復職名人が読む三手先

Centro Salute

この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210%E2%81%A0

  1. FEB 10

    第93回|休職事由の追加に関する取り扱い

    今回は非常にニッチなテーマですが、私傷病休職中に、新たな休職事由となりうる別の私傷病が生じた場合に、どのような取り扱いをすれば良いのか議論しました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾:診断書の「異動が望ましい」=大阪弁における「知らんけど」 前園:弁護士という仕事 森:今年は冬の寒さが身に沁みます 議論した内容 休職期間中の新たな事由発生とその取り扱い メンタルヘルス不調での休職中に骨折するなど、休職期間中に別の傷病が発生した場合の規定が曖昧であることが多い。 単純に解釈すると、全く異なる病名であれば休職期間は通算されず、新たな事由として休職期間がフルに再設定されるリスクがある。 これにより、従業員が復職期限直前に新たな診断書を提出し、休職期間を無限に延長・悪用する懸念が生じる。 悪用とまでは言わないまでも、従業員集団の高齢化に伴い、対応に困るケースが生じる可能性は高まっている。 判例から見る「休職事由」の定義 シャープNECディスプレイソリューションズ事件などの判例では、会社側が一方的に休職事由(適応障害から発達障害特性へなど)を変更・追加することに対して厳しい判断が下されている。 事由の変更や追加には、労使双方の共通認識が不可欠である。 本来、休職事由は「特定の病名」ではなく、「私傷病により労務提供が不能である状態」そのものを指すと解釈すべきなのではないか。 すると、休職開始時点の病名によらない休職事由の発令と、復職後の病名によらない休職期間通算という、両方の規定が整合しなければならない。 「病名」に依存しない制度設計 就業規則において、病名ごとに休職期間を管理する運用は、制度の不整合や悪用を招きかねない。 病名がAからBに変わったとしても、あるいはAにBが追加されたとしても、「労務提供できない状態」が継続している事実に変わりはない。 したがって、休職期間の起点は最初の発令時で固定し、いかなる病名の変更・追加があっても期間はスライドさせない(通算する)という規定にすべきだ。 実務上の対応策 復職の見込みがないのに病名を変えて延命を図るケースに対しては、厳格な期間管理が必要である。 就業規則には「いかなる理由であっても休職期間は通算して最大〇年とする」といった絶対的な上限を設けることで、病名の切り替えによる期間延長を封じる運用が合理的だ。 傷病手当金(公的給付)の受給要件と、労働契約上の休職(解雇猶予措置)は切り分けて考える必要がある。 編集後記 高尾 「・・・が望ましい(知らんけど)」、ぜひ展開したいと思っています。 ご意見もお待ちしております。 前園 ポケモンZAにハマっています。 最近は攻略もネットで調べれば効率よくできるのですが、天邪鬼なため、基本は手探りで進めています。 しかし、ポケモンを考える人はほんと凄い。 だってカモネギですよカモネギ。 カモネギって。 森 寒さに弱くなったと言いつつ、数年前から育児との兼ね合いで、早朝5時前から自転車に乗っています。 この時期は真っ暗で、かつ気温も氷点下の中走っているので、かなり辛いです(ボトル・ネックウォーマー・ヒゲが凍ります)。

    1h 1m
  2. JAN 22

    第92回|質問への回答

    今回はセミナー開催前に寄せられた質問に対して、事前に回答してみました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾:1年前に飲んだワインに再会しました。 前園:新山口駅にて、美味しいチーズケーキに出会いました。 https://funakata.co.jp/ 森:2026年は自転車レース活動に復帰します。 公開版の高尾メソッド公式NotebookLMはこちら。 https://notebooklm.google.com/notebook/1987bd43-97f7-4fdc-9f06-3951980cf5ca?authuser=1 議論した内容 有期雇用・主治医診断書と会社基準の対立 主治医が復職可能と診断した後で、会社がそれを拒否することは法的に困難である。 会社基準を優先させたいのであれば、個別の事案が発生する前の「平時」に、復職基準について労使で協議し合意形成しておく必要がある。 問題の本質は診断書ではなく、療養開始時点での本人への説明不足と、労働者集団との事前の合意形成の欠如にある。 仕事と治療の両立支援の努力義務化への対応 法改正によって「両立支援」が努力義務化されても、本メソッドの運用に変更は生じない。 「必要な配慮」と「不完全な労務提供の容認」の違いは、シナリオを用いて明確に線引きし、本人に説明する。 個別の医療的配慮(従来型OS)ではなく、集団としての労働条件の適用(新型OS)という観点で対話を行う。 産業保健スタッフの意識改革と人事との連携 「職場は働く場所であり、リハビリ施設ではない」という原点に立ち返る。 医療職だけで抱え込まず、人事担当者と連携し、ビジネスの視点を持って対応を進める。 河岸を変えることも検討して良いのでは 報告書の記載免除と復職判断 「負担になるため記載免除」にチェックが入る状態は、復職が時期尚早であることを明確に示している。 記載免除を希望していた翌週に「復職可能」と主張するような矛盾に対しては、事実に基づき冷静に指摘する。 単身者であっても、実家への帰省やZoom等を活用し、家族等の支援者の関与を求めることは可能である。 家族の巻き込みに対する「ハードル」の正体 「家族が高齢」「遠方」「本人との関係希薄」などを理由にハードルが高いとするのは、実施しないための言い訳に過ぎない。 療養開始時説明の動画を見せる、オンライン会議システムを使うなど、工夫次第で連携は可能である。 初期段階で家族を巻き込まないことは、後に雇用終了となった際のトラブル(親族からのクレーム等)のリスクを高めるだけである。 面談の録音に対する是非 シナリオを読み上げ、会社側の方針を淡々と伝える形式であれば、正確な記録としての録音は有効である。 相手を言いくるめようとする従来型の「面談」の場合、録音は会社側の論理矛盾や不適切な説得を露呈させるリスクとなる。 録音の可否を議論する以前に、面談のスタイル自体を「説得」から「通告・確認」へとアップデートすべきである。 編集後記 高尾 冒頭のワインは、Volnay 1er Cruです。作り手まで知りたい方は個別にご連絡ください。  ちなみに、ブラインドで出されたところ、私はシャンボール・ミュジニーとヴージョの境のあたり、より具体的にはプティ・ヴージョかと思いました。石灰岩のシーンとした感じで、間違っても、陽のあたりがよく、すくすくそだったボーヌのピノとは思いませんでした。 前園 2026年はライカをもっと相棒化していこうと思います。  先日、「産保弁護士のnote」に「さんぽ(散歩)弁護士のnote」ということにして、ライカの写真を出すとかしないの?と尋ねられました。その予定はないと思いましたが、意外とありかも・・・。 森 第64回でお話ししたように、食べ物が育った環境の大切さを知り、野菜と卵と牛乳を秋川牧園で購入しています。 https://www.akikawabokuen.com/

    53 min
  3. JAN 16

    第91回|産業医育成プロジェクト

    新年最初の回は日笠先生をゲストにお招きし、産業医育成プロジェクトについて意見交換しました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾:映画「国宝」を鑑賞しました。 前園:ポケモンZAをプレイしました。 森:子どもと過ごす時間の幸せを再確認しました。 日笠:臨床外来と産業医業務の両立に励む中で、医療と産業保健における視点の違いを改めて意識した。 議論した内容 産業医の自前育成と「一社目の壁」の打破 若手産業医が直面する「一社目の契約」という障壁を解決するため、企業が自ら産業医を確保・育成するモデルを考え、協力企業を呼びかけている。 仲介会社経由の契約はコストが高く、また経験重視の選考により未経験者が参入しにくい構造的な問題がある。 企業側のニーズと産業医側の経験不足をマッチングさせ、オーダーメイドで育成することが、結果として継続的で安定した産業保健体制の構築に繋がる。 現代版「ゆるやかな医局」の構想と地域医療 旧来の医局制度が弱体化したことで地方の医師確保が困難になり、質の担保されない高額なエージェント頼みの現状が生まれている。 企業が一定の経済的貢献を行う代わりに、複数の産業医を組織的に派遣・管理する「ゆるやかな医局」を再構築すべき時なのではないか。 地元の医師会や商工会議所が連携し、地域密着型の産業保健ネットワークを形成することが、地方の工業団地などの医師不足解消に寄与する可能性がある。 産業医業務の標準化と「リング」の構築 企業の健康管理体制(リング)をコンサルティングによって標準化し、誰が担当しても機能する仕組みを整える。 我流のスタイルに固執するベテランよりも、標準化された現代の手法を実践できる医師の方が、法的リスク管理において市場価値が高い。 特定の「スーパー産業医」に依存するのではなく、未経験者でも質の高い活動ができるよう、企業側が受け皿となるオペレーションを構築すべきである。 自治体による産業医育成の役割と責任 自治体は単なる法令遵守の対象ではなく、自らが産業医の育成機関としての役割を積極的に担うべきである。 市役所や町村役場での実務経験を通じて地域に産業医のストックを増やし、名目上の専任ではない実態のある産業保健を推進する。 労働基準監督署からの指摘を待つのではなく、地域住民や職員の健康を守る模範として、自治体が主導して体制を整備する必要がある。 産業医のキャリアステップと地域定着の戦略 プレイヤー、プレイングマネージャー、コンサルタントという三層のキャリア構造を提示し、産業医としての専門的な成長を促す。 都会への医師集中を防ぐため、地域にゆかりのある医師を確保し、地方に居ながらスキルアップできるロールモデルを確立する。 臨床医が週1日からでもスモールスタートできる環境を整え、臨床から産業医への移行や両立の心理的・物理的ハードルを下げる。 編集後記 高尾 医師会入会は、県医師会の担当者にこれから確認するところですが、会費は県医師会までだと、そんなに高くなかったですね。あと、医師賠は日医会員からみたいですね。 前園 皆様2026年もよろしくお願い致します。 恵まれた境遇であることに感謝しつつも、歩みを止めない2026年にしたいと考えています。 叱咤激励、お待ちしております。 日笠 2回目の参加でしたが、楽しかったです!医師キャリアが多様化し、産業医という選択肢を選ぶ人も増えているので、これから始める方のひとつのモデルになれるように頑張ります。 森 公開する直前に確認したところ、急に視聴回数が増えてびっくりしています。。。1から聞き直している方が何名かいるような・・・

    1h 4m
  4. 12/26/2025

    第90回|2025年の振り返りと持ち寄りテーマ

    今回は年末の軽めの回ということで、振り返りと持ち寄りテーマを少し話しました。今年も1年間お世話になりました!来年もどうぞよろしくお願いいたします! 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾:動画活用の本格稼働や、島根県安城市での実践重視の産業医育成など、新たな枠組みでの展開が進んだ一年だった。 前園:仲間が増えて関係が深まり、弁護士としての新たな挑戦も始まった充実した一年だった。 森:子育てで出張を控えめにする一方で、ウイスキーという新たな趣味に出会い、変化のある一年だった。 議論した内容 2025年のポッドキャスト振り返りと今後の予定 2026年4月の第100回放送に向け、リスナーからのお便りを募集する。 7月以降の統計では、ゲスト回(第80回)やAMAガイドライン回(第82回)の再生数が多く、特定のテーマやゲストへの関心が高い。 生成AIやノートブック言語モデル(LM)の進化により、ポッドキャストの内容やメソッドへの回答も実用的なレベルに達している。 高尾|持続可能な産業医育成と地域医療の課題 企業が産業医を探す際、数ヶ月先といった短期間での依頼は構造的に無理があり、本来は基礎研修を含め数年単位の育成期間が必要である。 仲介業者の介入により、遠隔地から医師を派遣するような持続可能性のないモデルが横行し、職場との関係構築が困難になっている。 地方における理想的な産業医モデルは、地元のクリニック医師が担う形だが、医師の高齢化や専門性のミスマッチにより機能不全に陥っている。 医療的アプローチだけでなく業務的アプローチに対応できる産業医を育てるため、汎用的なGPUではなく特化型のTPUのような、専用の教育機関と実践の場が必要である。 法令上の専任義務違反を恐れるあまり質の低い契約を急ぐのではなく、地域の実情に合わせ、時間をかけて質の高い産業医を確保・育成すべきである。 前園|キャリアと人生における仲間の重要性 趣味(ウイスキー、自転車など)や仕事において、仲間からの刺激や共感があることで活動を継続・深化できる。 仕事上の人間関係と、利害関係のない趣味の仲間では性質が異なるが、双方が人生に豊かさをもたらす。 人間関係においては、見返りを求めすぎず、惜しみなく与える「ギバー」としての姿勢が、長期的には次世代への恩恵も含めた循環を生む。 GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 森|業務効率化とツールへのこだわり キーボード(HHKBなど)の配列やショートカットのカスタマイズにより、ホームポジションを崩さない効率的な入力環境を構築する。 音声入力技術の精度向上は目覚ましく、キーボード入力の補完や代替手段として実用段階にある。 編集後記 高尾 プレゼン用のFM-V(634g)をみてみたら、やはりキートップにひらがながありました。  また同様に、「見た目」にこだわって、Macの使用言語はEnglish(US)にしています。一番上のメニューバーを英語表記にする、 そのためだけの設定なんですが、最近、WEBにアクセスすると、下世話に自動で英語に翻訳してくれて結構迷惑です。これ、Safariで言語を固定する方法をご存知の方おられましたら、ぜひ教えて下さい。 前園 リスナーの皆さま、2025年もありがとうございました。2026年も実り多き年になりますよう、まずは年末年始、ゆっくりと復職名人Podcastを聴きながらお過ごしください。 森 今のところ、ピート×シェリーがピッタリ来ています。ピートも、アードベッグやキルホーマンのような、焚き火系・燻製系が好きなようです(ラフロイグのようなヨード系はいまいち)。そんな相談をGeminiにしながら、おすすめされたボトルを買い集めてしまいました。

    1h 7m
  5. 12/23/2025

    第89回|産業保健活動とルール

    今回は現地収録にて、産業保健活動とルールについて、議論を深めました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾:年明けに納車されるマニュアル車の運転、特に立体駐車場における駐車時のギア選択(ニュートラルかローか)について苦悩している。 前園:産業医や人事担当者が法律知識(安全配慮義務など)を復習できるツールとして、「note」での有料メンバーシップ記事の執筆を開始した。 森:ロードバイクのブレーキシステム(リムとディスク)の新旧比較を通じ、技術の進化と一時的な「過去への揺り戻し」心理について考察した。 議論した内容 医療と企業における「ルール」の捉え方の決定的な違い 医療現場におけるルール(保険診療の規定など)は、個人の生命救済という結果のために存在する。そのため、目の前の命を救うためであれば、事後的にルールを曲げること(病名の調整など)も「正義」として許容される文化がある。 企業におけるルール(就業規則など)は、集団の秩序を維持するための「契約・約束」であり、将来に向かって適用されるものである。本来、特定の個人の不利益を回避するためだけに、事後的に曲げてはならない性質を持つ。 人事労務における判断停止と医師への依存 現代の人事は、健康問題やメンタルヘルス不調が絡むと、就業規則上のルール適用を躊躇し、思考停止に陥っている。 「主治医が許可した(例:休職中の温泉旅行)」といった医学的意見や、「健康配慮」という錦の御旗を前にすると、人事は会社のルールよりも医師の意見を優先し、安易な例外措置を認めてしまう。 これは、本来「労働契約・労働条件」の問題として処理すべき事案を、医療的な「生命の危機」と同列に扱い、ルール逸脱を正当化している誤った対応である。 安易な「柔軟な運用」が招く組織崩壊のリスク 明確な戦略なしに、個別の救済を目的としてルールの適用を歪めることは、組織全体にモラルハザード(規律の欠如)を蔓延させる。 「あの人は許された」という例外が既成事実化すると、集団の秩序は維持できなくなる。わずか数パーセントの従業員がルール逸脱を行えば、組織全体が崩壊に向かう危険性がある。 ルールの柔軟な運用や特例は、本来「生産性が向上する」など企業にとってプラスになる局面で行うべきであり、マイナス要素を持つ事案の救済措置として乱発すべきではない。 制度趣旨への回帰と「努力義務」への警戒 「書いていないから禁止できない」といった形式的な議論ではなく、そのルールが「何のためにあるのか(集団の統制、生産性向上など)」という制度趣旨(大原則)に立ち返って判断するべきである。 国(厚労省)が進める「治療と仕事の両立支援」などの施策は、本来行政が担うべき福祉的役割を企業に転嫁する側面がある。 法律上の「努力義務」であっても、実務上は訴訟リスクなどを背景に強い強制力を持つため、企業は「対話の窓口を開く」程度の義務に留めるなど、自社のリソースと目的に合致した冷静な対応が必要である。 編集後記 高尾 免許取得後ATしか乗ってこなかったのに、35年を経て初MT車!  うまく乗れるものか(乗れるのは乗れるでしょうが、あまり変速操作が上手にならないかも。。。)不安もありますが、それでも楽しみです。ちなみに、アルファは維持ですので、誤解なきよう。 前園 noteを始めました!https://note.com/sanpo_bengoshi  メソッドには色んな誤解があるところですが、私たちの考えていることをきちんと理解してもらうためには、色んな手法で、手を替え品を替えて伝え続けていくしかないだろうという思いもあり、ここに至ったものです。  メインは産業保健と法務・労務ですが、それ以外でも、お役に立てる記事を書いていくつもりです。ぜひ気軽にフォロー、メンバーシップ登録してください。 森 編集しながらあとで気づきましたが、労働契約は、会社と労働者という当事者間の契約であるのに対して、保険制度は、医療機関に制約を設ける、医療保険制度のルールであって、医者と患者という医療契約においては、文字通り最善を尽くすという、ある種契約を守った対応をしている(つもりである)、すなわちどちらも契約は守っていると言えそうです(会社も、労働法を守らなかったりしますし・・・)。  むしろ、会社と労働者(集団)の約束事があるのに、担当者個人と労働者個人の間で勝手に守らないという約束違反を、医療契約を守るときのように当然のように行なっていることの方が、問題の本質なのかもしれません。

    1h 20m
  6. 12/12/2025

    第88回|全国協議会@徳島の反省会

    今回は、先日徳島で行いました、自由集会・模擬裁判の反省会を行いました。 近況報告 高尾: 厚岸蒸溜所の24節気シリーズのコンプリートが確実になった。収録環境のミスの反省。13期会への参加。 前園: 徳島の繁華街で若者たちの活気やラーメン店の賑わいに触れ、日本にはまだ元気な場所があると活力を得た。 森: 子育てを通じてリスク・キャパシティ・トレランスの概念を整理し、小児コホート研究の知見と娘の発育状況を重ね合わせた。 告知 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 議論した内容 徳島全国協議会の振り返りと反省 非公式自由集会(勝手企画)では、高尾が喋りすぎてしまった点と周知不足が反省点として挙げられた。 次回の大阪開催では、学会初日に「公式」集会でレクチャーを行い、翌日の「非公式」集会へ誘導する二段構えの作戦を計画している。 生成AI(NotebookLM)の活用や、「高尾メソッド」の核を整理した資料を事前配布し、参加者の思考の前提を揃えた上で議論を深める案がある。 大阪の社労士をゲストに招くなど、産業保健と法務の融合をさらに進めていきたい。 模擬裁判企画の評価と課題 模擬裁判は好評だったと思われる(自己評価) ただ参加者の関心が証拠などの「ドラマチックな側面」に偏り、予防法務的なメッセージとの間にギャップを感じた。 医療職には目の前の救済を優先してルールを柔軟に解釈する傾向があるが、組織としての公平性を保つ重要性を再認識する必要がある。 弁護士(労働者側)と産業医(使用者側)の立場の違いによる意見の食い違いこそが、今回の企画で伝えたかった本質である。 今後の企画案:裁判傍聴ツアー 裁判の文脈や全体像を理解するため「復職名人・裁判傍聴ツアー」を企画する案が出ている。 実際の尋問を傍聴した後に、判決文や背景事情を含めた解説を行うことで、リアルな紛争解決プロセスを学ぶ機会とする。 次回大阪開催への展望 2025年5月の大阪開催では、スライドに頼らず音声と言葉だけで思考を促す、密度の高い企画を目指す。 既存のシンポジウム等の枠にとらわれず、参加者が能動的に考えられるフォーラムのような場を提供したい。 編集後記 高尾 ポッドキャストしながらの反省会は、反省しただけで終わってしまっていた傾向があったので、今回は、チェックの視聴をしながら、数本のメールを発信し、宿題を片付けるべく具体的に行動できました。 (大阪の自主自由集会には、「面白い」大阪の社労士を呼びます!) 前園 弁護士同士の対話はとても有意義なものになるのですが、一方で我々もどうしても「裁判になった場合には」という考えに引っ張られ、そこから逆算して今の対応を考えがちです。  でもそれで本当に実効性・有用性はあるのかというのが私の問題意識で、この点は弁護士同士の対話ではどうしても抜け落ちがちです。「労使で話し合って」で終わるアドバイスは、したくないですものね。 森 娘が風邪気味になったところ、夜中に咳き込んで吐き戻すようになったので、これはリスク問題だと捉え、夕食を無理に食べさせず適量にし、夜のおやつも控えめにするようになりました。  大阪の企画については、公式自由集会の日程が確定次第、またご案内いたします!

    1h 1m
  7. 12/04/2025

    特別編|自由集会「労務管理と産業保健研究会」2025@徳島

    先日、徳島で開催しました、自由集会の音源を公開します!直近のセミナーで質問された内容について、取り上げました。 告知 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 議論した内容 看護職の復職と合理的配慮の限界 能力不足を「特性」や「病気」として扱い、現場が過度な配慮を続けることは、問題の解決にならず本人への指導も難しくなる。 早期に業務遂行能力の不足を指摘し、改善が見られなければ休ませることが必要であり、配慮という名の業務免除は避けるべきだ。 職務限定制度・時短勤務と就業制限の混同 就業制限(医学的判断)が外れないことを理由に、職務限定制度(人事制度)の適用を迫るのは論理的に誤りである。 復職時に育児介護用の時短勤務制度を流用して賃金を減額すると、本人に甘えが生じ、組織全体の生産性を下げる要因となる。 体調の問題と人事的な処遇は明確に切り分けて考える必要があり、安易な制度適用は差別と捉えられるリスクがある。 現場上司の役割とラインケアの再定義 組織が定めた原職復帰の原則を無視し、現場上司が独自の配慮で裏引きすることは、組織運営上のリスクとなる。 上司には部下を休ませる義務と権限を持たせ、具体的な対応シナリオを用意させるなど、役割を明確に定義すべきだ。 再休職判断と復帰基準の明確化 「通常勤務」の定義や復帰基準が曖昧なため、労務担当が休職判断を下せず、なし崩し的に勤務が続く問題がある。 ストップ要件(再療養の基準)を事前に合意形成し、ルールに基づいて淡々と判断できる仕組み作りが重要だ。 人材不足への対応と復職支援の原則 人手不足を理由に不完全な状態で復職させることは、結果として本人も組織も疲弊させる。 全員を救おうとする曖昧な対応を捨て、ルールベースで対応することが、結果的に多くの従業員を戦力として復帰させることに繋がる。 メンタルヘルス以外の傷病と産業医面談の目的 高尾メソッドの考え方は、メンタルヘルスに限らず、身体的な疾患(腰痛、がん等)にも同様に応用可能だ。 産業医面談の目的はガス抜きではなく「就業の可否判定」であり、目的不明瞭な面談は形骸化するため避けるべきだ。 リハビリ出勤の運用と公的機関での適用 実際の勤務内容と乖離したリハビリ出勤は復職可否の判断材料にはならず、スロースタートを前提とすることは避けるべきだ。 人事権が現場にない組織であっても、周囲が連携して働けていない事実を本人に認識させるプロセスは構築できる。 質問について メソッドを単なるマニュアルや正解として求めるのではなく、その背後にある原理原則(フィロソフィー)を理解する必要がある。 リバース・ブレインストーミングなどを用いる際は、組織にとっての最悪のシナリオを前提条件として設定し、本人に想像させることが重要だ。 編集後記 高尾 どうなんでしょうね。耳障りはいいけど解決力のない助言と、ちっとも寄り添ってはくれないけど解決力のある助言。 また、「労務管理の泥濘」。連載原稿にまとめましたので、お楽しみに!人事の労務管理能力が低下したと表現してしまいましたが、20年前と今では求められる労務管理の「解像度」が異なり、緻密な労務管理には、読み上げ文(面接シナリオ)は必須であり、逆に面接シナリオの複数人での添削・共有により、かなり速やかに体制構築できる、というポジティブ表現もできると思いました! 前園 模擬裁判は、法学部や法科大学院で行われるものは、学生がロールプレイをして各当事者の視点と手続きの流れを学ぶものです。しかし今回のような講演で取り扱うとなると、その目的は何なのかから問い直す作業が必要でした。ご参加頂いた方に、少しでもなにかプラスとなっていたのであれば幸いです。 森 現地収録の際は、いつも会場の音響機材に頭を悩ませていたのですが、今回のように有線マイクを1本でもご準備いただける会場であれば、おおむね問題なく収録できるようになりました。

    1h 11m
  8. 11/26/2025 · BONUS

    第77回完全版|自由集会反省会と模擬裁判

    以前公開していた第77回は、後半の模擬裁判に関する議論をカットしたものでした。今回、私たちが模擬裁判企画をするにあたって、完全版を公開したいと思います。ぜひ会場にお越しくださいませ。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録・懇親会 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、19時30分〜懇親会予定です。下記からお申し込みくださいませ。 https://peatix.com/event/4621660/view 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾: アニサキスによる入院保険の保険金が無事振り込まれ、請求手続きが簡単で驚いた。 前園(ゾノ): 急激な気温変化による体調不良(お腹の不調)について相談し、夏の始まりに向けてサウナなどで初熱順化をすることが対策として重要だと確認した。 森: 初めてシングルモルトバーに行き、香りを楽しむという新しい飲み方を知り、勧められたアイラのラガーブーリン16年を最初の一本にしようと決めた。 議論した内容 自由集会の反省と来年の計画 産業衛生学会外で開催した自由集会では、リスナー層が参加者の大半を占め、学会参加者以外も参加しやすい形式が成功だったと認識している。 懇親会において参加者同士の交流が限定的だった反省から、来年以降は交流時間をより意識的に設け、ウェルカムドリンクの提供なども検討していく。 公開収録と懇親会を同時に行う案では、参加者同士の交流が盛り上がりすぎて、ホストの話が聞かれない可能性も懸念された。 質問をぶった切りすぎた点については反省があるが、質問者本人からは肯定的なフィードバックも得ている。 周知方法については改善の余地があり、参加者による口コミの協力を得ることが検討された。 来年(大阪)の開催に先立ち、徳島などで小規模な持ち込み企画を実施し、公開収録や交流会、質問タイムなどの試行錯誤を行う予定だ。 模擬裁判事例の検討と産業保健の役割 第98回日本産業衛生学会で取り上げられた模擬裁判事例(休職期間満了退職をめぐる紛争)について、その内容と産業保健への示唆を議論した。 事例は、部長職のX氏が休職後、復職を希望するも、会社が提示した一般職への降格・年収半減の提案をX氏が拒否し、最終的に休職期間満了退職に至っている。 模擬裁判の演出(承認尋問など)は、実際の民事裁判の実態とかけ離れており、裁判を誤解させる懸念がある。 産業保健職が模擬裁判から学ぶべきは、訴訟後の対応ではなく、予防的な観点である。 最も重要な教訓は、紛争が生じやすい休職期間満了時などに備え、「働くとはどういうことか」について、会社と労働者間の認識の相違が生じにくい復帰基準を事前に確認しておくことだ。 模擬裁判で示される教訓は、個別性の高い事例の勝ち負けの視点に終始しがちである。 会社が復職判定の材料不足を理由に、産業医に判断を求めようとする行為は、産業医に会社に都合の良い意見を忖度させようとする下心があると見られかねない。 主治医の診断書が医学的見地に基づいているかを確認するため、会社は機械的に主治医へ紹介状を送付すべきであり、その行為自体が紛争予防に繋がる可能性がある。

    1h 20m

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この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210%E2%81%A0

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