残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

kotaro zamma

イノベーションで世界をよりよく変えていこう、という闘う人々を応援するチャネルです。スタートアップや大企業、音楽家やアーティストなど、様々なイノベーターのビジョン、考え方、パッションを是非是非、全身で感じてください!

  1. 9h ago

    創造的活動が創造性を高めるノベーション(1950回)

    詩人、作家だけでなく、歌手、ダンサー、俳優、舞台演出、ジャーナリスト、教育者など、非常に多くの表現活動を行い公民権運動にも関わり、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやマルコムXとも仕事をされていたマヤ・アンジェロウさんの言葉から、創造性について、いろいろ考えさせられました 曰く、 「創造性は使い果たすことができない。使えば使うほど、もっと増えていく。」 ここから、私は思いました。 1、量が創造性を高める 2、量だけではない、開放性が鍵 3、開放的な行動が、開放性を高める 1、量が創造性を高める 創造性研究では、アイデアを多く出す人ほど、優れたアイデアに出会う可能性も高まることが示されています。 これは「Equal-Odds Rule」と呼ばれる考え方とも重なります。 最初から完璧な一案を狙うのではなく、量を増やすことで、優れたアイデアに出会う可能性が高まる。 マヤ・アンジェロウさんの言葉と重なるところがあります。 しかし、 「ならば、100個出せばいいのでしょうか。」 どうも、それほど単純ではなさそうです。 2、量だけではない、開放性が鍵 2019年、マーティン・フリース=オリヴァリウス、ボー・T・クリステンセンは、154人の大学院生を対象に、身近な物の新しい使い方を考えてもらう研究を行いました。 そこで注目されたのが、 「経験への開放性」です。 研究では、開放性が高いほど、 アイデアの量と平均的な創造価値との正の関係が強くなりました。 著者らは、開放性の高い人ほど、多様性や新奇性を解決策に取り込んでいる可能性を論じています。 つまり大切なのは、 100個考えることだけではなく、その間に新奇性や多様性を取り込めているか。 これは、普段から、違う意見や、知らない技術に出会ったとき、「それは違う」ではなく、 「それは何だろう」と一旦開いてみることをしているか 常日頃から新奇性や多様性を取り込めるクセがついているか そのあたりに、量をさらに創造性につなげる鍵があるのかもしれないなあと思いました。 3、新しい行動が、開放性を高める では、開放性はもともとの性格で決まってしまうのでしょうか。 Stiegerらの人格変容研究では、日常の中で具体的な行動を意図的に変えていくことで、人格特性が望む方向へ変化する可能性が示されています。 ポイントは、 「もっと開放的になろう」と考えるだけではなく、実際に新しい行動をすることです。 たとえば、普段とは違うことを試してみる。新しい経験に意識的に触れてみる。新しい考えに出会ったとき、すぐに否定せず一度向き合ってみる。 開放性があるから、新しいことをする だけではなく、 新しいことを実際にやってみることで、開放性そのものも育つ可能性がある。 つまり、開放的な人でなくても、何か創造的な活動をしていなくても 後天的に、人は誰もが、創造性を高めていける可能性があと言うことだと思いました。 自分として、もっと創造性を高めたいなら、 開放的な行動を心がけて、そして、たくさん創造的な活動をしていくこと 一言で言えば 創造的活動が創造性を高めるノベーション そんな話をしています 参考 ・マヤ・アンジェロウ(1982)『ベル・テレフォン・マガジン』インタビュー ・モーテン・フリース=オリヴァリウス、ボー・T・クリステンセン(2019)「完全に等しい確率ではない――経験への開放性は、発散的思考におけるアイデアの量と質の関係を調整する」『フロンティアズ・イン・サイコロジー』第10巻、355 ・ミルヤム・シュティーガー ほか(2021)「デジタル人格変容介入の支援によって人格特性を変える」『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』第118巻第8号

    創造的活動が創造性を高めるノベーション(1950回)
  2. 1d ago

    制約を楽しもうノベーション(1949回)

    芸術家のフィル・ハンセンさんのTED講演「Embrace the shake」に、心が震えました。 彼は点描画に没頭していた頃、手に震えが生じ、神経の障害によって、それまでのように描くことが難しくなりました。 一度は芸術から離れますが、その後、「震えをなくす」のではなく、「震えを受け入れる」方向へ発想を転換します。 そして、震えそのものを作品づくりに取り込み、新たな表現を次々と生み出していきました。 講演の中で、ハンセンさんはこう語っています。 「震えを受け入れる事は芸術やテクニックだけの問題ではないからです。それは人生や生きる技術に関係していたのです」 そして、 「限界を創造性の源ととらえることで私の人生は変わりました」 さらに、制約について考えることは、マンネリから抜け出し、カテゴリーや一般に認められた規範そのものを問い直すことにつながると語り、最後にこう投げかけます。 「制約を楽しもう」 ここから私は、3つのことを思いました。  1、誰にでも制約は必ず訪れる 2、制約は創造の源である 3、制約を楽しむために 1、誰にでも制約は必ず訪れる フィル・ハンセンさんにとって、それは手の震えでした。 しかし、私たちにも、いつか必ず制約は訪れます。 例えば「老い」。 若い頃にはできたことが、できなくなることもあります。 そんな時、 「昔のようにできれば」 と、失ったものだけを見るのではなく、 「今の自分だからできることは何だろう」 と問い直すことができるのではないでしょうか。 制約をなくしてから人生を始めるのではなく、 制約のある自分から、もう一度始める。 そんな生き方もあるのだと思いました。 2、制約は創造の源である 制約は、その人だけの「個性」につながることもあるのではないかと思います。 例えば、福島智さん。 福島さんは、視覚と聴覚の双方を失う中で、「指点字」というコミュニケーション方法と出会い、人とのつながりを広げ、研究者としても活動されてきました。 もちろん、失うことや不自由そのものを美化することはできません。 しかし、 失ったものだけを見るのか。 それとも、 その経験によって得た、自分だけの視点から何ができるかを考えるのか。 そこには大きな違いがあると思います。 人と違う条件。 人と違う経験。 人と違う不自由さ。 それは弱さであると同時に、 まだ誰も持っていない「問い」を持っている ということでもあるのかもしれません。 新興国国で起こるリバースイノベーションも、インフラが整っていないからこそ、起きるイノベーションの一つと思います たとえば、電気を使わなくても、気化熱で冷える冷蔵庫が、今度は、先進国の被災地域で使われたりする 制約は、多様性につながる。 そして多様性は、新しい創造の入口になる。 だから私は、 制約は創造性を奪うものではなく、創造性にその人だけの形を与えるものなのではないか と思いました。 3、制約を楽しむために とはいえ、 「制約を楽しみましょう」 と言われても、簡単ではありません。 苦しいものは苦しいし、怖いものは怖い。 だから最初から、制約を好きになる必要はないと思います。 まずは、 その制約の中で、一歩だけやってみる。 ハンセンさんも、震えがなくなってから芸術を再開したのではありません。 震えのある自分のまま、新しい表現を探し始めました。 そして、むしろ、さまざまな制約をあえて、自分に課すことによって、新しいイノベーションを起こそうとさえしています 制約がイノベーションを起こす種なのであれば、どんどん制約をつけることによって、もっと面白いイノベーションが起きるのではないかと、楽しむ方向へ持っていく また、もう一つ大切なのは、 一人で制約と闘わないこと ではないでしょうか。 自分では「できない」と思っていることを、 仲間が、 「こんなやり方もあるんじゃない?」 と見せてくれることがあります。 自分には欠点にしか見えないものを、 誰かが、新しい可能性として見つけてくれることもあります。 制約を楽しむとは、 制約そのものを無理に喜ぶことではなく、 制約の中にも残されている可能性を、仲間と一緒に探し続けること さらには、あえて制約をつけることで、新しいイノベーションの種を見つけにいくこと なのかもしれません。 人生には、これからも制約がやってきます。 できなくなることもある。 失うものもある。 思い通りにならないこともある。 そんな時、 「なぜ、こんな制約があるんだ」 だけではなく、 「この制約があるからこそ、何が生まれるだろう?」 と問い直してみる。 制約をなくしてから始めるのではなく、 制約があるからこそ始まる創造もある。 「今を楽しもう」ではなく、 「制約を楽しもう」 そんな世界をつくっていきたいなあと思いました。 一言ていうと 制約を楽しもうノベーション。 そんな話をしています 参考:Phil Hansen, “Embrace the shake,” TED2013, February 2013 TED公式「Phil Hansen: Embrace the shake」https://www.ted.com/talks/phil_hansen_embrace_the_shake

    制約を楽しもうノベーション(1949回)
  3. 2d ago

    誰が取り残されているかノベーション(1948回)

    台湾のデジタル大臣を務め、現在はデジタルガバナンス担当大使を務めるオードリータンさんに、スタートレックのバルカン星人の挨拶の深さを教えて頂きました 曰く "私はいつもある言葉で締めくくるようにしている。 コロナ禍にその習慣を始めた“長寿と繁栄を" という言葉だ 後になって考えたが"長寿”とは持続”であり "繁栄”とは”発展”のことでもある 誰が勝っているか”ではなく、“誰が取り残されているか”を問うのだ それは全く異なる問いかけだ "持続"や"維持"を目指すのであれば誰一人として取り残さないことが重要 つまり、皆が共に繁栄しなければならない しかしAIや宇宙開発の競争に明け暮れていると、ただ勝つことだけが目的になり他者が置き去りになってしまう だからこそ”長寿と繁栄を”という言葉や、バルカン人の挨拶は、共に長く生き、繁栄する大切さを私たちに思い出させてくれると思う" ここから私は思いました 1、長寿とは、共に持続すること 2、繁栄とは、共に発展すること 3、勝つことの、その先を問う 1、長寿とは、共に持続すること 私はスタートレックのミスタースポックがとても好きでしたので、このバルカン星人の挨拶と、中指と薬指を離すポーズは、私もよく真似をしていました バルカン星人は、争いで滅びかけた歴史があり、それを「論理」と「統制」によって、制御する文化を築いた設定だったと思います そんなバルカン星人を象徴する言葉として「長寿と繁栄を」という挨拶に、こんな深い意味の読み方があったのかと、改めて感動しました 一つは、「長寿」という言葉を、人の寿命だけではなく「持続」と捉えること まさに今は、地球自体の持続的継続について、たくさんの議論が行われていると思います 企業も、社会も、技術も、本当に難しいのは、それが長く続いていくことだと思います 仏教の教えのように、全ては縁起で繋がっているということなのだと思います 人間も地球という自然の一部だとすると、長寿するためには、地球自体が持続しなければ、それはなしえないことなのだと思います つまり、地球全体を含めて、共に、生きる形を生み出す必要がある。 そいうことかと改めて思いました 2、繁栄とは、共に発展すること 長寿という持続とともに、言われているのが「繁栄」という言葉です 「繁栄」というと、1企業の視点からすると、競合に打ち勝つ、ということで繁栄していくという面がどうしても出てきてしまうと思います Winner takes allと言われたり、弱肉強食と言われる面も確かにあるように思います しかしこれも、それを長く続けることに重みを置くのだとすると、必ず栄枯盛衰が来るということは、歴史が教えてくれている気がします 近江商人の「三方よし」ではないですが、自分よし、お客よし、世間よし、という形を作れないかぎり、繁栄の継続もうまくいかないのだということかと思いました 3、勝つことのその先を問う そう考えると、バルカン星人の挨拶である「長寿と繁栄を」という言葉の意味は 「持続的継続」と「共存的繁栄」という、まさに、バルカン星人が、滅びかけた文明からの、大きな知恵としての鍵なのかもしれないと思いました だとすると、最も、重要な問いは 「誰が勝っているか」ではなく、「誰が取り残されているか」 ということになるのだなあと腹落ちした思いでした それこそが、「共に持続すること」と「共に繁栄すること」を支える、最も重要な問いとなる 競争をなくすのではなく、競争の先に何を残すのか。 勝者を生み出すだけでなく、社会全体が次へ進めるイノベーションになっているか。 問いを変えることで、イノベーションの向かう先も変わる。  そんな大切な視点をいただきました ということで一言で言うと 誰が取り残されているかノベーション そんな話をしています 参考:NHK  午後LIVE ニュースーン ITの天才 オードリー・タン インタビュー 8月26日(水)  https://www.web.nhk/tv/pl/schedule-tep-g1-130-20260826/ep/18G2VY96P7?startOffset=715

    誰が取り残されているかノベーション(1948回)
  4. 3d ago

    人生を笑い飛ばすノベーション(1947回)

    ブロードウェイミュージカル「シカゴ」30周年記念公演を観させて頂き、本場の迫力に圧倒されたとともに、人生を生き抜くヒントをいただいた気がしました シアターオーブホームページからのストーリーより ”1920年代のジャズ全盛時代、イリノイ州シカゴ。不倫を重ねていた夫と妹を殺した元ナイトクラブ・ダンサー、ヴェルマ・ケリーが収監されている監獄に、新顔がやってくる。 彼女の名はロキシー・ハート。冴えない夫エイモスに飽き飽きしている女優志願の人妻ロキシーは、自分を捨てようとした愛人フレッド・ケイスリーを殺害したのだ。 悪徳敏腕弁護士ビリー・フリンの力でメディアの注目を一身に集め、スターとなっていたヴェルマに負けじと、ロキシーもビリーを雇ってマスコミを利用し、正当防衛の“悲劇のヒロイン”として一躍メディアの寵児になっていく。" 東急シアターオーブの公式サイトでは、『シカゴ』を「実話を基にした二人の悪女のスキャンダラスな物語」と紹介しています ここから私は思いました 1.生き抜く力 2.物語の力 3.人生を笑う力 1.生き抜く力 『シカゴ』に登場する人たちは、決してきれいごとだけでは生きていません。 追い込まれれば、知恵を使う。人を頼る。時には、自分自身さえ演じる。 もちろん、そのすべてを肯定するわけではありません。 それでも私は、その姿から、 人間が「生きたい」と思ったときに発揮する、ものすごいエネルギーを感じました。 これは、イノベーションリップルモデルにおける、パッションの源とあい通じるものがあると思います 逆に言えば、新規事業や、イノベーションを立ち上げるときに、「これを何としても実現したい」と思えるほどに 自らのパッションを熱くすることができているか もちろん、そんなふうに自分を追い込まないとうまくいかないというわけではありません でも、何かを成し遂げようと思う際には、特に、これまで誰もなし得ていないことを成し遂げようと思う際には それぐらいのパッションの熱さがあるか、と問われているような気がしました 2.物語の力 このお話は、すべて事実ではありませんが、実話をもとにしたお話と言われています 先のストーリーで紹介されている通り、殺人を犯したはずのヴェルマは、悪徳敏腕弁護士ビリーの力で、いつの間にかメディアのスターに登りつめていきます ここに、人間の物語を紡ぐ力と、心を動かす物語を信じてしまう性が、とてもよく描かれていると思いました 歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリさんは、『サピエンス全史』の中で、 「フィクションは、私たちに単に物事を想像する力を与えただけではない。それを共同で想像することを可能にした」と述べています。 人間は、一人で物語を想像するだけではなく、同じ物語を多くの人と共有することによって、現実には存在しないものさえ社会を動かす力に変えてきたというのです。 『シカゴ』を観ていると、まさに、この『物語が人を動かす力』の怖さと凄まじさを、まざまざと見せつけられた気がしました 悪用することは厳禁としても、イノベーションや、自分が進めたいことを、本当に実現するためには、この「物語の力」を味方につけることができるか、とても大切だなあと思いました 3.人生を笑う力 そして、私が『シカゴ』を観ていて最も魅力を感じたのは、 こんなにも重い題材を扱っているのに、 とにかくエンターテインメントとして楽しい ということでした。 人間の欲望も、嫉妬も、失敗も、悲劇も、 歌になり、踊りになり、笑いになっていく。 もちろん、悲劇そのものを軽く扱っているわけではありません。 むしろ、 人生のどうしようもなさまで引き受けたうえで、それでも笑ってみせる。 そこに、人間の強さがあるように思いました。 以前、満島ひかりさんの言葉として「人生は茶番よ」という言葉を紹介したことがありますが、今回の『シカゴ』を観ながら、その言葉をふと思い出しました。 人生には、どうしても避けられない失敗や挫折があって、起きてしまったことを、なかったことにはできない でも、それをどう意味づけるのか。どう語り直すのか。そして、いつの日か笑って語れるものにできるのか。 そこには、人間にしかできない創造があるように思います。 失敗を消すのではなく、失敗から新しい意味をつくる。悲劇を悲劇のままで終わらせず、次の物語へと変えていく。 『シカゴ』の底には、 人生は思い通りにならない。 それでも、生きる。 そして、最後には笑ってみせる。 そんな、したたかで強い人間賛歌が流れているように感じました。 一言でいうと、人生を笑い飛ばすノベーション。 そんな話をしています。 参考:東急シアターオーブホームページ 講演LINEUP  ミュージカル『シカゴ』30周年記念来日講演サイトhttps://theatre-orb.com/lineup/26_chicago/ シカゴホームページ https://chicagothemusical.jp

    人生を笑い飛ばすノベーション(1947回)
  5. 4d ago

    解くべき問題ノベーション(1946回)

    今のコンピュータメモリ、通信、デジタル技術につながる「誤り訂正符号」の基礎を作った人物の一人である数学者リチャード・ハミングの講演「You and Your Research」を通じて、イノベーションのあり方について考えさせられました。 曰く、 “If you do not work on an important problem, it’s unlikely you’ll do important work.” 「重要な問題に取り組まなければ、重要な仕事をすることはまずない。」 しかしハミングは、単に大きな問題に挑戦しろと言っているわけではありません。 “It’s not the consequence that makes a problem important, it is that you have a reasonable attack.” 「結果の大きさが問題を重要にするのではなく、合理的な攻め方があることが重要なのです。」 ここから、私は三つのことを思いました。 1、重要な問題とは何か? 2、合理的な攻め筋とは何か? 3、なぜ重要な問題に取り組めないのか? 1、重要な問題とは何か? 我々がイノベーションへ取り組む際に、この問いはとても重要だと思いました 果たして、我々が取り組んでいる問題は、重要な問題なのか? それを考える時に大切なのは、もしその問題が解けたとして、どんな素晴らしいことが待っているのか、それをあらかじめ考えておく、ということなのかもしれないなと思いました よくあるのは、まずはやってみなければわからないじゃない みたいな話で、目の前の課題を解決することから、行動することが大事、という話を聞くこともあります とにかく行動してみる、ということは、悪いことでは全くないのですが、その先のゴールがなんなのか?を最初に考えておくことがとても大事だと思います 我々が目指している世界は、こういうことなんだ、これができたら、こんなに素晴らしい世界が生まれるんだ、そしてそれは、たくさんの人たちを喜んでもらえるものになるはずだ ということを、少なくとも、どんな世界が開ける、その第一歩をやっている、というように考えておくことがとても大事だと思います 私がいつもお話しする、イノベータリップルモデルにおける”パッション”から始まって、”仲間”と共に、誰かが喜んでもらえるものを作る、という最後の”大義”があるかどうか 実は、そこまで考えて、自分自身が今やっていることを、意識している人というのは、少ないような気がしました 自分がとくべき重要な問題はなんなのか?常に問い続けることが大事だと思いました 2、合理的な攻め筋とは何か? しかし、重要な問題なら何でも取り組めばいい、というわけでもありません。 ハミングは、タイムトラベルやテレポーテーション、反重力などを例に挙げています。 実現すれば、とてつもないインパクトがあるけれども、そこに合理的な攻め方がなければならない。 これは、言い方を変えれば、それは解ける問題なのか?(今ではなくとも)という問いなのかもしれないなあと思いました 社会課題と言われているものが、10年前も変わらずにあり続けるというのは、実は、合理的な攻め筋が見えていないのかもしれないなあと思います イノベーションや、何かのテーマの時に、自分として取り組む際に、とても大きな問題なのだけれども、果たしてそれは解ける問題なのか?という問いを自分にすることも、とても大事だと思います 永遠の社会課題や、引用にある通りの、今の技術から考えて、到底実現できると思えないもの、道筋が見えていないものは、 だからといって、道筋が完全に見えていなければ取り組むべきではない、ということではないと思います。 大切なのは、「この方向からなら何かが見えるかもしれない」という、自分なりの攻め口、仮説を持てるかどうかなのだと思いました。 だとすれば、それを、最初に見抜くことが大事だと思いました。もしろん、正解である必要はなくて、この攻め口なら、ヒントが見つかるかもしれない、そんな仮説が立てられるものではないといけないと思いました 3、なぜ重要な問題に取り組めないのか? ハミングさんが調べたところによると、実は、重要な問題に取り組んでいる人ばかりではなかった、というところに、イノベーションや研究の難しさがあるのかもしれない、と思いました イノベーションで言えば、実は、それが重要な問題なのかどうかでさえ、わかっていない、ということがたくさんあるのではないかと思いました つまり、目の前にある解きやすい問題についつい取り組んでしまう、それは裏を返せば、重要な問題を突き止められていないから、そうせざるを得なくなってしまっている、ということも言えるかもしれないと思いました 重要な問題を突き止めるということが、実は、最も重要にもかかわらず、そう簡単にはできないこと、だからだと思います だからこそ、ジョンキーツさんが言われるところの、ネガティブケイパビリティのように、重要な問題がわからなくとも、とにかく、真の課題が突き詰められるまで、問い続けることができるか それは、特に、期限が決まっているプロジェクトなどだと、本当に苦しい戦いになります まずは、小さな成果でもいいから、成果を見せないと、何をしていただんだということになってしまう しかし、それを繰り返していたのでは、本当のイノベーションや研究は起こすことができない 最後は、自分自身が、納得して、これは、とても重要な問題なのだ、と言えることを目指すということなのかもなあと思いました それは、本当にとくべき問題なのか これは、ある意味、一生を左右することもあるかもしれない それほど、重要な問いであると、思いました 一言で言えば、 解くべき問題ノベーション そんな話をしています 参考:Richard Hamming「You and Your Research」(1986年3月7日、Bell Communications Researchでの講演)

    解くべき問題ノベーション(1946回)
  6. 5d ago

    さ・か・さにするノベーション(1945回)

    歌手の加藤登紀子さんの言葉に、人生の考え方のパラダイムシフトを教えて頂きました。 曰く、 「逆さの学校という本を書いたんですけど、ヒントはね、砂時計。 砂時計はずっと一定程度時間がすると止まっちゃうでしょ。止まっちゃうんです。 でやっぱり、ぎゃって、逆さにしないと新しい時間が始まらないじゃないですか。 あれをふと思った時に、このね、じゃあ誰が逆さにするかですよね?」 ここから私は思いました。 1、砂時計は落ちても終わりじゃない 2、逆さから見ると、常識が壊れる 3、逆さにできるのは自分だけ 1、砂時計は落ちても終わりじゃない 砂時計はこれまで、人生の有限性を表す象徴として語られることが多かったように思います。 でも、加藤登紀子さんから、人生の見方をひっくり返す、大きなパラダイムシフトを教えていただきました。 砂時計は砂が全部落ちたら終わるけれども、 どっこい、終わらない方法がある。 それは、逆さにすれば、同じ砂から、また新しい時間が始まる。 人生は、ただ残り時間が減っていくものではない。 行き詰まった時、何かが終わったように見えた時、 もう先がないと思った時などなど 実は、向きを変えれば、そこからまた新しい時間を始めることができるのだと。 「限りある人生」から、 「何度でも始め直せる人生」へ。 砂が落ち切ったことは、終わりではない。 もしかすると、それは、次の時間を始める合図なのかもしれません。 私は、この反転に、とても大きな希望を感じました。 2、逆さから見ると、常識が壊れる では、「逆さにする」とは何だろうと、考えた時に、私は、物事を見る向きを変えることなのかなあと思いました 物事は、実は、見方によって、真実と思われていたことでさえ、全く逆の景色が見えてくることがある 例えば、うんちを踏んだ時に、『なんてついてないんだ』と思うのか、『いや、運がついた』と思うのか。同じ出来事なのに、見方ひとつで景色が180度変わることもあります 何か、壁にぶち当たった時に、あ、そうだ、砂時計を逆さまにしてみよう、こう思えるだけで、もしかしたら、新しい光が見えてくるかもしれない イノベーションの世界では、よく逆転の発想と言いますが、それによって、たくさんの課題が一気に解決することがあります とはいえ、常日頃バイアスに塗れている自分には、いつどうやるの?というふうに思います しかし、加藤さんのお話を聞いて、困った時や、終わったと思った時にこそ、自分の中のイメージの砂時計をひっくり返すことを思い出す 自らのバイアスを壊す、スイッチになるかもしれないなと思いました 3、逆さにできるのは自分だけ そして私は、加藤登紀子さんの最後の一言が、一番大切なのではないかと思いました。 「じゃあ誰が逆さにするかですよね?」 砂時計は、ひとりでに逆さにならない 自分の砂時計は、自分じゃないと誰にもひっくり返すことができない それがとても難しいことだなあと思いました まずは、砂時計が落ち切ったことに気が付かなければならない そして、それで、全てが終わったということではないかもしれない、と気が付かなければならない それは、誰も助けてはくれない 様々なバイアスや、もしかしたら他人からの批判、誰も賛成してくれないことなのかもしれない でも、最後にひっくり返す決断だけは、誰かに代わってもらうことはできません そこには、ほんの少しの勇気と、それでも立ち上がろうとするパッションが必要なのかもしれなあと思いました でも、それをするという選択肢がある、ということを、忘れないようにしておく、心の隅っこに留めておく それだけで、もしかしたら、暗闇の茨の道を照らす一筋の光になるかもしれないなと思いました イノベーションの世界は、まさにそんなことの連続なのかもしれません それでも、自らのパッションに基づいて、何度も砂時計をひっくり返しながら、仲間と共に、大義を実現していくことを諦めない 自分で勇気を持って逆さにした瞬間から、新しい時間が始まる。 人生は、実は、残された砂が減っていくことだけではない。 人生は、自らの意思で砂時計をひっくり返し、何度でも新しい時間を始めていくこともできる。そんな勇気をいただきました。 一言でいうと、さ・か・さにするノベーション。 そんな話をしています。 参考: 第 2485 回 「さ・か・さ」の学校 歌手 加藤登紀子 テレビ静岡 https://www.sut-tv.com/program/terakoya/backnumber/single/index.php?id=438

    さ・か・さにするノベーション(1945回)
  7. 6d ago

    リキッドネットワーク・ノベーション(1944回)

    科学やテクノロジー、イノベーションについて数多くの著作を持つアメリカの作家 スティーブン・ジョンソンのTED講演「良いアイデアはどこで生まれる?」を通じて、イノベーションのあり方について考えさせられました。 曰く "心理学者のケビン・ダンバーは、良いアイデアが実際にはどこで生まれるのかを調べるため、研究者たちの仕事を観察しました。'' "研究者が顕微鏡に向かっているときだけでなく、同僚と話しているときや、研究室の会議で議論しているときの様子も記録したのです。" "そこで明らかになったのは、私たちが抱いている「ひらめき」のイメージとは異なるものでした。" "重要な飛躍的アイデアの多くは、研究者が一人で考え込んでいるときではなく、毎週開かれる研究室の会議で生まれていたのです。” ここから、私は三つのことを思いました 1、閃きは人との対話で生まれる 2、未完成のアイデアを掛け合わせる 3、流動的ネットワークをいかに構築するか 1、閃きは人との対話で生まれる 歴史に名を残している発明家は、何か1人の天才的な閃きから、生み出されていると思いがちな気がしていました しかし、ダンバーさんの観察では、重要なアイデアの多くは、一人で顕微鏡に向かっているときではなく、研究室の会議で生まれていました。 もちろん、お一人で閃かれている人もおられるのかとも思いますが そう考えると、実は1人の天才を育てたり、獲得してくることも必要ですが たくさんの人たちが集いながら、対話が生まれる環境づくりということが、もう一つ、発明やイノベーションを起こす手段として、重要なのかもしれないという気づきをいただきました 2、未完成のアイデアを掛け合わせる オープンイノベーションというと、スタートアップ企業が推進しているビジネスを発表して そして、そのビジネスをさらなる成長へ導きながら、自社も成長できる大企業とマッチングをしていく、というのが主流な気がします 今回のお話から、アイディア創発をするための、オープンイノベーションというものがあってもいいのかもしれないなと思いました それは、完成したビジネスモデルとのマッチングを目指す場ではなくて 未完成なビジネスモデルや、まだアイディアレベルのお話や、こなれていない技術、または、試行錯誤してきた失敗の話など そんな人たちのお話が入り乱れることによって、そこから、新しいアイディアやビジネスや技術が生まれていく、または、ブラッシュアップされていく そんなオープンイノベーションの場こそ、爆発的なイノベーションを生む仕掛けの一つとして、もっとあってもいいのかもしれないなあと思いました 3、流動的ネットワークをいかに構築するか ジョンソンさんは、さまざまなアイデアが集まり、立場や関心の異なる人たちが互いに意見を交わす環境を、「流動的(リキッド)ネットワーク」と呼ばれていました 17〜18世紀のイギリスのコーヒーハウスが、実はそんな場だっだった、とも言われていましたが、現在のカフェとはずいぶん違うものだなあと思います また、現在のオープンイノベーションの場や、コワーキングスペースや、閉じられているコミュニティとも違う気がする 多様なアイディアや思想や技術を持っている人たちが、未成熟なものを自由に語り合いながら、セレンディピティの出会いと、掛け合わせのアイディアが生まれるような場所 その場所に入るためには、必ず自分なりの未成熟なアイディア技術、失敗談などを持っていくことが、唯一の入場券 年齢や役職や社会的地位などは、一切関係のない、メンターに相談するのとも違って、自分のアイディアを話したくてうずうずしている人たちが集うところ そこから何が生まれたかなんて、成果をはかりようもないし、誰もそんな成果を求めていない、ただ面白いと思う人だけが集う、しかもオープンに人を迎え入れるところ そんなところを作ることができれば、アイディア自体を、オープンイノベーションで、創発できる、面白くてワクワクする場ができたらいいなあと思いました 「どうすれば、人と人のあいだで未完成のアイデアが流動し、掛け合わされる環境をつくれるか」 一人の天才を探したり育てたりするのではなく、普通の人たちの知識や経験が出会い、誰も一人では思いつかなかったものが生まれる状態をつくる。 イノベーションとは、人の能力だけの問題ではなく、人と人の「あいだ」をどう設計するかという問題なのかもしれないなあと思いました 一言でいうと、リキッドネットワーク・ノベーション。 そんな話をしています 参考: TED日本語 - スティーブン ジョンソン: 良いアイデアはどこで生まれる?https://digitalcast.jp/v/12158/?utm_source=chatgpt.com

    リキッドネットワーク・ノベーション(1944回)
  8. Aug 21

    シンクアウトサイドボックス・ノベーション(1943回)

    シェア90%を超えるともいわれる、高性能半導体向けの層間絶縁材ABFの開発を牽引された味の素社長、中村茂雄さんの言葉にイノベーションの真髄を感じました。 曰く、 「まずこのABFの開発でですね、よく聞かれたのが、なぜ食品会社でこんなにいいものが作れたんだ、という質問なんですね。 実はこの電子材料の領域で、この層間絶縁材というのは非常にたくさん使いますので、室温でしか保管してくれなかったんですよね。 直射日光が当たらない倉庫に保管するっていうのが当時の常識でした。私が開発した材料っていうのは室温で3日間しか持ちませんでした。冷凍保管必須です。 私どもは冷凍食品部門を持ってましたので、物流的にも倉庫的にもですね、冷凍というハードルがまずあまりなかった」 そして、 「ここで必要とされてたのは性能だったんですよね。 基板メーカー様も、冷凍庫も冷蔵庫も導入してくれまして、室温で2日で使い切るプロセスを作ってくれました。 今では層間絶縁材のそれが常識になってます。冷凍保管で使い切る。これが常識に変わりました。 常識にとらわれていたんでは、これだけ性能の良いものは作れなかったと思うんですね。そこではシンクアウトサイドボックスが必要だったと思います。」 ここから私は思いました。 1、ゴールを、常識に合わせない 2、異業種が、武器になる 3、非常識は、新しい常識になる 1、ゴールを、常識に合わせない 私はイノベーションを支援する際に、とにかく真の課題を見つけ出すことを、徹底的にやっていきますが その真の課題の周りには、たくさんの常識と言われる壁があって、それを乗り越えない限り、真の課題には到達できないということがよくあります それは、人が持っているバイアスだったり、商習慣だったり、規制やルールだったり、簡単には越えられない壁があるからこそ、その課題はこれまで解決されずに残っているのだと思います その真の課題を見つけ、その解決というゴールに到達するためには、あらゆる常識を突き破らなければならない、ということを まさに、この話は教えてくれているなと思いました 常識の世界では「室温で3日しか持たない」。通常であれば、これは商品にならないと考え、室温で長く保存できる材料を作ろうとするのではないでしょうか。 真の課題に到達し、そして突き破るためには、ゴールを常識に合わせない、それを実例を持って教えていただいた気がしました 2、異業種が、武器になる イノベーションの世界では、越境という言葉がよく使われますが 人として越境して、新しい出会いやセレンディピティを手に入れるという言い方もありますし 企業自体が、これまでの業界の枠を超えて、新しい領域へ踏み出すということも含まれていると思います 越境によって、これまでの事業で培った強みである技術やスキル、ノウハウを別業界へ展開するのは、いうが易し行うは難しだと思います 今回のお話は、まさにその越境させるビジネスとしては、まずは技術的な強みを活かした商品開発というところではあるのですが 技術だけでなく、保管や物流まで、別事業で培った強みが新しい事業の競争力になる。まさに異業種だからこそ生まれた、強みの横展開だと感動しました それをもともと計算して展開されたのかどうかはわかりませんが、異業種だからこそ、同業者には持ちにくい競争優位性を持った展開のお手本のようなお話だと驚愕しました 3、非常識は、新しい常識になる 番組の中では、当初、この技術は、そんなに注目されていなかったとのことでしたが 圧倒的なペインの解消をできる方法になっていたからこそ 周辺の企業がこれまでのやり方を変えてでも、これを使いたいという常識に変わっていったのだなあと思いました そういう意味では、これまでできなかった、圧倒的な真の課題、そこにある大いなるペインを解消するゴールを達成できるものであれば これまでの常識はひっくり返る ということを、身をもって教えていただいたと思いました 面白いのは、常識をひっくり返したイノベーションほど、成功した後には、それが当たり前になってしまうことです。だから私たちは、それがかつて『非常識』だったことさえ忘れてしまう。 だからこそ、『常識は変えられる』という事例を語り継ぐこと自体が、イノベーションのマインドセットをつくるのだと思います 中村さんの言葉を借りれば、シンクアウトサイドボックス。 それは、常識という箱の中で答えを探すのではなく、箱の外に出て考えられるか、ということなのだと思います 一言でいうと、シンクアウトサイドボックス・ノベーション。 今日の非常識は、明日の常識になる。 そんな話をしています。 参考:テレビ東京『カンブリア宮殿』2026年8月20日放送「驚異の大進化! 味の素 世界攻略の舞台」

    シンクアウトサイドボックス・ノベーション(1943回)

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