Submits.life

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「Submits.life(サブミッツ・ライフ)」は、論文を出して(submit)、人生にも身を委ねて(submit)生きる研究者2人のPodcastです。 「submit」には2つの意味があります。論文を投稿すること。そして、身を委ねること。 研究者は論文を出し続けて生き残る。 でも人生って、計画通りにいかない。 このPodcastは、その両方を楽しく記録する場所です。 博士課程の頃に始めて、4年休んで、2025年に再開しました。 研究も、雑談も、たまにゲストも呼びながら、ゆるく楽しく続けていきます。 --- (メインパーソナリティ) koike: 博士(工学)・私大助教。専門は「柔軟な問題解決」と「システム設計知の汎化」。 abura: 博士(情報学)・公立大助教。専門は「メタ学習支援」と「わかったつもり」。 どちらも研究分野は知的学習支援システム(Intelligent Tutoring Systems, ITS)。 一人ひとりに合わせた学習支援をAIで実現する、「賢い家庭教師をコンピュータで作る」研究です。 --- おたより(フォーム): https://forms.gle/m5yYXQmUWfL3qx7Q6 おたより(メール): submit [at] submits.life Webサイト: https://submits.life/

  1. 6月11日

    30. Around Thirty, Not a Fable

    真面目な回が続いたので、ゲストにくのりんを迎え、久々に肩の力を抜いた雑談(?)回。研究者のメンタルの浮き沈み、生成AIに詰められる「グリルミー」、30代で来るフィジカルのガタ、研究のタコツボ化、研究室の「色」、そして教員という「公共性の高い人格」まで、とりとめなく話しました。 Chapters (00:00) 久々の雑談と、研究者のメンタルの浮き沈み (06:26) グリルミー:AIに詰められる (17:46) 30代、フィジカルにガタが来る (20:59) メンタルとフィジカルのシーソー (23:10) タコツボ化と研究の「形式化」 (25:01) 研究室の「色」とブランディング (28:55) 研究会は「意見をもらいに行く」場 (33:00) 研究者の動機と、興味への引き寄せ (38:35) 公共性の高い人格と教員の立場 Show notes kunori(くのりん)… 今回のゲスト。博士課程4年。koikeやaburaと同じく知的学習支援システム(ITS)まわりの研究者で、今後も登場するかも。単位取得退学… 博士課程の単位を取りきって退学すること。aburaの大学の場合:そこから1年以内に学位論文を通せば課程博士、過ぎると論文博士扱いで難易度が跳ね上がる。aburaが一番ヒリヒリしたのは、この最後のジャーナルの採録待ちの時期だった。グリルミー(Grill Me)… 指示や考えを一問ずつ執拗に問い詰めてくる、Matt Pocock作のClaude Codeスキル(mattpocock/skills)。「私を焼いてください」=grill me(本来はgrill = 尋問という意味)。koikeが自分用にカスタムして研究ビジョンを相談したら、ととある「大先生」に詰められている気分になってそっと閉じた。後で気づいたのは、きついのは中身より「言い方」で、隙のないロジックと冷たい語尾のセットがトラウマを疼かせる、ということ。本来(?)は開発の仕様固め(plan modeの代わり)に使う道具。ムーザルのプログラミング絶望ラジオ… koikeがグリルミーを知ったポッドキャスト(Spotify)。grill-meは「#44 grill-meで曖昧さを排除しよう」で紹介されていた。(収録ではkoikeが番組名を「絶望プログラミングラジオ」と少し言い間違えている。すみません。)Fable / Mythos(Anthropicのモデル)… koikeがグリルミーを試したのは、収録前日(2026/6/9公開)の新モデル Fable 5 の力試しも兼ねて。Fable 5とMythos 5は中身は同じモデルで、危険な用途(サイバー・生物・化学など)を安全側に振り分ける安全策を付けて一般公開したのがFable、その制限を一部外して限られた防御者向けに絞ったのがMythos(一般非公開)。koikeの「Mythosに安全策を足したのがFable」という整理はおおむね正しい。名前も神話(Mythos)と寓話(Fable)で、どちらも語源は「語られた物語」だが、koike的には、「Fable」に「うそ」という意味が入ってるのがちょっと気になる年頃。抱き癖(だっこの左右差)… koikeの左肩痛の犯人(説)。片腕ばかりで15キロの子を抱いていると左右の筋力差が広がり、体のゆがみにつながる。子育て中の人は気をつけて。メンタルとフィジカルのシーソー… メンタルが良いとフィジカルが落ちる、という30代のkoikeの実感。25〜30歳くらいが両方のピークで、今ちょうどその均衡が崩れるタイミングにいる。タコツボ化… 同じ思考回路ばかり使って、そのルートにしか入れなくなること。kunoriの「考え方が形式化されすぎている」という漠然とした不安がこれ。ただしその不安自体は認知が活性化しているサインで、むしろ健全。何も思わなくなる方が怖い。研究室の「色」/ブランディング… 「これはうちじゃないよね」を明示的に共有して、研究室のアプローチをはっきりさせること。aburaの研究室はオントロジー工学・知識構造・思考タスクの設計を軸に、3年生の段階から議論する。明確な色は博士課程の不安への対抗策になる一方、閉じこもり(タコツボ化)の温床にもなる諸刃。「意見をもらいに行く」場… 研究会も国際会議も、本来は「どこかに通せばいい」ではなく意見をもらいに行く場。論文や採択という「形式」を目的化せず、公表していい議論につなげるのが筋。そもそもkoikeが研究者になった動機が「楽しく議論したいから」。テニュア… 任期なしの安定ポジション。koikeはテニュアになって競争由来の不安が薄れた(もともとあまり競争してこなかったのもある)。自分に引き寄せる/マズローのハンマー… 興味の薄い仕事(共同研究やお金のための研究)を、自分の関心(モデル化など)に引き寄せるスキル。ただし引き寄せすぎると最初のタコツボ化に逆戻り。「ハンマーを持つと、何でも釘に見える」=道具の法則(マズローのハンマー)に注意。AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)… aburaが応募した、AI活用研究にお金をつける文科省の公募(SPReAD)。1課題500万円・半年規模で約1,000件。普段なら考えない「AIを使う」視点で自分の研究を眺め直すと、面白い切り口が見つかる、というストラテジー。公共性の高い人格… 教員という看板を背負うと、人格の「公共性」が勝手に上がって、俗っぽい自分が好き勝手に喋りづらくなる(窮屈さを感じる)、というkoikeの言葉。このポッドキャストでの喋り方も含めて、立場が表現の自由度を下げる、という話。個別最適性と公平性(教員と学生の距離)… 「密室指導は控える」「学生と関係を密にしすぎない」といったルールは、成績・学位・キャリアを左右する力の非対称を前提に、ハラスメントや不適切な関係から学生を守るためのものです。番組では「オーバーケア」という言葉を使いましたが、これは適切ではなかったかもしれません。ルールが要らない・過剰だと言いたいわけではなく、伝えたかったのは、教員と学生の距離を「個別最適性」と「公平性」のトレードオフとして見たい、ということです。個別最適性は、一人ひとりの関係性に合わせて距離やケアを最適化する方向です。公平性は、全員に一律で予測可能な線を引き、えこひいきや力の濫用を防ぐ方向です。全員に同じルールを当てはめる公平性のやり方には、本来そこまで必要のない人にまで一律にかかるコストがあり、ルール通りに徹底すると教員は冷たくならざるを得ず、いずれ「それなら全部AIでいい」になりかねません。心理的安全性や率直な指導は、オフの交流(雑談や食事など)の積み重ねから生まれる部分もあるので、できれば個別最適の側に寄せたいところです。とはいえ、その個別最適を力を持つ側の裁量に委ねること自体が濫用の温床になります。なので、公平性の最低ライン(線引き)は外さないこと、配慮の負担は力を持つ側が引き受けることを前提に、そのバランスを取るしかありません。ただ、それは非常に難易度が高く、ともすれば現実的ではないタスクだと思っているのが率直なところです。

    44分
  2. 6月3日

    29. メタ認知、外注しました。

    生成AIに頼るうちに、「自分はちゃんと考えられているか」と見張る役目、つまりメタ認知まで、いつのまにか丸ごと外注してしまっていないか。2024年に提唱された「メタ認知的怠惰(Metacognitive Laziness)」を軸に、その正体や、放っておくと能力が伸びるどころか衰えていく怖さ、それをどう防ぐかを、研究室教育の実感もまじえて話しました。 Chapters (00:00) メタ認知的怠惰とは (05:43) 問題解決の複雑さ (07:51) 生成AIと怠惰の定義 (10:24) 能力を増幅しない怖さ (13:55) 怠惰を防ぐ方法 (18:04) 学びを見せる教育 (22:13) 選択肢を早めに示す Show notes メタ認知(Metacognition)… 自分がいま何を考えていて、どこが分かっていないのかを一段上から眺めて立て直す力。いわば「思考についての思考」。番組でも「"メタ認知って何?"と聞かれるくらい、世間にはまだ浸透していない」という話が出た、議論の土台になる概念です。Flavell (1979). American Psychologist, 34(10), 906–911 メタ認知的怠惰(Metacognitive Laziness)… 今回の主題。生成AIに頼りきって、本来は自分でやるべき「これで合っているか」という見直しまで丸投げしてしまう状態のこと。大学生117人に英作文を書かせた研究では、ChatGPTを使ったグループは小論文の点数こそ一番伸びたのに、知識の定着や応用、やる気の面では他のグループと差がつきませんでした。Fan et al. (2025). British Journal of Educational Technology, 56(2), 489–530(arXiv:2412.09315)。なお「怠惰」そのものを直接測る指標はまだなく、学習の過程を分析して推し量ったもの、と著者自身も断っています。 ラーニングアナリティクス/Dragan Gašević… 学習のログを集めて分析し、学びを読み解いて改善する研究分野。メタ認知的怠惰の論文で最終著者であったDragan Gašević(モナシュ大)は、この分野の第一人者の一人です。番組ではRyan BakerやPhilip Winneといった同分野の巨匠たちの名前も挙がりました。 電源マークの正体… 「I(オン)」「O(オフ)」は国際規格IEC 60417で決められた図記号で、もとは2進数の1と0に由来します。番組で出た「温泉マークから湯気を2本引いたようなやつ」は、欠けた円に縦棒を組み合わせた⏻=スタンバイ(待機)の記号のことです。 定義をめぐる行ったり来たり… 中盤では、二人が「メタ認知的怠惰って結局どういうことか」を手探りで詰めていて追いづらいと思うので補足です。はじめはkoikeの電源ボタンのたとえや「一度やったことを覚えない」という記憶の話で捉えようとしますが、それは"基本的な認知能力の不足"や"能力が増幅されないこと"の話で、「怠惰」とは少しズレると気づきます。途中で「そもそも生成AIがなくても成り立つのでは」「怠惰が先か」と脱線もしますが、AI抜きだとただのメタ認知の有無の話になってしまうので、生成AIと向き合う中でこそ起きることだと確認し直します。次に「問題解決そのものをAIに丸投げすること」と置いてみますが、これも広すぎる。最終的に、メタ認知ができるはずの人が、出来上がった状態を「これで合っているか」と吟味しなくなること、という線に落ち着きました。似て非なるものとして切り分けられたのが、AIを賢いと信じて判断ごと預ける「認知的降伏」です。 自己調整学習(Self-Regulated Learning / SRL)… 自分で目標を決め、進み具合を確かめながら、やり方や気持ちを調整して学んでいくこと。メタ認知的怠惰は、この「自分で舵を取る」部分をAIに明け渡してしまう現象だとも言えます。Zimmerman (1990). Educational Psychologist, 25(1), 3–17 認知的オフロード(Cognitive Offloading)… 電卓やメモ、AIなど外の道具に頼って、頭の負担を軽くすること。便利な反面、頼りすぎると自分で考えたり見直したりする力が働かなくなります。Risko & Gilbert (2016). Trends in Cognitive Sciences, 20(9), 676–688 認知的降伏(Cognitive Surrender)… AIの答えをろくに吟味せず、「自分より賢いんだから」と判断ごと明け渡してしまうこと。番組では、メタ認知的怠惰とは別の概念として挙がりました。自分の意志で作業を任せる認知的オフロードとは区別されます。Shaw & Nave (2026)(プレプリント/査読前) 知能増幅(Intelligence Amplification / IA)… 道具を使って人間そのものを賢くしていこう、という考え方。人の代わりに考えるAIに対して、IAは人を伸ばす方向を向いています。番組では「生成AIと過ごすうちに人間の側が伸びるのか、それとも衰えるのか」が論点になりました。Ashby An Introduction to Cybernetics(1956)が語源で、人と道具を一体で広げるという見方ではEngelbart Augmenting Human Intellect(1962)も知られています。 受け身の基準(passive criteria)… AIが出してきたものに「これくらいの水準はいる」「なぜそのままじゃダメか」と基準を示して突っ込む、研究室で昔から行われてきた受け身の介入。確実だが、AIの出来が基準を満たすようになると素通りされる弱さがある、とkoikeは指摘します。これを補うのがより能動的な働きかけで、練り直す過程を楽しそうに見せる、信頼する相手に成果を認めてもらう、節目で選択肢を早めに示す、といった方向。土台には「自分は今怠けているかも」と気づくこと自体の効果(Fanら)と、概念そのものの啓蒙があります。 鶏卵問題… メタ認知的怠惰が極まるほど、そこから抜け出すのに要る「自分から動く・できる人に聞く」こと自体ができなくなる堂々巡り。だからこそ、節目での介入や選択肢の提示、概念の啓蒙が要る、という後半の難所として挙がりました。

    26分
  3. 5月20日

    28. 生成AI時代の電卓論争

    生成AIが当たり前になった時代に、研究室・大学教育はどうあるべきか。プログラミング教育の変質、ゼミの「脱デジタル化」、AIをディレクションするスキル、学ぶ意義の伝え方などについて、現場の実感ベースで語りました。 Chapters (00:00) 生成AI論文の蔓延(IJAIED) (01:57) データ化批判(Williamson) (04:46) ディレクター vs マネージャー (06:39) 思考プロセスの形式化 (12:01) 結果と過程/自己効力感 (14:14) AlphaGoとCWC・改造アイルー (17:34) 算数と電卓のアナロジー/Two-Lane Approach (22:34) 紙のゼミ (29:16) 共同注視と共体験のデザイン (34:42) プログラミングはファンダメンタルか (38:02) 概念レベルプログラミング(CLEPE) (46:30) DeepMindのAGI評価フレーム (51:26) 米国大学の試験伝統崩壊 (55:18) ARCSモデルと学ぶ意義 Show notes 生成AI論文の蔓延(IJAIED)… aburaの実感:トップジャーナルでもタイトルに"Generative AI"が含まれる論文が8割近く。「使ってみた」系を避けて読む癖がついた。注目したいのは、生成AIを道具として組み込んで何を新しく明らかにしたか。データ化される教育… 教育が最適化対象になり学習者の思考スキルが矮小化される、というWilliamsonらの警鐘をkoikeが論文で引用。Williamson, Bayne, & Shay (2020). Teaching in Higher Education, 25(4)マネージャー vs ディレクター… 生成AIを使いこなすには、段取りを組む「マネジメント」ではなく、最終プロダクトの方向を決める「ディレクション」が要る。映画監督がカメラの動かし方を知らなくても撮りたい「画」は分かっている必要があるのと同じ。「生成AIがあるから勉強しなくていい」と先生が言うのはまずい、というkoikeの立場。 思考プロセスの形式化… aburaの研究観:成果物が満たすべき制約と、そこに至る思考プロセスが満たすべき制約は別物。後者こそ「ディレクション」の本体で、研究者ですら言語化していないことが多い。結果と過程/自己効力感… 生成AIは「過程」の価値を矮小化する。資本主義では出来上がったものが全てだが、人のモチベーションや自己効力感は過程に宿る。使えば一瞬で終わる状況であえて使わせない/使いつつも自信の持たせ方を再設計する、というデザインが要る。 AlphaGoとCWC・改造アイルー… AlphaGoが囲碁を解いてもプロ棋戦の意義は消えない。一方、PSP時代のCWCheatで出回った改造アイルー(破壊的な攻撃力のオトモを生成、自分で殴らなくても戦闘が一瞬で終わる)は体験そのものを無くす行為。果たして面白いのか? ゲームは手段が目的だから留保はつくが、生成AIに対して抱く手触りと地続き。算数と電卓のアナロジー… koikeの立場:基礎を通らないと上には積み上がらないから、小学校では電卓を使わせない時間がある。生成AI時代も評価が「AIあり前提」のものだけになれば、学習者は当然そこに最適化してしまう。Two-Lane Approach(シドニー大)… koikeが講義設計で調べて知ったシドニー大学の評価フレーム。Secure Lane: 紙ベース・対面監視の期末試験。Open Lane: AI使用OKを前提にした課題。両方なければ評価も形成的な学びも成立しない。紙とペンのゼミ… koikeが2026年9月からの新研究室で考えているデザイン。デバイス禁止、ゼミ資料は印刷。「分かりません」と言った後にChatGPTを通した答えが返ってくる体験から、せめてゼミの場では自分の頭でやりとりを、という判断。aburaはこの設計を「行き詰まりドリブンの学習 / impasse-driven learning」と表現。※後注: VanLehn, K. (1988). Toward a theory of impasse-driven learning. In Learning issues for intelligent tutoring systems, 19–41. を踏まえた用語。共同注視と「共体験」のデザイン… aburaの観察:コロナでオンライン化したことで 共同注視(同じ場所を見て議論する状態)が成立しにくくなった。誰がどういう聞き方をしているかが見える情報量は侮れない。意識的にデザインしないと「ぼやっと進んでいく」。プログラミングはファンダメンタルか… 「ドメインのエキスパートのほうが重視される」言説への二人の応答。手続き的に問題解決を記述・設計できる力は、言語仕様の知識とは別軸で依然として大事という立場。専門とサプリメンタル(統計のように「補助輪付きでよい」領域)を分けて考える。 概念レベルプログラミング(CLEPE)… aburaの恩師の博論コンセプト:問題解決プロセスをオントロジーで書き、コーディングと独立に問題を記述する。当時はフォーマルな形式化が必要だったが、いまは自然言語でいける。今こそ「タスクの設計」が要請されている、というabura。瀬田ほか (1998). 電子情報通信学会論文誌 D, 81(9), 2168–2180「日本人が作る生成AI向け言語」=スイ(粋/Sui)… aburaが「日本人が作っている生成AI向けの言語がある」と紹介したのは 高田人氏のスイ(粋/Sui)。括弧の対応・タイポ・インデントエラーといった「LLMが間違えがちな部分」を構造的に不可能にする設計。※収録後の更新: プロジェクトの焦点はその後 Isu(LLM向けの構造化擬似コード、JSON互換ASTへの決定論的パース)にシフト。旧Suiは sui_legacy/ に移動済み。米国大学の試験伝統の崩壊… koikeが言及した「米国の有名大学で学生の善意に任せた試験運用が崩れた」話。スタンフォードは100年以上禁じていた対面試験を2026年4月に復活(CS専攻849人の49%が「落第するくらいなら不正をする」)。プリンストンも1893年から133年続いた「試験中に教授退室」規定を2026年5月に廃止(2025年卒の29.9%が在学中に不正経験、ChatGPT無許可使用は前年比+12.5ptで27.7%)。倫理観で抗えないほど道具が便利すぎる。 DeepMindのAGI評価フレーム… aburaが紹介:2026年3月頃の報告書で、生成AIのスキル評価軸として社会的認知やメタ認知が重要との提言。Measuring progress toward AGIARCSモデルとRelevance… aburaが言及したインストラクショナルデザインの古典:Attention/Relevance/Confidence/Satisfaction。生成AI時代は「学んだってLLM超えられないんでしょ」という諦めが起きやすく、Relevance(学習者の目標と接続する)の比重が上がる。

    59分
  4. 2025/12/19

    27. 相方・aburaの帰還と博士号取得の激闘

    4年間ぶりに、相方・aburaが帰還。博士号取得の舞台裏、ライフイベント、香川大学での「実践」を経て変わった研究観などについて語りました。Show notes abura(あぶちゃん)… このポッドキャストの共同創設者。4年間の沈黙を経て復帰。現在は大阪公立大学 情報学研究科 特任助教。「夢見る学生」から「夢見る職業研究者」へと進化した。 4年間… 前回の収録(2021年10月)から空いた期間。koikeにとっても激動だったが、aburaにとっても「きつかった」時期。D2からD5、助教、特任助教と立場が目まぐるしく変わった。 D5(博士後期課程5年)… aburaが博士号を取得するまでの在籍期間。3年で修了する予定が研究が難航し、制度上の満期(5年)まで在籍することになった。 単位取得退学(満期退学)… 博士課程の単位を取りきって退学すること。この後1年以内に論文を通せば「課程博士」として認められるが、それを過ぎると「論文博士」扱いとなり取得難易度が跳ね上がる。aburaはこの「シリに火がついた」ヒリつく状況下で学位をもぎ取った。 香川大学 DX推進研究センター… aburaが2024年度に1年間在籍した職場。地域への知の還元やDX人材育成という「実践」の最前線に身を置いたことで、自身の研究(モデル駆動)を相対化する視点を得た。 引っ越し… 香川在住の短期間に、単身用→二人暮らし用(奥様合流)→大阪へ帰還と、半年で2回も引っ越しをする羽目になった。 恩師(指導教員)… aburaの師匠。体調を崩されていた中、aburaの結婚式で渾身のスピーチを行い、博士号取得を見届けた後に亡くなられた。 構成主義(Constructivism)… 学習者が自らの経験に基づいて知識を構築していくという学習観。彼らのコミュニティでは「当たり前の前提」だが、外に出ると「学習=ただ知識を蓄えること」と考える人の方が多い現実に直面し、前提を問い直すきっかけとなった。 実践のモデリング… 香川大での経験を経てaburaがたどり着いた視点。これまでは「(学習者が頭の中で)何をするか(What)」をモデリングしていたが、現場では「(教育を)どうやってやるか(How)」をモデリングする必要があることに気づいた。 Yモデル… 恩師が提唱していたモデル。学習目標(Goal)を中心に、「教材(Materials)」「教授戦略(Strategy)」「学習者モデル(Learner Model)」の3つがどう位置づくかを示す。「実践」においてはこのYモデルの捉え方が変わるという気付きを得た。 組織メタ認知… aburaの現在の研究テーマの1つ。個人の認知プロセスである「メタ認知」を拡張し、組織自体を一つの「疑似人格」と捉えて、組織がどう自らを客観視し制御するかをモデル化しようという野心的な試み。 生成AI (Generative AI)… この4年間で起きた最大のパラダイムシフト。研究のスピードを劇的に上げた一方、学生がAIを「副操縦士(Co-pilot)」として使うか、思考を放棄して「生成AIの奴隷」になるかという新たな教育課題も生んでいる。 若手研究者コミュニティ… 当初は二人で細々と始めた活動だが、今では多くの博士学生が参加し、学会内に研究会(SIG)を立ち上げるか議論する規模にまで成長した。 CALST… 「第二のゼミ」として毎週オンラインで集まって議論している勉強会。関連分野の修士・博士学生・若手研究者が参加している。koikeとaburaが立ち上げて、今見たら2025年12月18日でちょうど7年を迎えたらしい。 yelss… 「教育・学習支援システム若手の会」。毎年2泊3日で、関連分野の学生〜若手研究者が30人くらい集まって日夜研究について議論する会。 Google Chromeのブックマーク… aburaのブラウザには4年間ずっと「Submits.life」のブックマークが残っており、目に入るたびに「再開しなくていいのか」という心の重荷(十字架)になっていた。 Submits.life(サブミッツ・ライフ)… 改めていいタイトル。元々は「論文を投稿(Submit)して生きていく」という決意だったが、4年を経て「人生の不可抗力や大きな流れに身を委ねる(Submit=服従する)」という意味へ再解釈された。 質問・意見・感想などは、ぜひ、 マシュマロ か Twitterで ハッシュタグ#submitslife までお願いします。Submits.lifeのTwitterアカウントは こちら です。

    55分
  5. 2025/12/14

    26. 研究者の妻(ゲスト:saki)

    koikeの妻・sakiをゲストに迎え、出会いから現在までの振り返り、研究者の妻としての本音、そしてこれからの生活について語り合いました。Show notes saki… 今回のゲストであり、koikeの妻。koikeから見て1学年上。元IT系会社員、現専業主婦。高校教員の免許持ち。 大学の研究室で出会う… 二人の出会いは大学の研究室。sakiが4年生で配属された際、koikeは3年生(そういう制度がないまま2年から入り浸っていた)で「俺の方が長い」という顔でそこに居た。「生意気なやつ」というのが第一印象。 2016年… koikeとsakiの交際開始。ディズニーシーへの旅行などが思い出。 2022年… 結婚。sakiが社会人として働いており収入があったこと、koikeがD3で会社員になる見込みが立ったことがきっかけ。決して引っ越しのときに世帯主2人分の書類が面倒だったからではない。 研究者の妻としての本音… 「職業研究者」自体については、教師と似ている部分もありつつ、より自由度が高い(拘束が少ない)という印象。ただ、「帰宅時間が読めない」「連絡がまめじゃない」といった不満も。それは研究者ではなくkoikeのせいかも。 グラタン事件… 「帰宅時間が読めない」ことへの不満が爆発した事件。「○時に帰る」と言ったのに学生に捕まって連絡もなく遅くなり、sakiがタイミングを合わせて焼いた熱々のグラタンが冷めてしまった際に激怒した。 引っ越し遍歴… 厚木→千葉→京都→東京と、koikeの職の変化に伴い4回引っ越し。特に京都への引っ越しは、sakiが帯同するという大きな決断だった。koikeによる「土下座」があったとのこと。 京都での生活… sakiにとっては初めての土地での生活だったが、美味しいものを食べたり観光したりと楽しめた様子。ただ、妊娠中の移動や病院探し、観光客で混み合うバス移動の洗礼などは大変だった。 2024年7月1日… 第一子誕生の日であり、koikeの理科大着任日。陣痛が来たsakiを病院へ送り届け、スーツで大学へ挨拶に行き、また病院へ戻るという怒涛の一日。 南座(みなみざ)… 京都・四条大橋のたもとにある、松竹が経営する劇場。江戸時代初期から続く日本最古の歴史を持つ劇場と言われ、国の登録有形文化財にも指定されている。年末の「吉例顔見世興行」などが有名。歌舞伎好きのsakiの母は、ここで海老蔵(現・市川團十郎)の公演を楽しんだ。 京都三大祭り… 京都を代表する3つの祭り(葵祭・祇園祭・時代祭)のこと。sakiの母はこれらに合わせて京都に来ようとしていた。 祇園祭(ぎおんまつり): 7月に行われる八坂神社の祭礼。1ヶ月にわたって行事が行われ、特に豪華絢爛な「山鉾巡行」はユネスコ無形文化遺産にも登録されている。 時代祭(じだいまつり): 10月に行われる平安神宮の祭礼。明治維新から平安時代までの各時代の衣装をまとった約2000人の行列が都大路を練り歩く時代絵巻。 厳島神社(いつくしまじんじゃ)… 広島県・宮島にある神社。海上に立つ大鳥居や社殿が特徴的で、世界文化遺産に登録されている。日本三景の一つ「安芸の宮島」としても知られる。伊勢神宮(三重)などは訪問済みのため、sakiが次に「日本を代表する神社」として訪れたがっている場所。 稼いでください… sakiからの切実なメッセージ。子供が2人になりオムツ代も食費も倍になるため、koikeへのプレッシャーとして残された言葉。 質問・意見・感想などは、ぜひ、 マシュマロ か Twitterで ハッシュタグ#submitslife までお願いします。Submits.lifeのTwitterアカウントは こちら です。

    36分
  6. 2025/12/13

    25. ¬オリンピック

    4年間の沈黙を破り、koikeが帰ってきました。空白期間のキャリアの変化、激動のライフイベント、そしてポッドキャスト再開をもたらしたガジェットについて語りました。Show notes 2025年12月13日… 収録日。 DJI Osmo Pocket… DJI社といえばこれ、という有名なジンバル付き小型カメラ。今回のマイクも同じDJI製品ということで引き合いに出しました。 DJI Mic Mini… 元ラボの後輩(D3)が朝会で「買いました」と報告してきたやつ。これがなかったら、僕はまだ沈黙を続けていたかもしれない、再開のトリガー。 DJI Mic 3… 今回の収録から導入した新兵器。後輩に触発されて衝動買いしたんですが、これのおかげでポッドキャスト再開のハードルが劇的に下がりました。ケースから出すだけで録音開始、ノイキャンも最強。もう吸音材の箱に頭を突っ込んで収録する必要はありません。 Blue Yeti… かつての相棒。音はいいんだけど、セッティングが大変すぎた。これをAmazonで買った吸音ボックスに入れて録音していた時代が懐かしい(もう戻りたくない)。 D1 / D2 / D3… 博士課程(Doctoral Course)の年次を表す略称。D1は1年目、D3は3年目(最終学年)を指す。 ポスドク(Postdoctoral Researcher)… 博士研究員。博士号取得後に、任期付きの研究職として大学や研究機関に所属するポジション。 助教… 大学の教員職階の一つ。教授、准教授、講師に次ぐ職位で、現在のkoikeの職。 モデル駆動(Model-Driven)… 理論や数理・記述モデルを構築し、それに基づいて現象を説明・予測しようとするアプローチ。 データ駆動(Data-Driven)… 蓄積された大量のデータ(ビッグデータ)を解析することで、法則性や知見を導き出すアプローチ。 ラーニングアナリティクス(Learning Analytics)… 学習履歴データなどを分析し、学習者の評価や学習環境の最適化に役立てる研究分野。 4年間… 前回の更新から空いてしまった期間。文字にするとたった3文字ですが、D1学生から会社員、ポスドク(京都)、そして自営業・助教(東京)へと、職が4回も変わる激動の時間でした。オリンピックかよ。 エマスリープとアーロンチェア… 博士号取得後、少しお金を持って気が大きくなった僕が「体を守るため」という言い訳で購入した課金アイテムたち。でも実際、研究者の腰と睡眠は命より重いので必要経費です。 引っ越し貧乏… 神奈川から千葉、京都、東京へと移動し続けた結果。敷金礼金で何が買えたかを考えてはいけない。 2024年7月1日… 僕の人生で最もカオスだった日。東京理科大学への着任日(初出勤)と、第一子の誕生がまさかのバッティング。スーツで挨拶回りして、レンタカーで病院へ駆けつけ、また大学に戻るという、記憶が飛びそうな一日でした。 Submits Life… この番組のタイトル。昔は「論文を投稿(Submit)して生きていくぞ」という決意の表れだったんですが、今は「人生の荒波や予測できないイベントに身を任せる(Submit=服従する)」という意味に変わりました。抗わず、流れに乗るのも大事。 ひぐらしねるお(日暮熟睡男)… 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する、4年に一度(オリンピックイヤーに)しか目覚めない警察官。 月一更新… 今後の目標。無理せず、研究と人生の交差点から、生存報告も兼ねてお届けしていきたいと思っています。 質問・意見・感想などは、ぜひ、 マシュマロ か Twitterで ハッシュタグ#submitslife までお願いします。Submits.lifeのTwitterアカウントは こちら です。

    16分

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番組について

「Submits.life(サブミッツ・ライフ)」は、論文を出して(submit)、人生にも身を委ねて(submit)生きる研究者2人のPodcastです。 「submit」には2つの意味があります。論文を投稿すること。そして、身を委ねること。 研究者は論文を出し続けて生き残る。 でも人生って、計画通りにいかない。 このPodcastは、その両方を楽しく記録する場所です。 博士課程の頃に始めて、4年休んで、2025年に再開しました。 研究も、雑談も、たまにゲストも呼びながら、ゆるく楽しく続けていきます。 --- (メインパーソナリティ) koike: 博士(工学)・私大助教。専門は「柔軟な問題解決」と「システム設計知の汎化」。 abura: 博士(情報学)・公立大助教。専門は「メタ学習支援」と「わかったつもり」。 どちらも研究分野は知的学習支援システム(Intelligent Tutoring Systems, ITS)。 一人ひとりに合わせた学習支援をAIで実現する、「賢い家庭教師をコンピュータで作る」研究です。 --- おたより(フォーム): https://forms.gle/m5yYXQmUWfL3qx7Q6 おたより(メール): submit [at] submits.life Webサイト: https://submits.life/