岡大徳のポッドキャスト

岡大徳

病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。 www.daitoku0110.news

  1. 4h ago

    令和8年度改定「歯科固有の技術」見直し3つの柱を総点検

    令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目「Ⅲ-7⑬ 歯科固有の技術の評価の見直し」により、歯科固有の技術の評価と運用が広く見直されます。この見直しは、管理料から補綴、処置、口腔外科手術まで対象が多岐にわたります。そのため、自院に関係する変更点だけを短時間で拾い上げる作業は、担当者にとって大きな負担となります。本稿は、この項目の内容を3つの柱に整理し、新旧の点数を対比しながら解説します。 今回の見直しは、「学会等が提案した技術の評価」「歯科技工料調査を踏まえた歯冠修復及び欠損補綴等の評価」「臨床現場の実態を踏まえた個別の評価」という3つの柱で構成されます。第1の柱では、歯科口腔リハビリテーション料2や歯科遠隔連携診療など16の技術について、医療技術評価分科会等における検討結果を踏まえて評価や運用が見直されます。第2の柱では、光学印象が100点から150点に、総義歯が1顎につき2,420点から2,500点に引き上げられます。第3の柱では、顎関節脱臼非観血的整復術が410点から800点になるなど、口腔外科手術を中心に大幅な引き上げが行われます。 1. 学会等の提案を踏まえ技術の評価と運用を見直す 第1の柱は、歯科医療の推進に資する技術について、医療技術評価分科会等における検討結果を踏まえて評価や運用を見直すものです。対象となるのは、学会等から同分科会に提案された技術のうち、診療報酬改定において対応する優先度が高いとされた技術です。個別改定項目には、その「例」として16の技術が挙げられています。この16はあくまで例示であり、見直し対象がこれで尽きるとは限りません。また、各技術をどの方向にどれだけ見直すかという具体的な点数は、この項目には示されていません。 挙げられた16の技術は、本稿の整理として、次の5つの領域に分けられます。 * 管理・指導:歯科口腔リハビリテーション料2/歯科矯正管理料/歯科麻酔管理料/位相差顕微鏡による歯周病患者画像活用指導 * デジタル・連携:模型調製における光学印象及びデジタル模型/歯科遠隔連携診療 * 補綴:口蓋補綴及び顎補綴の咬合採得/チタン及びチタン合金によるブリッジ/歯科用暫間被覆冠成形品を用いた暫間的ダイレクトボンディングブリッジ/床補強のための接着芯/後継永久歯の無い乳臼歯へのCAD/CAM冠 * 手術・処置・麻酔:上顎骨悪性腫瘍手術及び下顎骨悪性腫瘍手術における超音波切削機器加算/Ni-Tiロータリーファイル加算/静脈麻酔 * 検査・適応拡大:口腔粘膜湿潤度検査/厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に係る適応症の拡大 これら16の技術のうち、静脈麻酔については点数表の項目そのものが新設されます。具体的には、医科点数表の見直しも踏まえ、歯科点数表において「歯科吸入麻酔又は歯科静脈麻酔」が新たに設けられます。麻酔を実施する医療機関は、算定する項目名が変わる点に注意が必要です。 2. 歯科技工料調査を踏まえ歯冠修復及び欠損補綴等を引き上げる 第2の柱は、歯冠修復及び欠損補綴等の評価について、歯科技工料調査の結果等を踏まえて評価や運用を見直すものです。個別改定項目に掲載された項目は、いずれも引き上げとなっています。対象は、補綴装置本体、デジタル関連技術、支台築造及び維持装置の3つの領域に分かれます。 補綴装置本体では、総義歯、高強度硬質レジンブリッジ、非金属歯冠修復の評価が引き上げられます。 * 総義歯(1顎につき):2,420点 → 2,500点 * 高強度硬質レジンブリッジ(1装置につき):2,800点 → 3,000点 * 非金属歯冠修復 レジンインレー 単純なもの:128点 → 148点 * 非金属歯冠修復 レジンインレー 複雑なもの:180点 → 200点 デジタル関連技術では、光学印象と、装着時の内面処理加算1の評価が引き上げられます。 * 光学印象(1歯につき):100点 → 150点 * 内面処理加算1 CAD/CAM冠:45点 → 55点 * 内面処理加算1 CAD/CAMインレー:45点 → 55点 * 内面処理加算1 高強度硬質レジンブリッジ:90点 → 110点 光学印象は5割の引き上げとなり、今回の第2の柱のなかで最も引き上げ率が高い項目です。内面処理加算1は、いずれも歯質に対する接着性を向上させる目的で内面処理を行った場合に算定します。この算定要件そのものに変更はありません。 支台築造及び維持装置では、支台築造、根面被覆、磁性アタッチメント、大連結子の評価が引き上げられます。 * 支台築造 間接法 ファイバーポストを用いた場合(大臼歯):211点 → 221点 * 支台築造 間接法 ファイバーポストを用いた場合(小臼歯及び前歯):180点 → 190点 * 根面被覆 根面板によるもの:195点 → 225点 * 磁性アタッチメント キーパー付き根面板を用いる場合:550点 → 580点 * 鋳造バー(1個につき):458点 → 468点 このうち鋳造バーについては、点数だけでなく項目の名称も変わります。現行の【バー】という区分名が、改定案では【大連結子】に改められます。名称変更はレセプト電算処理システムのマスタにも及ぶため、システムの更新時期を事前に確認しておくと安全です。 3. 臨床現場の実態を踏まえ処置と口腔外科手術を見直す 第3の柱は、その他の個別の評価について、臨床現場の実態等を踏まえて評価や運用を見直すものです。掲載された項目の中心は口腔外科手術であり、引き上げ幅の大きい項目が目立ちます。あわせて、象牙質レジンコーティングの算定要件と加圧根管充填処置の評価も見直されます。 算定要件の見直しは、象牙質レジンコーティングが対象です。現行では、生活歯歯冠形成を行った場合に「歯冠形成から装着までの一連の行為」につき1回に限り算定します。改定案では、この範囲が「歯冠形成から印象採得までの一連の行為」に改められます。「1回に限り」と数える区切りが、装着時点から印象採得時点へと前倒しになる形です。実際の算定の取扱いは、告示及び通知の記載を確認したうえで院内ルールを整理してください。 処置の見直しは、加圧根管充填処置が対象です。 * 単根管:139点 → 150点 * 2根管:168点 → 180点 * 3根管以上:213点 → 230点 加圧根管充填処置は、いずれの区分も1歯につき算定する点に変更はありません。 口腔外科手術の見直しは、埋伏智歯の抜歯から広範囲顎骨支持型装置に関する手術まで、幅広い術式に及びます。 * 抜歯手術「4」の加算(下顎完全埋伏智歯(骨性)又は下顎水平埋伏智歯の場合):130点 → 230点 * 顎骨腫瘍摘出術(歯根嚢胞を除く) 長径3センチメートル未満:2,820点 → 4,020点 * 腐骨除去手術 顎骨に及ぶもの 片側の3分の1未満の範囲のもの:1,300点 → 1,560点 * 腐骨除去手術 顎骨に及ぶもの 片側の3分の1以上の範囲のもの:3,420点 → 4,100点 * がま腫切開術:820点 → 1,230点 * 唾石摘出術(一連につき) 表在性のもの:720点 → 1,080点 * 顎関節脱臼非観血的整復術:410点 → 800点 なかでも顎関節脱臼非観血的整復術は、410点から800点へと約2倍の引き上げとなります。がま腫切開術と唾石摘出術(表在性のもの)も、それぞれ1.5倍の水準です。 腐骨除去手術については、点数本体だけでなく加算も引き上げられます。この加算は、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死又は放射線性顎骨壊死に対して手術を行った場合に算定します。ただし対象は「2 顎骨に及ぶもの」の「イ 片側の3分の1未満の範囲のもの」に限られ、「ロ 片側の3分の1以上の範囲のもの」は対象外です。この加算の評価が、1,000点から1,200点になります。 顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術と広範囲顎骨支持型装置に関する手術も、同様に引き上げられます。 * 顎骨内異物除去術 簡単なもの 手術範囲が顎骨の2分の1顎程度未満:850点 → 1,500点 * 顎骨内異物除去術 簡単なもの 手術範囲が全顎にわたる場合:1,680点 → 2,000点 * 顎骨内異物除去術 困難なもの 手術範囲が顎骨の3分の2顎程度未満:2,900点 → 4,000点 * 顎骨内異物除去術 困難なもの 手術範囲が全顎にわたる場合:4,180点 → 5,500点 * 広範囲顎骨支持型装置埋入手術 1回法によるもの:14,500点 → 16,000点 * 広範囲顎骨支持型装置埋入手術 2回法によるもの 1次手術:11,500点 → 13,000点 * 広範囲顎骨支持型装置埋入手術 2回法によるもの 2次手術:4,500点 → 6,000点 * 広範囲顎骨支持型装置掻爬術(1顎につき):1,800点 → 3,300点 広範囲顎骨支持型装置掻爬術は、1,800点から3,300点へと約1.8倍の引き上げとなりま

    令和8年度改定「歯科固有の技術」見直し3つの柱を総点検
  2. 1d ago

    令和8年度改定|歯科診療の実態に応じた評価の見直し・明確化を6項目で解説

    令和8年度診療報酬改定では、歯科点数表について、歯科診療の実態を踏まえた整理が行われます。歯科点数表には、解釈が示されていない項目、内容が類似する項目、算定告示と算定要件が一致していない項目が残されていました。本稿では、個別改定項目Ⅲ-7の⑫「歯科診療の実態に応じた評価の見直し・明確化」を、日々の算定に直結する形で解説します。 今回の見直しは、歯科点数表を「明確化」「統廃合と新設」「算定要件の見直し」という3つの方向で整理します。明確化では、画像診断の2枚目以降の算定方法、病理診断における口腔の臓器の数え方、歯肉剥離掻爬手術の術式が示されます。統廃合と新設では、テンポラリークラウン等を暫間歯冠補綴装置(48点)に統一し、ディスキング(40点)、補綴前処置(40点)、歯の破折片除去(30点)を新たに評価します。算定要件の見直しでは、麻酔薬剤料を算定できる範囲を広げ、口腔機能に係る3つの検査の施設基準を撤廃します。 1. 解釈が示されていなかった項目を明確化する 明確化の対象は、画像診断、病理診断、歯肉剥離掻爬手術の3項目です。いずれも、これまで点数表や留意事項通知に解釈が示されず、現場の判断に委ねられてきた項目です。以下では、3項目の内容を順に確認します。 画像診断では、診断料と撮影料の2枚目以降の算定方法が、通則と留意事項通知に整理されます。従来は写真診断の「注1」で2枚目以降の写真診断を100分の50としていました。改定案では、この注を削除し、通則2で「第2の診断以後の診断は所定点数の100分の50」と規定します。あわせて留意事項通知に、「同一の部位」「同時に」「2枚以上」「同一の方法」の定義が新設されます。 同一の方法による撮影の定義では、デジタル撮影とアナログ撮影を同じ方法として扱う点が示されます。「同一の部位」とは、部位的な一致に加え、通常同一フィルム面に撮影し得る範囲をいいます。「同時に」とは、診断するため予定されるものをいい、処置後又は手術後の評価を目的とした撮影は該当しません。第1枚目では診断が困難な異なる疾患を診断する目的で撮影した場合は、各区分の所定点数により算定できます。 病理診断では、口腔を1臓器として取り扱う考え方が明確になります。医科点数表のN000からN002までについては、口腔を1臓器として算定します。ただし、別の原因で病変が独立して生じており、組織学的形態が異なる場合は、2回を限度として算定できます。 歯肉剥離掻爬手術では、算定の前提となる術式が留意事項通知に示されます。示される術式は、歯肉弁を歯槽骨から剥離し、明視下で不良肉芽を除去する手順です。続いて、汚染歯根面のスケーリング・ルートプレーニングを行い、歯肉弁を適切な位置に復位縫合します。この一連の手技を、歯周ポケットの除去又は減少を目的として行った場合に算定します。 2. 類似する項目と実績のない項目を整理し、新たな評価を設ける 整理の対象は、内容が類似する項目、複数年にわたり算定実績がない項目、算定告示と算定要件が一致していない項目の3種類です。この整理により、暫間歯冠補綴装置をはじめとする新たな評価が設けられます。以下では、統合・廃止・見直し・新設の順に説明します。 暫間的な装置に係る類似項目は、暫間歯冠補綴装置(1歯につき48点)に統合されます。統合の対象は、テンポラリークラウン(34点)、歯周治療用装置(冠形態)、リテーナー、レジン連続冠固定法による暫間固定です。算定できる場面は、支台歯保護のための暫間装着、重度歯周病患者への冠形態の装置の装着、レジン連続冠固定法による暫間固定、前歯部1歯欠損症例での歯科用暫間被覆冠成形品の連結固定の4つです。前歯部1歯欠損症例では、隣在歯を歯数に含めない点に注意が必要です。 暫間歯冠補綴装置の算定では、包括される費用の範囲も明確になります。包括されるのは、印象採得、咬合採得、仮着、調整指導、修理、除去等の基本的な技術料と保険医療材料料です。広範囲顎骨支持型補綴(ブリッジ形態のもの)の患者にリテーナーを製作した場合は、手術日から装着までの期間に1回に限り算定します。この場合の特定保険医療材料料は、スクリュー、アバットメント及びシリンダーに限り別に算定できます。なお、歯周治療用装置のうち床義歯形態のものは、口腔内装置に位置付けられます。 算定実績がない項目は、歯科点数表から廃止されます。廃止されるのは、救急搬送診療料(1,300点)、退院前在宅療養指導管理料(120点)、在宅麻薬等注射指導管理料(1,500点)、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料(1,500点)、在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料(1,500点)です。歯髄切断については、失活歯髄切断(72点)が廃止され、生活歯髄切断(233点)のみが残ります。 歯周病患者画像活用指導料は、枚数に応じた評価から、画像の種類に応じた評価に見直されます。現行は10点を基本とし、2枚目から1枚につき10点を5枚まで加算する仕組みでした。改定案は、「1 口腔内画像 50点」と「2 顕微鏡画像 50点」の2区分に再編します。顕微鏡画像は、動機付けを目的として位相差顕微鏡による画像を用いて指導した場合に、患者1人につき1回に限り算定します。 う蝕を前提とした3項目は、対象の実態に合わせて名称が変わります。う蝕処置は単純処置(18点)に、う蝕歯即時充填形成は即時充填形成(128点)に、う蝕歯インレー修復形成はインレー修復形成(120点)になります。点数はいずれも据え置かれ、名称のみの変更です。 咬合調整の対象だった診療行為のうち2つは、独立した評価に位置付けられます。1つ目のディスキング(1歯につき40点)は、叢生に対して歯の隣接面を削除した場合に、歯数に応じて算定します。2つ目の補綴前処置(1装置につき40点)は、新たな義歯の製作又は義歯修理に当たり、レストシートやガイドプレーンの付与、リカントゥアリング等により鉤歯や対合歯を削除した場合に算定します。補綴前処置は1装置につき1回の算定であり、前処置の内容の要点を診療録に記載する必要があります。 歯の破折片除去は、準用による算定から独立した評価(1歯につき30点)になります。現行は口腔内軟組織異物(人工物)除去術の「1 簡単なもの」で算定していました。改定案では、一部残存した歯の破折片を非観血的あるいは簡単な切開で除去した場合に、歯数に応じて算定します。う蝕除去に伴うものは対象外であり、浸潤麻酔下で行った場合は浸潤麻酔料と使用麻酔薬剤料をそれぞれ算定します。 3. 麻酔薬剤料・施設基準・併算定の取扱いを見直す 取扱いの見直しは、麻酔薬剤料、施設基準、併算定の3点です。いずれも、日常的な診療で算定に迷いや負担が生じていた部分です。以下では、3点を順に確認します。 麻酔薬剤料は、算定できる項目の範囲が広がります。処置の部の通則7では、生活歯髄切断と抜髄に加え、歯髄保護処置(1又は2)が薬剤料を算定できる対象に追加されます。歯冠修復及び欠損補綴の部では、通則11が新設され、歯冠形成(1に限る。)を行う場合の麻酔薬剤料を算定できるようになります。 口腔機能に係る検査の施設基準は、撤廃されます。撤廃の対象は、口腔細菌定量検査、咀嚼能力検査、咬合圧検査の3つです。これらは歯科診療で一般的に行われている検査であるため、地方厚生局長等への届出がなくても算定できるようになります。算定回数の上限そのものは変わらず、咀嚼能力検査と咬合圧検査は3月に1回、口腔細菌定量検査は月2回又は3月に1回が上限です。 情報連携に係る評価は、併算定できる項目が見直されます。見直しの対象は、在宅歯科医療情報連携加算(月1回100点)です。改定案では、この加算を算定する場合に在宅患者連携指導料(C007)を別に算定できない旨が明記されます。同じ取扱いは、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料と小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の在宅歯科医療情報連携加算にも適用されます。 まとめ:明確化・統廃合・要件見直しの3点を押さえる 今回の⑫は、歯科点数表を歯科診療の実態に合わせて整える改定です。明確化では、画像診断の2枚目以降の算定方法、病理診断における口腔の臓器の数え方、歯肉剥離掻爬手術の術式が示

    令和8年度改定|歯科診療の実態に応じた評価の見直し・明確化を6項目で解説
  3. 2d ago

    【令和8年度改定】3次元プリント有床義歯4,000点を新設|算定要件を解説

    3次元プリント有床義歯は、新規医療機器等として保険適用された医療機器を用いて製作する義歯です。しかし、保険適用の時点では専用の評価がなく、通常の有床義歯の点数を準用する取扱いが続いています。そこで令和8年度診療報酬改定では、歯科治療のデジタル化を推進する観点から、3次元プリント有床義歯に対する新たな評価が設けられます。本稿では、この新設項目の内容を、点数、算定要件、施設基準の順に整理します。 新設項目「3次元プリント有床義歯」は、デジタル機器で設計・製作した有床義歯を1顎単位で包括的に評価します。点数は1顎につき4,000点です。算定には、指定されたコンピュータ支援設計・製造ユニットと歯科技工用重合装置を用いた設計・製作・装着が求められ、印象採得などの基本的な技術料は所定点数に含まれます。施設基準は、体制の整備と機器・設備の保有の2点で構成され、機器・設備は歯科技工所との連携でも要件を満たせます。 1. 新設の背景:準用点数から独自の評価へ 新設の背景には、3次元プリント有床義歯が保険適用されながら独自の評価を持たなかった経緯があります。この項では、保険適用の経緯と、デジタル化がもたらす効果を確認します。 3次元プリント有床義歯は、新規医療機器等として保険適用されました。中央社会保険医療協議会の資料では、令和7年12月に保険適用される予定と示されています。保険適用から令和8年度改定までの間は通常の「有床義歯」の評価を準用する取扱いとされ、製作方法の違いが点数に反映されない状態が続いていました。 準用の状態を解消するため、令和8年度改定では専用の評価が新設されます。個別改定項目の基本的な考え方にも、「現在準用点数で行われている3次元プリント有床義歯について、新たな評価を行う」と示されました。新たな評価は、歯科治療のデジタル化を推進するという改定の方針に沿った措置です。 デジタル化の推進が求められる理由は、義歯製作の効率化にあります。中医協に提出された資料では、有床義歯の製作をデジタル化することで、一般的な義歯製作に比べて5時間程度の製作時間が短縮されたとの報告が紹介されました。製作時間の短縮は、歯科技工に係る業務負担の軽減にもつながります。 2. 新設される点数:1顎につき4,000点 新設される点数は、3次元プリント有床義歯1顎につき4,000点です。この項では、点数の水準と算定単位を確認します。 点数は「3次元プリント有床義歯(1顎につき)4,000点」として設定されます。算定単位は1顎であり、上下顎の両方に製作した場合は、それぞれ1顎として算定します。なお中医協資料では、3次元プリント義歯は総義歯として説明されています。対象となる義歯の範囲は、改定に伴う告示・通知で改めて確認してください。 1顎単位という算定単位は、算定要件でも改めて示されています。算定要件の(2)には「本区分を算定する場合は、1顎単位で算定する」と規定されました。1口腔単位で算定する新製有床義歯管理料などとは単位が異なるため、レセプト作成時には注意が必要です。 3. 算定要件:機器・製作方法・包括範囲 算定要件は、使用する機器、製作方法、包括される技術料の3点に整理できます。この項では、それぞれの内容を順に説明します。 使用する機器は、コンピュータ支援設計・製造ユニットと歯科技工用重合装置の2つです。前者は歯科技工室設置型のものを指し、後者は液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置を指します。算定できるのは、これらの機器を用いて有床義歯を設計・製作し、装着した場合に限られます。 製作方法は、作業模型を用いた間接法と定められています。算定要件の(1)では、3次元プリント有床義歯を「コンピュータ支援設計・製造ユニット及び歯科技工用重合装置を用いて、作業模型で間接法により造形製作された有床義歯」と定義しました。口腔内で直接造形する方法は、この定義に該当しません。 包括される技術料は、製作時に実施した基本的な技術料です。算定要件の(3)には、印象採得、咬合採得、仮床試適、装着等の基本的な技術料が所定点数に含まれ、別に算定できないと規定されました。これらを個別に算定していた従来の有床義歯とは取扱いが異なるため、点数算定の際は特に注意が必要です。 4. 製作後の取扱い:修理・再製作は従来どおり 製作後の取扱いは、従来の有床義歯と同じルールに従います。この項では、義歯修理や再製作を実施する場合の算定方法を確認します。 義歯修理や再製作等を実施する場合は、M018に掲げる有床義歯の例により算定します。算定要件の(4)に規定されたこの取扱いにより、装着後の対応は従来の有床義歯と共通になります。新設項目が適用されるのは新たに製作して装着する場面に限られる、と整理すると理解しやすいでしょう。 5. 施設基準:体制と機器設備の2要件 施設基準は、体制の整備と機器・設備の保有という2つの要件で構成されます。この項では、それぞれの要件と届出の必要性を説明します。 第1の要件は、当該療養を行うにつき十分な体制が整備されていることです。第2の要件は、当該療養を行うにつき十分な機器及び設備を有していること、または十分な機器及び設備を有している歯科技工所との連携が確保されていることです。第2の要件に連携の選択肢が設けられたことで、自院に機器を持たない医療機関でも算定の道が開かれました。 これら2つの要件を満たしたうえで、地方厚生局長等への届出が必要です。届出を行った保険医療機関でなければ、3次元プリント有床義歯は算定できません。院内に機器を導入するか、機器を有する歯科技工所と連携するかは、各医療機関が製作体制の実態に応じて判断することになります。 まとめ:算定の可否は「機器・単位・届出」で確認する 3次元プリント有床義歯の新設は、準用点数による暫定的な取扱いを解消し、デジタル技術による義歯製作を正面から評価する見直しです。点数は1顎につき4,000点で、印象採得や咬合採得などの基本的な技術料は所定点数に含まれます。算定には、指定機器を用いた間接法での設計・製作・装着に加え、体制と機器・設備に関する施設基準の届出が必要です。機器・設備の要件は歯科技工所との連携でも満たせるため、まずは自院の製作体制と連携先の状況を確認することから始めましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

    【令和8年度改定】3次元プリント有床義歯4,000点を新設|算定要件を解説
  4. 3d ago

    令和8年度改定 歯科デジタル化の要点|CAD/CAM冠の大臼歯要件が原則撤廃へ

    歯科用貴金属材料の価格は、近年大きく変動しています。この価格変動を受けにくいCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーは、大臼歯の咬合支持や金属アレルギーの有無といった細かな要件に縛られ、使える場面が限られてきました。本稿では、令和8年度診療報酬改定の個別改定項目「⑩ 歯科治療のデジタル化等の推進」を、日常業務で判断に使える形に整理します。 今回の見直しは、大きく3つです。第一に、CAD/CAM冠とCAD/CAMインレーの算定要件が簡素化され、クラウン・ブリッジ維持管理料の対象範囲も広がります。第二に、局部義歯のクラスプやバーは、原則として歯科用貴金属材料以外を使う運用に変わります。第三に、光学印象の対象がCAD/CAMインレーからCAD/CAM冠へ拡充されます。 1. CAD/CAM冠・インレーは要件が簡素化される CAD/CAM冠とCAD/CAMインレーの見直しは、「大臼歯の条件撤廃」「乳歯への適応追加」「インレーの評価引き上げ」「材料選択時の参照要件」「維持管理料の対象拡大」の5点に整理できます。前半の3点は算定できる場面を広げ、後半の2点は運用の前提を定める改定です。 大臼歯の要件は、咬合支持の条件が撤廃されます。現行では、第一大臼歯または第二大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)を使う場合に限り、対側や同側の大臼歯による咬合支持、対合歯の欠損状況などを確認する必要がありました(材料(Ⅴ)には、現行でもこの条件はありません)。改定案では、この条件が削除され、「大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)又は(Ⅴ)を使用する場合」に一本化されます。金属アレルギー患者に材料(Ⅲ)を使う際に医科との診療情報提供を求めていた現行の規定も削除されますが、これは対象が狭まるためではありません。金属アレルギー患者も、大臼歯を対象とする上記の規定で算定できるため、医科との連携要件が不要になったという整理です。 乳歯への適応は、新たに追加されます。改定案では、「後継永久歯が先天的に欠如している乳歯に使用する場合」がCAD/CAM冠およびCAD/CAMインレーの算定対象に加わります。この場合のCAD/CAM冠用材料は、永久歯に準じて算定します。 CAD/CAMインレーは、評価も引き上げられます。点数は1歯につき750点から770点へ見直されます。あわせて大臼歯の要件も、咬合支持や金属アレルギーの条件が外れ、「大臼歯に使用する場合」へ簡素化されます。 適応拡大の一方で、材料選択の判断根拠を示す要件が新設されます。大臼歯および乳歯に使用する場合は、その他の歯冠補綴物・歯冠修復物との選択について、日本歯科医学会が令和8年3月に示す「CAD/CAM冠に関する基本的な考え方」および「CAD/CAMインレーに関する基本的な考え方」を参考とすることが求められます。中医協の議論では、CAD/CAM冠は金属と比べて耐久性が低く、破損の増加を懸念する意見も出ていました。適応が広がるほど、症例ごとの選択理由を説明できる体制が重要になります。 クラウン・ブリッジ維持管理料は、対象範囲が広がります。現行では、金属アレルギー患者に対する非金属歯冠修復とCAD/CAM冠が対象外とされていましたが、改定案ではこの除外が削除されます。除外が残るのは、金属アレルギー患者に対する高強度硬質レジンブリッジです。また、支台歯とポンティックの合計が5歯以下の区分には、チタンブリッジが新たに含まれます。 2. クラスプ・バーは非貴金属材料が原則になる 局部義歯に附属するクラスプやバーは、製作の実態に合わせ、原則として歯科用貴金属材料以外を使う運用へ見直されます。対象は、鋳造鉤・線鉤・コンビネーション鉤・大連結子の4つです。共通するのは、「基本的に使う材料を定めたうえで、例外を使うなら理由を診療録に記載する」という枠組みです。 鋳造鉤は、鋳造用コバルトクロム合金が基本になります。14カラット金合金や金銀パラジウム合金を使う特段の理由がある場合は、その理由を診療録に記載します。あわせて、「14カラット金合金による鋳造鉤は2歯欠損までの有床義歯に限る」という現行の制限は削除されます。 線鉤は、不銹鋼および特殊鋼が基本になります。14カラット金合金を使う特段の理由がある場合は、その理由を診療録に記載します。線鉤についても、2歯欠損までとする現行の制限は削除されます。 コンビネーション鉤は、鋳造鉤やレストに用いる材料が鋳造用コバルトクロム合金を基本とします。金銀パラジウム合金を使う特段の理由がある場合は、その理由を診療録に記載します。 大連結子は、名称と定義が明確化されます。現行の「バー」は「大連結子」へ改められ、「離れた位置にある義歯床同士、または義歯床と間接支台装置を連結する鋳造バーまたは屈曲バー」と定義されます。「1 鋳造バー」は鋳造用コバルトクロム合金を基本とし、金銀パラジウム合金を使う特段の理由がある場合は、その理由を診療録に記載します。 3. 光学印象はCAD/CAM冠にも算定できる 光学印象は、算定対象がCAD/CAMインレーからCAD/CAM冠へ拡充されます。クラウン形状の印象精度がインレー形状と同等以上であるという報告が、拡充の根拠です(この報告は中医協資料「歯科医療(その2)」で示されたものであり、個別改定項目には記載されていません)。 算定できる医療機関は、これまでと同じく届出を行った保険医療機関に限られます。施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関が、デジタル印象採得装置を用いて直接法により印象採得と咬合採得を行った場合に算定します。算定は製作物ごとに行い、印象採得・咬合印象・咬合採得は別に算定できません。 光学印象の拡充は、診療時間の短縮にも直結します。中医協に示された研究では、光学印象は従来の印象法に比べ、当該行為に係る時間が6分程度短くなったと報告されています。CAD/CAM冠の適応拡大と組み合わせれば、口腔内スキャナーを導入した医療機関ほど効果を実感しやすい改定といえます。 まとめ:3つの見直しを自院の運用に落とし込む 令和8年度改定の「歯科治療のデジタル化等の推進」は、貴金属価格に左右されない補綴治療を広げる改定です。CAD/CAM冠とCAD/CAMインレーは大臼歯の咬合支持要件が撤廃され、乳歯にも適応が広がり、クラウン・ブリッジ維持管理料の対象も拡大します。クラスプやバーは非貴金属材料が原則となり、例外を選ぶ場合は診療録への理由記載が必要です。光学印象はCAD/CAM冠にも算定できるようになります。まずは、日本歯科医学会の「基本的な考え方」を確認し、材料選択の判断基準と診療録の記載ルールを院内で共有しておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

    令和8年度改定 歯科デジタル化の要点|CAD/CAM冠の大臼歯要件が原則撤廃へ
  5. 4d ago

    令和8年度改定|歯科技工士連携加算はこう変わる 対象拡大と施設基準の厳格化

    令和6年度改定で新設された歯科技工士連携加算は、算定が一定の広がりを見せています。一方で、加算を算定しない理由として「必要性を感じない(従来の技工指示等で対応可能)」や「歯科医師と歯科技工士が連携を行う時間の調整が難しい」が上位を占め、連携の実効性には課題が残りました。本稿は、この課題を受けた令和8年度改定の見直し内容を、算定要件と施設基準の両面から整理します。 今回の見直しは、加算の対象を広げる一方で、施設基準を引き上げる内容です。第一に、対象範囲は、補綴時診断料への新設、印象採得の対象補綴物の拡大、光学印象の評価の再編という3方向に広がります。第二に、算定回数は、同一の補綴物でも工程ごとに別に算定できるルールへ改まります。第三に、施設基準は、歯科技工士の負担軽減・処遇改善に資する体制と、院内掲示・ウェブサイト掲載が追加されます。第四に、技工料は、保険医療機関と歯科技工所の相互の連携に基づき決定する旨が留意事項に明記されます。 1. 見直しの背景|「連携する時間がない」を制度で解きほぐす 見直しの背景には、連携加算が使われる場面の狭さと、歯科技工士の人材確保という2つの事情があります。制度の狙いを押さえると、個々の要件変更の意味が読み取りやすくなります。 連携加算が使われる場面は、これまで補綴物の製作工程の一部に限られていました。従来の対象は、印象採得(光学印象を含む)、咬合採得、仮床試適の3工程です。設計や材料を決める補綴時診断は対象外であり、連携が最も効果を発揮する上流工程が評価されていませんでした。さらに、同一の補綴物では製作工程につき1回しか算定できず、複数工程で連携しても評価は1回分にとどまりました。 歯科技工士の人材確保は、連携加算のもうひとつの狙いです。厚生労働科学研究は、歯科技工士不足の解決策として、歯科医師と歯科技工士の情報共有と連携体制の整備、そしてICTの活用を提言しました。しかし令和7年度の検証調査では、加算が人材定着・確保に寄与した程度について「現時点ではわからない」が54.3%を占めています。加算による評価が歯科技工士に届いているかを確かめる仕組みが、今回の施設基準の見直しにつながりました。 2. 対象範囲の拡大|補綴時診断料への新設、印象採得の拡大、光学印象の再編 対象範囲は、3つの区分で広がります。いずれも、対面による連携を歯科技工士連携加算1(60点)、情報通信機器による連携を歯科技工士連携加算2(80点)として評価する形に統一されました。 補綴時診断料には、歯科技工士連携加算1・2が新設されます。対象となるのは、高強度硬質レジンブリッジ(M017-2)、チタンブリッジ(M017-3)、3次元プリント有床義歯(M018-2)を製作する場合です。このうち3次元プリント有床義歯は、令和8年度改定で新たに評価される項目です。歯科医師が歯科技工士に意見を求め、その内容を踏まえて補綴時診断を行った場合に算定します。同時に2以上の新たな欠損補綴について説明した場合でも、算定は1回です。設計段階での相談が評価対象に加わった点が、今回の目玉といえます。 印象採得は、対象補綴物が大きく広がります。現行の対象は、レジン前装金属冠(M011)、レジン前装チタン冠(M011-2)、CAD/CAM冠(M015-2)の3つに限られていました。改定案では、前歯部の歯冠補綴物またはブリッジを製作する場合が広く対象となります。拡大されたのは対象補綴物の種類であり、前歯部の印象採得を行う場合という前提は現行と変わりません。歯科医師が歯科技工士とともに色調採得および口腔内の確認等を行い、補綴物の製作に活用するという要件も同じです。 光学印象は、評価そのものが組み替えられます。現行は「光学印象歯科技工士連携加算」として50点であり、対象はCAD/CAMインレー(M015-3)、方法は対面のみでした。改定案では、対象にCAD/CAM冠(M015-2)が加わり、名称も歯科技工士連携加算1・2に統一されます。あわせて情報通信機器を用いた連携が算定できるようになり、点数も60点・80点へ引き上げられます。 区分 現行 改定案 補綴時診断料 対象外 加算1:60点/加算2:80点(新設) 印象採得 レジン前装金属冠等の3種 前歯部の歯冠補綴物またはブリッジ 光学印象 50点・対面のみ・CAD/CAMインレー 加算1:60点/加算2:80点、CAD/CAM冠を追加 咬合採得・仮床試適 加算1・加算2を算定可 点数の見直しはなく、併算定ルールのみ変更 3. 併算定ルールの見直し|「製作工程につき1回」から「工程ごと」へ 併算定のルールは、算定機会を増やす方向へ転換します。連携の回数に応じた評価となる点で、実務への影響が最も大きい見直しです。 現行は、1つの補綴物につき1回しか算定できません。印象採得で加算を算定すると、同じ補綴物について咬合採得や仮床試適の加算は算定できない仕組みでした。工程ごとに連携しても、評価は最初の1回で打ち止めとなります。 改定案は、同一の補綴物でも工程ごとに別に算定できます。「同日に行った場合を除き、別に算定する」との規定が、補綴時診断料と印象採得、印象採得と咬合採得、咬合採得と仮床試適という隣接する工程の間に置かれました。有床義歯のように補綴時診断から装着まで4回程度の来院を要する治療では、来院日ごとの連携が評価されます。ただし同日に複数の工程を行った場合は、重複して算定できません。 各工程では、加算1か加算2のいずれか1つだけを算定します。「1装置につき、いずれか1つのみ算定する」との規定が、各区分に共通で置かれました。同じ工程で対面と情報通信機器の両方を用いても、算定できるのは一方のみです。 4. 施設基準の見直し|処遇改善体制と情報公開を要件化 施設基準は、要件が実質的に厳しくなります。届出済みの医療機関も、追加された要件への対応が必要です。なお経過措置の有無は個別改定項目に示されておらず、告示・通知での確認が欠かせません。 歯科技工士連携加算1の施設基準には、3つの要件が追加されます。従来からの要件は、歯科技工士の配置または他の歯科技工所との連携体制の確保です。ここに、歯科技工士の負担軽減および処遇の改善に資する体制の整備、連携体制に関する事項の院内掲示、そして掲示事項の原則ウェブサイト掲載が加わります。加算による評価を歯科技工士に還元し、その体制を患者にも示すことが求められます。 歯科技工士連携加算2の施設基準は、加算1の要件をすべて満たすことが前提となります。加えて、情報通信機器を用いた歯科診療を行うにつき十分な体制の整備が必要です。現行では加算1と加算2の要件が並列に置かれていましたが、改定案では加算1を土台とする積み上げ型に整理されました。 施設基準の項番と対象項目も改まります。現行の「二の二」は「三の二」となり、名称に補綴時診断料と光学印象が加わります。光学印象の連携加算が独立した加算から統合された点が、名称の変更に表れています。 5. 技工料の取扱いの明確化|相互の連携に基づく費用決定 歯冠修復および欠損補綴の通則についても、取扱いが明確化されます。補綴物を円滑に製作・委託できる環境を整えるための見直しです。 算定留意事項は、現行の5が削除され、新たに9が設けられます。新設される9では、歯科技工の委託に当たり、製作技工に要する費用および製作管理に要する費用の決定を、保険医療機関と歯科技工所の相互の連携に基づき行うこととされました。委託先の歯科技工所と協議のうえで費用を決める運用が、留意事項として明文化された形です。 この明確化は、歯科技工所従事者の賃上げ議論を背景としています。歯科技工所への支払いは歯科医療機関を経由するため、評価の効果が現場に届く仕組みが課題とされてきました。ただし賃上げそのものへの対応は別の項目で措置されるため、本項目は費用の決定過程を明確にする位置づけと理解するのが適切です。 まとめ|「対象を広げ、還元を求める」改定 令和8年度改定は、歯科技工士連携加算の対象を広げる一方で、算定する医療機関に体制整備と情報公開を求めます。対象範囲は、補綴時診断料への新設、印象採得の対象拡大、光学印象の再編により3方向へ広がります。算定回数は、同日実施を除き工程ごとに別に算定できるルー

    令和8年度改定|歯科技工士連携加算はこう変わる 対象拡大と施設基準の厳格化
  6. 5d ago

    口腔機能指導加算12点が廃止|新設「口腔機能実地指導料46点」の算定要件

    令和8年度診療報酬改定で、歯科衛生士による口腔機能の指導が「加算」から独立した「指導料」へ生まれ変わります。現行の口腔機能指導加算は、歯科衛生実地指導料の加算であるため、両方の指導を同時に行わなければ算定できません。この制約が影響し、歯科衛生実地指導料を算定した患者のうち口腔機能指導加算を算定した割合は、令和6年8月審査分で約1.3%にとどまりました。本記事では、この課題を解消するために新設される「口腔機能実地指導料」の中身を、現行制度と比較しながら整理します。 新設される口腔機能実地指導料は46点で、月1回に限り算定できます。第一に、評価体系が加算から独立した指導料へ変わります。第二に、算定には研修を受けた歯科衛生士の配置と、施設基準の届出が新たに求められます。第三に、指導内容を文書により提供することが、算定の必須条件となります。 1. 評価体系の見直し:加算12点から独立した指導料46点へ 最大の変更点は、口腔機能に関する指導が歯科衛生実地指導料の「注」から切り離され、独立した項目になることです。改定案では、歯科衛生実地指導料の注3(口腔機能指導加算12点)が削除されます。これに代わって、口腔機能実地指導料46点が新設されます。 この見直しの背景には、加算という位置づけがもたらしていた算定上の制約があります。加算である以上、歯科衛生士はプラーク除去方法の指導など歯科衛生実地指導料の要件を満たしたうえで、さらに口腔機能の指導を上乗せしなければなりませんでした。令和6年8月審査分の社会医療診療行為別統計では、歯科衛生実地指導料のみの算定回数が約1,178万回であるのに対し、口腔機能指導加算は約16万回でした。 算定していない理由からも、現行の建付けの課題が読み取れます。令和7年度検証調査(回答1,122件、複数回答可)では、「歯科衛生士が忙しく指導を行う時間がない」が30.3%で最多となり、「専門的な指導を行う歯科衛生士がいない」が28.6%で続きました。2つの指導を同時に行う負担と、専門人材の不足が、算定を阻んでいたわけです。 なお算定回数そのものは、直近で増加に転じています。令和7年のNDBデータによると、口腔機能指導加算の算定回数は1月の約17万回から3月には約21万回へ増え、5月まで20万回台で推移しました。期中改定による点数の引上げと周知が、算定行動に影響したとみられます。 独立した指導料への移行は、この負担と評価の両面に応える見直しといえます。12点の加算に代えて、46点の指導料として口腔機能の指導そのものが評価されます。ただし現行の加算は歯科衛生実地指導料(80点又は100点)への上乗せであったため、単純に34点の増点と捉えることはできません。歯科衛生実地指導料との併算定の可否や、指導内容の具体的な範囲は、今後発出される告示・通知で確認する必要があります。 2. 新たな要件:研修受講と施設基準の届出 口腔機能実地指導料を算定するには、研修を受けた歯科衛生士の配置が必要です。算定要件では、口腔機能発達不全症および口腔機能低下症の実地指導に係る研修を受講した歯科衛生士が指導を行うことと定められています。施設基準でも、口腔機能の指導等に係る適切な研修を受けた歯科衛生士を1名以上配置することが求められます。 研修が要件化された理由は、口腔機能低下症等への指導が専門的知識を前提とするためです。中医協の資料では、ICFや健康行動理論といった健康概念を用いた指導が、科学的研究によって効果を示していることが紹介されています。関連学会では、口腔機能の基礎知識、口腔機能検査法、口腔機能訓練法、口腔機能管理指導法を項目とする研修プログラムが計画されています。ただしこのプログラムは中医協資料に示された一例であり、要件に該当する研修の具体的な範囲は、今後の通知で示される見込みです。 施設基準では、研修に加えて設備および体制の整備も求められます。具体的には、歯科衛生士が口腔機能の指導を行うための設備と体制を有していることが条件です。届出が必要な項目であるため、算定を予定する医療機関は、地方厚生局長等への届出を済ませる必要があります。届出の時期や経過措置の有無は、今後の通知で確認してください。 3. 算定のルール:対象患者・指示・文書提供・回数 算定にあたっては、対象患者、指示、文書提供、回数の4つのルールを押さえる必要があります。対象患者は、口腔機能の発達不全を有する患者、または口腔機能の低下を来している患者です。指導は、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が行います。 指導後には、指導内容に係る情報を文書により提供しなければなりません。文書提供は算定要件に明記されているため、指導を実施しただけでは算定できません。なお提供先や文書の記載事項は算定要件に示されていないため、通知の内容を待つ必要があります。院内で提供文書の様式をあらかじめ整えておくと、運用がスムーズになります。 算定回数は、月1回が上限です。継続的な口腔機能の管理を行う場合は、口腔機能管理料や小児口腔機能管理料といった歯科医師による管理の評価と、どう組み合わせるかを設計しておくとよいでしょう。なお令和8年度改定では、小児口腔機能管理料および口腔機能管理料の対象患者の範囲も拡大されます。 まとめ:改定施行までに準備すべき3点 令和8年度改定では、歯科衛生士による口腔機能の指導が、加算12点から独立した指導料46点へと変わります。第一に、口腔機能指導加算が削除され、口腔機能実地指導料46点が新設されます。第二に、算定には研修を受けた歯科衛生士の配置と、施設基準の届出が必要です。第三に、指導内容の文書提供が必須となり、算定は月1回が上限となります。改定施行までに、研修の受講計画、届出の準備、提供文書の様式整備という3点を進めておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

    口腔機能指導加算12点が廃止|新設「口腔機能実地指導料46点」の算定要件
  7. 6d ago

    令和8年度診療報酬改定|周術期等口腔機能管理計画策定料に150点の新区分

    手術や入院中のリハビリテーション等を受ける患者の口腔機能管理は、医科歯科連携の柱として広がってきました。しかし、患者の状態が変わって管理計画を作り直しても、その計画変更を評価する区分は現行の点数表にありません。令和8年度診療報酬改定は、この点を含めて周術期等及び回復期等の口腔機能管理の評価を見直します。本記事は、個別改定項目「⑦ 周術期及び回復期等の口腔機能管理の推進」の内容を、改定案と現行の対比にそって解説します。 今回の見直しは、計画策定料への新区分の追加と、歯周病の継続管理の対象拡大からなります。第一に、周術期等口腔機能管理計画策定料が、1(300点)と2(150点)の2区分になります。第二に、回復期等口腔機能管理計画策定料も、同じく1(300点)と2(150点)の2区分になります。第三に、歯周病継続支援治療の対象に、周術期等口腔機能管理料又は回復期等口腔機能管理料を算定している患者が加わります。なお、この見直しの狙いは、資料の「基本的な考え方」に示されたとおり、医科歯科連携の推進です。 1. 周術期等口腔機能管理計画策定料は1と2の2区分になる 周術期等口腔機能管理計画策定料は、1と2に分かれます。1は、現行の周術期等口腔機能管理計画策定料と同じ300点です。2は、管理計画を策定した後の計画変更を評価する区分であり、150点です。 周術期等口腔機能管理計画策定料1の算定要件は、現行と同じ内容です。対象は、がん等に係る手術、放射線治療、化学療法、集中治療室における治療、緩和ケア(以下「手術等」)を実施する患者です。歯科疾患に係る手術については、入院期間が2日を超えるものに限られます。算定できるのは、歯科診療を実施している保険医療機関が、手術等を実施する保険医療機関からの文書による依頼に基づき、患者又はその家族の同意を得た上で、周術期等の口腔機能の評価と一連の管理計画の策定を行った場合です。さらに、その内容を説明し、管理計画を文書により提供することも要件であり、算定は当該手術等に係る一連の治療を通じて1回に限られます。 周術期等口腔機能管理計画策定料2は、策定済みの管理計画を変更した場合を評価します。算定できるのは、注1に規定する管理計画を策定した患者について、その患者の状態の変化等により治療計画を変更した場合です。算定回数は、患者1人につき1回に限られます。ここで押さえるべき点は、1が「一連の治療を通じて1回」であるのに対し、2は「患者1人につき1回」と規定されている点です。 2. 回復期等口腔機能管理計画策定料も1と2の2区分になる 回復期等口腔機能管理計画策定料も、周術期等と同じ形で1と2に分かれます。1は、現行の回復期等口腔機能管理計画策定料と同じ300点です。2は、管理計画を策定した後の計画変更を評価する区分であり、150点です。 回復期等口腔機能管理計画策定料1の算定要件は、現行と同じ内容です。対象は、医科点数表の区分番号A101に掲げる療養病棟入院基本料、区分番号A308に掲げる回復期リハビリテーション病棟入院料、区分番号A308-3に掲げる地域包括ケア病棟入院料を算定する患者です。算定できるのは、歯科診療を実施している保険医療機関が、リハビリテーション等を行う保険医療機関からの文書による依頼に基づき、患者又はその家族の同意を得た上で、回復期等の口腔機能の評価と一連の管理計画の策定を行った場合です。さらに、その内容を説明し、管理計画を文書により提供することも要件であり、算定は当該リハビリテーション等に係る一連の治療を通じて1回に限られます。 回復期等口腔機能管理計画策定料2も、策定済みの管理計画を変更した場合を評価します。算定できるのは、注1に規定する管理計画を策定した患者について、その患者の状態の変化等により治療計画を変更した場合です。算定回数は、患者1人につき1回に限られます。周術期等と回復期等で、計画変更を評価する仕組みは共通しています。 3. 歯周病の継続管理の対象に、周術期等・回復期等の口腔機能管理料の算定患者が加わる 歯周病の継続管理については、算定要件に新たな対象患者が追加されます。今回の資料では、現行の【歯周病安定期治療】が【歯周病継続支援治療】として示されています。この歯周病継続支援治療の留意事項通知に、周術期等口腔機能管理料又は回復期等口腔機能管理料を算定している患者が加えられます。 現行の留意事項通知が対象としているのは、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料を算定している患者だけです。この患者のうち、当該管理料の「注1」に規定する治療計画に歯周病に関する管理計画が含まれ、かつ、留意事項通知の(1)と同様の状態にある患者について、歯周病安定期治療を算定できます。 改定案では、この対象に5つの管理料が追加されます。追加されるのは、区分番号B000-6に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)、区分番号B000-7に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)、区分番号B000-8に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)、区分番号B000-9に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅳ)、区分番号B000-11に掲げる回復期等口腔機能管理料です。これらのいずれか又は歯科特定疾患療養管理料を算定している患者であって、各区分に規定する治療計画に歯周病に関する管理計画が含まれ、(1)と同様の状態にある患者について、歯周病継続支援治療を算定できます。 この追加により、周術期等・回復期等の口腔機能管理から歯周病の継続管理へつなぐ道筋が明確になります。現行の留意事項通知(2)は、歯科特定疾患療養管理料の算定患者だけを規定していました。改定案は、ここに周術期等・回復期等の口腔機能管理料の算定患者を加えることで、手術やリハビリテーション等の期間中から、その後の歯周病管理へと続く流れを後押しします。 4. 実務では、計画変更の記録と対象患者の確認が鍵になる 以下は、資料に明記された要件ではなく、算定要件から導かれる実務上の備えです。備えは2つあります。ひとつは、管理計画を変更した事実を記録に残す備えです。もうひとつは、歯周病継続支援治療の対象となる患者を確認する備えです。 管理計画の変更については、変更の理由を明確にしておくことが役立ちます。策定料2が、患者の状態の変化等により治療計画を変更した場合を算定要件としているためです。変更前後の計画内容と変更理由を記録に残す運用であれば、要件との対応を説明しやすくなります。 歯周病継続支援治療の対象確認については、治療計画に歯周病に関する管理計画が含まれているかどうかが分かれ目になります。算定要件が、各区分に規定する治療計画に歯周病に関する管理計画が含まれることを求めているためです。周術期等・回復期等の口腔機能管理計画を策定する段階から、歯周病に関する管理計画の要否を確認しておく運用が有効です。 まとめ:計画変更の評価と、歯周病管理の対象拡大が要点 令和8年度診療報酬改定は、周術期等及び回復期等の口腔機能管理について、3つの見直しを行います。第一に、周術期等口腔機能管理計画策定料が、1(300点)と2(150点)の2区分になります。第二に、回復期等口腔機能管理計画策定料も、1(300点)と2(150点)の2区分になります。第三に、歯周病継続支援治療の対象に、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)〜(Ⅳ)又は回復期等口腔機能管理料を算定している患者が加わります。いずれの見直しも、医科歯科連携を推進する観点によるものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

    令和8年度診療報酬改定|周術期等口腔機能管理計画策定料に150点の新区分
  8. Aug 14

    令和8年度診療報酬改定|歯科矯正の保険対象に「連続3歯以上の先天性欠損歯」を追加

    保険診療における歯科矯正は、厚生労働大臣が定める疾患等に起因した咬合異常に限定されてきました。この限定の下では、咬合異常と有意に関係する先天性欠損歯を有する患者が対象から外れていました。本記事では、令和8年度診療報酬改定の個別改定項目「Ⅲ-7-⑥ 歯科矯正に係る患者の対象等の見直し」の内容を、初めて改定資料に触れる方にもわかるように解説します。 今回の見直しは、対象患者の追加と説明の標準化という2つの柱で構成されます。対象患者の追加は、告示と歯科矯正相談料の2か所で行われます。告示では、連続した3歯以上の先天性欠如歯に起因した咬合異常が、18歳未満の患者に限って保険給付の対象に加わります。歯科矯正相談料では、同じ咬合異常が算定対象となる疑い病態に加わります。説明の標準化としては、歯科矯正相談料の説明書に標準様式が定められ、その写しを診療録に添付する取扱いに変わります。 1. 連続3歯以上の先天性欠損歯が保険給付の対象に加わる 保険給付の対象追加は、療担規則等に基づく厚生労働大臣の定める掲示事項等(第十一の二)の改正で行われます。この告示は、歯科矯正を保険で行える場合を列挙した規定です。改定案では、列挙の末尾に「十八歳未満の患者であって、連続した三歯以上の先天性欠如歯に起因した咬合異常」が追加されます。 追加された対象には、年齢と実施医療機関という2つの条件がかかります。年齢の条件として、患者は18歳未満に限られます。実施医療機関の条件として、歯科点数表のN000歯科矯正診断料に係る施設基準を満たし、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが求められます。この2つの条件は、既存の対象疾患と同じ枠組みの中に追加されたことによるものです。 対象追加の根拠は、先天性欠損歯が顔面骨格の発育に与える影響にあります。中央社会保険医療協議会(中医協)に提出された資料では、先天性欠損歯が多いほど顔面骨格への影響が大きいことが示されました。同資料では、3歯以上の欠損は2歯以下より影響が大きいことも示されています。連続して隣接歯が欠損する状態は、長期的かつ多科的な治療を要する重篤な症状と位置づけられています。 同じ告示の改定案では、対象疾患も2つ増えています。改定案の疾患名の列挙には、現行にない「原発性低リン血症性くる病」と「ロイス・ディーツ症候群」が加わっています。これらの追加は他の改定項目に由来する可能性がありますが、告示の対象疾患が増える点は本項目の改定案から読み取れます。 なお、従来からある「六歯以上の先天性部分無歯症」の規定は改定後も残ります。この規定は欠損の連続性を問いません。今回追加される規定は、欠損が連続する場合に3歯以上で対象とする点で、従来の規定を補う関係にあります。 2. 歯科矯正相談料の対象にも同じ咬合異常が加わる 歯科矯正相談料の見直しは、留意事項通知(3)の改正で行われます。歯科矯正相談料は、学校保健安全法第13条第1項に規定する健康診断の結果を受けて、咬合異常等が疑われる患者に検査と説明を行った場合に算定する項目です。改定案では、算定対象となる疑い病態に「連続した3歯以上の先天性欠損歯に起因した咬合異常(18歳未満に限る。)」が加わります。 対象の追加により、相談の入口と保険給付の対象が一致します。改定前の相談料は、大臣が定める疾患に起因した咬合異常、3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の3つを疑い病態としていました。改定後の相談料は、これらに先天性欠損歯による咬合異常を加えた4つを疑い病態とします。学校歯科健診をきっかけとした相談から治療までの流れが、この一致によって切れ目なくつながります。 検査の記載も、あわせて明確化されます。改定前の通知は「歯科エックス線画像、口腔内写真、顔面写真等の撮影、スタディモデルの製作等を行い」と記載していました。改定後の通知は、E000写真診断の「1 単純撮影」「2 特殊撮影」またはE100「歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織」の「1 単純撮影」「2 特殊撮影」による画像と特定します。さらに、これらの検査は「必要に応じて行い」と改められ、症例に応じた実施であることが明示されます。 3. 説明書の標準様式が定められ、診療録の取扱いも変わる 説明書の標準様式は、患者への説明の質を担保するために定められます。中医協では、令和6年度改定で新設された歯科矯正相談料について、どの保険医療機関でも適切な説明ができるよう質の担保が必要だと指摘されました。令和7年6月には、日本矯正歯科学会と日本小児歯科学会が「歯科矯正相談料に関する基本的な考え方」で結果報告書(説明書)の標準様式を示しています。改定案は、この様式を「別紙様式●」として通知に位置づけます。 標準様式の運用として、写しの診療録添付が求められます。改定案の(3)は、患者等に提供する文書の様式を「別紙様式●」またはこれに準じた様式とし、その写しを診療録に添付すると規定します。様式の番号は、正式な通知の発出時に確定します。 診療録の記載要件は、写しの添付に置き換わる形で削除されます。改定前の(5)は、健康診断の実施日、結果、学校名、説明した診断結果等の要点を診療録に記載するよう求めていました。改定後は、この(5)が削除されます。診療録への対応は、標準様式の写しの添付に一本化されます。 4. 実務では3つの確認が必要になる 改定への対応では、対象・体制・様式の3点を確認してください。対象については、連続する欠如歯の本数と患者の年齢が要件を満たすかを診断時に確認します。体制については、歯科矯正診断料に係る施設基準の届出が済んでいるかを確認します。様式については、標準様式に沿った説明書を準備し、写しを診療録に添付する運用へ切り替えます。 確認の際は、正式な告示と通知の発出を待つ点にも注意してください。本記事が扱う「個別改定項目について」は、答申の時点で示された改定案です。様式番号などの細部は、正式な告示および留意事項通知で確定します。 まとめ:対象追加と説明の標準化が同時に進む 令和8年度診療報酬改定では、歯科矯正に係る患者の対象等が2つの柱で見直されます。第1の柱である対象患者の追加として、連続した3歯以上の先天性欠如歯に起因した咬合異常が、18歳未満かつ歯科矯正診断料の届出医療機関という条件の下で保険給付の対象に加わります。同じ咬合異常は歯科矯正相談料の対象にも加わり、相談から治療までの流れがつながります。第2の柱である説明の標準化として、説明書の標準様式が定められ、写しの診療録添付が従来の記載要件に代わります。学校歯科健診をきっかけに矯正相談を受ける子どもにとって、保険診療の入口が広がる改定といえます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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