のエルニーニョでは、監視海域の水温が平年より3.6度高くなりましたが、今年8月時点ですでに3.4度高くなっています。このままいけば、今冬にかけて観測史上最強の記録を大幅に塗り替える可能性が高まっています。一方、エルニーニョ現象が起きると日本では冷夏、暖冬になるという「常識」は、地球温暖化の影響もあって崩れつつあります。地球温暖化は従来の気象パターンを塗り替え、これまでの「経験則」だけでは予測できない新たなリスクをもたらしていることに注意する必要があります。

    【東北大学防災UPDATES!】エルニーニョ、観測史上最強となる可能性が高まる(2026年10月4日 須賀利雄先生)

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