ナマケもん戦略研究所 ラジオ

ナマケもん

『ナマケもん戦略研究所 ラジオ』は、著者がこれまでに執筆してきた思想・社会批評・経営論を耳から味わえるかたちで届ける試みです。現代社会を覆う「効率」「競争」「正しさ」といった規範に対し、ナマケモノのように「小さく・深く・しなやかに」生きる知恵を語り直します。番組では、『ナマケもん戦略』『MBA的常識の限界』『絶滅の巨人』に示した経営論から、『ブラックなホワイト社会』『優しい全体主義』に描かれた社会批評、さらに『嘘の社会学』『死の社会学』によるメキシコ社会研究まで、多彩な著作のエッセンスを紹介します。 本ラジオは、資本主義の限界や制度の疲労と再生、無条件の承認、共同体的秩序の可能性、そして文化や倫理の再構築をテーマに、複雑な議論を声によって物語として伝えます。聴く人が「勝つため」ではなく「続くため」の視点を取り戻し、自らや組織のあり方を考え直すきっかけとなることを目指します。 あわせて、テキスト連載や最新記事はNoteで配信しています。ぜひこちらもご覧ください → note.com/orangeman_x

  1. 2d ago

    【週刊】ナマケもんマガジン 第59回

    (2026-11-01) 週刊「ナマケもんマガジン」は、NOTEで過去1週間で投稿された連載記事の解説とオリジナル音楽を融合した思想系エンターテインメントです。テーマは“どう勝つか”ではなく“どう続くか”。拡大量と効率至上を超え、Non-Exhaustive Growth(消耗しない成長)を語ります。後半では『ブラックなホワイト社会』『制度敗戦』などの著作をモチーフに制作した楽曲を公開。NOTE、Youtube、Spotify、Apple Podcastと連動し、思想・音楽・制度論、経営思想、文化論、社会論など、ジャンルを超えて横断するナマケもんの世界へ。 ★ NOTE:https://note.com/orangeman_x★ Spotify:https://open.spotify.com/show/0j8dq3eGR2MEtDcTzTHiyt?si=HNERZsCVS5CEOB9_l2LMBg★ Apple Podcast:https://podcasts.apple.com/us/podcast/ナマケもん戦略研究所-ラジオ/id1839105994★ Youtube 再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL2dBzmu5dVYFRLdl5Nx7sOQ_aGixVoufh #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth 国際環境が急速に変化する時代、日本は何を前提として国家を運営すべきなのでしょうか。本章では、安全保障を防衛力や同盟関係だけの問題として捉えるのではなく、国家の判断基準そのものを再構築する必要性を論じています。 重要なのは、脅威認識、時間認識、依存構造、コスト認識、意思決定様式という五つの視点です。国家の存続を脅かすものは軍事的な攻撃だけではありません。経済、技術、資源供給、国際関係の変化も、国家の自律性を左右します。また、変化の速度が高まるなかでは、従来の合意形成や意思決定のあり方も再検討が必要になります。 そこで提示されるのが、可逆性、多層化、段階性という三つの原則です。決定を修正できる余地を残し、特定の選択肢への依存を避け、状況を確認しながら段階的に進むことが重要になります。 米国からの独立とは、同盟を断ち切ることではありません。日本が自ら判断し、選択し、必要に応じて修正できる条件を確保することです。短期的な財政負担だけでなく、将来の選択肢を失うこともコストとして捉え直す必要があります。国家の強さとは、固定された方針を守り抜くことではなく、変化のなかでも自律的な判断を続けられる能力なのです。 技術が進歩し、仕事が効率化されているにもかかわらず、なぜ働く人々の忙しさや疲労は減らないのでしょうか。本章では、労働を時間や能力の提供として捉える従来の考え方を問い直し、人間が働くことで消費している身体資源に注目します。 肉体労働だけでなく、思考、判断、集中といった知的活動も、生きている身体によって支えられています。どれほど優れた知識や能力を持っていても、疲労や睡眠不足によって、それらを十分に発揮できなくなることがあります。能力を保有することと、能力を発揮できる状態にあることは異なるのです。 現代の企業経営は、生産性の向上を追求してきました。しかし、技術によって生まれた余裕が新たな仕事で埋められれば、効率化は人間の負担軽減につながりません。企業にとっての効率と、人間にとっての効率は必ずしも一致しないのです。 問題は、働くことで身体資源を消費すること自体ではありません。消費した資源を回復できる条件が存在するかどうかです。一時的に最大の成果を生み出すことと、長期にわたって能力を発揮し続けることは異なります。企業の持続可能性を考えるならば、人間を消耗させながら成果を拡大する経営から、人間が働き続けられる条件を維持する経営へと発想を転換する必要があります。 私たちは消費を、お金を支払って商品やサービスを購入する行為として理解しています。しかし、本章では、消費とは金銭の支出だけではなく、限られた身体資源をどのような経験や活動に配分するのかという選択であると考えます。 例えば旅行には、交通費や宿泊費だけでなく、移動時間、体力、注意力が必要です。同じ旅行でも、身体の状態によって得られる満足は変化します。商品の価格が同じであっても、その消費が人間にもたらす価値は一定ではありません。 お金は増やせる場合がありますが、一日の時間や身体の活動能力には限界があります。安い商品を購入するために長時間移動すれば、金銭を節約できても、時間や体力を消費することになります。消費の合理性は、価格だけでは判断できないのです。 さらに、消費には身体資源を使う側面だけでなく、回復させる側面もあります。食事や睡眠、友人との交流は、時間を使いながら身体や精神の状態を整える活動でもあります。 豊かさとは、より多くの商品を所有し、より多くの経験を積み重ねることではありません。自分の時間、健康、注意力をどのように使い、どのような状態で生活を続けられるのか。その視点から消費を捉え直すとき、豊かさは金銭的な量ではなく、人生の成立条件として見えてくるのです。 医学、心理学、経済学、社会学など、人間を研究する学問は発展を続けています。しかし、人間とは何かという問いに、統一された答えが存在するわけではありません。本章では、部分についての知識を積み重ねることと、人間という全体を理解することの違いを考察します。 近代科学は、対象を細分化し、それぞれの仕組みを分析することで発展してきました。身体は臓器や細胞に、行動は認知や感情に、社会生活は制度や文化との関係に分けて研究されます。こうした分析は重要ですが、それぞれの説明を集めただけで、人間の全体像が明らかになるとは限りません。 例えば、仕事への意欲を失った人について、心理学は動機づけ、医学は疲労、経済学は報酬、社会学は組織文化という異なる視点から説明できます。しかし、その人の状態を理解するには、これらの条件がどのように結びついているのかを考える必要があります。 また、人間の振る舞いは、周囲の環境や他者との関係によって変化します。同じ人でも、安心できる環境と失敗を許されない環境では、判断や行動が異なります。 人間を理解するとは、固定された性質を知ることだけではありません。身体、意識、制度、他者との関係が、どのような条件のもとで結びつき、人間としての活動を可能にしているのかを問うことです。ここから、人間とは何かではなく、人間はいかに成立しているのかという新たな問いが生まれます。 今週ご紹介するのは、NamakeMonのセカンドアルバム『Black and White、ブラックなホワイト社会』に収録されたTrack 4「Silent Accord」です。日本語では「静かな合意」を意味するこの楽曲は、現代都市の風景を通じて、私たちが無意識のうちに受け入れている社会のルールを問い直します。 ガラス張りの高層ビル、夜のネオン、繰り返される足音。都市は絶え間なく動き続けていますが、そのなかで人間は社員番号や評価点数、業績目標といった数字や記号へと置き換えられていきます。組織や制度の効率が優先されるほど、一人ひとりの顔や生活が見えなくなってしまうのです。 しかし、楽曲の後半では、競争しなくてもいい、輝こうとしなくてもいいというメッセージが現れます。街の騒音の下には、自分自身の鼓動があります。 「静かな合意」には、社会の競争原理を黙って受け入れるという意味と、競争や評価を超えて互いの存在を認め合うという、もう一つの可能性が込められています。社会の速度に追い立てられるのではなく、自分自身のリズムを取り戻すこと。『人材を消耗する資本主義』とも響き合う、人間の存在と静かな自由を描いた一曲です。 #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth #スローキャピタリズム #思想系エンターテインメント #持続する社会 #ナマケもんラジオ Ⅰ.連載記事の解説パート① 『米国から独立する日本』第14章「新しい国家前提」② 『人材を消耗する資本主義』第1章「なぜ働くほど、人は消耗するのか」③ 『豊かさの再定義』第3章「消費とは、身体資源の配分である」④ 『人間の成立』第2章「なぜ人間は理解できないのか」Ⅱ.音楽コーナー(Music Section)『Silent Accord』

    【週刊】ナマケもんマガジン 第59回
  2. Oct 25

    【週刊】ナマケもんマガジン 第58回

    (2026-10-25) 週刊「ナマケもんマガジン」は、NOTEで過去1週間で投稿された連載記事の解説とオリジナル音楽を融合した思想系エンターテインメントです。テーマは“どう勝つか”ではなく“どう続くか”。拡大量と効率至上を超え、Non-Exhaustive Growth(消耗しない成長)を語ります。後半では『ブラックなホワイト社会』『制度敗戦』などの著作をモチーフに制作した楽曲を公開。NOTE、Youtube、Spotify、Apple Podcastと連動し、思想・音楽・制度論、経営思想、文化論、社会論など、ジャンルを超えて横断するナマケもんの世界へ。 ★ NOTE:https://note.com/orangeman_x★ Spotify:https://open.spotify.com/show/0j8dq3eGR2MEtDcTzTHiyt?si=HNERZsCVS5CEOB9_l2LMBg★ Apple Podcast:https://podcasts.apple.com/us/podcast/ナマケもん戦略研究所-ラジオ/id1839105994★ Youtube 再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL2dBzmu5dVYFRLdl5Nx7sOQ_aGixVoufh #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth 国際社会の変化が加速するなか、日本に求められるのは、単純に意思決定を速めることなのでしょうか。本章は、国家に必要なのは速度そのものではなく、不確実な未来に対応する「適応力」であると論じます。 企業は事業から撤退できますが、国家には退出という選択肢がありません。一度の判断が長期にわたり国民生活に影響する以上、短期的な効率や速度だけを優先することはできないのです。 そこで提示されるのが、三つの原則です。第一は「可逆性」。政策を必要に応じて修正できる余地を残すこと。第二は「多層化」。特定の国家や制度、技術への依存を避け、複数の選択肢を確保すること。第三は「段階性」。状況を確認しながら段階的に判断を進めることです。 これらは未来を正確に予測するための方法ではありません。むしろ、予測が外れることを前提に、国家の持続可能性を確保する思想です。 国家の自立とは、他国との関係を断つことではなく、自らの意思で選択し直せる状態を維持することです。加速する世界に必要なのは、未来を当てる能力ではなく、未来の変化に耐える能力なのです。 企業は「人こそ最大の資産」と語り、人材育成や人的資本への投資を重視しています。しかし、その一方で、働く人間の疲弊や消耗はなぜ解消されないのでしょうか。 新連載『人材を消耗する資本主義』は、この矛盾を出発点として、現代の経営思想を問い直します。 例えば、一時間かかっていた仕事を三十分で終えられるようになったとします。本来なら、生まれた三十分は人間の余裕になるはずです。しかし、その時間に新しい仕事が投入されれば、生産性の向上は休息ではなく、仕事量の増加へと転換されます。 能力が高まるほど、さらに高い成果を要求される。こうして人間は、成長しながら消耗していくのです。 問題は、人材育成そのものではありません。育てた能力を何のために使うのかという、経営の目的にあります。 企業にとって人間は事業を成立させる経営資源ですが、人間にとって企業は人生の一部分にすぎません。家族との時間、休息、何もしない時間も、人間の生活を成立させる重要な条件です。 本書が問いかけるのは、企業の成長と人間の成立を両立させる可能性です。人を育てながら、人を消耗させない経営は実現できるのか。Non-Exhaustive Growthという思想を、資本主義の構造から考え直す連載が始まります。 私たちは商品の価格や所得の増減には敏感ですが、そのお金を得たり使ったりするために、自分自身の何を消費しているのかについては、十分に考えていないかもしれません。 本章は、人間が生きるために使っている資源を「時間」「健康」「注意」の三つに整理します。 時間は有限であり、一度過ぎれば取り戻せません。健康は日々の活動を支える基盤です。そして注意は、物事に意識を向け、経験を成立させるための資源です。 例えば、千円を節約するために一時間を費やした場合、金銭的には得をしたように見えます。しかし、その一時間を別の活動に使えた可能性まで考えると、評価は変わります。 スマートフォンや便利なサービスも同様です。利用料金が無料であっても、私たちは時間や注意を確実に消費しています。 つまり、人生には金銭とは別の「見えない会計」が存在するのです。 本章は、お金の価値を否定するものではありません。お金は生活を支える重要な手段です。しかし、最終的に人生を生きるのは、お金ではなく私たち自身の身体です。 豊かさとは、資産の大きさだけではなく、有限な身体資源を何に配分し、どのような生活を成立させられるかによって考えるべきものなのです。 人間とは何か。この根源的な問いに対して、哲学、宗教、生物学、医学、心理学、社会学など、多くの学問が答えを探してきました。 哲学は人間を理性的な存在として捉え、宗教は存在理由や生きる意味を問い続けてきました。近代科学は、進化や身体、心の働き、社会との関係を明らかにしてきました。 しかし、これほど知識が蓄積されても、人間という存在を一つの定義で説明することはできません。 理性だけでは感情を説明できず、身体の仕組みだけでは人生の意味を説明できません。それぞれの学問は人間の重要な側面を明らかにしていますが、その成果を積み重ねるだけで、人間の全体像が完成するわけではないのです。 本章が提示するのは、知識の不足ではなく、問いの立て方そのものに問題があるのではないかという視点です。 そこで提案されるのが、「存在」から「成立」への転換です。 人間を固定された本質によって定義するのではなく、身体、感情、他者との関係、社会環境、そして時間のなかで、絶えず成立し続ける存在として捉えます。 人間とは何かという問いに加え、人間はどのような条件によって成立しているのかを考える。この視点は、人間理解にとどまらず、国家、企業、社会の持続可能性を考えるための新しい思想的基盤となります。 夕暮れの高層ビル、静かに訪れる夜、そして新しい朝。 今週の楽曲「Pseudo Defect――擬似敗戦」は、変わらない都市の風景を通して、終わらない敗戦と再生を描いた作品です。 「擬似敗戦」とは、目に見える敗北や物理的な崩壊ではなく、社会を支えてきた価値観や前提が、静かに意味を失っていく状態として読み取ることができます。 都市には昨日と同じ建物が立ち並び、制度も動き続けています。しかし、その内側では、すでに新しい歴史が始まっているのかもしれません。 歌詞に登場する「The city breathes beyond its ruins」は、廃墟の向こうでも呼吸を続ける都市の生命感を表現しています。 また、「Geometry of silence」という言葉は、整然とした都市の構造と、その内側に広がる静寂を象徴しています。 そして、夜が明けます。 街の形は変わらなくても、歴史は再び動き始めます。 この楽曲が描く再生は、劇的な勝利でも、過去の完全な否定でもありません。昨日と同じ場所に立ちながら、新しい意味を見いだしていく静かな変化です。 「まちは静かに次の頁をめくる」 その言葉には、過去を消し去ることなく、未来を成立させていくという希望が込められています。 国家も企業も、そして人間も、変わらない姿の内側で成立条件を更新し続けています。 今週の四つの連載に通じる「変わらない世界のなかで、何が変わり始めているのか」という問いを、都市の静かな情景とともに感じていただきたい一曲です。 #ナマケもんマガジン #ナマケモノ戦略 #経営思想 #制度創生 #共感の経済 #NonExhaustiveGrowth #スローキャピタリズム #思想系エンターテインメント #持続する社会 #ナマケもんラジオ Ⅰ.連載記事の解説パート① 『米国から独立する日本』第13章「加速する世界にどう対応するか」② 『人材を消耗する資本主義』序章「人は、なぜ『人材』になったのか」③ 『豊かさの再定義』第2章「人間は、お金ではなく身体を使って生きている」④ 『人間の成立』第1章「人間とは何か」Ⅱ.音楽コーナー(Music Section)『Pseudo Defect――擬似敗戦』

    【週刊】ナマケもんマガジン 第58回

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『ナマケもん戦略研究所 ラジオ』は、著者がこれまでに執筆してきた思想・社会批評・経営論を耳から味わえるかたちで届ける試みです。現代社会を覆う「効率」「競争」「正しさ」といった規範に対し、ナマケモノのように「小さく・深く・しなやかに」生きる知恵を語り直します。番組では、『ナマケもん戦略』『MBA的常識の限界』『絶滅の巨人』に示した経営論から、『ブラックなホワイト社会』『優しい全体主義』に描かれた社会批評、さらに『嘘の社会学』『死の社会学』によるメキシコ社会研究まで、多彩な著作のエッセンスを紹介します。 本ラジオは、資本主義の限界や制度の疲労と再生、無条件の承認、共同体的秩序の可能性、そして文化や倫理の再構築をテーマに、複雑な議論を声によって物語として伝えます。聴く人が「勝つため」ではなく「続くため」の視点を取り戻し、自らや組織のあり方を考え直すきっかけとなることを目指します。 あわせて、テキスト連載や最新記事はNoteで配信しています。ぜひこちらもご覧ください → note.com/orangeman_x