ガンジス川でスクロール〜日本人がインドで失敗する方法〜

アストライド-Astride-

アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、インドビジネスの現実を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。毎週木曜配信。

  1. 1d ago

    #32 名古屋で育ち、インドに職業訓練校をつくった ── クマール・ラトネッシュさんゲスト①

    今月のゲストは、アイティップス株式会社の代表取締役、クマール・ラトネッシュさんです。インド出身の父と日本人の母のもと名古屋で育ったラトネッシュさんは、名古屋に本社を置き、インドの子会社で製造業と建設業の職人を育てる職業訓練校を運営しています。初回は、学生時代の起業と失敗、商社で過ごした日々、インドの建設現場で職人が足りずに苦労した経験から学校づくりに至るまでをうかがいました。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・前回までのゲスト、小坂井章吾さんの近況から。違法建築を理由にまたアパートを出され、今度は留守の間に退去させられて、パスポート以外の持ち物が戻ってこなかった。使えるコンセントがトイレにしかなく、トイレでお湯を沸かして料理しているのに、笑顔で話していたという。内藤健司さんとラトネッシュさんは、海外で事業をする経営者の団体WAOJEの名古屋支部の例会で知り合った ・ラトネッシュさんは名古屋の昭和区で育ち、高校まではバスケットボールに打ち込んだ。高校を出て1年間、南インドのベンガルール(当時はバンガロール)で過ごし、貧富の差に衝撃を受けた。慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスに進み、寄付が何に使われたかを寄付した人が確かめられる仕組みを考え、学生のうちに会社にした。寄付には手をつけないと決めたため運営費が賄えず、受託の仕事に追われて仲間が疲れていき、「もう一回修行しよう」と会社員になった ・就職した商社では、自分から一番厳しい部署を希望し、トウモロコシや大豆の取引と船の手配を担当した。朝3時、4時まで働く日もあり、体力よりも「自分は価値を出せているのか」という気持ちの面がつらかった。帰宅後に漫画の『ONE PIECE』を1冊読んで気持ちを立て直していたという ・商社を辞めて中小企業の再生を手伝っていたころ、インドの日系企業から次の経営者として声がかかった。工場や倉庫の外壁と屋根を作って取り付ける会社で、一番の苦労は職人がいないことだった。手に職がないだけでなく、10月からと約束した人が11月に来ることもあり、そのたびに待機料や重機のレンタル代がかさんだ。もともと途上国の開発に関わりたいと考え、学校や図書館づくりのボランティアを続けていたこともあり、職業訓練校を作ると決めた ・ラトネッシュさんは、最初に声をかけてくれた日系企業がスリランカの会社だったら、いまはスリランカで事業をしていたと思うと話す。会社のミッションは「頑張る人がちゃんと幸せになる仕組み」を作ることだという。その原体験は小学3年生の氷鬼で、足の遅い自分でも追いかけ続ければ相手が疲れて捕まえられると気づき、4年生で学年一の足の速さになった。インドで過ごした1年で、自分がどれだけ機会を与えられてきたかを知り、大学ではゼミに4つ、サークルに5つほど入ってすべての機会を生かそうとしたという。次回は、北インドで働いてきた内藤さんと、南インドに拠点を置くラトネッシュさんの視点から、北と南の違いを掘り下げる ▼こんな方におすすめ ・インドで人材の採用や育成に課題を感じている ・インドの製造業や建設業の現場で、職人の確保に苦労している ・日本とインドの両方にルーツを持つ経営者が、インドでどんな事業をしているのかを知りたい ・学生起業や会社員の経験を、その後の事業にどう生かすかを考えている ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト クマール・ラトネッシュ(アイティップス株式会社 代表取締役) https://www.itips.blue/ インド人の父と日本人の母のもと、名古屋で生まれ育つ。18歳でインドに半年滞在し、貧困問題の解決が人生のテーマになった。慶應義塾大学在学中にオンライン寄付システムの特許を取得して起業し、卒業後は三菱商事で穀物の取引と物流を担当。独立後、インドで製造と建設を手がける日系企業の代表に就き、4年連続赤字・債務超過だった会社を1年で黒字にした。2022年にアイティップスを設立。インドに開いた職業訓練校で建設と製造の技能を教え、日本企業への就職と定着まで支援している。「努力するものが報われる世界」の実現を目指す。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  2. Oct 28

    #31 契約書の裁判地を、インドにするか日本にするか ── 白井紀充さんゲスト⑤

    TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えする5回シリーズの最終回で、テーマはインドからの撤退です。白井さんは、合弁会社をつくるときに出資比率や重要な事項の決め方には時間をかけても、撤退の条項は詰め切れないまま契約に至ることがあると話します。NTTドコモとタタ・グループの合弁の例や、白井さんが撤退を支えた事例をもとに、撤退の条項や裁判をする場所など、インドへ出る前に契約で決めておきたいことを聞きました。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・白井さんは、日本の会社は別れのときのことを考えるのが苦手だと話す。合弁会社をつくるとき、出資比率や株主の合意で決める事項には時間をかけるが、赤字が続いたら撤退する条件や、何かが起きたら株を売る・買うといった取り決めは時間切れになりやすい。白井さんが撤退を支えてきた案件では、この条項の甘さから泥沼の裁判が続くことがあったという ・公表されている例として、白井さんはNTTドコモとタタ・グループの合弁を挙げた。ドコモは撤退のときに株式の買い手を探すようタタ側に求める権利(プットオプション)を契約に入れていた。一方、インドでは外国の会社とインドの会社のあいだで株を売買する価格に規制があり、その規制を織り込んだ価格の決め方になっていなかった。ロンドンでの仲裁はドコモの主張を認めたが、2014年に権利を使ってから、2017年にデリー高裁が執行を認めるまで長い時間がかかった ・白井さんが撤退を支えた非公表の事例では、日本企業が株式の99%、インドの株主が1%を持っていた。白井さんによると、インドの株主総会は挙手で採決するのが基本で、挙手では出資比率にかかわらず1人1票になる。出資比率で決めることを定款に入れておかなかったため、関係がこじれたあとでは定款を変えられず、撤退に大きな手間がかかったという ・撤退でつまずく型として、白井さんは2つを挙げる。インドの会社やパートナーと組む場合は、株の価格の算定方法と、意見が割れて決まらなくなったときの解決の仕組みを、機械的に決まる形で詳しく書いておく。自社だけでインドに出る場合も、払っていない税金や続いている裁判が残ると撤退しにくくなるため、契約や税務申告を毎年きちんと済ませておくことが要るという ・内藤健司さんは、いま結んでいる契約で、裁判をする場所をインドにすることに渋々合意したと話す。白井さんは、これまではシンガポールのような第三国での仲裁で落ち着くことが多く、インドの裁判所の仮の救済を使って攻める側に立つなら、インドでの裁判が有利な場合もあると説明した。日本の裁判所の判決はインドでそのまま執行する手続きが使えない一方、仲裁の判断はニューヨーク条約に基づいて執行を求められる。訴える側と訴えられる側のどちらになりやすいかを考えて、裁判地を決めるとよいという ▼こんな方におすすめ ・インドで合弁会社の設立や、現地企業との提携を検討している ・海外の会社と結ぶ契約で、撤退の条項や裁判地をどう決めればよいか迷っている ・インドの株主総会や定款の決め方を知りたい ・海外の取引先から届いた契約書のひな形を、そのまま受け入れてよいか判断したい ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト 白井紀充(TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士) https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html 愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。 帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。 インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。 プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  3. Oct 21

    #30 その夜の12時で、最高額の紙幣が使えなくなった ── 白井紀充さんゲスト④

    TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えする5回シリーズの4回目で、テーマは賄賂です。白井さんは、モディ政権のもとで許認可や税務調査のオンライン化が進み、インドで賄賂が問題になる場面は減ってきたと話します。2016年11月に高額紙幣がその夜の12時で使えなくなった日のことや、賄賂を禁じる各国の法律の違い、インドの弁護士の事情も聞きました。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・白井さんによると、インドでは裁判を起こすハードルが低く、個人にとっては大きな不満でも、周りから見れば小さなことで訴訟になる。弁護士の全国試験ができたのは10年ほど前で、安い報酬で何でも引き受ける弁護士も多い。弁護士会の規制で宣伝が制限され、ホームページを持たない事務所も多いため、白井さんはよい弁護士を探すことも自分の役目にしている。白井さん自身は、日本一敷居の低い弁護士を目指していると話す ・日本では、争いになる前に弁護士へ相談する予防法務の考え方がまだ広がっていない。契約書が必要になるのは、トラブルが起きたときだからだ。白井さんは、居酒屋で話すくらいの気持ちで早めに相談してほしいと言う。弁護士に頼んだことのない内藤健司さんが費用の相場を知らないと話すと、白井さんは、あとで起きるかもしれない問題にかかるコストと比べて考えてほしいと答えた ・白井さんは、賄賂は新興国のビジネスで避けて通れない話だとしたうえで、モディ政権になってから撲滅への意識が強く、肌感覚として減っていると話す。許認可の手続きがオンラインになれば、窓口で賄賂を渡す場面そのものがなくなる。所得税のフェイスレス査定では、担当官が誰かも明かされない。インドの裁判官は高貴な職業とされ、高等裁判所より上で賄賂が問題になることはほぼないという。一方で、警官が信号無視を見逃す代わりに金を求めるような小さな賄賂は残り、ファミリー企業の不透明なお金の流れもあるため、合弁会社をつくる前の相手の調べが欠かせない ・2016年11月8日の夜、当時の最高額の1000ルピー札と500ルピー札が、その夜の12時で使えなくなると発表された。白井さんはグルガオンの法律事務所でその知らせを聞いた。インド経済の半分ほどが表に出ないお金だとする説もあり、そうしたお金を排除するための政策だった。発表のあと、近くのスーパーから「とにかくセールやるからキャッシュ持ってこい」という知らせがSNSで流れてきたという。そこから電子マネーが急速に広がり、納税の透明性も上がったと白井さんは見ている。内藤さんも、外国人登録の手続きが紙から電子に変わったことを挙げた ・賄賂を禁じる法律は、インドにも、アメリカ、イギリス、日本にもある。アメリカのFCPAは、条件を満たせばインドでの行為にも適用される。FCPAは日常的な行政手続きを早めるための少額の支払いを例外としているが、インドの法律はそうした支払いも賄賂として扱う。ディワリの贈り物のような儀礼の範囲をどこで線引きするかが難しく、白井さんは企業の規程づくりを手伝うこともある。最後は、車に書かれた「ホーンプリーズ」が「ノーホーンプリーズ」に変わってきたことや、道路の車線の話から、インドの変化を3人で振り返った ▼こんな方におすすめ ・インドで合弁会社の設立や、現地企業との提携を検討している ・インドの役所の手続きや税務調査で、賄賂を求められないか不安がある ・ディワリの贈り物など、現地の慣習と社内規程の線引きに迷っている ・インドで頼れる弁護士の探し方を知りたい ・高額紙幣の廃止のあと、インドの決済がどう変わったか知りたい ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト 白井紀充(TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士) https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html 愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。 帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。 インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。 プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  4. Oct 14

    #29 インドでは、給与明細が翌日には同僚に知られている ── 白井紀充さんゲスト③

    TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えする5回シリーズの3回目です。インドに4年駐在した内藤健司さんが現地で悩まされたのは、年に1回は起きるストライキでした。白井さんは、労働者の保護が厚いインドの労働法の仕組み、2025年11月に施行された新しい労働法典、中央政府と州の役割分担を説明します。給与明細がすぐ同僚に共有されるインドで、労務のトラブルを防ぐ考え方も聞きました。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・内藤さんの駐在中、インドではストライキが多く、電車も港も会社も止まった。年に1回は決まって起きる感覚で、前もって「明日から止める」と告げられるため対応はできたものの、内藤さんは調達の担当として別の輸送ルートを探すのに追われた。ストライキがその後どう決着したのかは気にしてこなかったと内藤さんは振り返り、調達の側がしかるべき金額で買っていれば防げた可能性もあると話す ・白井さんによると、インドでは給料が年に10%ほど上がることもあり、周りとの差が見えやすい。もともと労働者の保護が厚く、権利意識も強い国で、ものによっては政党色の強い一派が入ってトラブルが大きくなる。ストライキはあるものとして平時から備える点は、災害への備えと同じ。会社側で労務を担う白井さんは、不満は小さなきっかけから溜まって最後に爆発するので、日ごろの対話で予防するのが大切だと話す ・インドはもともと労働者を守る法律の数がとても多く、守るためのコストが大きかった。29本の中央労働法は4つの労働法典にまとめられ、2025年11月に施行された。工場で働くブルーカラーと、事務職などのホワイトカラーとでは適用されるルールが大きく違う。ブルーカラーは解雇がほぼできず、紛争になると専用の機関で会社側が勝つのは難しい。ホワイトカラーは、契約で定めておけば欧米のように解雇できる ・労働法は、中央政府も州も決められる分野にあたる。中央の法律に州が上乗せや緩和を加えられるため、州のルールとあわせて見る必要がある。お酒の税金のように州が決める分野もあり、州によって大きく違う。ラジャスタン州のニムラナとハリヤナ州のマネサールは車で行き来できる距離でも、適用される州法が違う。白井さんは、GSTの導入で州境のトラックの行列が減ったように、モディ政権は制度をシンプルにする方向で改正を進めていると話す ・インドでは、もらった給与明細を翌日にはほぼ全員が見せ合い、少しでも金額が違えば理由を問われる。評価やボーナスの査定には客観的な基準を設け、説明できる差なら堂々とつければよいと白井さんは言う。インドの人は要求を遠慮なく口にし、断られても簡単にはへこまない。日本的な繊細さを持ちながら、ある種の図々しさを身につけられたら国際社会で強いとして、白井さんは若手の研修先にインドを勧める ▼こんな方におすすめ ・インドに拠点や工場を持ち、労務やストライキへの備えを考えている ・インドの新しい労働法典が、自社にどう関わるか知りたい ・インドで拠点を置く州を検討している ・インドの社員の評価や給与の決め方に悩んでいる ・若手社員を海外で鍛える研修先を探している ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト 白井紀充(TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士) https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html 愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。 帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。 インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。 プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  5. Oct 7

    #28 判決には何年もかかり、差し押さえは数日で出る ── 白井紀充さんゲスト②

    TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えする5回シリーズの2回目です。白井さんは2014年から2017年まで、ムンバイに1年、デリー・グルガオンに2年弱駐在し、現地で日系企業を支えてきました。インドの裁判は日本と同じ三審制ですが、弁護士が法廷で弁論に時間をかけるため、一つの裁判が何年も続きます。一方で、裁判所が財産の差し押さえを数日で認めることもあるそうです。インドで契約と訴訟に向き合うときの心構えを聞きました。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・インドでは外国の法律事務所が参入できないため、白井さんはコンサルタントの肩書きで現地の法律事務所と会計事務所に席を置いた。扱った案件は、訴訟大国ならではの紛争や契約トラブル、労働者に手厚い法律にまつわる労務、当局が積極的な税務、事業に必要な許認可など。いまは所属する事務所の約600人の弁護士と分野ごとにチームを組み、インドに関わる相談の窓口を務めている ・白井さんの感覚では、ミャンマーあたりから西の国々は契約の考え方が欧米に近く、契約書は分厚く、定義も細かい。東南アジアから異動してインドへ赴任する人は、ここで意識を切り替える必要がある。インドで初めて自分の目で契約書を確かめて交わした内藤健司さんは、日本に戻ってから「契約、契約とうるさい」と言われるようになった ・インドは大国で、人々のプライドも高い。日本から来た側が相手を下に見ると信頼関係が築けず、それがうまくいかない原因になることが多いと白井さんは見る。議論では対等にぶつかり合い、時間をかけて信頼を築けば最高のパートナーになり、世界に広がる印僑のネットワークにも入っていける。内藤さんも、日本の側からインドの人へ敬意を持って接してほしいと話す ・裁判は地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所の三審制で、日本と似ている。違うのは口頭弁論のあり方で、日本では書面のやり取りで済ませる部分を、インドでは弁護士が裁判官の前で実際に戦わせる。白井さんが弁護士になりたてのころに始まった裁判が、まだ続いている例もある。高等裁判所より上の判断は公正で、賄賂が通ることは基本的にない。1回で決着する国内の仲裁も増え、信頼性が上がってきた ・判決には時間がかかる一方、財産の差し押さえなど仮の救済は2、3日で出ることもあり、まず財産を押さえてから交渉する方法が使える。大事な訴訟では、法廷での弁論を専門にするシニア・アドボケイトを立てることになり、費用は1回あたり数十万円から100万円を超えることもある。現地の苦労が本社に伝わらない「OKY(お前が来てやってみろ)」を防ぐため、内藤さんは本社の側にも研修が要ると話す ▼こんな方におすすめ ・インドへの赴任や出張を控え、現地の契約や訴訟の実情を知りたい ・インドの取引先と、契約を交わす予定がある ・インド子会社のトラブル対応で、本社と現地の認識をそろえたい ・海外の裁判制度の違いに関心がある ・インドの人と信頼関係を築く方法を知りたい ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト 白井紀充(TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士) https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html 愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。 帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。 インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。 プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  6. Sep 30

    #27 弁護士が、デリーで英語落語 ── 白井紀充さんゲスト①

    今回から5回にわたって、TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えします。初回は白井さんの人柄から。2026年2月、白井さんはインド・デリーで初めての海外公演として英語落語を演じ、会場を大爆笑させました。スコットランドの大学で心理学を学び、パナソニックの法務部で働きながら司法試験に合格し、インドに3年駐在した弁護士が、なぜ落語を始めたのか。王道から少しだけ外すという、白井さんの進路の選び方を聞きました。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・白井さんは愛知県生まれ。県立高校を卒業するまで飛行機に乗ったこともなかったが、海外へ行きたい思いが強くなり、片道切符でイギリスへ渡った。スコットランドのセント・アンドリュース大学で認知心理学を専攻し、人がどう記憶するかを研究した。裁判で「そのネクタイの色を覚えていますか」と聞かれて答えられなくても、その人の記憶がすべて嘘とは限らない。この研究から法律に関心を持った ・帰国して法科大学院へ進んだ。4年間日本を離れていた白井さんは漢字が読めず、教科書に振り仮名を振っていたところ、のちに妻となる同級生から留学生だと思われた。司法試験に一度落ち、パナソニックの法務部に入社。働きながら朝マックを食べて択一試験の勉強を続け、合格した。妻も弁護士で、インドの案件を多く手がけている ・英語落語は、ニューヨークのブロードウェイでロングラン公演をしている落語家、桂三輝(かつら・さんしゃいん)さんとの縁から始まった。インド工科大学ボンベイ校のスタートアップのピッチコンテストに審査員として一緒に行った際、キャンパスで始めた落語に学生が集まり、大爆笑になった。感銘を受けた白井さんは一門に加わり、英語で落語を演じている ・落語の題材のうち、江戸時代の長屋は説明が難しい。一方で、少し間抜けな人やケチな人の話は、インドでもアメリカでも日本でも同じように笑いが起きる。人が生きていて楽しい、悲しいと感じることは国を問わず共通していて、インド人と日本人のギャップは実はそれほど大きくないと白井さんは考えている。名前の「のりみつ」を英語の「ノーリミッツ」に重ね、40歳を過ぎてから自分の名前を好きになった話も ・進路の選び方は「王道から少しだけ外す」。マイナー競技のほうが代表選手になりやすいように、弁護士に海外、愛知県という地方、落語を掛け合わせた結果、白井さんはほかにいない存在になれた。外しすぎると需要がなくなるので、少しずつずらすのが白井さんのやり方。インドに3年駐在して、幸せのハードルが下がり、日々に感謝できるようになったとも話す。次回からは、法律家の視点で見たインドを掘り下げる ▼こんな方におすすめ ・インドとの取引や進出を考えていて、現地の法務に詳しい専門家の話を聞きたい ・王道の進路を進むか、少し外すかで迷っている ・英語落語や、日本の文化を海外へ伝える取り組みに関心がある ・異なる文化の相手と信頼関係を築く方法を知りたい ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト 白井紀充(TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士) https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html 愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。 帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。 インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。 プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  7. Sep 23

    #26 30分早く終わる計画を立てる ── 時間を守らせる文化は、ボスが作る

    今日はゲスト回の後編。インドでEPC(設計・調達・施工)を一気通貫で手がけるSBDB EPCMのディーパック・バットさんと、S N Material SolutionsのCEOスレッシュ・ネヘラさんです。遅刻がオンタイムと言われる国で、なぜディーパックさんのチームは時間どおりに動くのか。大学時代に3時間見続けた一人の日本人の話から、半時間のバッファーを文化にする管理術、そして5年後のビジョンまで。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・古代のインドには素晴らしい建築があった。だが発展のために品質と安全にお金を回せない時代が長く続き、建設現場で作業着も履き物もない人を見てきた。日本と比べて足りないものを一つ挙げるなら、前回スレッシュさんが言った「時間の尊重」だとディーパックさんは言う ・ディーパックさんの転機は建築を学んだ大学時代。マハラシュトラ州の工場見学で、現場に立つ日本人が15分ごとにノートを取るのを3時間見続けた。終業時に尋ねると「この15分で何を成し遂げ、時間をどこに使ったかを書き、一日の終わりに要約して上司へ送っている」。それが自分の仕事観を変えた ・時間を守らせる仕組みは「水は上から流れる」。チームに時間どおり動いてほしければ自分が先に動く。今日やると決めたことは、安全と品質を削らずに30分早く終える計画を立てさせる。すると社員は自然と前倒しで動き、スレッシュさんが不意に訪ねてもチームは打ち合わせの準備ができている ・なぜ真似できないのか。内藤健司さんの見立てでは、ディーパックさんは設計から施工まで自社で抱え、作業者の昇格や評価を決めるボスだから指示が通る。日系ゼネコンがインドに出ても、実際に工事をするのはインド人で、日本人と作業者の間には何階層も入る。評価者でない人の指示は聞かれない。だからSBDBは、日系より安く純粋なローカルよりやや高いが、「遅れる・払わない・また明日」という減点が少ない ・5年後のビジョン。ディーパックさんは、インドで竹中や三井住友建設と直接競合できる会社になること、そして自分が建てた工場で製造する側になること。スレッシュさんは、アイシンやデンソー、ジェイテクトといったティア1にとって、納期どおり、納期より早く、正確に届ける最良のサプライヤーになること ▼こんな方におすすめ ・インドの現地パートナーに、納期や品質をどう守らせるか悩んでいる ・インドで工場の増築や新設を検討している経営者 ・現地スタッフのマネジメントが、指示だけで終わっている ・日系ゼネコンと現地ゼネコンの違いを、実務の目線で知りたい ・インド人経営者が日本から何を学んだのか、本人の言葉で聞きたい ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト ディーパック・バット(SBDB EPCM ディレクター) 建築設計とEPC(設計・調達・施工)の分野で20年。Hero Cyclesでプロジェクト統括を8年務め、グルガオンの大型ホテルやHero本社などを手がけた。2023年にSBDB EPCMを創業。日系企業と同じ進め方で工場を建てることを掲げ、品質と安全の基準を日本に置く。 ▼ゲスト スレッシュ・ネヘラ(S N Material Solutions CEO) 新卒から日系企業3社で調達と設計を学び、2024年に独立。インド・マネサールに本社を置くS N Material SolutionsのCEO。アイシン(AHL)では内藤健司と同じ調達チームで約4年を過ごした。鳥取県で1年働いた経験があり、日常会話レベルの日本語を話す。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

  8. Sep 16

    #25 「できたらいいな」を、計画に書く国 ── ドリームプランと、時間の尊重

    今日はゲストが2人。インドでEPC(設計・調達・施工)を手がけるSBDB EPCMのディーパック・バットさんと、S N Material SolutionsのCEOで内藤健司さんの元部下でもあるスレッシュ・ネヘラさんです。インドの建設ラッシュがどこから来たのか、そして日本のどこを学ぶべきだと当のインド人経営者が考えているのか。1時間に100個しか作れない設備に、200個の計画を出す国の話です。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 kenji.naito@minari-partners.co.jp Xでは「#インドで失敗する方法」でポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・ゲストは2人。ディーパック・バットさんは、インドでEPC(設計・調達・施工・管理)を手がけるSBDB EPCMのディレクター。内藤健司さんが日本企業の顧問としてインドのゼネコン10社を比較し、一番良いと判断して選んだ会社で、契約終了後に「一緒にやろう」と誘われた実際のビジネスパートナー。スレッシュ・ネヘラさんはアイシン時代の元部下で、いまは独立して商社機能を持つ会社のCEO。10年来の関係 ・建設ラッシュの背景は自動車。ディーパックさんいわく、20年前は週に10人ほどしか車を買わなかったのが、いまは納車を待つ人が何千人といる。マルチ・スズキが新工場を2つ建て、うち1つはカルコダ(Kharkhoda)にある。完成車が拡張すればサブベンダーも能力を増やさざるを得ず、そこから産業用建設の波が来ている。インド北部でのマルチ・スズキのシェアはいまも45%ほど ・ただし内藤さんは「車が牽引している」という理解を少し修正する。インド全体が底上げされて働ける人が増え、家がなかった人が家に住み、車がなかった人が車を買えるようになった。乗りたくても買えなかった人が持てるようになった結果が需要になっている ・ディーパックさんが競合との違いに挙げるのは品質と安全、そして5S。品質は言葉ではなく行動の集合で、正しい文書化・計画・実行の3つが要り、そのためには社内のSOPが要る。SOPがなければスタッフは思い思いに動き、品質は出ない。5Sはインドでも知られた言葉だが使われていない。「6時に終わりなら道具を放って帰る。5Sなら5時45分に仕事を終えて15分を片付けに使う」。人と人に差はなく、あるのは文化の差だと言う ・スレッシュさんが挙げたのは「時間の尊重」。日本は立てた計画のとおりに進むが、インドの計画は内藤さんいわく「ドリームプラン」。1時間に100個しか作れない機械なのに200個作る計画を出してきて、できなくても「plan is plan、頑張ったが無理だった」で終わる。ディーパックさんは、予算が足りない日本の顧客が品質と安全を妥協せず、予算が揃うまで工期を延ばす姿を見てきたと語る ▼こんな方におすすめ ・インドでの工場建設や設備投資を検討している経営者 ・インドの現地パートナー選びで、何を基準にすべきか知りたい ・現地スタッフとの計画・進捗管理のギャップに悩んでいる ・日本の品質や安全基準が、海外からどう見られているかを知りたい ・インド市場の成長を、自動車以外の切り口でも捉えたい ▼MC 内藤健司(みなりパートナーズ株式会社 代表取締役) https://minari-partners.co.jp/ アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼ゲスト ディーパック・バット(SBDB EPCM ディレクター) 建築設計とEPC(設計・調達・施工)の分野で20年。Hero Cyclesでプロジェクト統括を8年務め、グルガオンの大型ホテルやHero本社などを手がけた。2023年にSBDB EPCMを創業。日系企業と同じ進め方で工場を建てることを掲げ、品質と安全の基準を日本に置く。 ▼ゲスト スレッシュ・ネヘラ(S N Material Solutions CEO) 新卒から日系企業3社で調達と設計を学び、2024年に独立。インド・マネサールに本社を置くS N Material SolutionsのCEO。アイシン(AHL)では内藤健司と同じ調達チームで約4年を過ごした。鳥取県で1年働いた経験があり、日常会話レベルの日本語を話す。 みなりパートナーズ株式会社 公式サイト https://minari-partners.co.jp/ ▼番組概要 アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride-

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アイシンで13年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、インドビジネスの現実を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。毎週木曜配信。