今回の課題本は、トルストイの短編『人間にはたくさんの土地が必要か』。 ……のはずが、冒頭はインフルエンザで学年閉鎖になった小学校の話からスタートします。健康の話ばかりするようになった自分たちの年齢感に苦笑しつつ、みきは「都内ホテルで一泊して、伊勢丹ギフトを上限まで使い切る」というバースデー大散財プランを報告。妹と平成のヒットソングを肴に、一日中“昔話”をしてしまった自分を振り返ります。
一方ののぞみは、男友だち3人飲みで盛り上がった『DIE WITH ZERO』論争を持ち込みます。「お金より思い出のほうが“複利”で増える」というコンセプトは本当にそうなのか? みきは、演劇プロジェクトで出会った「経験を積むことに意味はあるのか?」と問い続ける65歳デザイナーのエピソードを紹介し、スキルとして換算しづらい経験や感情の記憶をどう捉えるかを一緒に考えていきます。
そこからようやくトルストイへ。のぞみが、不動産業者のニュースレターでこの作品に再会した話をしつつ、主人公パホームが悪魔に見張られながら、より広い土地を求めて走り続け、最後には自分のお墓一つ分の土地しか残らない——という寓話のあらすじを語ります。不動産屋さんが「俺たちはパホームより速く走り抜ける」と読んでしまう危うさに、二人で苦笑しつつゾワッとするくだりも。
「どれくらいまでが“今”で、どこからが“昔話”なのか?」 「お金や土地、“もっと欲しい”という気持ちに終わりはあるのか?」
健康・老い・思い出・経験の価値をぐるぐる話しながら、トルストイの問いに近づいていく導入回が、このpart1です。
Informations
- Émission
- FréquenceChaque semaine
- Publiée17 novembre 2025 à 20:53 UTC
- Durée31 min
- ClassificationTous publics
