岡大徳のポッドキャスト

岡大徳

人を尊重して話を聞かせていただく「アクティブリスニング」エバンジェリスト『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』著者赤羽雄二氏公認|『アクションリーディング』読書会開催|仲間と一緒に成長できる「親子のクオリティタイム」「最速ロールプレイング」「A4メモ書き」などのグループ運営|株式会社miiboのmiibo Designer|一般社団法人 遠隔健康医療相談適正推進機構 正会員 【配信内容】 配信URL;https://www.daitoku0110.news 3つの内容を配信中 1. 岡大徳 アクティブリスニングなどについて配信しています。 ブログなどの内容はこちら ・https://daitoku0110.com ・https://daitoku0110.jp ・https://daitoku.site/ 2. miiboDesigner 株式会社miiboのmiiboDesignerの岡大徳がmiiboについての新しい情報や気になった情報、ノウハウなど話していきます。 miiboデザイナーとは、miiboの会話の精度があがるように設計をしていく人のことです。 ・プロフィールサイト:https://daitoku0110.net/ ・miiboガイド(初めての人はこちらから):https://daitoku0110.net/miibo/ ・miibo情報:https://daitoku0110.net/miibo-information/ ・スライド共有サービスドクセル:https://www.docswell.com/tag/miibo 3. ナレッジマネジメント 岡大徳のNotesをもとにナレッジマネジメントの一環として配信しています。 岡大徳のNotes:https://daitoku0110.wiki 【Clubhouse】 https://www.clubhouse.com/@daitoku0110 ・『アクションリーディング』行動が変わり人生が変わる読書会 https://bit.ly/38uMBJP ・親子のクオリティタイム https://bit.ly/3Rf8X6z 【Peatix】 https://peatix.com/user/1425712/ ・実践『アクションリーディング』自分を変える行動読書 https://action-reading.peatix.com/ 【Facebook】 https://ms-my.facebook.com/oka.hironori.1 グループ ・実践『アクションリーディング』自分を変える行動読書:https://www.facebook.com/groups/practiceactionreading ・実践 最速ロールプレイング:https://www.facebook.com/groups/551556716178832 ・実践『ゼロ秒思考』A4メモ書き:https://www.facebook.com/groups/notewriting 【Unstoppable Domains】 https://ud.me/daitoku0110.x 【ドクセル】 https://www.docswell.com/user/daitoku0110 www.daitoku0110.news

  1. オンライン診療の現状と課題2025:4つの診療形態と評価の明確化に向けた検討

    1H AGO

    オンライン診療の現状と課題2025:4つの診療形態と評価の明確化に向けた検討

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会は、情報通信機器を用いた診療について検討結果をとりまとめました。令和4年度診療報酬改定における見直し以降、オンライン診療の届出医療機関数と算定回数は増加しています。精神科領域や皮膚科領域での増加が目立ち、向精神薬の不適切な処方のリスクが懸念されています。D to P with Nの診療報酬算定方法には不明確な部分があり、明確化が求められています。 オンライン診療は増加傾向にあるものの、診療内容の検証と評価の明確化が必要です。D to Pは精神疾患での利用が多く、対面診療との診療内容比較による実態検証が求められています。D to P with Dは算定が限定的ですが、医療的ケア児や訪問診療における専門医連携で評価の余地があります。D to P with Nは新設されましたが、看護師等による診療補助行為の評価について算定方法の明確化が必要です。へき地におけるオンライン診療は、医療アクセス確保という都市部とは異なる特性を持ちます。 D to Pの実態:精神疾患での利用増加と実態検証の必要性 情報通信機器を用いた診療のうち、医師と患者が直接やりとりするD to Pの利用実態が明らかになりました。初診料では呼吸器感染症、再診料等では精神疾患に類する傷病名が占める割合が大きくなっています。対面診療の割合が5割未満の医療機関においても同様の傾向でした。 この傾向について、令和6年のデータでは令和4年と比較して精神科領域や皮膚科領域の増加が目立っています。分科会では、オンライン診療と対面診療を比較した場合の診療内容の比較等により実態を検証してはどうかとの意見がありました。 精神科領域での利用増加に関連して、オンライン診療による向精神薬の不適切な処方のリスクが懸念されています。診療内容についてより詳細に実態を検証してはどうかという意見が出されました。 受診者の地域分布については、受診医療機関の所在都道府県が居住地と異なる割合が19.1%でした。この結果は、オンライン診療が地域を超えた医療アクセスを可能にしている実態を示しています。 D to P with Dの可能性:医療的ケア児と専門医連携での活用 患者が医師といる場合に他の医師がオンラインで参加するD to P with Dの実施状況が調査されました。遠隔連携診療料は令和2年度に新設されて以降、算定回数は限られています。過去1年間にD to P with Dによるオンライン診療を実施した医療機関は1.0%でした。 この形態の診療は、遠隔連携診療料を算定できる状況以外でも実施されています。医療的ケア児に対する診療や、訪問診療における眼科・皮膚科・耳鼻科等の専門医との連携等の事例が見られました。 分科会での評価では、D to P with Dについて新たな評価の可能性が議論されました。医療的ケア児に対する診療や訪問診療における耳鼻科等の疾患に対する評価が考えられるのではないかという意見があったためです。 現行の遠隔連携診療料の算定要件では評価されない診療形態であっても、医療の質向上や患者の利便性向上に寄与している事例があります。今後は、こうした実態を踏まえた評価のあり方について検討が必要です。 D to P with Nの課題:評価の明確化と患者ニーズへの対応 看護師等が患者のそばにいる状態で医師がオンライン診療を行うD to P with Nについて、新たな動きがありました。令和6年度診療報酬改定において再診料・外来診療料に係る看護師等遠隔診療補助加算が新設されました。届出医療機関数は令和7年4月1日時点で78施設となっています。研修受講者も合計約4,000名程度となりました。 患者の受診体験について、課題が明らかになっています。オンライン診療を受けた感想として、「対面診療であればすぐに受けられる検査や処置が受けられないと感じた」と回答した患者が45.3%でした。オンライン診療より対面診療を希望する理由として、「検査や処置がすぐに受けられるから」が83.2%で最多でした。 規制改革実行計画において、D to P with Nの課題が指摘されました。令和7年6月13日に閣議決定された規制改革実行計画では、D to P with Nにおける診療報酬の算定方法に不明確な部分があるとの指摘がありました。 分科会での議論では、評価の明確化が求められています。D to P with Nにおいては、看護師等による診療の補助等も行われていることから、その評価については明確化も含めて検討してはどうかという意見がありました。 へき地におけるオンライン診療:医療アクセス確保の補完的役割 へき地医療におけるオンライン診療の活用状況について、重要な実態が明らかになりました。第8次医療計画におけるへき地の医療提供体制において、主要3事業の評価のうち、オンライン診療を活用して行った巡回診療・代診医派遣についても、主要3事業の実績に含めることが明確化されたところです。 令和5年度実績によると、活用は限定的です。巡回診療を実施したへき地拠点病院のうち、オンライン診療による巡回診療を実施した医療機関数が7施設(7.1%)でした。へき地診療所において、へき地の住民に対するオンライン診療で活用したと回答した医療機関は75施設(6.7%)でした。受診者が患家にいるケースよりも受診者が診療所にいるケースの件数が多かったです。 地域差の実態について、二次医療圏別の分析結果が示されました。医療機関住所地ベースでは、東京都(23区内)での算定回数が多く、66の二次医療圏で算定回数が0回でした。患者住所地ベースでは、全ての二次医療圏で算定されていました。 分科会での議論では、へき地におけるオンライン診療の特性が強調されました。人口・医療資源の少ない地域におけるオンライン診療は、外来医療について代替手段が乏しく、医療アクセスが困難である地域への補完という特性を有しています。都市部における利便性向上を目的としたオンライン診療とは性質が異なるとの意見がありました。 まとめ 情報通信機器を用いた診療は増加傾向にありますが、健全な普及に向けた課題があります。D to Pでは精神科領域での利用増加に対する実態検証が必要です。D to P with Dでは医療的ケア児や専門医連携での新たな評価の可能性があります。D to P with Nでは看護師等による診療補助行為の評価の明確化が求められています。へき地におけるオンライン診療は、医療アクセス確保という都市部とは異なる特性を持つため、地域の実情を踏まえた評価のあり方について検討が必要です。中央社会保険医療協議会における今後の議論では、これらの実態を踏まえた診療報酬上の評価の見直しが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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  2. 令和8年度外来医療改定の3つの焦点:生活習慣病管理料・かかりつけ医機能・外来機能分化を徹底解説

    1D AGO

    令和8年度外来医療改定の3つの焦点:生活習慣病管理料・かかりつけ医機能・外来機能分化を徹底解説

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、外来医療に関する検討結果のとりまとめが公表されました。この報告書は、生活習慣病管理料と地域包括診療料の運用実態、かかりつけ医機能の評価体制、特定機能病院等における外来機能分化の進捗状況という3つの重要テーマを扱っています。次期診療報酬改定に向けて、療養計画書の作成負担軽減、患者の継続受診を促す体制整備、医療機関間の連携強化が主要な検討課題として浮かび上がっています。 本報告書では、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の算定実態と継続受診率の医療機関間格差が明らかになりました。かかりつけ医機能については、機能強化加算の届出状況とかかりつけ医機能報告制度との関係性が議論されています。外来機能分化では、特定機能病院等における再診患者の長期通院実態と逆紹介推進の課題が示されました。 生活習慣病管理料の運用実態と課題 生活習慣病管理料の算定状況には、令和6年度改定を境に大きな変化が見られます。令和4年では外来管理加算が最も多く算定されていましたが、令和6年では生活習慣病管理料(Ⅱ)が最多となりました。この変化は、改定によって生活習慣病管理の評価体系が再編されたことを反映しています。 地域包括診療料の届出医療機関数は近年横ばいでしたが、算定回数は減少傾向にあります。一方、地域包括診療加算の届出医療機関数と算定回数は増加傾向を示しています。算定患者の主傷病名は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症が多い傾向ですが、多岐にわたっています。 特定疾患療養管理料については、令和6年度改定以前は生活習慣病が多くを占めていました。改定後は気管支喘息や慢性胃炎の占める割合が増加し、算定回数は大幅に減少、算定医療機関数もやや減少しています。この変化は、生活習慣病管理が特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料(Ⅱ)へシフトしたことを示唆しています。 生活習慣病管理料を算定していない理由として、対象患者が少ないこと以外に、療養計画書に記載する項目が多く業務負担が大きいことが14.4%の医療機関から挙げられています。過去に簡素化がなされたものの、依然として負担感が残っており、分科会では療養計画書のあり方について見直しの検討が必要との意見が出されました。 生活習慣病管理料を算定された患者の6か月ごとの継続算定率は、医療機関ごとにばらつきがあります。患者が治療から脱落せず継続的に受診を続けることが重要な観点であり、外来患者を対象とした調査では、定期的な受診を続ける上で必要な体制として「予約診療を行っていること」が最も多く、次いで「28日以上の長期処方に対応していること」が多く選択されています。 生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)の使い分けについては、受診頻度が2か月に1回より少ない患者や検査頻度が2か月に1回より少ない患者については生活習慣病管理料(Ⅰ)の算定が多く、その他の患者については生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定が多い傾向があります。生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定した外来患者の6か月当たりの血液検査算定回数を調べたところ、平均して6か月に2回以下の頻度で算定している患者が全体の約7~9割以上でした。6か月に1回も算定がない患者も一定数を占めており、分科会では適切な医学管理が行われているか疑問があるとの意見が出されています。 高齢者の生活習慣病管理については、学会のガイドライン等において特有な状態への配慮が必要とされています。糖尿病の管理では、高齢者の患者とそれ以外の患者では治療目標の推奨が異なっています。分科会では、複数疾患への罹患やポリファーマシー、フレイルの進行などを包括的に診る役割を担うことが、かかりつけ医の重要な機能であるとの意見が出されました。 糖尿病患者に対する合併症予防の観点では、診療所又は200床未満の病院において、眼科受診を指導した患者数は平均で21.5人、中央値は0人であり、歯科受診を促した患者数は平均で14.1人、中央値は0人でした。分科会では、糖尿病患者に対する歯科受診は、オーラルフレイルの予防や口腔機能の低下への早期対応の観点から重要であり、歯科診療所への定期的な受診を促す体制がさらに必要ではないかとの意見がありました。 かかりつけ医機能の評価と今後の方向性 機能強化加算の届出医療機関数は、令和3年までは増加傾向でしたが、近年は横ばいです。算定回数は令和2年に大きく減少していましたが、令和5年には令和元年以前よりも増加しました。令和5年時点で、病院1,289施設、診療所13,518施設が届出を行っています。 外来受診した医療機関において「かかりつけ医機能に関する説明を受けたことがある」と回答した患者は38.9%、「かかりつけ医機能に関する院内掲示を見たことがある」と回答した患者は46.2%でした。機能強化加算の届出医療機関は、算定要件の一部となっている「処方薬の把握」「健診に関する相談」「予防接種」「学校医」等に関する機能を有している割合が大きくなっています。 かかりつけ医に関連した研修等については、「日本医師会のかかりつけ医機能研修」を修了又は一部受講した医師の在籍割合が最も高く43.5%でした。医学生の実習、臨床研修医の受入れを行っている診療所は約10%前後であり、専攻医の受入れを行っている診療所は約4.2%でした。 分科会では、現在の機能強化加算は地域包括診療料・加算、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料等の届出をもってかかりつけ医機能が高いと評価する考え方となっていますが、かかりつけ医機能報告制度が開始されることを踏まえると、この制度に沿った形で再検討することが求められるのではないかとの意見がありました。一方で、かかりつけ医機能報告制度は医療機関の機能を認定する制度ではなく現状を把握するための報告制度であり、地域における専門性を有する医療機関が連携して面としてかかりつけ医機能を発揮することを目指すものであるため、かかりつけ医機能報告制度と診療報酬は関連させるものではないとの慎重な意見も出されました。 地域包括診療料・加算の算定診療所では、それ以外の診療所と比較して、介護との連携に関する取組を実施している割合が高くなっています。認知症地域包括診療料・加算を算定された患者に占める65歳以上の患者の割合は、認知症地域包括診療料では約93%、認知症地域包括診療加算では約77%でした。 診療所における検査体制については、いずれの検査項目も、機能強化加算の算定医療機関において、より早期に結果を出せる体制が確保されている傾向がありました。このことは、機能強化加算が一定の体制整備を促す効果を持っていることを示しています。 外来機能分化の進捗状況と医療機関連携の課題 病院の1日平均外来患者数は長期的には減少傾向です。紹介なしで外来受診した患者の割合を病院機能別に見たところ、その割合は長期的に減少傾向にあり、令和5年は特定機能病院では34.1%、地域医療支援病院では58.5%でした。これは、外来機能分化が徐々に進展していることを示しています。 紹介割合・逆紹介割合による初診料・外来診療料の減算規定の対象病院における令和6年度の紹介割合・逆紹介割合は、令和5年度と比較して不変からやや増加していました。減算規定の対象病院における令和6年10月の再診の患者数の平均値・中央値は、令和5年10月と比較して増加しました。全受診患者に占める初診患者割合の平均値・中央値は、特定機能病院では約5%、その他の区分では約10%でした。 減算規定の対象病院の再診患者のうち約6割以上の患者は、2年以内に初診料の算定がない患者でした。平均して8割程度の患者が直近6か月以内に再診を受けています。分科会では、相当数の患者が2年以上通院していることや半年以内に外来再診していることについて、当該患者が本来逆紹介すべき患者であるのか、あるいは地域の医療機関で日常的な管理を受けつつ専門外来でフォローアップされているのか、現状のデータだけでは判断が困難であるため、今後他の医療機関への受診状況や疾患の種類等も含めて分析を行い、継続的な受診の妥当性について検討することが必要ではないかとの意見がありました。 外来診療料を算定した患者の主傷病名を見ると、特定機能病院で

    8 min
  3. 病棟多職種連携の現状と課題|2026年診療報酬改定への示唆

    2D AGO

    病棟多職種連携の現状と課題|2026年診療報酬改定への示唆

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、病棟における多職種でのケアに関する検討結果がとりまとめられました。高齢化の進展により入院患者のADL維持・向上が重要課題となる中、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の届出率が9.0%にとどまるなど、多職種連携の推進に複数の障壁が存在することが明らかになりました。今回の分科会では、療法士、管理栄養士、薬剤師、看護職員等の病棟配置の実態と効果を詳細に分析し、次期診療報酬改定に向けた重要な示唆を提示しています。 分科会の検討結果は、病棟における多職種連携の重要性と具体的な課題を明確にしました。リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、ADL改善効果が高く休日リハ提供量も平日の86.5%を実現していますが、体制加算算定患者は要介護度が高い患者や高齢の患者が多く、ADL悪化率は算定なしと明らかな差はありませんでした。常勤専従の療法士2名以上配置などの人員要件が届出の障壁となっています。管理栄養士の病棟配置は進んでおらず、就業時間の2割未満しか病棟業務に従事していない病棟が約3割を占めています。病棟薬剤業務実施加算は年々増加しているものの、小規模病院では診療報酬によって薬剤師の人件費が確保できない現状があります。看護業務タイムスタディ調査により、多職種配置による効果的なタスクシェアの可能性が示されました。 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の効果と患者背景の検証 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、ADL改善において効果を示していますが、算定患者の背景を考慮した評価が重要です。退院時にADL悪化した患者の割合は、算定ありで5.0%、算定なしで4.6%と明らかな違いはみられませんでした。一方、ADLが大きく改善した患者の割合は、算定ありで25.7%と、算定なしの14.1%と比べて顕著に高い結果でした。体制加算算定患者は、算定なしと比べて要介護度が高い患者や高齢の患者が多く、これらはもともと入院中にADLが低下しやすい患者の特徴と一致していました。 体制加算の届出施設においては、ADLが低下する患者の割合は3%未満という施設基準を満たしていました。算定していない施設においては、ADL低下割合4%以上5%未満に緩やかなピークが見られ、施設基準を満たせない医療機関が存在することが示されました。入院3日目までにリハビリテーションが開始された割合は、算定ありで約9割に達しています。体制加算算定ありの患者は、算定なしの患者と比べてリハビリテーションの実施割合が高く、早期介入が実現されていました。 患者1人当たりの1日平均リハビリテーション単位数は、算定なしの場合が平日2.3単位であるのに対し、算定ありの場合は3.1単位と多く、休日も平日と変わらない水準を維持しています。施設全体におけるリハビリテーション提供体制は、算定ありの場合、土日祝日全体での提供単位数が平日の86.5%に達し、土曜日は94.1%、日曜日は87.8%、祝日は65.1%となっています。一方、算定なし施設では休日全体で平日の34.1%にとどまり、土曜日50.1%、日曜日22.1%、祝日26.8%という結果でした。この差は、体制加算の施設基準が「土日祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーション料の提供単位数が平日の提供単位数の8割以上」を求めていることに起因しています。 体制加算算定病棟では、多職種が病棟業務に積極的に関与しています。栄養状態のスクリーニング・定期的な評価において、管理栄養士が主として関わる割合は算定ありの病棟で59.70%、算定なしの病棟で44.67%でした。ADLのスクリーニング・定期的な評価において、理学療法士が主として関わる割合は算定ありの病棟で34.72%、算定なしの病棟で19.95%でした。口腔の状態のスクリーニング・定期的な評価において、言語聴覚士が主として関わる割合は算定ありの病棟で38.57%、算定なしの病棟で24.54%でした。 体制加算算定ありの患者のほうが、低栄養の入力割合と入院栄養食事指導料の算定患者割合が高い結果でした。算定ありの患者のほうが、入院時の低栄養の割合が高く、栄養管理を必要とする患者が多く含まれていました。体制加算の算定有無による退院後の歯科受診状況に大きな差はなく、歯科受診率は低い状況でした。病棟専従の療法士は、疾患別リハビリテーション以外の業務も担当しており、場面に応じたワンポイントのADL動作の指導や、看護職員の業務としても実施される体重測定や環境調整といった業務を、療法士としての観点から行っている事例があります。 体制加算の普及を阻む施設基準の課題 体制加算の届出率は9.0%にとどまっています。届出していない理由として最も多かったのは、「常勤専従の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を2名以上配置(うち1名は専任でも可)することが困難なため」で56.3%を占めました。次いで「土日祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーション料の提供単位数が平日の提供単位数の8割以上を満たさないため」が53.9%でした。「当該保険医療機関において、リハビリテーション医療における経験を3年以上有し、適切な研修を受けた常勤医師を確保することが困難なため」も19.2%ありました。 分科会での評価・分析に関する意見では、土日祝日に提供するリハビリテーション単位数が平日の8割以上であることの要件が厳しすぎるのではないかとの指摘がありました。体制加算に取り組みたい医療機関は多いものの、人員配置等の施設基準が厳しいため、算定が伸び悩んでいるのではないかとの意見もありました。病棟配置によって、ADLの評価、維持や廃用予防といった観点から意義があるのではないかとの意見があった一方、入院中の患者のADLの維持や向上を趣旨とした体制加算や病棟の施設基準における多職種配置が進みつつあるが、生活機能を落とさないためには、より一層こうした病棟での多職種連携の推進が必要ではないかとの意見がありました。 生活機能の回復に向けた支援において、療法士が関与している割合は体制加算算定病棟で高く、食事支援で76.1%、排泄支援で41.2%、離床の促しで46.4%となっています。療法士が生活機能回復や栄養・口腔状態に係る項目へ関与している割合が高く、多職種連携による効果的なケアが実践されていました。体制加算における多職種配置により、医師や看護職員が主として関わる割合は低下し、各専門職が専門性を活かした業務に集中できる体制が構築されていました。 病棟における各専門職種の配置状況と役割 管理栄養士の病棟配置は、多くの病棟で十分に進んでいません。管理栄養士が病棟で従事する時間が就業時間のうち2割未満の病棟が約3割あり、そのような病棟では栄養情報提供書の作成やミールラウンドの実施割合が特に低い状況でした。累次の診療報酬改定において管理栄養士の病棟での業務が推進されているものの、給食管理業務の負担が大きく、調理員不足により調理等の業務が増えている場合もあり、病棟での栄養管理に専念できない状況があります。 栄養サポートチーム加算の届出施設数は増加していますが、入院料により算定状況は様々です。未届出の理由としては、研修を受けた専門職確保が困難であることが多く、チーム設置のメリットが少ないことも3割超となっていました。管理栄養士の病棟配置や多職種連携が要件となっている特定入院料や加算は、原則として栄養サポートチーム加算の出来高算定や併算定はできません。高齢者の入院が今後ますます増加する中で、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士が共同で診療を行うことの負担が大きく、栄養管理の観点からどのように推進するか検証すべきとの意見がありました。 病棟薬剤業務実施加算の届出医療機関数は、平成24年度の加算新設以来、年々増加しています。病棟薬剤業務実施加算の算定状況によらず、薬剤師による介入が医師の負担軽減に寄与しています。令和6年度に新設された薬剤業務向上加算について、算定医療機関数は今後増加の見込みですが、地域の医療機関に出向できる薬剤師の確保が課題となっています。調剤以外の病棟業務等のニーズが増え、病院薬剤師数は増加していますが、小規模病院では病棟薬剤業務実施加算により150床程度の算定で得られる診療報酬でようやく1人分の人件費とな

    7 min
  4. 医療現場の働き方改革2025:医師・看護師の負担軽減と人材確保の最新動向

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    医療現場の働き方改革2025:医師・看護師の負担軽減と人材確保の最新動向

    令和6年4月から医師の時間外・休日労働の上限規制と健康確保措置が適用され、医療現場の働き方改革が本格化しました。令和6年12月時点で460施設が特定労務管理対象機関として指定されています。医師の47%が勤務状況の改善が必要と回答し、看護職員の約8割が施設基準を満たす配置に困難を感じています。入院・外来医療等の調査・評価分科会の検討結果から、医療従事者の働き方改革とタスクシフト/シェアの現状と課題を明らかにします。 医療現場では人材確保と処遇改善、ICT活用による業務効率化が喫緊の課題となっています。医師事務作業補助者の40%が必要数を確保できず、看護補助者も減少し続けています。夜勤手当は2010年代からほとんど変化せず、夜勤可能な職員の確保が困難になっています。ICT・AI・IoT活用が約7割の医療機関で進むものの、維持管理コストや使いこなせない職員の存在が課題となっています。 医師の働き方改革の現状と課題 医師の時間外労働規制が本格化する中、勤務環境の改善と人材確保が重要な課題となっています。地域医療体制確保加算を届け出ている医療機関では、届け出のない医療機関と比較して休日・時間外労働の平均値や最大値は長い傾向にあります。一方で、勤務環境の現状把握・分析を実施している割合やICTを活用した業務見直しの取組を実施している割合が高く、令和5年度と比較して令和6年度では休日・時間外労働の平均値や最大値が減少傾向にありました。 医師事務作業補助体制加算の届出医療機関数は年々増加傾向にあります。届出医療機関の約40%で必要数の医師事務作業補助者が確保できていません。医師事務作業補助者の定着に向けた効果のある取組として、評価・報酬に関する取組では「給与・賞与の見直し」「面談による評価フィードバックの実施」「人事評価制度の整備」が多く挙げられました。医師事務作業補助体制加算を算定している医療機関の57%において、医師事務作業補助者の人事考課が実施されています。 ICTを活用した医師事務業務の省力化の取組について、「作業効率の上昇」と「労働時間の短縮」が得られる効果の中で最も多く報告されました。労働時間の短縮の効果が得られるとの回答の割合が多い取組として「臨床データ集計等でのRPA活用」「退院サマリー等の作成補助を行う生成AI文書作成補助システム」「説明動画の活用」がありました。分科会では、医師の働き方改革を進める中で医師にかかる経費は増えており、地域医療確保体制加算はより評価されるべきとの意見や、ICT導入には多額の費用が必要であり支援を考慮すべきとの意見が出されています。 看護職員の確保と業務負担軽減の取組 看護職員就業者数は2023年(令和5年)に174.6万人となりました。看護職員の就業場所は病院・診療所が多いものの、訪問看護ステーション等において増加傾向となっています。新規の看護師資格取得者や看護師学校養成所(3年課程・大学を含む)の入学者数・卒業者数は減少に転じています。令和6年度には大学の定員充足率も100%を切っており、今後一層の少子化の進展を考えると、看護職員の確保と働き続けられる環境整備の取組が喫緊の課題となっています。 看護補助者の数は減少し続けており、正規雇用の割合は低下しています。許可病床100床当たりの看護補助者数も全体的に減少傾向にあります。看護補助者の定着に向けて、研修の実施、ラダーの活用、看護補助業務の細分化等の取組が進められています。看護補助者の定着を促進するための取組として、「看護補助者業務のマニュアルの整備」は77.2%、「看護補助者の研修の充実」は72.7%で実施されています。 入院料の施設基準を満たす看護職員の配置を行うにあたり、困難を感じることがあるか尋ねたところ、「大いに感じる」「感じる」は約8割でした。勤務シフトが組みにくくなったが3割を超え、看護職員の夜勤の回数(1人当たり)について「増えた」が2〜3割となっています。看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に関わる具体的な取組としては、「妊娠・子育て中、介護中の看護職員に対する配慮」は最も多く実施されていました。子育てや介護を担う職員への配慮が進んでいる一方で、夜勤が可能な職員の確保や負担軽減が課題となっています。 病院勤務看護職員の夜勤手当(夜勤1回当たり)額は、2010年代に入ってほとんど変化がありません。看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に関わる具体的な取組として「夜勤手当の見直し」は15.0%で実施、直近3年以内に実施した看護職員の夜勤者の確保策として、「夜勤者確保のための夜勤手当の増額(一律)」は12.4%、「夜勤回数に応じた夜勤手当以外の手当の支給」は8.7%で行われています。分科会では、夜勤手当は2010年代に入ってほとんど増加が見られず、割増賃金のみの支給にとどまる病院も4.4%存在する状況などがあるため、夜勤者の確保に向け夜勤手当の引き上げが必要ではないかとの意見が出されました。 ICT・AI活用による生産性向上の推進 ICT(情報通信技術)の活用は約7割で進められています。具体的な取組として「ビデオ通話(WEB形式)による会議の実施」「勤怠管理のICT化」「紹介状や診断書の入力支援ソフトの活用」が進められています。看護職員の記録に関する負担軽減の取組として、ICTを活用した取組としては、「電子カルテシステム等を活用したカルテ様式間の自動転記」「バイタルサイン等の測定機器からの自動入力」「文書作成補助システムの活用」が進められていました。 令和6年度診療報酬改定では、看護職員の更なる業務負担軽減の観点から、「夜間看護体制加算」等の夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等のうち、「ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減」に取り組むことが望ましいことと位置づけられました。令和6年度補正予算では、人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ(生産性向上・職場環境整備等事業)として、生産性向上に資する取組として、ICT機器の導入による業務の効率化、職員間の情報伝達の効率化(チーム医療の推進)等の対応がなされました。 ICT機器活用継続についての課題について、「ICTの維持・管理等のメンテナンスにコストがかかる」「ICTを使いこなせていない職員がいる又は多い」「ICTの導入にあたって教育や人材育成に時間がかかる」の順で多く挙げられました。分科会では、ICT、AI、IoTを導入して取り組みたい一方、機器活用には初期の導入費用、維持メンテナンス費用、投資額も必要となり、一部導入時の補助金はあるものの、維持メンテナンス費用までを入院基本料等で補ってもらう必要があるのではないかとの意見が出されています。生産性向上や業務負担軽減の点では、音声入力やバイタルデータの自動入力などが有効だと考えられるものの、具体的な活用が進むための方策について検討が必要との指摘もありました。 タスクシフト/シェアの推進状況と今後の展望 医師から看護師へのタスクシフト/シェアが進んでおり、特定行為研修修了者も病床規模に関わらず配置されています。医師から看護師へのタスクシフト/シェアとして行われている内容として、「注射、採血、静脈路の確保」、次いで「事前に取り決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査の実施」「カテーテルの留置、抜去等の各種行為」「特定行為の実施」の順で推進されていました。特定行為研修の領域別パッケージ研修において、令和7年9月時点で、指定研修機関は277機関、修了者数は2,765人であり、特定行為研修修了者の85.9%は病院に就業している実態があります。 病棟業務におけるタスクシフト・シェアの取組の進行状況について、「とてもよく進んでいる」は1.6%、「進んでいる」は32.9%でした。タスクシフト・シェアを進めるための工夫・取組として、「看護管理者を中心に整理・見直しを行っている」が69.1%、「各職種の代表者が集まり整理・見直しを行っている」が63.4%が進められていました。分科会では、病院の看護の状況をよくわかっている看護管理者がキーパーソンとなり、各医療機関の実際の医療・看護業務の状況に応じて、看護の充実や質の向上のためにどうICT機器を活用するかをよく検討した上で導入されている好事例が示されました。 令和6年度

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  5. 入退院支援加算の最新動向2025:算定回数増加と身寄りのない患者への対応課題

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    入退院支援加算の最新動向2025:算定回数増加と身寄りのない患者への対応課題

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会は、入退院支援の現状を分析し、今後の課題を明らかにしました。令和5年6月審査分において、入退院支援加算の算定回数は389,081件、入院時支援加算は82,205件に達しています。入院時支援加算の届出がある医療機関では、急性期一般入院基本料で平均0.6日、地域包括ケア病棟入院料で平均4.8日、在院日数が短縮されていました。退院調整に時間や人手を要する患者として、「身寄りがなく同居者が不明な者」が最も多く、現行の算定要件に含まれていないこの要因への対応が課題となっています。 今回の分科会では、入退院支援の効果が数値で示されるとともに、3つの重要な課題が浮き彫りになりました。第一に、入院時支援加算が平均在院日数の短縮に有効であることが実証されました。第二に、身寄りのない患者への退院調整に多大な時間と労力がかかっている実態が明らかになりました。第三に、協力医療機関との実効性のある連携体制の構築には、まだ改善の余地があることが判明しました。 入退院支援加算の算定状況と入院時支援の効果 入退院支援加算と入院時支援加算の届出施設数は微増を続けています。入退院支援加算の届出施設数は令和6年8月時点で4,895施設、入院時支援加算は2,689施設でした。算定回数は年々増加しており、入退院支援の重要性が医療現場で認識されている状況が読み取れます。 入院時支援加算の効果は明確に表れています。入院時支援加算は、入院を予定する患者に対し、入院前の外来で治療の説明、入院生活のオリエンテーション、服薬状況の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施する取り組みを評価する制度です。この加算の届出がある医療機関では、届出がない医療機関と比較して平均在院日数が短くなりました。予定入院の場合、退院困難な要因の有無を入院前に評価でき、入退院支援の準備を早期から進められることが、在院日数短縮につながっています。 入退院支援加算を算定した患者の「退院困難な要因」を見ると、病棟種別にかかわらず「緊急入院であること」が最も多い状況でした。地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟では、「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること」も多く見られます。退棟先については、急性期入院料では自宅から入棟し自宅へ退棟する割合が高い一方、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟では、転院や介護施設等への入所等、退棟先がより多様になっています。 退院調整の課題と連携機関数の増加 退院調整完了までに時間や人手を要する患者について尋ねたところ、「身寄りがなく同居者が不明な者」が最も多い結果となりました。この要因は現行の算定要件に明示されていませんが、実際の医療現場では大きな負担となっています。日本の世帯数の将来推計では独居の高齢者が増加しており、近親者のいない高齢者が急増すると見込まれています。 退院先の確保のために工夫している取組としては、3つのアプローチが実施されていました。「退院を見据えた調整を入院直後から開始する」こと、「入院後速やかに患者及び家族などに説明を行う」こと、「退院に向けた要介護認定の区分変更の必要性を判断する」ことです。これらの取組には、ケアマネジャーとの密接な連携が重要となります。 令和6年度診療報酬改定では、入退院支援における関係機関との連携強化が図られました。入退院支援加算1の施設基準で求める連携機関数について、急性期病棟を有する医療機関では病院・診療所との連携を、地域包括ケア病棟を有する医療機関では介護サービス事業所及び障害福祉サービス事業所等との連携を一定程度求める改定が行われました。連携機関の施設数は、前回調査と比較していずれの入院料も増加しており、介護保険サービス事業所との連携が最も多い状況でした。 協力医療機関との連携強化と今後の方向性 協力医療機関となっている施設数は、入院料や病棟の組合せによらず5件以下の医療機関が最多でした。急性期一般入院料2-6を算定するケアミックス型の医療機関や、地域包括医療病棟を有する医療機関で対象施設数が多い傾向が見られます。施設類型別では、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の件数が多くなっていました。 協力医療機関としての実効性のある連携に資する3要件全てを満たす医療機関の割合は、半数程度にとどまっています。特に急性期一般入院料1を算定する急性期病棟のみの医療機関では、その割合が低い状況でした。協力医療機関ごとに10床当たりの協力対象施設入居者数を見ると、1人以下の医療機関も一定数存在する一方、一部の医療機関では50人以上となっており、取組には差が見られます。 在宅医療を提供している患者について、入院が必要になった場合の病床確保方法を見ると、診療所の59.8%が平時から連携体制を取っている他の医療機関を地域で確保していました。一方で、11.7%が基本的に救急搬送を依頼するため特定の医療機関とは連携していない状況でした。在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、地域包括ケア病棟を有する病院のいずれかに該当する施設において、協力対象施設入所者入院加算を届け出ているのは約4割にとどまっています。届出していない理由として、ICTによる情報共有の体制整備や、カンファレンスの要件が困難と回答した施設が多く見られました。 令和6年度診療報酬改定で新設された精神科入退院支援加算については、330施設のうち「届出あり」が26.4%、「届出の予定はない」が66.4%でした。届出をしていない理由は「看護師等の配置が困難であるため」が最も多く、77.4%を占めています。精神病床に入院する患者に対して、入院早期から包括的支援マネジメントに基づく入退院支援を行う体制の整備が、今後の課題となっています。 ICT活用と面会制限の影響 病院において地域医療情報連携ネットワーク等のICTを活用している施設は約3割でした。ICTを活用した情報共有の体制整備は、協力医療機関との連携を円滑に進める上で重要な要素となっています。地域連携診療計画加算の届出施設は微増していますが、算定回数はほぼ横ばいとなっています。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う一般病棟での面会制限は、入退院支援に大きな影響を及ぼしました。患者と家族の関係性の把握や、家族の思いを共有することが難しくなり、患者や家族の状況、家族の意向を踏まえた退院支援を進めることが困難な状況が生じていました。面会時のルールについては、「面会時間を日中に制限している」のほか、「面会者の年齢に制限を設けている」、「患者1人につき1日の面会人数を制限している」、「面会は予約制である」等を定めている現状があります。 家族とのコミュニケーションが取れないことは、意思決定支援の観点からも大きな課題です。一部の医療機関では、ICTを活用したコミュニケーションをセッティングする等の工夫を行っています。5類感染症となった後も、各医療機関で対応にばらつきがあり、状況に応じた柔軟な対応方針が求められています。 実効性のある連携体制の構築に向けて 分科会では、介護施設等における対応力強化について重要な意見が出されました。高齢者施設で診ている心不全患者においては、水分貯留による体重増加や症状・兆候によって早期に外来を受診させる、訪問診療で利尿剤を調整する、病院の看護職員等が出向いてケア体制の支援を行う等によって、無駄な救急搬送・救急入院を減らすことが可能なケースがあります。救急搬送前の連携対応の評価を行うことで、施設からの高齢者の救急搬送を減らすことにつながる可能性が指摘されています。 入院時支援加算については、入院支援部門が入院前に外来等で関わることにより、病棟看護師の業務軽減にも結びついています。病院全体の効率化に向けた動きが進んできている状況が確認されました。退院困難な患者のうち「身寄りがなく同居者が不明な者」は、現行の算定要件に示されていませんが、退院調整に時間あるいは人手を要している実態が明らかになりました。患者本人の状況だけではなく、周辺の要素と組み合わせて評価すべきとの考え方が示されて

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  6. 救急医療の需要増加に対応する診療報酬評価の課題と改善方向【2025年度】

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    救急医療の需要増加に対応する診療報酬評価の課題と改善方向【2025年度】

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、救急医療に関する検討結果がとりまとめられました。令和6年中の救急出動件数と搬送人員は過去最多を記録し、特に高齢者の搬送が増加しています。現場到着時間と病院収容時間はいずれも延伸しており、救急医療体制への負担が増大しています。現在の診療報酬制度では、救急患者連携搬送料の届出率が17%にとどまり、受入側医療機関への評価が不足しています。救急外来応需体制についても、24時間体制を構築する医療機関への適切な評価が課題となっています。 分科会では、救急医療需要の増加に対応するため、搬送連携と外来応需体制の両面で診療報酬評価の見直しが必要との認識が示されました。救急搬送の現状では、救急患者連携搬送料の届出が低調であり、搬送元医療機関のみが評価される一方で受入側医療機関への評価がないことが指摘されました。救急外来応需体制では、院内トリアージ実施料と夜間休日救急搬送医学管理料の算定状況が報告され、ウォークイン救急患者を多数受け入れる医療機関の実態が明らかになりました。分科会からは、受入側医療機関への評価の必要性、地域包括ケア病棟での受入評価の充実、患者等搬送事業者の活用検討、24時間診療体制への適切な評価という4つの改善提案が示されています。 救急搬送の現状と救急患者連携搬送料の課題 令和6年中の救急自動車による救急出動件数と搬送人員は、集計開始以来の過去最多を記録しました。年齢区分別の搬送人員をみると、高齢者が増加している傾向が顕著です。 搬送時間の延伸も深刻な課題となっています。令和5年中の救急自動車による現場到着所要時間は全国平均で約10.0分でした。病院収容所要時間は全国平均で約45.6分でした。新型コロナウイルス感染症の発生前の令和元年と比較すると、現場到着所要時間は約1.3分延伸し、病院収容所要時間は約6.1分延伸しています。 救急患者連携搬送料の届出状況は低調でした。高度救命救急センター、救命救急センター及び第二次救急医療機関において、救急患者連携搬送料を届け出ている医療機関は17%にとどまりました。救急患者連携搬送料の届出医療機関数は、令和6年7月時点で224施設でしたが、令和7年5月には387施設へ大幅に増加しました。 届出していない理由には複数の要因がありました。「救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる救急搬送件数が年間で2,000件未満であるため」という回答が多くありました。「搬送に同乗するスタッフが確保できないため」という人員配置の課題を挙げる医療機関もありました。「自院又は連携先医療機関が緊急自動車を保有していないため」という設備面の課題も指摘されました。「地域のメディカルコントロール協議会等と協議を行った上で、候補となる保険医療機関のリストを作成するという要件の達成が困難であるため」という体制整備の困難さも挙げられました。 算定実態をみると、令和6年10月1か月に救急患者連携搬送料を算定した患者数は、ほとんどの医療機関において少数でした。搬送理由としては、「処置・手術等を必要としないが、急性疾患に対する治療を必要とする状態であった患者」が最も多くなっていました。 転院搬送の実態も明らかになりました。第二次救急医療機関の一部には、入院した救急患者の25%以上が転院搬送で受け入れた患者である医療機関がありました。 救急外来応需体制の評価状況 救急外来医療に対する診療報酬評価として、院内トリアージ実施料と夜間休日救急搬送医学管理料があります。院内トリアージ実施料の算定医療機関数は、やや増加傾向を示しています。算定回数は、新型コロナウイルス感染症流行後に大幅に増加しましたが、令和6年には以前の水準まで減少しました。 夜間休日救急搬送医学管理料の算定回数は、令和2年以降増加傾向が続いています。第二次救急医療機関における年間救急搬送患者受入人数に占める夜間休日救急搬送医学管理料の年間算定回数の割合を医療機関ごとに算出すると、令和2年度の平均値は24.6%、令和4年度の平均値は21.9%でした。 ウォークイン救急患者の受入実態も注目されました。救急車等の救急受入患者数が少ない医療機関でも、相当数のウォークイン救急患者を受け入れている医療機関が多数存在することが明らかになりました。 救急医療管理加算の算定状況も報告されました。救急医療管理加算の算定回数は、令和2年に減少したものの、以降は増加傾向を示しています。届出医療機関数は、令和2年以降横ばいからやや増加傾向となっています。入院した救急患者のうち、ウォークイン救急受診患者を含めて平均54.4%の患者に救急医療管理加算が算定されていました。 分科会が示す改善の方向性 分科会では、救急患者連携搬送における評価の課題について意見が示されました。救急患者連携搬送料は搬送元医療機関で算定するものである一方、受入側医療機関の評価がないことが指摘されました。救急患者連携搬送は受入側医療機関の協力を前提とした制度であることから、受入側にも一定の評価を設けることが必要との意見がありました。 地域包括ケア病棟における受入評価についても提案がありました。地域包括ケア病棟において救急患者連携搬送料を算定した患者を受け入れた場合について、在宅患者支援病床初期支援加算の対象としたことには意義があるとされました。救急連携搬送における受入側医療機関への評価をさらに充実させることで、医療機関間の機能分担や連携の促進につながるのではないかとの意見がありました。 搬送手段の多様化についても検討の余地が示されました。救急患者連携搬送にあたっては、病院救急車だけでなく、患者等搬送事業者を活用することについても、今後検討の余地があるのではないかとの意見がありました。 救急外来応需体制に関しては、24時間診療体制への評価の必要性が提起されました。救急患者を多数受け入れる医療機関においては、医師・看護師等の人員配置に加え、24時間体制で検査・処方等が可能な診療体制の整備が不可欠であるとされました。こうした体制を構築し、地域の救急医療において重要な役割を果たしている医療機関については、適切な評価がなされるべきではないかとの意見がありました。 まとめ 救急医療需要の増加に対応するため、診療報酬評価の見直しが必要です。救急患者連携搬送では、搬送元だけでなく受入側医療機関への評価を設け、医療機関間の機能分担と連携を促進することが求められています。救急外来応需体制では、24時間診療体制を構築する医療機関への適切な評価が必要とされています。分科会が示した改善提案を踏まえ、救急医療提供体制の充実に向けた診療報酬制度の見直しが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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  7. 重症度、医療・看護必要度の評価項目見直しと測定負担軽減への課題

    6D AGO

    重症度、医療・看護必要度の評価項目見直しと測定負担軽減への課題

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、重症度、医療・看護必要度の評価体系に関する重要な検討結果が示されました。分科会では、特定集中治療室・ハイケアユニット用の評価項目の適正化と、一般病棟用のB項目測定における負担軽減という2つの重要テーマを扱いました。現行の評価体系には、活用されていない項目の存在、実態と乖離した基準設定、医療現場における記録負担という3つの課題が明らかになっています。 本稿では、集中治療室における致死性不整脈管理の評価のあり方、動脈圧測定・中心静脈圧測定の位置づけの見直し、一般病棟におけるB項目の特性分析と測定の合理化という3つの論点を詳述します。これらの検討結果は、次期診療報酬改定における重症度、医療・看護必要度の見直しに直接的な影響を与える重要な知見です。分科会が提示した課題と改善の方向性を理解することは、医療機関における今後の体制整備を考える上で不可欠です。 特定集中治療室・ハイケアユニット用評価項目の課題と見直しの方向性 特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度には、評価項目の配点と実際の活用状況に大きな乖離があります。現行制度では、シリンジポンプの管理は1点という配点になっており、該当基準が2点以上であるため、この項目は実質的に基準該当の判定に活用されていません。一方、動脈圧測定と中心静脈圧測定はいずれも2点の配点となっており、これら単独の実施のみで基準を満たすことになります。 日本集中治療医学会のICU入退室指針では、人工臓器サポートや心血管作動薬などの薬剤持続投与を行わない動脈圧測定や中心静脈圧測定の患者については、中間ユニットでの管理を考慮するとされています。現行の評価体系は、この学会指針と整合性がとれていない状況です。特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者は全体の約92%に達しており、施設基準である7割または8割を大きく上回っています。該当患者割合が最も高い項目は動脈圧測定で約84%、最も低い項目は肺動脈圧測定で約6%でした。 ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度では、基準①を満たす患者は概ね3割であり、要件の1割5分を上回っています。基準②を満たす患者は概ね9割であり、要件の6割5分または8割を大きく上回っています。分科会では、現行基準が実態と乖離しているため、該当患者や施設の割合を踏まえた基準の見直しが必要であるとの意見が示されました。 集中治療室における致死性不整脈管理の評価強化 特定集中治療室とハイケアユニットの入室患者の傷病名では、急性心筋梗塞後の患者が上位を占めています。急性冠症候群ガイドラインでは、急性心筋梗塞発症直後は致死性不整脈の管理等を目的として、CCU(cardiac care unit)での管理が推奨されています。致死性不整脈が確認された場合には直ちに電気的除細動を行うこと、必要に応じて抗不整脈薬の投与を考慮することが推奨されています。また、病態に応じて一時的ペーシングが必要となる場合があります。 特定集中治療室管理料の算定患者のうち、蘇生術の施行(電気的除細動を含む)に該当する患者割合は約5%、抗不整脈剤の使用は約12%、一時的ペーシングは約1%でした。ハイケアユニット入院医療管理料の算定患者では、抗不整脈剤の使用に該当する患者割合は約4~6%、一時的ペーシングに該当する患者割合は約0.1~0.3%でした。現行の特定集中治療室用・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度では、これらの処置を評価する項目がありません。 分科会では、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者は、人工呼吸器の管理等を要さない場合であっても、ICUやHCUにおいて厳格な不整脈のモニタリングを要する場合があるとの意見が出されました。致死性不整脈等のリスクに備えた管理は、ICUやHCUの重要な役割の一つであることを踏まえ、蘇生術の施行、電気的除細動、抗不整脈薬の投与、一時的ペーシング等の処置について、特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度での位置づけを検討してはどうかとの提案がなされました。 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度における必要度Ⅱの普及と課題 令和6年度診療報酬改定において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目が見直され、急性期一般入院料1では割合①と割合②が設定されました。令和6年11月1日時点で、必要度Ⅱを届け出ている施設は、急性期一般入院料1で99.0%、急性期一般入院料2-3で78.3%、急性期一般入院料4-6で41.0%となり、令和4年11月1日時点より増加しています。必要度Ⅱの普及により、レセプト電算処理システム用コードを用いた評価が広がり、看護職員の記録負担の軽減が期待されています。 重症度、医療・看護必要度Ⅰの該当患者割合は、急性期一般入院料2-3においてのみ令和4年より令和6年の割合が高くなりましたが、その他の入院料については令和6年の割合は低下しています。重症度、医療・看護必要度の記録について、病棟看護管理者が課題に感じていることを調査したところ、「特になし」と回答した割合は必要度Ⅰが26.1%、必要度Ⅱが28.9%であり、必要度Ⅱの方が課題を感じていない割合が高くなっています。看護職員による記録忘れが多いとの回答は必要度Ⅰが51.7%、必要度Ⅱが47.4%、看護必要度に関する職員研修に手間がかかるとの回答は必要度Ⅰが35.5%、必要度Ⅱが31.8%と、いずれも必要度Ⅰの方が課題を感じている割合が高くなっています。 必要度の記録により時間外勤務が発生しているとの回答は、必要度Ⅰが19.7%、必要度Ⅱが21.0%でした。分科会では、看護師による重症度、医療・看護必要度の評価に係る負担が軽減されてきたと考えられる一方で、どこにどのような負担があるのかをもう少しデータとして調べていく必要があるのではないかとの意見が出されました。また、令和2年度診療報酬改定における記録簡素化について再度周知すべきとの意見もありました。 B項目の特性分析と測定の合理化に向けた検討 令和2年度診療報酬改定において、重症度、医療・看護必要度のB項目について、「患者の状態」と「介助の実施」に分けた評価とし、「評価の手引き」により求めている「根拠となる記録」を不要とする見直しが行われました。令和6年度診療報酬改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しに伴い、急性期一般入院料1等では、B項目は基準から除外されましたが、当該評価票を用いて評価を行っていることが要件となっています。 急性期一般入院料1は、急性期一般入院料2~6と比較して、基準1~3に該当する割合およびA得点2点以上の割合が高く、B得点3点以上の割合は低くなっています。地域包括医療病棟は、急性期一般入院料と比較して、B得点3点以上に該当する割合が高く、70%を超えています。入院初日にB得点が3点以上である割合は、特定機能病院や急性期一般入院料1で低く、急性期一般入院料2~6や地域一般入院料1、地域包括医療病棟で高くなっています。地域包括医療病棟では入院初日にB得点が3点以上である割合が68%であり、令和6年では最も高い割合を占めています。 急性期一般入院料2~6、地域包括医療病棟における入院時と退院時のB得点は、要介護度との高い相関がみられました。特に要介護4~5においては、入院時から退院時にかけてB得点の変化がほとんどみられませんでした。患者全体の入院中のB項目の平均値は、入院後日数が経つにつれ、患者数の減少とともに緩やかに上昇しています。B項目の前日との差分の平均は、入院3日目頃からマイナス(改善)であり、7日目頃から変化がなくなっています。この時期には前日とB項目の変化がない患者が約7割程度となっています。 分科会の分析では、B項目は、疾患によって悪化した身体機能によるケアの必要性と、発症前からの身体機能によるケアの必要性の双方を反映した指標であると考えられました。入院4日目、術後7日目以降はB項目の変化が少ない患者の割合が約7割に収束すること、A項目が±2点以上変化した場合にB項目も同じ方向に変化する患者の割合が増えること、要介護度が高いとB点数が高いこと、要介護度の高い患者では退院時まで変化しないケースが多い

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  8. 療養病棟入院基本料の現状分析:医療区分充足率と身体的拘束の実態から見る課題

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    療養病棟入院基本料の現状分析:医療区分充足率と身体的拘束の実態から見る課題

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会では、療養病棟入院基本料等の現状について検討結果がまとまりました。令和6年度末に介護療養病床が廃止されることに伴い、看護配置25対1の経過措置が令和6年5月末で終了したことを受け、慢性期医療提供体制の構築が求められています。新たな地域医療構想では、在宅医療需要への対応を見据え、療養病床だけでなく在宅医療や介護施設等とあわせた体制整備が重要とされました。 分科会では療養病棟における医療区分の充足状況、栄養管理体制、在宅復帰の取組、障害者施設等入院基本料の4つの観点から現状を分析しました。医療区分2・3の施設基準を満たさない医療機関が入院料1で12.8%、入院料2で3.8%存在する一方、DPCデータでは入院料2の95.5%が医療区分2・3を6割以上受け入れていました。身体的拘束は認知症患者で25.7%、認知症のない患者でも13.6%実施され、病棟間でばらつきがありました。経腸栄養管理加算は届出910施設のうち約9割が算定実績なしで、栄養サポート体制の構築が課題です。在宅復帰機能強化加算は709施設が届出し、加算届出施設では在宅退院割合が高い傾向でしたが、加算ありでも死亡退院50%超の病棟が存在しました。 医療区分の充足状況と身体的拘束の実態 療養病棟における医療区分の充足状況は施設間で差がみられ、改善の余地があります。令和6年度診療報酬改定で中心静脈栄養の医療区分が病態と実施期間に応じて見直され、令和6年10月時点で入院料1の12.8%、入院料2の3.8%が施設基準(入院料1で医療区分2・3が8割、入院料2で5割)を満たしていませんでした。一方、DPCデータでは入院料2の95.5%が医療区分2・3を6割以上受け入れていることから、入院料2の施設基準を検討する余地があるとの意見が出されました。 医療区分2・3の疾患・状態、処置等に該当する患者割合は入院料1・2ともに増加しており、特に「医師及び看護師の常時の管理」に該当する患者が増えていました。分科会では、療養病棟の看護職員配置が20対1であることから、医療区分の高い患者を受け入れられる医療体制の検討が必要との意見がありました。また、褥瘡と肺炎を併発するなど同じ処置区分に複数該当する場合の医療資源投入量についても評価すべきとの指摘がありました。 身体的拘束の実施状況は認知症の有無で大きく異なり、課題が浮き彫りになりました。認知症のある患者では25.7%、認知症のない患者では13.6%に身体的拘束が実施されていました。病棟ごとの分析では、挿入デバイスのある認知症患者でも約3割の病棟が身体的拘束を全く実施していない一方、挿入デバイスのない認知症でない患者にも20%以上身体的拘束を実施している病棟が約2割存在しました。分科会では、デバイスや認知症以外の要素で患者像に違いがあるのか、病棟の見守り体制や夜間を含めた人員配置等まで踏まえて現状を評価し、検討を進めるべきとの意見が出されました。 経腸栄養管理と摂食嚥下機能回復の課題 療養病棟における栄養管理の現状は、中心静脈栄養への依存度が高く、経腸栄養への移行が進んでいません。医療行為・処置等の実施状況は令和4年度調査と同様の傾向で、中心静脈栄養が16.3%、胃ろう・腸ろうによる栄養管理が13.0%、経鼻経管栄養が26.7%でした。1か月に中心静脈栄養を実施した人数は11-20人の病棟が最多で半数弱を占め、中心静脈栄養を実施した患者のうち身体的拘束を行った患者の割合が高い病棟もみられました。 摂食嚥下機能回復の取組に係る診療報酬上の評価として複数の加算が設けられていますが、算定実績は低調です。中心静脈栄養を実施している患者の摂食・嚥下機能回復に必要な体制は、入院料1で約3割、入院料2で約4割が整備していました。しかし、体制を整備できていない医療機関のうち9割が今後も整備予定なしと回答し、その理由として内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影の実施体制確保が困難という回答が約8割に達しました。分科会では、日常的な嚥下訓練では反復唾液嚥下テストや水飲みテストのような簡易な評価法でもタイムリーに実施可能であり、全ての施設で検査体制が必要かは検討の余地があるとの意見が出されました。 経腸栄養管理加算の算定率は極めて低く、制度設計の見直しが求められています。令和6年8月から10月の3か月で経腸栄養管理加算を1回以上算定した施設は9.3%にとどまり、届出施設910のうち約9割が算定回数0回でした。届出が困難な理由として「栄養サポートチーム加算を届け出ていないため」が80%以上を占め、研修を受けた医師・看護師等の配置が難しいことが調査で示されました。分科会では、施設基準について検討を深めるべきとの意見がありました。また、認知症がないのに身体的拘束を受けながら中心静脈栄養を続けている患者の栄養管理のあり方は、さらなる議論が必要との指摘もありました。 在宅復帰に向けた取組と評価 療養病棟における在宅復帰の取組は一定の成果を上げていますが、機能の明確化が求められています。在宅への退院を評価する在宅復帰機能強化加算は令和6年8月時点で709施設が届け出ていました。加算では退院後1か月以内に患者が在宅生活を継続していることを、患者居宅への訪問または在宅医療を担当する医療機関等からの情報提供により確認することとされています。 在宅復帰機能強化加算の届出施設では在宅退院の成果が高い傾向がみられました。療養病棟における在宅への退院割合や死亡退院割合は施設ごとにばらつきがありましたが、在宅復帰機能強化加算を届け出ている施設では在宅へ退院する患者の割合が高く、死亡退院の割合は低い傾向でした。ただし、在宅へ退院する患者の割合が比較的高くても加算を届け出ていない施設が存在しました。 在宅復帰機能強化加算の要件については見直しの余地があるとの意見が出されました。加算ありでも死亡退院が50%を超える病棟があることが明らかになり、分科会では医療保険の療養病棟として望ましい姿とは言えず、加算の要件として死亡退院を含めた在宅復帰率を見ることもあり得るとの意見がありました。療養病棟は在宅医療とともに整備され、メリハリある体制となるべきであり、身体的拘束の実施状況も踏まえつつ、経腸栄養に切り替えるための工夫についても検討すべきとの指摘がありました。 障害者施設等入院基本料と特殊疾患病棟入院料の状況 障害者施設等入院基本料における患者要件の充足状況は看護配置により差がみられます。障害者施設等入院基本料の病棟における該当患者7割の基準は、7対1病棟では概ね満たされていましたが、10対1以下の病棟では7割に満たない施設が17.3%ありました。障害者施設等入院基本料・特殊疾患病棟入院料2においては重度の肢体不自由児(者)の該当割合が高く、対象疾患に該当する割合は全体で8割を超えていました。特殊疾患病棟入院料1においては難病患者等の割合が高い傾向でした。 障害者施設等入院基本料の病棟では廃用症候群が主傷病である患者の割合が多いことが明らかになりました。この背景として、レセプトやDPCにおいては元々の患者要件に係る傷病名ではなく、入院契機となった病名が記録されるため、入棟要件のいずれに該当するのかを把握することが難しいという課題があります。 まとめ 療養病棟入院基本料等の現状分析から、医療区分の充足率向上、身体的拘束の最小化、経腸栄養管理体制の整備、在宅復帰機能の強化という4つの課題が明確になりました。慢性期医療提供体制は在宅医療需要の増加に対応するため、限りある資源を活用し、地域の実情に応じた体制構築が求められています。今後の診療報酬改定では、これらの課題に対する施設基準の見直しや評価方法の改善が検討されることが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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