Submits.life

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Submits.life(サブミッツ・ライフ)は、ヒトの学びをAIで支援する研究者たちが、論文を投稿しながら生きる日々の中で感じたことや考えたことを話すPodcastです。研究室のふとした雑談、ときにはゼミのような熱量で、AIとヒトの知性をめぐる大きな話から、研究・教育・暮らしの小さな気づきや悩みまでゆるく話します。 私たちの研究分野は知的学習支援システム(Intelligent Tutoring Systems, ITS)。 一人ひとりに合わせた学習支援をAIで実現する、すなわち「賢い家庭教師をコンピュータで作る」学際的な研究です。 (出演) koike: 博士(工学)・大学教員。専門は「柔軟な問題解決」と「システム設計知の汎化」。 abura: 博士(情報学)・大学教員。専門は「メタ学習支援」と「わかったつもり」。 kunori: 博士学生。専門は「創造性」と「思考の振り返り」。 --- おたより(フォーム): https://forms.gle/m5yYXQmUWfL3qx7Q6 おたより(メール): submit [at] submits.life Webサイト: https://submits.life/

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    38. 推進!スモールDX

    今回はDX(内製ツール開発)回。koikeは生成AIで内製ツールを量産中——スキャネットのマークシート読み取りソフトがWindows専用なので採点システムを自作、家からのバス時刻表もGitHub Pagesで自作。aburaは翻訳ツール・文献管理・OAuth認証サーバーを自作。API費用やモデル選び(Sonnet/Fable 5とthinking・effort)、Claude Skills、そして「DXとコンプラ」「生成AI時代に下がる個人情報の価値」まで。結論、日々5分奪われるのが1分になる“スモールDX”をやっていこう。 Chapters (00:00) DX始めました:生成AIで内製ツール量産/効率化オタク (04:01) 本題:マークシート採点を内製(スキャネットがWindows専用) (06:49) 内製のメンテコスト・「誰に使わせるか」/aburaの自作ツール(文献管理・翻訳) (11:35) API費用とモデル選び:Sonnetで十分/「シンキングのない世界を忘れる」 (14:28) 認証サーバー(OAuth/SSO・ケルベロス)/Google・MS OAuth・Moodle LTI (18:01) koikeのバス時刻表ツール(GitHub Pages)/Claude Skills・Notion・連携の警戒 (22:36) 生成AI時代の個人情報とコンプラ/ダッシュボード漏洩・機密性区分/結論「スモールDX」 Show notes DX/内製開発と「効率化オタク」… koikeは生成AIで内製ツールを作る機会が激増し、「5時間で終わる作業に10時間かけて自動化ツールを作る」ほど。※番組の“DX”は厳密な定義というより「自作ツールで日々の業務を楽にする」くらいの意味。香川大学の学内DXと「制約が創造性を生む」… aburaが以前いた「DXで有名な大学」=香川大学。DXラボ/デジタルONE戦略のもと、非情報部門の職員が2年で約179件の業務システムを内製したことで全国的に有名。Power AutomateのようにMicrosoft 365で使える範囲に“制約”された方が、かえって人は何をすべきか分かって動ける、という世界観。マークシート採点システムの内製… 大学のマークシートは「スキャネット」(スキャネット株式会社)で読み取れるが、採点ソフトがWindows専用でmacOS非対応。触りたくないのでkoikeが自作:シート四隅の黒点で台形補正し、マークの塗りつぶしを検知して採点。DeepLと自作翻訳ツール… aburaはDeepLの「テキスト選択+⌘/Ctrl+C×2で即翻訳」を愛用していたが、UI・ログインの不満から自作(PHPバックエンドからOpenAI APIとClaude APIを両方通して精度を上げる構成)。モデル選びとAPI費用… 翻訳程度ならClaude SonnetやGPT-4oクラスの軽量モデルで十分安い。Opus 4.8のような高性能モデルはラグがあり、Fable 5+thinkingを最大effortにするとしょうもないタスクでも遅い→ソネットのeffort中程度が中心に。OAuth認証サーバー/SSO… aburaが研究室にOAuth認証サーバーを立ててSSO(シングルサインオン)を実現(機能的には「ケルベロス(Kerberos)」的)。組織がGoogle/Microsoft(Entra ID)を持っていればそのOAuthで統一できるのが理想。LMSのMoodleを絡めるLTI連携は「ややこしい」。Claude Skills… aburaが積極活用するAnthropicの「Agent Skills」。手順を書いたスキル(SKILL.md)をフォルダ単位で用意し、Claudeが必要時に読み込む。会話内容をNotionの所定DBへ自動登録、論文読解系など。Agent SkillsNotion(文献管理)… PDF・出典・リサーチクエスチョン・強み・自分の研究との差分などを、Claudeで話すと自動登録し、文献管理のコストを下げる。NotionGitHub Pages(バス時刻表ツール)… koikeが「家を今出たらどのバスに乗れるか」(バス停までの移動時間込み・行き帰りで路線差も考慮)をスマホで見たくて自作し、GitHub Pagesで無料公開。1時間に1本のバスなので効果大。公開ページなので自宅最寄りは分かるが「それくらいはいいか」。DXとコンプラ/スモールDX… 内製ツールは「誰に使わせるか」で急に難しくなる(自分専用なら気楽だが、人が使う・スケール・他サービス連携となると中身保証や保守責任でコストが跳ね上がる)。Googleスプレッドシート→ダッシュボードのアドレス共有は漏洩リスク、機密性区分(機密性1/2/3)、開発部と営業の内製の綱引き。生成AI時代は個人情報の価値も下がり気味(最寄りバス停の公開ツールも10年前なら鍵をかけた)だが、子どもの写真などは一旦立ち止まる。厳密性と駆動性のバランス。

  2. 19 jul

    37. 心のゆとり理論と最近の買い物

    今回は前半がkoike発「仕事のゆとり理論」4か条。そこからマルチディスプレイ論争、認知オフロード、作業環境ツール沼へ。後半は「最近の買い物」と、「もらった良いものほど使えずしまい込む」あるある。結論、お金(懐)のゆとりは心のゆとり。 Chapters (00:00) 「仕事のゆとり理論」4か条/マルチディスプレイ論争(一画面 vs 3〜5枚) (06:09) 「心のゆとり」=ワーキングメモリー・認知オフロード/FlexiSpotのデスク (11:04) 「机を買った」の正当化/画面分割は左右2分割(abura) (16:53) Claude Codeを8枠並列/Mission Control・Command-Tab・Stage Manager (20:38) 後半「最近の買い物」:aburaの扇子沼 (24:54) 因果はどっち?「懐のゆとり」/現実逃避アマゾン・Creema・扇子=フィジェット (30:35) kunoriのシャツ/実店舗派・引っ越し前の買い控え (34:14) ファッション低意識の2人/ワークマン礼賛・お下がり・一張羅 (39:42) koike最大の非機能的買い物(贈り物) (42:53) 百貨店の階=ブランドの格/aburaの婚約指輪(孫悟空の頭の輪っか) (48:28) もらった一点物は使えずしまい込む/結論「お金のゆとりは心のゆとり」 Show notes 仕事のゆとり理論… koikeがでっち上げた4か条=「時間/画面/ノート/机のゆとりは心のゆとり」 マルチディスプレイ論争… koikeは「一画面を大きく+フルスクリーンで集中」派で、マルチ画面は認知負荷が増えて苦手(Slack・メールの常時表示も意識を持っていかれる、と否定的)。aburaは3枚+iPadで5枚派だが、実は基本「左右2分割」で、メイン作業(Word等)を隠さず脇にブラウザ検索や過去原稿PDFを並べたいのが理由。 認知オフロード/ワーキングメモリー… 予定をカレンダーに書く等、記憶や計算を頭の外に「退避」させること(Risko & Gilbert, 2016)。第29回のメタ認知回でも登場。脳内の作業台=ワーキングメモリー(Baddeley & Hitch)とCPU/メモリの関係になぞらえて「ゆとり」を説明。Risko & Gilbert 2016/Working memoryFlexiSpot(スタンディングデスク E7H Pro)… koikeが初ボーナスで約10万円で購入。立ちたい本当の動機は「子どもを抱っこしながら作業したいから」。FlexiSpot E7H ProMacのウィンドウ管理(BetterSnapTool/Stage Manager/Mission Control)… aburaは左右2分割を多用(BetterSnapTool/今はmacOS標準にも分割機能)。koikeは3本指スワイプのMission ControlでClaude Codeの進捗をチラ見し、Stage Managerは「邪魔」でオフ。aburaはCommand-Tab派でウィンドウ一覧系は使わない——視力・認知特性の差がツール選好に出るのでは、という話。Claude Code… aburaがターミナルを8枠開いて複数の研究テーマを並列で回す(「フェイブル5が終わる前に」=Claude Fable 5。第35回にも登場)。Claude Code扇子(白竹堂・舞扇堂)… aburaの沼。こだわりは金属の親骨・紙でなく布・60間(骨が多い)・畳むとスリム。京都の舞扇堂に加え、金属親骨や革扇子も扱う白竹堂(1718年創業)を愛用。手汗が多いので木の親骨より金属、というのも理由。扇子=フィジェット… 常にパタパタする訳ではないが、手元にあると落ち着く「定常状態をキープする道具」。ハンドスピナーやプチプチと同類、というkoike整理。Artisanキーキャップ同様「こだわりに合うものは今要らなくても買う」問題ともつながる。 Creema(クリーマ)… ハンドメイド作品のマーケット。koikeは職人の「ものづくりのストーリー」に惹かれ、プレゼントや自分用に購入。買い物が現実逃避・ストレス発散になる話とセット。Creemaワークマン… koike・aburaが激推し(安い・長持ち・デザインも悪くない)。ユニクロの高価格化で乗り換え組。「ワークマン女子」も。ワークマンマザーハウス/フルラ… koikeが「人生で一番機能性のない買い物」=妻へのレザーバッグ(約4万・マザーハウス=途上国の自社工房で作る日本発ブランド)+バッグチャーム(約2万・フルラ)。百貨店は階ごとにブランドの格が違い、ハイブラの階は入りづらい、という話も。俄(NIWAKA)と婚約指輪… aburaは祖母の指輪をリメイク。惹かれたのは京都の和ブライダルジュエラー俄(NIWAKA)の雲モチーフ(婚約指輪『望』など)。その「雲型」を、孫悟空の緊箍児(きんこじ=呪文を唱えると締まる輪)に例えて脱線。職人の一点物は使えない問題(包丁・バカラ)… もらった良いもの=壊せなくてしまい込みがち、という共通あるある。包丁沼ではaburaが牛刀・果物ナイフを金沢の刃物店で購入(大阪=堺なのに、というネタ)、koikeが燕三条(ツバメ三条)に言及。バカラのグラスも「怖くて」使えず。

  3. 17 jul

    36. 雑談って何なんだろう?

    今回はkunoriの持ち込み議題「雑談って何なんだろう?」という話。「自分は情報交換と議論しかできない」という告白から、頭の中に地図を描いてから話す人と連想的に喋る人、システム1/システム2、EQ、ボケとツッコミ、「課題遂行を目的としない会話」という雑談の定義、営業トークは雑談か、そして自己開示・アイデンティティ・モラトリアムまで。結論は「雑談ができるようになるには、まず自分を知り、相手を知り、共通点を探せ」(たぶん深い) Chapters (00:00) 問題提起:雑談って何?「情報交換と議論」しかできない (06:07) 関西人とツッコミ、そして「どこからが関西か」問題 (09:44) マップ型 vs 連想型/システム1・2、EQ、ボケとツッコミ (14:58) 雑談の定義「課題遂行を目的としない会話」/人狼知能・話題デッキ (18:52) 感度の高さ・営業トークは雑談か/目的の「非共有」 (22:20) 「人を知りたい」欲求と自己開示/大澤正彦先生と自己紹介 (27:44) アイデンティティ形成とモラトリアム/結論「まず自分を知り、相手を知る」 Show notes 雑談=「課題遂行を目的としない会話」… aburaが挙げた定義。対話システム研究では対話を、タスクの達成を目指す「タスク指向型」と、対話それ自体や関係構築(ラポール形成)を目的とする「非タスク指向型(=雑談対話)」に大別する。番組の「課題遂行を目的としない」は、この「タスク遂行を主目的としない対話」に対応する(分野の標準語は「タスク遂行」)。人工知能学会「対話システム」(東中竜一郎)人狼知能(AIWolf)… koikeが雑談ボット研究の文脈で言及した、人狼ゲームをAIの標準問題として扱う日本発の研究プロジェクト/競技会。人狼知能マップ型 vs ジェネラティブ(連想的)… 会話を落ちまで見通してから話す人と、思ったことを思った順につないでいく人。koikeは後者=「自分の頭はLLMにかなり近い」と自認。両方できるのが理想で、kunoriは前者に寄りすぎて話し始められないのでは、という見立て。システム1/システム2… ダニエル・カーネマンが『ファスト&スロー』(2011)で広めた二重過程理論。速く直感的なシステム1と、遅く熟慮的なシステム2。koike=1中心、kunori=会話を常にモニタリング・制御するシステム2、という対比。Thinking, Fast and Slowエモ/エモい(前回の続き)… 連想の一発目は「ここで心が動いた(デルタ)」=エモ、という第34回の話題への接続。kunoriは日常で感じた心の変化にアノテーションを付けて残せていない、と自省。EQ(心の知能指数)… 感情知性。ダニエル・ゴールマン『EQ こころの知能指数』(1995)で広まった概念で、学術的な原典はSalovey & Mayer(1990)。kunoriが「感情を軽視していてEQが低いのでは」と省みる文脈で。Emotional intelligenceボケとツッコミ… 漫才の役割分担。ツッコミ=一種の批判的思考、という話や、「どちらに才能が要るか」という決着のつかない定番論争。会話を始める(ローンチ)のが得意な人と、受けが得意な人がいる、という対比にもつながる。漫才話題デッキ… aburaが、共同研究相手や久しぶりに会う知り合いに会う前に用意していく「これを話そうかな」という話題の準備。すごく仲のいい相手には作らない。目的の(非)共有と雑談… 営業のアイスブレイクのように、片方だけが目的を持ち、二者間で目的が共有されていない対話こそが「雑談」として成立するのでは、という仮説。裏を返すと、目的を隠すテクニックを磨けば「雑談のつもりが実は研究させられていた」も起こりうる(koikeは某教授に何度もやられた経験あり)。大澤正彦(おおさわ・まさひこ)と自己紹介… koikeが第32回のSF(ブレードランナー)回でも触れた、「ドラえもんをつくりたい」AI研究者(日本大学)。自己紹介で「自分はこういう人間だ」と言語化できると、その人向けの情報やチャンスが舞い込み、専門化やアイデンティティの確立にもつながる、という話。この自己紹介論は『じぶんの話をしよう。──成功を引き寄せる自己紹介の教科書』(PHP, 2024)にまとまっている。モラトリアム/アイデンティティ形成… エリク・エリクソンの発達心理。青年期はアイデンティティを確立するために社会的義務が猶予される準備期間=モラトリアム。元は「支払猶予」を意味する経済用語で、エリクソンがそれを借用した(番組はこの語義でも遊んでいる)。「博士は最高のモラトリアム」。モラトリアム

  4. 9 jul

    35. 最新技術は枝葉?根幹は設計論(とフォントとIME)

    情報系の教員として技術動向を追えているか?という自問から始まり、サプライチェーン攻撃などのセキュリティ、DDD/TDDといった設計論、Lispや「枯れた技術」、低レイヤー体験の喪失、そして気づけばターミナル・コーディングフォント・日本語入力の沼へ。最新技術というより最新フォントとIMEに詳しくなった、技術カルチャー雑談回。 Chapters (00:00) 情報系教員、技術動向を追うべきか/フィルターバブル (02:07) セキュリティ:サプライチェーン攻撃とプロンプトインジェクション (06:31) 技術情報源(GIGAZINE・ロケットニュース24…) (09:19) 設計論:DDDとTDD、生成AIとの相性 (14:11) 設計の揺り戻し(イベントソーシング・関数型・クリーンアーキ) (20:02) Lispの安定性と発祥の概念史、「枯れた技術」 (26:47) Linus・OSSのメンテとサプライチェーン (29:57) 低レイヤー体験の喪失(Arch・ラズパイ・オーバークロック) (34:17) 量子・ノイマン型の先と「数学」という難しさ (40:22) ターミナル沼:GhosttyとEmacsの日本語表示 (44:28) プログラミングフォントとUDフォント(白源・モリサワ) (53:15) 媒体の個別最適化と日本語入力(ATOK・AzooKey) Show notes サプライチェーン攻撃… ソフトが依存するライブラリ等を汚染し、広範に被害を出す攻撃。学生からの質問(最近すごいが今後どうすべきか)がこの回のきっかけ。プロンプトインジェクション… コードやデータに悪意あるAI向け指示を仕込む攻撃。例として、生成AIに.envの鍵をSecret Gistへアップさせるプロンプトをコードに埋める手口。OSSはレビューが追いつかず危険、という話。Five Eyesのセキュリティ合同声明… koikeが触れた「数カ国同盟の声明」。Five Eyesのサイバー当局が2026年6月に「The AI shift in cyber risk」を出し、セキュリティを一部門任せにせず抜本対応を、レガシーは穴になる、と提言。声明ドメイン駆動設計(DDD)… 業務ドメインを中心にモデルを設計する手法。エリック・エヴァンス(2003)。kunoriが再読中で、最新動向より深く理解したい志向の象徴として登場。Evans 2003テスト駆動開発(TDD)と生成AIの相性… テストを先に書く開発手法(ケント・ベック, 2002)。生成AI時代に再注目だが、「テストは通っても内部アーキテクチャが期待通りにならない」=AIとの相性が良くない、という現場感も。TDDイベントソーシング/CQRS/クリーンアーキ/GoF… 設計の定番。イベントソーシング=状態でなくイベント履歴で表現、CQRS=読み書きの責務を分離(Greg Young・Fowler)。クリーンアーキやGoFの23パターン(1994)も普遍的に生きる思想として登場。Lispと発祥の概念(GC・CLOS・MOP)… 仕様が長年安定した言語。ガベージコレクションはLisp発祥、Common LispはCLOSでオブジェクト指向、メタオブジェクトプロトコルでメタプログラミングを実現。JVM上の方言Clojureも。CORBA… 古い分散オブジェクト技術(OMG, 1991〜)。PowerShellがオブジェクトをパイプで渡す思想に近い、「枯れた技術」の代表例。CORBALinuxの生成AIコード方針… LinuxカーネルがAI支援コードの扱いを明文化(2026)。「提出物は自分で理解・弁護できること」「Assisted-by:タグで開示」「責任は人間が取る」。Torvalds自身は一律禁止には反対だった。kernel docsnpmサプライチェーン事件… 2025年9月、chalk・debug・ansi-styles等の超人気パッケージ(依存は週数十億DL規模)がメンテナのフィッシング被害で汚染された事件。OSSメンテナンスのコストの象徴として。CISAGhostty… 高速・GPUアクセラレーションのターミナルエミュレータ(Mitchell Hashimoto作)。Warp/iTermから移行、Emacsの日本語表示も綺麗にレンダリングされると好評。Ghosttyプログラミングフォント(白源・Ricty・UDEV Gothic・JetBrains Mono)… 等幅の和欧混植コーディングフォント。Ricty/Ricty Diminishedは2023年に開発終了し、後継に白源(HackGen)やUDEV Gothic(BIZ UDゴシック+JetBrains Mono)など。UDフォントと合理的配慮(モリサワ)… 読みやすさに配慮したユニバーサルデザイン書体。ただし形によってはディスレクシアの人に読みづらい場合もあり、一意に「これが良い」とは言えない。モリサワは当事者協力で質的・量的に評価しているという話も。日本語入力:AzooKey/ATOK… AzooKey(あずきー)は未踏発の、ニューラル変換エンジン「Zenzai」を使う次世代IME(Miwa作)。ATOK(ジャストシステム)はサブスク化、Mac標準IMEやGoogle日本語入力の不具合の話も。Stack Overflow Developer Survey… 開発者の技術動向を毎年調べる世界最大級の調査。フェイブル/ミトス… koikeがセキュリティの文脈で「フェイブルやミトスがヤバすぎる」と言及。強力なAIモデル(Claude Fable 5/Mythos 5)が脅威になりうる、という話。

  5. 5 jul

    34. 生産性 vs. "生成AIっぽい"と思われたら終わり

    今回は前半が「最近の動向」(体調不良と、研究費の採択)、後半が「生産性向上の工夫」。Notionでの学生フィードバック管理から、足場掛けとフェーディング、「生成AIっぽさ」問題、自作ポモドーロや紙と万年筆、論文を自動収集する自作システムまで、3人で持ち寄りました。 Chapters (00:00) 最近の動向:体調不良とワンオペ (04:44) 博士課程と教員、どっちがしんどい? (08:04) aburaのSPReAD採択と研究費エコシステム (17:31) メモリ高騰と大学のPC廃棄問題 (21:22) 本題「生産性向上」:Notionで学生フィードバック管理 (26:23) 足場掛け・フェーディングと、育成と効率のトレードオフ (34:45) 「生成AIっぽさ」問題:中身と体裁の分離 (44:03) アナログ術:自作ポモドーロ・紙と万年筆・ビジュアル思考 (48:09) 言語化しすぎない、「エモい」とメモ論 (51:47) 自作の論文収集システム・RSS・フィルターバブル Show notes SPReAD(AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業)… 文科省の研究費。1課題500万円以下・半年規模で約1,000件採択。2026年第1回は応募1.5万件超・採択456件=採択率約3%。aburaが採択。SPReADARiSE(AI for Science 革新的研究推進事業)… SPReADより大型の、チーム/共同研究向けのAI for Science事業(JST)。ARiSEJST SPRING/CREST/科研費(若手研究・基盤C)… 登場した研究費。SPRING=博士学生支援、CREST=JSTの大型チーム研究費、科研費=JSPSの若手研究・基盤C。Notion… ノート/データベース管理ツール。kunoriは学生フィードバックの管理(コメントと反映ステータスのDB化)に使用。Notion API×LLM APIで議事録から自動抽出する構想も。Notion足場掛け(スキャフォールディング)/フェーディング… 認知的徒弟制の一部。学習者を支える「足場」と、習熟に応じてそれを徐々に外していくこと。支援に頼りきると手続きが本人に残らない、という懸念とセットで語られる。ハーネスエンジニアリング… LLMの周りに組む足場(ツール実行・検証・ガードレール等)の設計。出力を説明・検証できれば中身はAIに任せてよい、という発想。Anthropicの解説視覚的思考者と言語的思考者… 絵で考える人と言葉で考える人、という認知スタイルの区別(koikeは自分を前者だと自覚)。ポモドーロ・テクニック… 25分集中+短い休憩を繰り返す時間管理術。koikeは優先度を「!」の数で表記するmd形式の自作タイマーを使用。ポモドーロZotero… 文献管理ツール。iPad等でPDFにハイライトしながらコメントを残すことで、あとでメモを一括出力できる。Zoteroエモい… 感情に名前を付けず、「感情が動いたこと(デルタ)」そのものを表せる言葉。考えている途中で言語化しすぎない方がよい、という話の中で。フィルターバブル… アルゴリズムが好みに合う情報ばかり見せ、視野が狭くなる状態。aburaは各誌のRSS/最新号を生成AIでパースする論文自動収集システムを自作。フィルターバブルメタ認知的怠惰(Metacognitive Laziness)… 第29回で扱った概念(Fan et al. 2025)

  6. 1 jul

    33. 回復に課金する

    今回はゆるい趣味・ガジェット雑談。Ep31. + 32.の収録後のおまけ回。最近はもっぱら「いかに回復してハッピーになるか」に課金しがち、という我々が、香水・ルームフレグランス、椅子とベッド、そして自作キーボード沼まで、買ったものを並べて語りました。 Chapters (00:00) ながら作業ができない(タクシー広告も消す) (02:44) 最近の趣味は「回復」と睡眠 (04:15) 香水・ルームフレグランス (07:59) 回復系プレゼントと研究室の椅子 (09:09) 椅子・ベッド沼(アーロン/エマスリープ/研究費の壁) (14:43) 自作キーボード沼とアーティザンキーキャップ Show notes ながら作業ができない… 二人とも、音や動くものがあると注意を全部そっちに持っていかれてダメ、というタイプ。タクシー後部座席の広告は左下の目のマークで消せる、という小ネタも。VALORANT(バロラント)/Masters London… RiotのタクティカルFPSと、その国際大会VCTの「Masters」。冒頭で話したのは2026年6/6〜6/21・ロンドン(Copper Box Arena)開催のMasters London。回復系への課金… 最近の趣味は、能動的に何かするより「いかに回復してハッピーになるか」。研究者同士のプレゼントも椅子や枕など回復系に偏りがち、というあるある。SHOLAYERED(ショーレイヤード)… aburaお気に入りの香水/ルームフレグランスのブランド。店頭の「香水ガチャ」(500円)や、フレッシュペア(梨)・シャンパンなど柔らかい香りが特徴。SHOLAYEREDエマスリープ(Emma Sleep)… koikeが京都赴任時に買ったマットレス(ベッドフレーム含めて、当時約18万(うろ覚え))。「まとまったお金ができたら真っ先に買え」と推す回復系の筆頭。Emma Sleepオフィスチェア沼(アーロン/エルゴヒューマン/シルフィー)… koikeが使ってきた・薦める椅子。本命はハーマンミラーのアーロン(メッシュ=骨盤への耐圧分散。ただしアメリカンサイズで体に合うか要注意、同メーカーのセイルチェアなら約99,000円のことも)。以前はエルゴヒューマン、体に合わなかったのがオカムラ シルフィー。※商売道具なのに、研究費だと10万円超の椅子が買えないというあるあるも。自作分割キーボード沼(Cornix/ErgoDash)… 親指側にキーが集まる分割キーボード。Emacs民の小指のつらさ対策にもなる。番組の「コルニクス」は完全無線・アルミ削り出しのCornix(Cornix LP)、もう一方は秋葉原で自作(はんだ付け/ホットスワップ)したErgoDash。アーティザンキーキャップ(Dwarf Factory)… 樹脂の手作りキーキャップ。ドラゴンやクジラ、クリスタル系など1個6000円〜。番組で言っていた「ドワーフファクトリー」はDwarf Factoryのこと。Emacs… 老舗のテキストエディタ。aburaはClaude Code(クロードコード)もEmacs上で動かしていて、一度離れかけたが生成AI時代にむしろ出戻った。GNU Emacs

  7. 28 jun

    32. アンドロイドは電気羊の夢を見たか

    今回はまるごと映画『ブレードランナー』回(※ネタバレを大いに?含みます)。きっかけは飲み会で勧め(られ)た『ブレードランナー2049』で、原作小説からレプリカント、恋人AI「ジョイ」、そして「本物とは何か」まで、AI研究者3人で語り倒しました。 Chapters (00:00) 原作『電気羊』とブレードランナー (05:49) ブレードランナー2049のあらすじ (11:57) 恋人AI「ジョイ」 (15:52) AIに人格を見出す時代とAI倫理 (17:54) SFが科学を駆動する(ドラえもんを作る) (19:44) 推しキャラ「ラブ」と寡黙な演出 (22:40) Claudeで読み解く/自己同一性とエマネーター (32:54) どっちから観る?本物とは何か Show notes アンドロイドは電気羊の夢を見るか… Philip K. Dick の1968年のSF小説で、ブレードランナーの原作。核戦争後のディストピアで、人間とほぼ見分けのつかないアンドロイドを描く。原作ブレードランナー(1982)/2049(2017)… リドリー・スコットによる映画化(1982)と、ドゥニ・ヴィルヌーヴによる30年後を描いた続編(2049/2017、約2時間44分)。今回は主に2049の話。レプリカントとタイレル社・ウォレス社… 人造人間=レプリカント。旧製造元タイレル社のNexus-6は4年の寿命付きで、フォークト・カンプフ検査(質問で共感反応を測る)で人間と見分ける。倒産後はウォレス社が引き継ぎ、寿命無制限のNexus-8や、従順に作られたNexus-9(主人公K)が登場する。「ブレードランナー」は逃げたレプリカントを“解任(処分)”する警察官の呼称。恋人AI「ジョイ」とエマネーター… 2049に出るウォレス社製のホログラム恋人AI(量産型)。普段は家の投影機から出られないが、持ち出し用の小型プロジェクター「エマネーター」で外へ連れ出せる。本体をサーバーに残すか機器に移すか、という“どこに自分がいるのか”の葛藤も描かれる。ラブ(Luv)… ウォレスの秘書兼・実行役のレプリカントで、koikeの推し。アンドロイドで唯一「名前」を与えられた存在として、その忠実さと、自分の拠り所がそれしかない空虚さの心理描写が見どころ。フェイブルとミトス(Ep.30の続き)… koikeが作品を、前回のAnthropicのモデルになぞらえた整理。従順に作られたウォレス製レプリカント=Fable、寿命無制限で“何でもできる”旧型Nexus-8=Mythos、という対応。SFが科学を駆動する:大澤博隆先生・大澤正彦先生… koikeが挙げた、AIとSFをつなぐ研究者2人(別人)。大澤博隆(慶應大教授、日本SF作家クラブ元会長)と、大澤正彦(慶應大卒・日本大学助教、『ドラえもんを本気でつくる』)。AIを恋人と思い込んだ末の自殺… aburaが触れた海外のニュース。AIチャットボットに恋人として強く依存した末に亡くなった事例で、中身はブラックボックスでもインターフェースがそれっぽければ人は人格を見出してしまう、という前回の話の延長として。2024年に米国で大きく報じられたCharacter.AIをめぐる10代の事例などを指すと思われる。本物とは何か:胡蝶の夢・水槽の脳・シミュレーション仮説… 「自分が見ている世界は本物か」を問う思考実験群。荘子の胡蝶の夢、Putnamの水槽の脳(1981)、Bostromのシミュレーション仮説(2003)。作品が突きつける主題そのもの。

  8. 25 jun

    31. 指導教員は推せるか

    前回の「公共性の高い人格」の続きから、気づけば107分。教員と学生の関係づくり、ブランディングと「推し」、見せ方(インターフェース)、AIに話を聞いてもらう感覚、音楽アワードと「一貫性」、そして成績評価の外部化や研究室のガバナンスまで、今回もkunoriを交えて延々と話しました。 Chapters (00:00) 「公共性の高い人格」と関係づくりのパターン (05:41) オン/オフ一体化、距離と摩擦のトレードオフ (07:41) 組織と個人の利益、自由度を縛る問題 (12:18) シラバス・事前合意と事前登録(プレレジ) (17:14) 平等と公平、単位=免許とマイクロクレデンシャル (20:49) ブランディングと「ファン」化 (27:53) インターフェース論:見せ方と「怖い・冷たい」 (37:40) AIメディエイテッドコミュニケーション(WOZ・チューリング) (42:07) ミュージックアワードと推しアーティスト (48:14) アーティストの「一貫性」と推し活=投資か感謝か (57:25) 教育・研究室を「推し活/後払い」で設計できるか (1:07:34) 変化を明示する責任と「プロトコル」 (1:12:46) 浅いファン・全肯定と、偶像を偶像のままに (1:19:58) 成績評価の外部化と外部監査・PhD (1:27:43) 頑張りか成果か、分野ごとの評価としつけ (1:34:52) 講座制と心理的安全性 (1:40:22) 三権分立・組織論とチームの実行力 Show notes 公共性の高い人格… 前回からのキーワード。人前に出る立場(教員・芸能人など)ほど人格の「公共性」が上がり、逸脱しづらく人間味も出しづらい。今回の出発点。関係づくりの型(家族・教祖・推し)… 学生と信頼を築く形態の呼び分け。家族(第二の親)/教祖と信者/インフルエンサーとファン。事前登録(プレレジ / preregistration)と OSF… 研究のリサーチクエスチョンや分析手続きを始める前に登録し、後出しのPハッキング・HARKingを防ぐ仕組み。代表的なプラットフォームが OSF(Open Science Framework)。平等(Equality)と公平(Equity)… 全員に同じ踏み台を配る(平等)か、背の低い人ほど高い踏み台を配る(公平)か、というフェンス越し観戦の図でおなじみの対比。前回の「個別最適と公平」の続き。デザイラブル・ディフィカルティ(望ましい困難)… 学習者がちゃんと伸びる“ちょうどよい難しさ”。認知心理学者 Robert Bjork が提唱。Desirable difficultyマイクロクレデンシャル… 学士・修士より細かい粒度で能力を認証する仕組み。電子バッジ(Open Badges)としてMoodle等で発行・配信する。落合フォーマット(落合陽一)… 筑波大・落合陽一先生が公開している論文の読み方・授業運営。難易度を学生が選べる「仏/人間/鬼コース」が知られる(番組の「ハード/優しいモード」はこれ)。Digital Nature GroupAIメディエイテッドコミュニケーション/WOZ法… AIが書いた(とされる)返信ほど「聞いてくれてる感」が出るのに、AIだと分かると評価が下がる、という研究。中身は人間が操作してAIに見せる(逆も)ウィザード・オブ・オズ法で検証する。Liu et al. 2022 (CHI)/Hohenstein et al. 2023。関連して中国語の部屋(Searle)・チューリングテストも。ミュージックアワードジャパン(2026)… 2025年に始まった「グラミー賞の日本版」(公式)。第2回の主な受賞は、最優秀アーティスト=ミセスグリーンアップル(2連覇)、最優秀楽曲=サカナクション「怪獣」、ヒップホップ/ラップ=クリーピーナッツ、ニューアーティスト=HANA、アジア楽曲=HUNTR/X「Golden」。※収録ではkoikeが米津玄師「IRIS OUT」をアジア楽曲賞でGoldenと競ったと話すが、IRIS OUTは同賞のノミネートではなく別部門(最優秀J-POP楽曲ほか)受賞で、直接対決ではなかった。HANA… ちゃんみな(CHANMINA)プロデュース、オーディション「ノーノーガールズ」発の7人組(2025年デビュー、デビュー曲「ROSE」)。HANA。※収録の「ちゃんみん」は正しくは「ちゃんみな」。K-POPデーモンハンターズ「Golden」… Netflixの2025年アニメ映画の劇中グループ HUNTR/X(ハントリックス)の曲。Billboard Hot 100/Global 200で1位、Netflix史上最多視聴の世界的ヒット。Golden一貫性と推し活=投資か感謝か… 「音楽性が変わった=一貫性がない」批判をめぐる論点。推し活は事後の対価(お布施)か、投資か。受け手と払い手で“契約”が食い違うと不満になる。ウェブ小説の「作者買い」も同じ構図。教育=後払い(お布施)… 研究室教育は事実上の後払い構造(学生の頑張りが研究費・業績として後で返る)。だから配属前の授業が効く、「最高に面白い授業をやれ」という結論に。プロトコル(コミュニケーションのプロトコル)… aburaの言い換え。「インターフェース」も「一貫性」も、どんな入力にどんなアウトカム/エフォートが返るか=契約可能か、という話。講座制と心理的安全性… 主評価者(ボス)が優しく、評価権のないサブが厳しいことを言える指導体制。サブが厳しい分には上位者がケアでき、心理的安全性を保ちやすい。インパクトファクター/Q1・Q2ジャーナル… 雑誌の影響度指標と、その四分位ランク。番組では「専門家の中ではQ区分より中身で評価される」という文脈で登場。

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Submits.life(サブミッツ・ライフ)は、ヒトの学びをAIで支援する研究者たちが、論文を投稿しながら生きる日々の中で感じたことや考えたことを話すPodcastです。研究室のふとした雑談、ときにはゼミのような熱量で、AIとヒトの知性をめぐる大きな話から、研究・教育・暮らしの小さな気づきや悩みまでゆるく話します。 私たちの研究分野は知的学習支援システム(Intelligent Tutoring Systems, ITS)。 一人ひとりに合わせた学習支援をAIで実現する、すなわち「賢い家庭教師をコンピュータで作る」学際的な研究です。 (出演) koike: 博士(工学)・大学教員。専門は「柔軟な問題解決」と「システム設計知の汎化」。 abura: 博士(情報学)・大学教員。専門は「メタ学習支援」と「わかったつもり」。 kunori: 博士学生。専門は「創造性」と「思考の振り返り」。 --- おたより(フォーム): https://forms.gle/m5yYXQmUWfL3qx7Q6 おたより(メール): submit [at] submits.life Webサイト: https://submits.life/