渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

渡部製作所

Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 ▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼ 【iOS】https://apps.apple.com/ja/app/id6746703721 【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=info.watasei.tatsuonomiyazawakenjiroudokushu 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。

  1. 2d ago

    山地の稜

    📖『山地の稜』朗読 – 白く光る朝のレールと、雲に浮かぶ群青の稜線🛤️⛰️ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『山地の稜』。 学校をあとにして、ひとりで、つめたい草を見に行く朝です。運動場でテニスをしている二人は、ついて来たいのか、こちらを見ています。けれども、大事なことなので、だれも連れていきません。 線路に出ると、私は手帳をひらき、目に入るものを書きとめながら歩いていきます。やがて向こうから、見おぼえのある女の人がやって来ます。知らないふりで通りすぎようかと思ううちに、もう何か話しかけられそうです。 ほんのしばらくのつもりで、線路づたいにひとりで歩く、春の朝です。雲はまぶしく光り、南の空はトルコ玉のいろに晴れています。白い雲を背にして、いままで知らなかった山の稜が、群青に浮かびあがります。 このあいだの日曜日のさみしさが残っているので、お城のほうへは足が向きません。線路を行き来する人たちの目が気にかかって、手帳をひろげているのも、気どって見えはしないかと思います。それでも、書きとめないわけにはいかないのです。 雲の光のなか、手帳を手にひとり歩く朝を、朗読でじっくりとお楽しみください。 #鉄道 #方言

    山地の稜
  2. Oct 4

    紫紺染について

    📖『紫紺染について』朗読 – 山男を待つ町の夕暮れと、酒のまわる九月の宴🌇🍶 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『紫紺染について』。 工芸学校の先生が、紫紺染のつくり方をさがしています。草の根をつかうこの古い染めものは、いちどすたれてしまい、もう知っている人がいないのです。むかしの記録を調べるうちに、先生は、紫紺の根を町へ売りに来て、酒を買って帰った山男のことを見つけます。 たずねられる相手は、もう山男のほかにいない。先生は町の人たちと相談して、山男に手紙を出し、食事の席に招くことにしました。九月の夕暮れ、みんなは、ほんとうに来てくれるのかどうかを案じながら待っています。 町の人たちと山男とが、ひと晩だけ、同じ食卓をかこみます。山男は、黄金いろの眼をした大きな男です。むかえる人たちがならんで頭を下げると、山男のほうでも、ていねいに礼を返します。 思いがけないもてなしを、山男はたいそうよろこんで、いくらでもお酒を呑みます。席はにぎやかになり、夜の更けるまでつづきます。 ひとつの染めものがよみがえるまでの、苦心のひとこま。山男をむかえた町の一夜を、朗読でじっくりとお楽しみください。 #山男

    紫紺染について
  3. Sep 27

    台川

    📖『台川』朗読 – 水にゆれる光の網と、青葉の谷をさかのぼる明るい半日🌿✨ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『台川』。 生徒たちを引率して、釜淵まで行く朝です。さあ出かけましょうと声をかけても、まだ姿を見せない者がいます。もう二十分も待ったのだから仕方ない。来たい者だけを連れ、みちばたの草に腰をおろした校長を残して、おれは歩きだします。 乾いた粘土のみちの両側は、小松と若い林ばかりです。向うの崖に黒い岩が突き出ているのを見つけると、おれはさっそくそれがどうしてそこに在るのかを説明します。言いおわってから、かえって混ぜかえしただけだと思いなおし、言葉をあらためてもう一度云う。けれども生徒たちは黙って歩いているばかりでした。 坂がひどくなり、下の方で水の鳴る音がしはじめます。急な崖を木につかまって下りきっても、目あての瀑にはまだ届きません。おれは靴をぬぎ、水の中の石を動かして、みんなの渡れる足がかりをこさえてやることにしました。 生徒たちに向かって云う言葉のうしろでは、おれの独りごとがひとときも止まりません。いまの説明はどうだったか、云わずにおけばよかったのではないか。この石は何というのかと方言で問いかけてくる声も、そこへまぎれこんできます。 水の中を歩いていくと、足もとでは日の光が網になってゆれつづけています。それは歩きだしたときから、木の間にも生徒たちの足なみにも、おなじようにゆれていたものです。鉄槌を大きく振って川をあるくのは、もう何年ぶりかわかりません。 青葉の谷を水づたいにさかのぼる、引率の教師の半日を、朗読でじっくりとお楽しみください。 #少年 #方言

    台川
  4. Sep 20

    車

    📖『車』朗読 – 松脂かおる松林の道と、木洩れ日ゆれる夏の一日🌲☀️ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『車』。 籠を頭にのせて町角に立っていたハーシュは、その日の午前中、仕事にありつけずにいました。弁当を食べはじめたところへ赤い髭の男がせかせかとやって来て、兵営の普請に使うテレピン油を工場まで取りに行ってくれと頼みます。渡された名刺と、よぼよぼの車を引いて、ハーシュは道を歩きだします。 楊の並木を過ぎ、白い杭のところで道を折れると、松脂の匂いのする松林にさしかかります。そこで水色の服を着た小さな男の子に呼びとめられ、車に乗せてほしいとせがまれます。乗せてやると、車はがたがたと揺れ、狭くなっていく道をハーシュはゆっくりと引いていきます。 そのうちに車輪のくさびが一本ぬけているのに気づき、ハーシュは近くの百姓家で縄を借りようとしますが、おかみさんにきつく断られてしまいます。腹を立てるのはもっともだと思い直したハーシュは、来た道を戻ってくさびを探しあて、車をなおして再び歩きだします。小さな川を渡ると、まもなく松林のはずれにテレピン油の工場が見えてきます。 仕事のなかった朝のうめ合わせに、こんなにも愉快な道のりが待っていようとは、ハーシュ自身思いもよらないことでした。 松の香りと木洩れ日に満ちた、ひとりの男とひとりの子どもの小さな旅を、朗読でじっくりとお楽しみください。 #兵隊 #冒険

    車
  5. Sep 13

    氷と後光

    📖『氷と後光』朗読 – 雪と月あかりを走る夜汽車と、氷にきらめく朝の光🌙❄️ 静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『氷と後光』。 雪と月に照らされた夜の中を、汽車が北へと進んでいきます。赤い頭巾をかぶった幼い子どもは毛布にくるまれ、窓ぎわでぐっすりと眠ったまま。網棚に積まれたりんごの香りが車室いっぱいに満ちるなか、若い父と母は、山の上に見える白いものが雲か凍った雪煙かと言葉を交わしながら、次々に流れていく電信柱を眺めています。夜中を過ぎるころ、車室を暖めていたスティームが急に止まって冷えこみ、窓は氷でくもります。父と母は風邪をひかせまいと子どもに毛布を着せなおし、汽車が峠の頂上を越えて下りにかかると、明かりも暖かさももとに戻って、二人はまどろみながらかわるがわる子どもの寝顔をのぞきこみます。 夜が明けるころ盛岡に着くと、霜で真っ白になった毛皮や襟巻をまとった人たちが乗りこんできます。窓にはらんの葉のような形の氷の結晶がびっしりと広がり、そのすきまから東の空にほのかな琥珀色がのぞきはじめます。目を覚ました子どもに母が乳をふくませるころには、車室のまわりはしだいに明るさを増していきます。 氷にとざされた車室の中を、汽車はゆっくりと夜から朝へ運ばれていきます。窓をおおう氷の色も車内の温度も、そのつど移り変わっていきます。 そのあいだ、父と母はただ静かに子どものそばに寄り添いつづけます。眠っては目を覚ます子どもをはさんで過ごす、汽車の中だけの時間です。 氷の結晶にいろどられた夜汽車の一夜を、朗読でじっくりとお楽しみください。 #鉄道 #月 #柱

    氷と後光

About

Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 ▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼ 【iOS】https://apps.apple.com/ja/app/id6746703721 【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=info.watasei.tatsuonomiyazawakenjiroudokushu 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。

You Might Also Like