アナログ人間の本音編集室

内藤賢志郎|映像ディレクター

福岡ソフトバンクホークス長編ドキュメンタリー映画「HAWKS THE MOVIE2026」監督・制作プロデューサー。テレビ局の現場最前線で12年働いたアナログ人間が、映像制作×独立のリアル×AI活用法をなるだけ本音で語ります。 登録リンク: https://kenshi0430.substack.com/subscribe プロフィール: 福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。 実績表記: 福岡ソフトバンクホークス 長編ドキュメンタリー映画 監督・制作プロデューサー 内藤賢志郎 kenshi0430.substack.com

  1. 1日前

    #41 優勝争いのない9月に、何を見るか?ゲーム差でかき消せない人間模様

    ただただ、強かった。 9月17日、ホークスがリーグ3連覇を決めた。 南海ホークス時代以来、60年ぶり。最後は9連勝して、そのまま一気に優勝まで行った。 僕は今、テレビ局を辞めて、 いまは福岡ソフトバンクホークスの長編ドキュメンタリー映画で、監督と制作プロデューサーを務めている。 12月18日(金)公開の『HAWKS THE MOVIE 2026』。 これから、まさに編集に入っていく。 勝つか負けるか、がなかった 独走して、ぶっちぎって優勝すると、面白くなかった、という意見の人も、中にはいる。 9月でいうと、今年は優勝争いがなかった。 本来であれば、よくあるパターンは、優勝争いだ。 相手チームがいて、勝つか負けるか。優勝できるのか、できないのか。 その楽しみの部分が、9月にある。結構な確率で、ある。 今年は、そうじゃなかった。 相手を引き離して、9月に、強さをまざまざと見せつけた年だった。 強いチームが、今年も優勝した。 でも、裏側の映像をつぶさに見ていくと、 僕は面白くない、という結論には至らなかった。 むしろ別の面白さを感じた。 優勝した裏側のリアルって、 こんな感じなのか、と。 油断を、一切することなく 独走していても、選手はそれぞれ個人で人生を戦っている。 当たり前のことだ。 油断を一切することなく、戦っている。 自分なのか。相手なのか。チームメイトなのか。 その人間模様は、ゲーム差が離れているとか、独走だったからとか、そういう形では、かき消せないものだな、と。 途中から、そう気づいた。 人間にしかできない営み 編集は、組み立てる作業だ。 一つのメッセージ、一つとは限らず、何かのメッセージにして、形にする。 やればやるほど、思う。 物語を組み立てるって、これは本当に、人間にしかできない営みだ。 楽しみでもあり、難しさでもある。 時に未完成でもある。 映像を作るうえで、何が楽しいのか?どこで差が出るのか? やっぱり、どこまで行っても、人の感情に訴えかけられるか。 自分がどこに心が動いたのかを、言語化して、編集という作業に落とし込めるか。 ここは、AIに代替されちゃいけないところだ。 自分の考え、思考に近いようなものを、AIが自動でやることはできる。 でも、人間100%で積み上げたものの方が価値はあるし、人の心は動くと思う。 「優勝対応」という非日常 テレビ局時代、「優勝対応」という仕事があった。 いわゆるビールかけ。深夜の番組。 優勝対応は、なかなかの非日常だ。 今回のように、地元で決まらないパターンもある。 リーチがかかった段階で、出張になる。その辺で決まらなければ、延泊になる。 これが、ドキドキする。 番組も、曜日によって放送枠が変わる。放送尺が変わる。 頭をひねりながら、作る。 時には、取材でビールかけの会場に入る。 ビールまみれになりながら、やる。 一息ついたら、もう深夜1時。 そんな日を、思い出した。 局を辞めたので、もう二度とやることはない。 9月17日も、メディアの人たちは忙しい一日だったんじゃないか。 面白い職場だった。 まだ、地ならしの段階 公開の12月18日まで、まだ3ヶ月ほどある。 今の状態で、こうやって発信しても、ピンときている人は、たぶんまだいない。 まだまだ地ならしの段階。 自分が考えていることを、ここで、しっかり伝えていきたい。 聞いてくれている人、記事を読んでくれている人に、「映画、見てみよう」と思ってもらえたらいい。 今日もこの後、編集室にこもる。 ああでもない、こうでもない、が続く。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #41 優勝争いのない9月に、何を見るか?ゲーム差でかき消せない人間模様
  2. 4日前

    #40 一流選手は何が違うのか?12年間プロ野球を取材して、学んだ3つの教訓

    12年、プロ野球球団の担当ディレクターをやっていた。 一流と呼ばれる人を、人よりちょっと近くで見てきた。 いまは会社を辞め、福岡ソフトバンクホークスのドキュメンタリー映画で、監督と制作プロデューサーを務めている。 12月18日(金)公開の『HAWKS THE MOVIE 2026』。 今回はそんな一流選手たちを見て 僕が勝手に感じた「人生に生かせる教訓」を記したい。 野球に興味がなくても、たぶん使える。 本当はもっとたくさんあるが、 今回お伝えしたいことは、3つ。 ①「時間を無駄にしない」意識がレベチ 2月からキャンプが始まり、 シーズンは3月末から10月いっぱい。 その間はチーム行動になる。 1軍の選手で、休みは週に1回。 その1回も、移動で潰れる日がある。 実質、週0.5。 その1日も、たぶん休めていない。 とにかくどこか体が痛そう。ケアに行く。自分でトレーニングをする。 そして、1軍選手は家族でゆっくり夕食なんて ほとんどできなくなる。試合がナイター(18時〜21時頃)だからだ。 もちろん、試合5時間以上前、試合後1、2時間も球場にいる。 じゃあオフは休めるのか。 1月はもう自主トレが始まる。 丸々休めるのは、11月と12月の2ヶ月だけ。 その2ヶ月も、まるまる空いているわけじゃない。 球団行事。ファン感謝祭。メディアの取材。人付き合い。 家族がいる人は、家族サービスもある。 だから、予定を立てるのがめちゃくちゃ早い。 半年〜1年先まですでにオフの予定が埋まっている人もいた。 「オフなら空いてるだろう」と直前にお誘いしても、もう遅い。 取材する側は、相手の時間を奪う側でもあると いうことを肝に銘じねばならない。 そこを分かっていないと、声のかけ方から間違える。 デイゲームの日は、5時起き、6時起き。 前の日に酒を飲んでいたとしても、4時半と決めた日は4時半に起きる。(本人に聞きました)5時なら5時に起きる。 活躍する人はそこが全くぶれない。 「無駄な一日を過ごしたくない」 そういう意志が、とんでもなく強い。 ②人を見極める習慣がすごい 球場では、いろんな人が声をかけてくる。 メディア。関係者。ファン。 顔も名前も、覚えきれる量じゃない。 そうなると、見極めるしかなくなる。 この人は信用していいのか? 自分の時間と信用を、誰に預けるか。 それを本能的に選んでいる気がした。 大金を持てば、恐ろしい数の人が寄ってくる。 そういう目を持つしかなくなる。 これは社長さんも同じなんじゃないかと、勝手に思っている。 取材に行く僕らも、当然その対象だ。 会話の一言目、二言目ぐらいから、もうふるい落としは始まってる。 会話の機会は無限じゃない。 むしろ貴重だ。 そう思って、僕は取材に臨んでいた。 ダメだこの人は、と思われたら、それ以降、扉は開かれない。 食い込めない。 明らかに心を許した人とそうでない人との 接し方が違うのだ。別人かと思うほど。 明らかに使い分けている。 だから一発目の会話から、イメージして臨むことが大事なのだ。 ③「自分に価値がなくなる」という危機感へのアンテナ 3つ目。 野球選手はほぼ確実に、修羅場を超えてきている。 どんなにスター選手に成り上がった人でも、 プロ入り直後や入団1〜2年目で、 「自分の存在価値がなくなるかもしれない」 その危機感を、どこかで一度は感じている。 「自分これ、クビになるな。」 そういう予想が、脳裏をよぎる瞬間を 必ず経験しているのだ。 自分はこの場所にいていいのか。 自分に価値がなくなってるんじゃないか。 それと向き合って乗り越えた人が、一流と呼ばれ、そこから目を背けた人が消えていく。 きっとそれが日常なのだ。 会社を辞めて一人でやり始めてから、それは身に沁みてわかる。 自分はお金をもらえるような仕事は、できないんじゃないかと、 疑い、彷徨い、悩み、苦しむ。 一流選手はその時にどう振る舞えば残れるのか、その答えを持っている。 自己啓発本で見る言葉とは、少し違う。 もっと生々しい。 こういう人は残る。こういう人は残らない。 そこへの解像度が恐ろしく高いのだ。 映画で何を伝えたいか? 映画で本当に伝えたいのは、 この一流の思考と実際に試練を乗り越える姿だ。 大人でも、子供でも、見た人が人生に生かせる教訓だ。 アスリートは「何したっけ今日?」、 みたいな1日は絶対に過ごしてない。 見た人の人生に生かせる、持ち帰れるものがあるのか? この視点を忘れずに、引き続き編集作業に臨みたい。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は、 K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #40 一流選手は何が違うのか?12年間プロ野球を取材して、学んだ3つの教訓
  3. 6日前

    #39 撮ってくれるカメラマンの意図を汲み取れるか?それが映画の明暗をわける。

    「今日こんなの撮れたよ」 試合が終わったあと、現場のカメラマンさんから連絡が来る。 いま僕は、部屋にこもって映画の編集をしている。 12月18日(金)公開の『HAWKS THE MOVIE 2026』。 福岡ソフトバンクホークスのドキュメンタリー映画で、監督と制作プロデューサーを務めている。 9月のホークスは、めちゃくちゃ強い。 その裏で、僕はひとりで編集机に向かっている。 編集机は、いつも一人 球場に行く日もある。 ただ、圧倒的に一人で作業している時間の方が多い。 一人で決断をして、前に進める。立場上、そうなる。 もちろん好き勝手に決めていけるわけでもない。いろんな立場の人と調整しながら、その中で決める。 チームで作っている感覚は、テレビ局時代は当たり前にあった。 でも今はない。 もう一方で、自分の意図やイメージを、人に理解してもらう仕事がある。 納得してもらって、動いてもらう。 ディレクターって、そういう仕事。 下手なディレクターより、物語を作れる カメラマンさんはすごい。今日はそれを伝えたい。 映画を撮ってくださっているカメラマンさんがいる。映画専属のカメラマン。その道のプロだ。 僕はプロ野球の取材を12年やった。 それでも、かなわないと思う。 ベテランカメラマンさんは、 20年なんて当たり前、30年プレーヤーもいる。 下手なディレクターより、物語を作れる。 現場で撮りながらストーリーを描いて、そのシーンを狙って、逃さない。 自分なりの哲学と、やり方を持っている。 こちらの意図さえ伝われば、僕じゃ気づけないものに気づいて撮ってきてくれる。 本当に、すごい映像を撮ってきてくれる。 テレビの撮り方とね、また違うんですよ テレビ局にいたから、わかる。 テレビの撮り方には、ルールがある。この時はこれを撮る。こうなったら、こうする。 そのルールの下で動いていないと、日々のスポーツニュースも野球中継も成立しない。生中継は、それぐらいシビアな現場だ。 この映画が追っているのは、人であり物語。 だから、試合の記録映像とは別のものが撮れる。 セオリー通りに動いていないからこそ撮れる瞬間がある。 プロ野球の映像は12年、何百時間と見てきた。 だけど今、素材を見て唸っている。 うわ、すごいの撮れてるな、と。 指示というか、単なる思い、妄想 大先輩のカメラマンに、僕は指示を出さないといけない。 僕の立場から、責任を持って出さないといけない。 指示というか、単なる思い、もっと言えば妄想。 どういう方向性で映画を作りたいか。こういうシーンがあると助かる。 そこを伝えて理解してもらわないと、現場で動けない。 どの瞬間を待つべきか。 起きるかどうかもわからないシーンを、必死に形にしようと狙ってくれている。 本当に、感謝しないといけない。 逆に、その人たちが迷わないようにしないといけない。 「撮れたよ」の一本 いいシーンが撮れた日に、連絡が来る。 こういうのが撮れた。これ前言ってたよね、今日撮ったよ。 それがものすごく嬉しい。 あとで素材を見て、一人で唸る。感激しながら編集している。 とにかくこれを皆さんにお届けしたい一心で、映画を作っている。 カメラマンが意図を持って撮ってくださった映像は、 絶対に映画に盛り込みたい。 全部は入らないとしても、こんなシーンが撮れているなら入れたい。 それを今、必死にやっている。 一人で部屋にこもる時間は、これからも続く。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #39 撮ってくれるカメラマンの意図を汲み取れるか?それが映画の明暗をわける。
  4. 9月13日

    #38 AIと深めた考えは、初めての人にも伝わるのか

    自分では渾身。でも伝わらない。 映像を作っていると、よくあることがある。 一人で煮詰まって、何時間、何十時間もかけて、やっとオフライン編集ができた。 形になった。 暗く深い海の底から這い上がって、 ようやく海面に浮上して、息を吸った感じ。 「これだ、これでいこう。」 でも、こそ達成感は多くの場合、 全く理解されないことが多い。 ちょっと違う、というレベルならまだいい。 視座が違うと、何を見せられてんの、というところから始まる。何が言いたいの、これは?と。 「50代の主婦に伝わるの?」 「子供はなんのこっちゃわからない」 「野球を知らない人はハテナだよ?」 自分の価値観だけで突き詰めても、理解されない人には、されない。 AIで映像ができる。自動で作れる。そういう方向に制作が変わっていくとする。 どんどん速くなる。 どんどん生み出せる。 ただ、誰かに理解してもらう必要があるなら、自分一人でAIと向き合っていても、たぶんダメ。 最近、そんなことを感じている。 僕は今、両方やっている。 従来通り、テレビ局で学んだ、アナログな映像制作。 AIを駆使して、「自動化」と「人間味」を両立するAI×映像制作。 テレビ局を辞めて半年以上取り組んできて見えてきたことは たくさんある。 その上で言えることがひとつ。 できました、作れました。そのハードルは下がっていく。 一方で、誰にも理解されない、独りよがりなものも増えるんじゃないか。 作れること自体に価値が失われていった場合、 作り手たちはどう生きていけばいいのか? その落とし穴にハマりたくない。 自分はそこが、気になる。 周りがわかってない、ではない 青野さんとの対話では、考えを深めすぎることについても話した。 こちらが言ったことを受け取って、それはこういうことですか、と問い返してくれる。それに答えて、また深めていく。 そういうやりとりを重ねていると、他の人との間にギャップができてくる。 それ自体は悪いことじゃない。 僕は思考を突き詰めるのが、めちゃくちゃ好きだ。生きていく上で、大事なこと。 でも、あまりに理解されないと、自分の方向性は大丈夫なんだっけ、となる。ちょっとした違いならまだしも、話が通じないくらい離れてしまうと、不安になる。 自分が正しくて、周りがわかっていない、という話ではない。 かといって、全員にまんべんなく、というのも違う。 価値観が違う人に理解してもらうなら、今まで以上に話す必要があるんじゃないか。 深めるほど広がっていくギャップを、どこかで解消しないといけない。 やっぱり、「人間同士の対面での会話」は、 そのギャップを埋めるために、意味を持つのだ。 映像なら、見せるものがある 青野さんに言われて、なるほど、と思ったことがある。 「映像には、まだ接点がある。」 なぜ作ったのか。どこにこだわったのか。そういう説明をすっ飛ばしても、最後は映像を見てもらえる。 見て、何か感じるかどうか。良いと思うか、そうでもないと思うか。少なくとも、同じものを見ながら話せる。 d目おたとえば、会社をどうしていくか。 このソフトが売れるはずだ、という事業の話。頭に浮かんでいる絵が、人によって違う。それを言葉だけで伝えるのは、映像を見せるより難しいかもしれない。 映像を作っている自分には、見てもらえるものがある。 「なるほど。映像でも難しいが、 映像以外だともっと難しいのか」 仕事相手や、会社の仲間に理解してもらうことは大事だ。 でも、初めましての人に、自分のことを理解してくださいと言っても難しい。 論理を重ねて、こだわりを説明する。自分が作ったものを見てもらって、何を感じたかを他の誰かと突き詰める。 映像を作っている自分にとって、 その価値はどんどん上がっていくだろう。 今回のゲスト 青野紳三郎さん(株式会社Benten/元Google)青野さんへのお仕事のご相談は Benten のホームページから どうぞ。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #38 AIと深めた考えは、初めての人にも伝わるのか
  5. 9月11日

    #37 幼稚園の先生に説教された後、映画の打ち合わせに。

    幼稚園の先生に、叱られた。 下の子がお腹を壊しているのに、朝、牛乳を飲ませて登園させたからだ。 「牛乳はなしですよ、お父さん」 そして夕方、息子の幼稚園バッグを園に置いて帰った。寝る前に気づいて、何してんだと。 やっぱり自分は、親としてはポンコツだ。 これがね、仕事でやらかした時と同じか、それ以上のダメージでくる。 悔しいな。本当に悔しい。 そんな日々の合間に、打ち合わせへ行ってきた。 あーでもない、こうでもない、俺はこう思う 12月18日(金)公開の『HAWKS THE MOVIE 2026』。 福岡ソフトバンクホークスのドキュメンタリー映画で、監督と制作プロデューサーを務めている。 打ち合わせでやるのは、考えのぶつけ合い。 使っているシーンの意図は何か。どういうカットのつなぎで演出しているか。この映画で伝えたいことは何か。 ありっとあらゆることを、説明する。 人間を撮って、何かを伝える映像は、中身を延々と議論し合う過程がものすごく大事だ。 あーでもない、こうでもない。俺はこう思う。 などなど3時間半。 それを人間同士で延々やることに、価値がある。 できると、伝わるは、全く別問題 一人でAIを使って、自分が納得できるものができたとする。 でも、その人の価値観とか、これができますというのが相手に伝わるかは、全く別問題だ。 どれだけクオリティが高くなり、 どれだけ時短ができたとしても、 もう全く別問題。 100人いて100人がこの映像すごいねとなることはない。 だから多くの人から意見をもらって、議論する。このプロセスが極めて欠かせない。 夜中に部屋で、あーでもないこうでもないとカットや並びを組み替えたとしても、 理解されなければ、僕の頑張りは独りよがりなのかもしれない。 そんな感覚は襲ってきます。 一人ぼっちでやっててもね、やっぱりね、限界あるね。 本当にそう思った。 はいすいません、はい直します テレビ局の若手時代は、基本これだった。 はいすいません、はい直します。 でも4、5年目くらいから、 「あれ?本当にそうかな?」 が出てくる。言われていることが腑に落ちない。 みんな、どこかでそうなる。 そこで面倒くさいから言われた通りに変えるのか。自分の考えはこうですと言えるのか、貫けるのか。 ここでが大きな分かれ道。 大きい組織だと、立場のある人に言われてそうせざるを得ない時もあった。貫けなかった時も、ゼロじゃなかった。 でも結果、後悔する。 会社員でもない今、貫いていかないと僕に価値は出てこない。 日々、矛盾の連続である。 逃げ癖は一回つくと、もう帰ってこれない 一番良くないことを言っておく。 自分が作ったものにダメ出しをもらう。 その場から逃げることだ。 何十時間もかけた労力と、これだと思う自分の感覚が、がっつり否定される瞬間は必ずくる。 悔しいし、納得もいかない。 考えも、作りも、スキルそのものも否定されるのは、 本能的には避けたい。 ただ、自分の考えをぶつけずに逃げ続けると、ディレクターとしては終わる。 この逃げ癖がつくと、厄介なのである。 そういう人は、結構いる。 取り返しのつかないところまで抱え込んで、自分の中だけで考えて考えて頑張る。 本人は一生懸命悩んでいるんだけど、最終的には、誰かに否定されるのが怖いになる。 30代後半になって、そんな癖がつくと もう戻ってこれない。 ものづくりをする人なら誰にでも、通ずる話だと思う。 なので否定されに行くなら早め早めに ダメ出しされる場に、自分から出て行く。早い段階で、違うなら違うと言われる。 そこで貫くのか、 取り入れるのか。その判断を抱えずに、前目前目に。 それで仕事を前に進める。 どんどん一人でできることが増えるからこそ、 誰かに理解してもらう努力を欠かさない。一人よがりで作ってないかを、随時確かめる。 作れること自体の価値は、急速に下がっていく。 逃げ癖だけは、つけちゃいけない。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #37 幼稚園の先生に説教された後、映画の打ち合わせに。
  6. 9月8日

    #36 就活全敗の僕が「映画監督」を名乗る理由

    今年、福岡ソフトバンクホークスの映画の 監督・制作プロデューサーを務めている。 テレビ局では12年間、ずっとスポーツディレクターとして仕事をしてきた。 呼ばれ方が変わっても、自分の中で何かが急に変わったわけではない。 能力が変わったわけでもない。 それでも今は、敢えて肩書きと向き合うようにしている。 監督責任とはどういうものか? 何とどう向き合えばうまくいくのか? 肩書きに恥じない仕事とは? それしか考えていない。 それ以外の感情は排除。 いずれにせよ、ポンコツだった 就職活動時代からは想像もできなかった経験をできている。 そこは、感謝である。 体育会は就活に強い、と聞いていた 大学まで、真剣に野球をやってきた。東京に出て、それなりにしんどい思いもして、何かを積み上げてきたつもりだった。 体育会は就活に強い。そんな噂も聞いていたので、安心していた。 「受験もせず付属校に入れてラッキー」 「就職もイージー?あざます」 くらいしか思っていなかった。 天罰がくだるのに、 そう時間はかからない。 就活1年目は、見事に全敗した。 どこからも内定をもらえなかった。 自分がなかなかのコミュ障だったことに、 感情の言語化が苦手だったことに、 そこで初めて気づいた。 絶望ののち、確信した。 「俺は、本当に何者でもないんだな。」 頭を割られるぐらいの衝撃だった。 親に仕事が決まらなかったことを伝えたら、後悔のないようにやれ、という感じだった。 もう一回やるか、留年した。 周りにも就活をやり直す人はいた。ただ、どうしても入りたい会社があって、そこを諦めたくない人が多かった。 僕は単純に、どこにも決まらなかった。それで、もう一年。 2年目も最初全然うまくいかなかったが、地元のテレビ局がなぜか拾ってくれた。 「奇跡」だと思った。 自分は徹底的に培った、裏方根性 自分が前に出るとか、自分の考えを全面的に発信するとか。そういうこととは関係ない人間なんだと思っていて、テレビ局に入った。 裏側で、めっちゃ頑張ろう。 それだけ。 スポーツの部署に配属されてからは、カメラを向けて、話を聞いて、構成を考えて、編集する。 ひとつ終われば、また次の企画。取材して、作って、また取材する。 12年間、延々怒られながら、 それを繰り返してきた。 取材していたのは、 華々しいプロ野球の選手たちだ。 表に立つのは選手なので、 当然ディレクターは黒子に徹する。 時にはピエロにだって。 だから、自分の考えを述べる必要はない。そう思っていた。 実際そっちの方が、楽だった。 本当の意味で背負うものなんてなかったから。 名乗ったうえで、滑るのは怖い 会社員ではなくなって、ホークスのドキュメンタリー映画の監督として仕事をする。 裏から頑張ってますは、 一生届かない。 自分がどういう人間で、何を考えて制作しているのか。それも発信していくこともこの時代において 大事なんじゃないかと思い始めた。 もちろん、無駄かもしれない。 人によっては邪魔かもしれない。 12年やってきたことが、全く役に立たないかもしれない。 自分が作ったことで、作品の質が下がったら萎えるし、渾身のシーンが滑るのも嫌だし、見てもらえないのも嫌だ。お客さんが来ない、というのも怖い。 肩書きを名乗って、自分が作った作品です、と世に出す。そういう怖さは、少なからず感じている。 就活で何者でもないと思い知って、自分は裏方だと思ってやってきた人間が、この重圧に耐えられるか? 自分でも疑問ではある笑 その肩書きに恥じない仕事って、なんだろう 自分の仕事自体は、ものすごく地味だ。 何を選んで、何を選ばないのか。その判断をするために、まず映像素材を把握する。 そこに、誰にでも通じる正解があるわけではない。自分の経験や感覚で判断する部分もある。 そのうえで、出来上がった作品の責任を負う。僕はそう考えている。 テレビ局で身につけた忍耐力は、こういうところで生きている。 肩書きができたなら、それに恥じない自分って、なんだろうと考えて、そこに向かって汗をかく。 今の僕には、それが必要なんだと思う。 正解があって、その通りにやる仕事は、これからはAIでいい。 正解が分からない中で、自分が判断する。間違うかもしれないけれど、その判断からは逃げずにやりたい。 そこだけは人間がやる領域だから。 『HAWKS THE MOVIE 2026』は、 12月18日(金)公開予定。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #36 就活全敗の僕が「映画監督」を名乗る理由
  7. 9月7日

    #35 AIにダメ出ししすぎた親が育児で犯した取り返しのつかない失敗

    「もう行かない」 4歳の息子が、そう言った。 で?なんで? 40分前は、「めっちゃ行きたい」だったのに。 近くの小学校で、無料の野球体験会があった。 押し付けることはしてこなかったが、 できることなら野球をやってほしいし、 興味のきっかけくらい作ってもバチは当たらないだろう。 ということで、参加することに。 最初はノリノリだった。 早く「やきう」に行きたいから、 ご飯早く食べるね、と。 これは順調だった。 もらった、とおもった。 小さいグラブを渡してみた。 もちろん、全然キャッチはできない。 いい、それでいい。 しかし次の瞬間、 グラブをつけた手で、 ボールが入ったまま、 左手で投げようとしていたから、つい言った。 「グローブ持っとる手で投げれるわけないやろ」 「それじゃ全然ダメやん笑」 茶化したつもり。 ただのじゃれあい。 だけどこれがマズかった。 急に、トーンが下がって、 「やっぱりおもちゃ買いに行く」、に変わった。 以降、会話は続かなかった。 これほど不用意な一言を後悔したことはない。 好きになってもらう以外の仕事は、しちゃダメ 株式会社Bentenの青野さん(元Google)と、今朝この話をした。 そしてこう仮説を立てた。 「プロ野球選手の息子は、大半が野球を続けない。 その理由はこの不用意な一言かもしれない」 「野球経験者の父親は好きになってもらう以外の仕事はしちゃダメなのかもしれない」 指摘していいのは、何歳からなんだろう。 今はただ全肯定すべきなのだ。 今は、それだけでいい。 「進めて進めて」で、裏は走る 青野さんは、会社を立ち上げたばかりだ。 決算と、子どもの誕生が重なった。 生後3週間。今日もワンオペだという。 こっそりスマホでClaude Code、裏で動かしていた。 頭を使って育児をほっぽり出すことはしない。 あやしながら、Claude Codeにビッと指示を出して、寝かしつける。 そんな日々だそうだ。 領収書は写真で読ませて、仕訳は裏で回している。 僕も似たようなものだ。 収支の管理も仕訳も、Claude Codeで全部やっている。 freeeのサポート面談でそう言ったら、そっち側の人間ですか、という顔をされた。 「進めて」で、裏は勝手に走る。 自分は育児に全ベット。 何年後かはこれが、 父親のスタンダードになる気がする。 AIによってダメ出しする癖がついた。 話をもとに戻す。 AIで壁打ちしまくっていたことによって、 ダメ出しする癖がついた。 仕方ない。 日中ずっとClaude Codeに指示出しして、 ダメ出しを繰り返している日もある。 できてる、できてない。 そんな言葉ばかり、考えていた。 考えなくていいことまで、考えていた。 だから不用意に、息子にダメ出ししたのかもしれない。 やる気を削いでしまったのかもしれない。 相手はA Iじゃなく、人間だ。 実の息子だ。 言葉に気をつけようと思った。 23分喋って、ほとんどが、育児の話だった。 今回のゲスト 青野紳三郎さん(株式会社Benten/元Google)青野さんへのお仕事のご相談は Benten のホームページから どうぞ。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #35 AIにダメ出ししすぎた親が育児で犯した取り返しのつかない失敗
  8. 9月5日

    #34 AIの壁打ちは、球場での立ち話には敵わない

    12月18日公開の『HAWKS THE MOVIE 2026』。 その監督兼制作プロデューサーとして、 打ち合わせを先日ドームで行った。 球団の方や制作チームと、立ち話。 たかだか5分、10分。 それだけで、部屋で一人で解決できずに残っていた細かい課題が、いくつか一発で弾け飛んだ。 独りで考える限界 ものづくりをするとき、必ず問われることがある。 大きな軸は、なんなの? 一番伝えたいことは、なんなの ?視聴者に残るメッセージは、なんなの? それを一撃で、シンプルに答える。 これを考えるのが、めちゃくちゃ難しい。 映像を見て、構成を考えて、資料をまとめて、出来事を振り返る。 基本的に、一人でやる仕事だ。 徹底的にやる。 独りで解決できる地力がないと、 ディレクターという仕事はむずかしい。 それでも。 どうしても、行き詰まる。 湧いてこない。降ってこない。 光が見えない。 できる人もいるんだろうけど、今の僕には、できない。 AIとは、毎日壁打ちしているが、それっぽい答えは、一瞬で出ても、本当に納得いくものなど出てこない。 5分顔を見て話すだけで、悩みは弾け飛んだ 自分の中で「こうじゃないかな」と思っているものは、あった。 練習を見ながら、あーじゃないかな、こうじゃないかな。 それを誰かと話して、揉んでいく。 合意を元に、進めていく。 そこでやっと、自分の脳内が整理されていく。 一人で部屋にこもってカタカタやってても、たどり着かない。 考えてみれば、記者やディレクターの 勤務時間の大半は「待ち」と「雑談」だった。 その「待ち」と「雑談」で、 記事や企画の良し悪しの大半が決まるのだ。 そう考えると、馬鹿にならない。 落ちたのは、コミュニケーション力 会社にいた頃は、近くに誰かがいた。 これどう思う。俺はこう思うんだけど。 うだうだ喋っている中で、企画が煮詰まっていく。 あの頃は、当たり前にできていた。 いま同じことは、簡単にできない。 メール、電話、リモート会議。 もちろん。やってる。 だけどそれだけだと、相手が本当は何を考えているのかを理解することは難しい。 自分の思っていたことが、メールや電話では伝わっていなかったり、 逆に、相手が言ったことを自分がうまく噛み砕けていなかったり。 認識のズレは、不安とコストを生む。 今それが起きているわけじゃないが、 この先きっと起きる。 静かに低下するコミュニケーション力を 取り戻す必要性を感じた。 解決するなら、直接会う方が早い AIは、人間の根本的なお悩み解決には向かない。 解決するなら、誰かと直接会う方が早い。 思っていることを話して、それは違う、こうじゃない、を生身で打ち合わせる。 面と向かって、顔を見て。 表情でわかることもあれば、 声のトーンで見抜くこともできる。 ぽろっと本音が溢れることもある。 推進力が、全然違う。 これは会社を辞めた今だからこそ、 つくづく思う。 待合室に入れないほど、混んでいる小児科の駐車場にて。 映画に向き合う僕の思考や葛藤、一人で仕事を回している人のリアルなところに興味がある方は、 ぜひニュースレターに登録お願いします。 話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。 映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。 This is a public episode. If you would like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit kenshi0430.substack.com

    #34 AIの壁打ちは、球場での立ち話には敵わない

番組について

福岡ソフトバンクホークス長編ドキュメンタリー映画「HAWKS THE MOVIE2026」監督・制作プロデューサー。テレビ局の現場最前線で12年働いたアナログ人間が、映像制作×独立のリアル×AI活用法をなるだけ本音で語ります。 登録リンク: https://kenshi0430.substack.com/subscribe プロフィール: 福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。 実績表記: 福岡ソフトバンクホークス 長編ドキュメンタリー映画 監督・制作プロデューサー 内藤賢志郎 kenshi0430.substack.com