内科医たけおの『心身健康ラジオ』

《1351》最新研究‼️血液透析、腎移植の方の就労と生活

Sofue, T., Nakai, S., Nakagawa, N., & Sakai, K. (2025). Differences in employment and lifestyle situations between kidney transplant recipients and patients on hemodialysis: a nationwide questionnaire survey in Japan. Clinical and Experimental Nephrology, 29, 1286–1293.

https://www.researchgate.net/publication/390115146_Differences_in_employment_and_lifestyle_situations_between_kidney_transplant_recipients_and_patients_on_hemodialysis_a_nationwide_questionnaire_survey_in_Japan

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■AI要約(誤字はご勘弁ください)

話者:内科医たけお

内科医たけお氏が「腎臓ウィーク」と題し、腎臓に関する興味深い最新論文を紹介しています。この論文は、日本腎臓学会の英文誌に掲載されたもので、「血液透析患者」と「腎移植患者」の就労状況や生活状況を比較した大規模研究です。

この研究は、腎移植患者146名と血液透析患者約7,400名を対象に行われました。両者を比較した結果、いくつかの明確な違いが明らかになりました。

まず患者背景として、年齢中央値は67歳と70歳で大差ありませんでしたが、65歳未満の割合は腎移植患者が約62%と、血液透析患者(約32%)の約2倍でした。これは、比較的若い患者が腎移植を選択する傾向を示しています。また、原疾患については、透析患者では糖尿病が約37%を占めるのに対し、腎移植患者では約5%と少なく、代わりに慢性糸球体腎炎が半数以上を占めており、両者の患者背景が大きく異なることが示されました。

生活の質(QOL)に直結する就労率では、腎移植患者が41%であったのに対し、血液透析患者は28%と、腎移植患者の方が有意に高い結果となりました。特に65歳未満の男性に限定すると、腎移植患者の就労率は約82%に達し、血液透析患者の約52%を大きく上回りました。

通院状況では、自力で通院できる割合は腎移植患者の方が高かった(約79% vs 約57%)一方で、片道1時間以上かけて通院する割合も腎移植患者の方が圧倒的に多く(約43% vs 約2%)、通院先の医療機関が大学病院などの大規模施設に集中している実態がうかがえます。

災害時の対応については、血液透析患者の半数以上が「災害時の対応説明を受けた」と回答したのに対し、腎移植患者では2割程度にとどまりました。免疫抑制剤の継続が不可欠な腎移植患者への啓発が今後の課題であると指摘されています。

たけお氏は、この研究の意義を高く評価しつつも、いくつかの限界点も挙げています。最も大きな点は、腎代替療法の一つである「腹膜透析」のデータが含まれていないことで、3つの治療法を比較することが重要だと述べています。また、腎移植患者のアンケート回収率が低く、選択バイアスが生じている可能性も指摘しました。

結論として、この研究は腎移植と血液透析という二つの治療法における患者の生活実態の違いをデータで示した非常に貴重なものであり、今後の治療選択を考える上で重要な情報を提供するものと言えます。