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岡大徳

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  1. 重症度、医療・看護必要度の評価項目見直しと測定負担軽減への課題

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    重症度、医療・看護必要度の評価項目見直しと測定負担軽減への課題

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、重症度、医療・看護必要度の評価体系に関する重要な検討結果が示されました。分科会では、特定集中治療室・ハイケアユニット用の評価項目の適正化と、一般病棟用のB項目測定における負担軽減という2つの重要テーマを扱いました。現行の評価体系には、活用されていない項目の存在、実態と乖離した基準設定、医療現場における記録負担という3つの課題が明らかになっています。 本稿では、集中治療室における致死性不整脈管理の評価のあり方、動脈圧測定・中心静脈圧測定の位置づけの見直し、一般病棟におけるB項目の特性分析と測定の合理化という3つの論点を詳述します。これらの検討結果は、次期診療報酬改定における重症度、医療・看護必要度の見直しに直接的な影響を与える重要な知見です。分科会が提示した課題と改善の方向性を理解することは、医療機関における今後の体制整備を考える上で不可欠です。 特定集中治療室・ハイケアユニット用評価項目の課題と見直しの方向性 特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度には、評価項目の配点と実際の活用状況に大きな乖離があります。現行制度では、シリンジポンプの管理は1点という配点になっており、該当基準が2点以上であるため、この項目は実質的に基準該当の判定に活用されていません。一方、動脈圧測定と中心静脈圧測定はいずれも2点の配点となっており、これら単独の実施のみで基準を満たすことになります。 日本集中治療医学会のICU入退室指針では、人工臓器サポートや心血管作動薬などの薬剤持続投与を行わない動脈圧測定や中心静脈圧測定の患者については、中間ユニットでの管理を考慮するとされています。現行の評価体系は、この学会指針と整合性がとれていない状況です。特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者は全体の約92%に達しており、施設基準である7割または8割を大きく上回っています。該当患者割合が最も高い項目は動脈圧測定で約84%、最も低い項目は肺動脈圧測定で約6%でした。 ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度では、基準①を満たす患者は概ね3割であり、要件の1割5分を上回っています。基準②を満たす患者は概ね9割であり、要件の6割5分または8割を大きく上回っています。分科会では、現行基準が実態と乖離しているため、該当患者や施設の割合を踏まえた基準の見直しが必要であるとの意見が示されました。 集中治療室における致死性不整脈管理の評価強化 特定集中治療室とハイケアユニットの入室患者の傷病名では、急性心筋梗塞後の患者が上位を占めています。急性冠症候群ガイドラインでは、急性心筋梗塞発症直後は致死性不整脈の管理等を目的として、CCU(cardiac care unit)での管理が推奨されています。致死性不整脈が確認された場合には直ちに電気的除細動を行うこと、必要に応じて抗不整脈薬の投与を考慮することが推奨されています。また、病態に応じて一時的ペーシングが必要となる場合があります。 特定集中治療室管理料の算定患者のうち、蘇生術の施行(電気的除細動を含む)に該当する患者割合は約5%、抗不整脈剤の使用は約12%、一時的ペーシングは約1%でした。ハイケアユニット入院医療管理料の算定患者では、抗不整脈剤の使用に該当する患者割合は約4~6%、一時的ペーシングに該当する患者割合は約0.1~0.3%でした。現行の特定集中治療室用・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度では、これらの処置を評価する項目がありません。 分科会では、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者は、人工呼吸器の管理等を要さない場合であっても、ICUやHCUにおいて厳格な不整脈のモニタリングを要する場合があるとの意見が出されました。致死性不整脈等のリスクに備えた管理は、ICUやHCUの重要な役割の一つであることを踏まえ、蘇生術の施行、電気的除細動、抗不整脈薬の投与、一時的ペーシング等の処置について、特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度での位置づけを検討してはどうかとの提案がなされました。 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度における必要度Ⅱの普及と課題 令和6年度診療報酬改定において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目が見直され、急性期一般入院料1では割合①と割合②が設定されました。令和6年11月1日時点で、必要度Ⅱを届け出ている施設は、急性期一般入院料1で99.0%、急性期一般入院料2-3で78.3%、急性期一般入院料4-6で41.0%となり、令和4年11月1日時点より増加しています。必要度Ⅱの普及により、レセプト電算処理システム用コードを用いた評価が広がり、看護職員の記録負担の軽減が期待されています。 重症度、医療・看護必要度Ⅰの該当患者割合は、急性期一般入院料2-3においてのみ令和4年より令和6年の割合が高くなりましたが、その他の入院料については令和6年の割合は低下しています。重症度、医療・看護必要度の記録について、病棟看護管理者が課題に感じていることを調査したところ、「特になし」と回答した割合は必要度Ⅰが26.1%、必要度Ⅱが28.9%であり、必要度Ⅱの方が課題を感じていない割合が高くなっています。看護職員による記録忘れが多いとの回答は必要度Ⅰが51.7%、必要度Ⅱが47.4%、看護必要度に関する職員研修に手間がかかるとの回答は必要度Ⅰが35.5%、必要度Ⅱが31.8%と、いずれも必要度Ⅰの方が課題を感じている割合が高くなっています。 必要度の記録により時間外勤務が発生しているとの回答は、必要度Ⅰが19.7%、必要度Ⅱが21.0%でした。分科会では、看護師による重症度、医療・看護必要度の評価に係る負担が軽減されてきたと考えられる一方で、どこにどのような負担があるのかをもう少しデータとして調べていく必要があるのではないかとの意見が出されました。また、令和2年度診療報酬改定における記録簡素化について再度周知すべきとの意見もありました。 B項目の特性分析と測定の合理化に向けた検討 令和2年度診療報酬改定において、重症度、医療・看護必要度のB項目について、「患者の状態」と「介助の実施」に分けた評価とし、「評価の手引き」により求めている「根拠となる記録」を不要とする見直しが行われました。令和6年度診療報酬改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しに伴い、急性期一般入院料1等では、B項目は基準から除外されましたが、当該評価票を用いて評価を行っていることが要件となっています。 急性期一般入院料1は、急性期一般入院料2~6と比較して、基準1~3に該当する割合およびA得点2点以上の割合が高く、B得点3点以上の割合は低くなっています。地域包括医療病棟は、急性期一般入院料と比較して、B得点3点以上に該当する割合が高く、70%を超えています。入院初日にB得点が3点以上である割合は、特定機能病院や急性期一般入院料1で低く、急性期一般入院料2~6や地域一般入院料1、地域包括医療病棟で高くなっています。地域包括医療病棟では入院初日にB得点が3点以上である割合が68%であり、令和6年では最も高い割合を占めています。 急性期一般入院料2~6、地域包括医療病棟における入院時と退院時のB得点は、要介護度との高い相関がみられました。特に要介護4~5においては、入院時から退院時にかけてB得点の変化がほとんどみられませんでした。患者全体の入院中のB項目の平均値は、入院後日数が経つにつれ、患者数の減少とともに緩やかに上昇しています。B項目の前日との差分の平均は、入院3日目頃からマイナス(改善)であり、7日目頃から変化がなくなっています。この時期には前日とB項目の変化がない患者が約7割程度となっています。 分科会の分析では、B項目は、疾患によって悪化した身体機能によるケアの必要性と、発症前からの身体機能によるケアの必要性の双方を反映した指標であると考えられました。入院4日目、術後7日目以降はB項目の変化が少ない患者の割合が約7割に収束すること、A項目が±2点以上変化した場合にB項目も同じ方向に変化する患者の割合が増えること、要介護度が高いとB点数が高いこと、要介護度の高い患者では退院時まで変化しないケースが多い

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  2. 療養病棟入院基本料の現状分析:医療区分充足率と身体的拘束の実態から見る課題

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    療養病棟入院基本料の現状分析:医療区分充足率と身体的拘束の実態から見る課題

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会では、療養病棟入院基本料等の現状について検討結果がまとまりました。令和6年度末に介護療養病床が廃止されることに伴い、看護配置25対1の経過措置が令和6年5月末で終了したことを受け、慢性期医療提供体制の構築が求められています。新たな地域医療構想では、在宅医療需要への対応を見据え、療養病床だけでなく在宅医療や介護施設等とあわせた体制整備が重要とされました。 分科会では療養病棟における医療区分の充足状況、栄養管理体制、在宅復帰の取組、障害者施設等入院基本料の4つの観点から現状を分析しました。医療区分2・3の施設基準を満たさない医療機関が入院料1で12.8%、入院料2で3.8%存在する一方、DPCデータでは入院料2の95.5%が医療区分2・3を6割以上受け入れていました。身体的拘束は認知症患者で25.7%、認知症のない患者でも13.6%実施され、病棟間でばらつきがありました。経腸栄養管理加算は届出910施設のうち約9割が算定実績なしで、栄養サポート体制の構築が課題です。在宅復帰機能強化加算は709施設が届出し、加算届出施設では在宅退院割合が高い傾向でしたが、加算ありでも死亡退院50%超の病棟が存在しました。 医療区分の充足状況と身体的拘束の実態 療養病棟における医療区分の充足状況は施設間で差がみられ、改善の余地があります。令和6年度診療報酬改定で中心静脈栄養の医療区分が病態と実施期間に応じて見直され、令和6年10月時点で入院料1の12.8%、入院料2の3.8%が施設基準(入院料1で医療区分2・3が8割、入院料2で5割)を満たしていませんでした。一方、DPCデータでは入院料2の95.5%が医療区分2・3を6割以上受け入れていることから、入院料2の施設基準を検討する余地があるとの意見が出されました。 医療区分2・3の疾患・状態、処置等に該当する患者割合は入院料1・2ともに増加しており、特に「医師及び看護師の常時の管理」に該当する患者が増えていました。分科会では、療養病棟の看護職員配置が20対1であることから、医療区分の高い患者を受け入れられる医療体制の検討が必要との意見がありました。また、褥瘡と肺炎を併発するなど同じ処置区分に複数該当する場合の医療資源投入量についても評価すべきとの指摘がありました。 身体的拘束の実施状況は認知症の有無で大きく異なり、課題が浮き彫りになりました。認知症のある患者では25.7%、認知症のない患者では13.6%に身体的拘束が実施されていました。病棟ごとの分析では、挿入デバイスのある認知症患者でも約3割の病棟が身体的拘束を全く実施していない一方、挿入デバイスのない認知症でない患者にも20%以上身体的拘束を実施している病棟が約2割存在しました。分科会では、デバイスや認知症以外の要素で患者像に違いがあるのか、病棟の見守り体制や夜間を含めた人員配置等まで踏まえて現状を評価し、検討を進めるべきとの意見が出されました。 経腸栄養管理と摂食嚥下機能回復の課題 療養病棟における栄養管理の現状は、中心静脈栄養への依存度が高く、経腸栄養への移行が進んでいません。医療行為・処置等の実施状況は令和4年度調査と同様の傾向で、中心静脈栄養が16.3%、胃ろう・腸ろうによる栄養管理が13.0%、経鼻経管栄養が26.7%でした。1か月に中心静脈栄養を実施した人数は11-20人の病棟が最多で半数弱を占め、中心静脈栄養を実施した患者のうち身体的拘束を行った患者の割合が高い病棟もみられました。 摂食嚥下機能回復の取組に係る診療報酬上の評価として複数の加算が設けられていますが、算定実績は低調です。中心静脈栄養を実施している患者の摂食・嚥下機能回復に必要な体制は、入院料1で約3割、入院料2で約4割が整備していました。しかし、体制を整備できていない医療機関のうち9割が今後も整備予定なしと回答し、その理由として内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影の実施体制確保が困難という回答が約8割に達しました。分科会では、日常的な嚥下訓練では反復唾液嚥下テストや水飲みテストのような簡易な評価法でもタイムリーに実施可能であり、全ての施設で検査体制が必要かは検討の余地があるとの意見が出されました。 経腸栄養管理加算の算定率は極めて低く、制度設計の見直しが求められています。令和6年8月から10月の3か月で経腸栄養管理加算を1回以上算定した施設は9.3%にとどまり、届出施設910のうち約9割が算定回数0回でした。届出が困難な理由として「栄養サポートチーム加算を届け出ていないため」が80%以上を占め、研修を受けた医師・看護師等の配置が難しいことが調査で示されました。分科会では、施設基準について検討を深めるべきとの意見がありました。また、認知症がないのに身体的拘束を受けながら中心静脈栄養を続けている患者の栄養管理のあり方は、さらなる議論が必要との指摘もありました。 在宅復帰に向けた取組と評価 療養病棟における在宅復帰の取組は一定の成果を上げていますが、機能の明確化が求められています。在宅への退院を評価する在宅復帰機能強化加算は令和6年8月時点で709施設が届け出ていました。加算では退院後1か月以内に患者が在宅生活を継続していることを、患者居宅への訪問または在宅医療を担当する医療機関等からの情報提供により確認することとされています。 在宅復帰機能強化加算の届出施設では在宅退院の成果が高い傾向がみられました。療養病棟における在宅への退院割合や死亡退院割合は施設ごとにばらつきがありましたが、在宅復帰機能強化加算を届け出ている施設では在宅へ退院する患者の割合が高く、死亡退院の割合は低い傾向でした。ただし、在宅へ退院する患者の割合が比較的高くても加算を届け出ていない施設が存在しました。 在宅復帰機能強化加算の要件については見直しの余地があるとの意見が出されました。加算ありでも死亡退院が50%を超える病棟があることが明らかになり、分科会では医療保険の療養病棟として望ましい姿とは言えず、加算の要件として死亡退院を含めた在宅復帰率を見ることもあり得るとの意見がありました。療養病棟は在宅医療とともに整備され、メリハリある体制となるべきであり、身体的拘束の実施状況も踏まえつつ、経腸栄養に切り替えるための工夫についても検討すべきとの指摘がありました。 障害者施設等入院基本料と特殊疾患病棟入院料の状況 障害者施設等入院基本料における患者要件の充足状況は看護配置により差がみられます。障害者施設等入院基本料の病棟における該当患者7割の基準は、7対1病棟では概ね満たされていましたが、10対1以下の病棟では7割に満たない施設が17.3%ありました。障害者施設等入院基本料・特殊疾患病棟入院料2においては重度の肢体不自由児(者)の該当割合が高く、対象疾患に該当する割合は全体で8割を超えていました。特殊疾患病棟入院料1においては難病患者等の割合が高い傾向でした。 障害者施設等入院基本料の病棟では廃用症候群が主傷病である患者の割合が多いことが明らかになりました。この背景として、レセプトやDPCにおいては元々の患者要件に係る傷病名ではなく、入院契機となった病名が記録されるため、入棟要件のいずれに該当するのかを把握することが難しいという課題があります。 まとめ 療養病棟入院基本料等の現状分析から、医療区分の充足率向上、身体的拘束の最小化、経腸栄養管理体制の整備、在宅復帰機能の強化という4つの課題が明確になりました。慢性期医療提供体制は在宅医療需要の増加に対応するため、限りある資源を活用し、地域の実情に応じた体制構築が求められています。今後の診療報酬改定では、これらの課題に対する施設基準の見直しや評価方法の改善が検討されることが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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  3. 回復期リハビリ病棟の評価見直しへ:実績指数除外基準の課題が明らかに

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    回復期リハビリ病棟の評価見直しへ:実績指数除外基準の課題が明らかに

    令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会では、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系について検討を行いました。この検討では、実績指数の除外基準に該当する患者が全体の86%に達している現状が明らかになりました。回復期リハビリテーション病棟の届出病床数は約9.5万床、届出機関数は1,620施設であり、直近10年で届出病床数が約1.4倍に増加しています。 分科会での議論では、実績指数の除外基準の見直し、重症患者割合と実績指数除外基準の重複問題、リハビリテーション単位数増加の効果の3点が主な論点となりました。実績指数の除外基準では「年齢が80歳以上」の該当割合が50%以上の施設が9割を超えている状況です。重症患者基準と実績指数除外基準の両方に該当する患者は、FIM運動項目では49.6%、FIM認知項目では85.9%でした。リハビリテーション単位数については、運動器リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料で7単位以上の提供ではFIM利得が比較的小さい結果が示されました。退院前訪問指導の実施率向上や高次脳機能障害患者への支援強化も課題として指摘されています。 実績指数の除外基準が抱える構造的問題 実績指数は回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価の指標です。この実績指数では、医療機関の判断で各月の入棟患者数の3割以下の範囲で除外できることとされています。除外が可能な要件には「年齢が80歳以上」「FIM運動項目20点以下」「FIM認知項目24点以下」などがあります。 除外基準の該当状況を見ると、「年齢が80歳以上」の該当割合が50%以上の施設が9割を超えています。いずれかの除外項目が該当する患者の割合が70%を超える施設は全体の86%に達しています。この状況について、分科会ではほぼ全ての患者が除外基準に該当している施設もあり、現行の基準で病棟の機能を正しく評価できているのか疑問であるとの意見が出されました。 「年齢が80歳以上」や「FIM認知項目24点以下」に該当する患者のFIM利得の分布は、患者全体と概ね同様でした。この結果から、これらの患者でもFIMが改善しないわけではないため、実績指数の計算対象から除外する必要性は乏しいのではないかとの意見がありました。一方で、FIM下位項目の得点が2点から3点に上がるのと5点から6点に上がるのでは自宅復帰への意味が異なる可能性があり、FIM利得には現れない効果を見落とさないよう評価を検討すべきとの指摘もありました。 重症患者割合と実績指数除外基準の重複が示す課題 回復期リハビリテーション病棟に入棟する患者の要件として、重症患者割合の要件が定められています。回復期リハビリテーション病棟1・2では重症患者割合が4割以上、3・4では3割以上とされています。令和6年5月から10月の実績では、回復期リハビリテーション病棟1・2における重症患者割合は約40から50%でした。 重症患者基準に該当する患者のうち、リハビリテーション実績指数の除外基準にも該当する患者の割合が高いことが明らかになりました。重症患者基準に該当する患者のうち、「FIM運動項目20点以下」にも該当する患者は49.6%、「FIM認知項目24点以下」にも該当する患者は85.9%でした。入棟時に「FIM運動項目20点以下」の患者は、脳血管疾患等リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料ではFIM利得が比較的小さい結果でした。 この重複について、分科会では重症患者と実績指数の除外基準両方に該当する患者が増えていることは理解できるものの、重複しないようにすると重症な患者も選別せずに入院を受け入れてほしいという当初の理念と食い違いが生じるため、慎重に検討すべきとの意見が出されました。 リハビリテーション単位数増加の効果検証 令和6年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料または特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する患者で、運動器リハビリテーション料を算定するものについて、1日6単位までの算定とする見直しを行いました。この見直しは、運動器疾患に対する1日6単位を超えた実施単位数の増加に伴うADLの明らかな改善が見られなかったことを踏まえたものです。 運動器リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料において、7単位以上の提供ではFIM利得が比較的小さい結果でした。運動器リハビリテーション料については、改定前後で1日6単位を超えた算定は6割程度に減少しています。改定前に1日6単位を超えて実施した患者は、改定後に1日5から6単位実施した患者と比べ、FIM利得の上昇は少ない結果でした。 回復期リハビリテーション病棟における疾患別リハビリテーションの実施割合は、脳血管疾患等が54.3%、運動器が38.2%、廃用症候群が7.3%でした。廃用症候群リハビリテーションが実施された患者における医療資源を最も投入した傷病名としては、廃用症候群が55.0%で最も多い結果でした。分科会では、令和6年度改定後も運動器リハビリテーション料について6単位を超えて実施している患者が相当数いるが、単位数が増えてもFIM利得がほとんど変わっていないため、6単位を超えるリハビリを実施できる対象について分析を深めてはどうかとの意見が出されました。 質の高いリハビリテーション医療の推進に向けた取り組み 発症後の機能回復を図る上では、ベッド上等で行われる徒手でのアプローチのみでは不十分であり、他のアプローチと組み合わせた介入が重要です。入棟時のFIM運動項目が20点以下かつ要介護4、5の患者は、FIM21点以上や要介護4、5以外と比較し、患者1日当たりの平均リハビリテーション実施単位数は変わらないものの、運動項目のFIM利得が低い結果でした。 退院前訪問指導は回復期リハビリテーション病棟において包括されているものの、全入院患者の3から5%ほどに実施されており、その割合は他の病棟よりも高い状況です。各入院料を算定する施設において退院前訪問指導を実施している病院の割合は14から24%に留まっていました。退院前訪問指導はほとんどの施設で60分以上の実施時間を要しており、120分以上150分未満の割合が最も多い結果でした。具体的な実施内容として、家屋調査の他に外部との調整に係る項目も80%以上の病棟で行われていました。 高次脳機能障害者への支援に係る11の関係機関へのヒアリング調査では、入院医療機関における高次脳機能障害の診断や説明が不十分な場合があることや、支援に係る情報提供の不足、高齢者が多い病棟における障害福祉関連機関とのネットワークの希薄さ、退院時に相談窓口の情報を伝えることの重要性等について指摘がありました。令和6年診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2について地域支援事業に参加していることが望ましいこととしており、令和6年11月1日時点で地域支援事業に参加している回復期リハビリテーション病棟は約70%でした。 生活機能の回復に資する診療報酬には排尿自立支援加算や摂食嚥下機能回復体制加算がありますが、回復期リハビリテーション病棟入院料の届出施設においては、これらの加算を届け出ている施設はそれぞれ24.2%、8.7%に留まっています。分科会では、退院前訪問指導は60分以上かけて行っている施設が9割を超えており、実施内容を踏まえた適切な評価方法について検討を進めるべきとの意見や、高次脳機能障害について特に就労支援に関してはかかりつけ医等との密な連携に対してより評価をすべきではないかとの意見が出されました。 まとめ 回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系には、実績指数の除外基準に該当する患者が全体の86%に達している課題、重症患者基準と実績指数除外基準が重複している課題、リハビリテーション単位数増加の効果が限定的である課題の3つの構造的問題があります。分科会では、これらの課題について除外基準の見直し、重症患者受け入れの理念との整合性の確保、リハビリテーション単位数上限の在り方の検討が必要との意見が出されました。退院前訪問指導の実施内容を踏まえた適切な評価方法の検討や高次脳機能障害患者への支援強化も今後の重要な論点となります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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  4. 地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の現状と課題―高齢者救急の受け皿となる包括的入院医療の検証結果

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    地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の現状と課題―高齢者救急の受け皿となる包括的入院医療の検証結果

    令和7年9月25日に開催された第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、包括的な機能を担う入院医療の検証結果がとりまとめられました。85歳以上の高齢者入院患者数が増加する中、新たな地域医療構想で位置づけられた「高齢者救急・地域急性期機能」と「在宅医療等連携機能」を担う地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟について、その実態と課題が明らかになりました。地域包括医療病棟は急性期病棟との併設が多く、高齢者救急の受け皿として機能しています。地域包括ケア病棟は在宅復帰支援の役割を果たしていますが、白内障や大腸ポリープなど短期滞在手術が上位疾患となっている点が課題として指摘されました。両病棟ともに救急受入や後方支援機能には施設間で大きなばらつきがあり、高額薬剤使用患者の受入困難という課題を抱えています。 この検証では、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の届出状況、入院患者の特徴、施設基準の充足状況、救急受入と後方支援の実態、高額薬剤使用の課題という4つの観点から分析が行われました。地域包括医療病棟では、緊急入院や手術の有無により医療資源投入量に差があり、85歳以上で在院日数が5~6日延長する傾向が確認されました。地域包括ケア病棟では、直接入院割合や救急受入件数に施設間で大きな差があり、救急搬送からの入院が15%を超える施設も存在します。両病棟ともに救急告示病院が多く、救急受入を実施していますが、後方支援機能を評価する加算の算定は二極化しています。高額薬剤使用患者の受入困難は、トルバプタンやパーキンソン病治療薬、骨粗鬆症治療薬、生物学的製剤、回復期リハビリテーション病棟では4分の1超の施設で抗がん剤が課題となっています。 地域包括医療病棟入院料の届出状況と医療機関の特徴 地域包括医療病棟を届け出た医療機関は、約3分の2が同一医療機関内に急性期一般入院料1~6のいずれかを有しており、地域包括ケア病棟を有する医療機関が半数以上でした。約3分の2が同一医療機関内にDPC対象病床を有しています。届出前から減少した入院料は、急性期一般入院料1が4割程度と最多であり、急性期一般入院料2~6、地域包括ケア病棟が続きました。急性期一般入院料2~6から移行したと思われる医療機関の半数程度では、地域包括医療病棟の届出後に急性期一般入院料を算定する病棟がなくなっています。 地域包括医療病棟を有する医療機関が併設している病棟の組み合わせは様々です。二次医療圏の人口区分別にみると、大都市型の二次医療圏では急性期機能を有する病院が多く、過疎地域型になるにつれ、回復期等~慢性期病棟のみを有する病院の割合が多くなっていました。地域包括医療病棟入院料を届け出ている施設のうち、同一・隣接敷地内に約半数が訪問看護ステーションを有しており、居宅介護支援事業所を有する施設も多くみられます。 地域包括医療病棟の届出を行った理由は、「高齢者の救急搬送の増加に伴いニーズに沿った対応が可能」「経営が安定すると考えた」「急性期一般病棟入院基本料等の重症度、医療・看護必要度の基準を満たすことが困難」が多く挙げられています。届出を行った結果、現時点で感じていることとしては、「他の入院料の病棟と組み合わせることで患者の状態に即した医療を提供できている」「経営が安定してきている」「実際の患者の状態により即した入院料等であると感じている」が上位でした。 急性期病棟を有する医療機関のうち、地域包括医療病棟を届け出ていない医療機関において、今後の届出を検討したものの実際には届け出ていない医療機関は約15%であり、届出を検討中の医療機関は3.7%です。地域包括ケア病棟を届け出ている施設では、届出を検討した医療機関は30.5%あり、実際に検討中の医療機関は7.5%で、急性期の医療機関と比較して届出を検討している施設が多い状況です。急性期病棟を有する医療機関の約8割、地域包括ケア病棟・病室を届け出ている施設の約6割は届出を検討していないと回答しています。 地域包括医療病棟に入院する患者像と施設基準の課題 地域包括医療病棟に入院する患者は、急性期一般入院料2~6の病棟と比べ年齢や要介護度が高く、認知症や低栄養リスクを有する患者の割合が多い特徴があります。入院初日のB項目3点以上、重症度、医療・看護必要度等の要件は概ね全ての病棟で満たされていました。入院患者数の多い疾患は、誤嚥性肺炎、肺炎、尿路感染症、心不全、脱水、その他の感染症などの内科系疾患と、股関節骨折(手術あり)、胸腰椎の圧迫骨折(手術なし)などの整形外科疾患です。 医療機関毎に手術に係るKコードの実施割合や、全体として患者数が上位である内科系疾患の入棟割合には大きなばらつきがあり、診療のパターンは一定ではありませんでした。急性期一般入院料2~6を算定する病棟と地域包括医療病棟の双方を有している場合に、各病棟に入院する疾患や要介護度、年齢層の分布には目立った特徴はみられていません。分科会では、多疾患を有する救急患者は、搬送時点で急性期病棟と地域包括医療病棟のいずれが適しているか判断が難しいとの意見や、患者像は大きな違いはなく、高齢者において頻度の高い疾患をそうした病棟でみることも考えられるのではないかとの意見がありました。 地域包括医療病棟に入院する患者の入棟元は自宅が最も多く、退棟先も自宅が最も多い結果です。自宅・居住系施設等への退院は全体の約85%でした。年齢は、在院日数の延長と関連する独立した因子であるとの文献的報告があり、急性期一般入院料2~6、地域包括医療病棟のいずれにおいても、年齢階級が上がるほど在院日数が長くなる傾向です。85歳以上では、在院日数の中央値が85歳未満と比べて5~6日程度延長していました。各施設における85歳以上の患者の割合にはばらつきがあります。分科会では、高齢であるほど在院日数が長いのは当然の結果であると思われ、どのような患者を受け入れているかを、急性期を含む入院の評価に組み込んではどうかとの意見がありました。 急性期病棟を有する医療機関は、地域包括医療病棟の届出にあたって満たすことが困難な施設基準として、「休日を含めすべての日にリハビリテーションを提供できる体制の整備」を回答した医療機関が半数を超えていました。続いて、「自院の一般病棟からの転棟が5%未満」「常勤のPT/OT/STの配置」「ADLが低下した患者が5%未満」が多くあげられています。一方、地域包括ケア病棟を有する医療機関における届出にあたって満たすことが困難な施設基準として、「重症度、医療・看護必要度の基準①を満たすこと」を回答した医療機関が半数程度でした。続いて、「在宅復帰率8割」「休日を含むリハビリの体制整備」「初日にB項目3点以上」「ADL低下が5%未満」を回答した施設が多く、急性期病棟を有する医療機関とは違った傾向がみられています。 同一医療機関内に地域包括医療病棟と急性期一般入院料2~6の病棟の双方を有する施設に直接入院した患者について、いずれの病棟に入院したかに分類して、入退院時のADLの変化を比較したところ、病棟の種類による違いは大きくありませんでした。一方、ADLの変化のパターンは疾病ごとに異なり、誤嚥性肺炎や心不全では、整形外科系症例と比較し、入院期間中のADLの改善幅は少ない結果です。急性期一般入院料2~6の病棟と地域包括医療病棟では、地域包括医療病棟においてADLが改善する患者が多い傾向でした。しかし、ADLが低下した患者の割合はいずれも5%を超えており、一時的に施設基準を満たせない医療機関があることが想定されました。 リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の効果と課題 地域包括医療病棟において、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算を届け出て算定している施設とそれ以外の施設で、入院中のADL変化の分布に大きな差はみられませんでした。算定している医療機関におけるADLが低下した患者の割合は4.7%であり、算定していない医療機関における5.5%より少ないものの、基準である3%未満には達していません。連携加算の算定回数が1回以上の施設は地域包括医療病棟全体の約11%でした。 70%にあたる19施設が加算を届け出ていない理由を回答し、「休

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  5. 【令和7年度】DPC制度の5つの重要見直しポイント|入院医療の評価方法が変わる

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    【令和7年度】DPC制度の5つの重要見直しポイント|入院医療の評価方法が変わる

    令和6年度診療報酬改定後、地域包括医療病棟等への病棟再編によりDPC対象病院数は減少しています。DPC対象病院の構造は変化しており、全許可病床に占めるDPC算定病床の割合が50%未満の病院が増加傾向にあります。このような状況の中、DPC制度の適正化と急性期入院医療の評価見直しが求められています。 入院・外来医療等の調査・評価分科会は、DPC制度に関する5つの重要課題について検討結果をまとめました。複雑性係数については入院初期を重視した評価方法への見直しが提案されました。再入院・再転棟ルールと持参薬ルールについては、制度の趣旨を徹底するための厳格化が検討されました。点数設定方式については、平均在院日数から中央値への移行が提案されました。特別調査からは、DPC制度からの退出を検討する医療機関の実態や、制度参加のメリットが明らかになりました。 機能評価係数Ⅱの評価方法見直し|入院初期を重視した複雑性係数へ 複雑性係数の評価方法については、現行制度における課題が明らかになりました。診療対象とする診断群分類の種類が少ない病院で、誤嚥性肺炎等の平均在院日数が長く、1日当たり包括範囲出来高点数の小さい疾患に偏った症例構成の場合、急性期入院医療における評価として不適当な結果となっていました。 この課題に対し、DPC/PDPS等作業グループは重要な指摘を行いました。DPC制度における「急性期」は「患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまで」と定義されています。機能評価係数は「急性期」を反映する係数として設計されています。複雑性係数についても、これらの価値を反映する指標とすべきです。 作業グループは、入院初期を特に重視する趣旨で、入院日数の25%tile値までの包括範囲出来高点数により評価すべきではないかと指摘しました。一入院当たりの包括範囲出来高点数が高い診断群分類の中には、平均的に入院初期の包括範囲出来高点数が高い診断群分類もあれば、1日当たりの包括範囲出来高点数が全診断群分類の平均値及び中央値よりも低い診断群分類もみられました。この実態を踏まえ、より適切な評価方法への見直しが求められています。 地域医療係数については、大学病院本院群における医師派遣の評価が検討されました。「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」において、特定機能病院が満たすべき「基礎的基準」として「地域に一定の医師派遣を行っていること」を設定することが議論されています。作業グループは、地域医療係数における派遣医師数の定義を、特定機能病院の基礎的基準における医師派遣の定義と整合的に検討すべきではないかと意見を述べました。 再入院・再転棟ルールの見直し|8日目の再転棟が突出する実態への対応 DPC制度は、入院初期を重点評価するため、入院期間Ⅰの1日当たりの点数を相対的に高く設定しています。この設定に対し、患者を短期間で退院・再入院させ、単価の高い入院期間Ⅰを繰り返し算定する事例への対応が課題となっていました。 現行制度では、一定の条件を満たす再入院及び再転棟については一連の入院とみなすこととし、累次の改定を行ってきました。DPC病棟からの転棟後、再転棟までの日数の分布を分析したところ、DPC制度において一連の入院と見なされなくなる8日目の再転棟の件数が突出して多いことが明らかになりました。 作業グループは、この実態に対する見解を示しました。DPC制度を構成する医療機関の内訳が変化しており、DPC算定病床以外の病床を有する医療機関の割合が増加しています。この構造変化により、「再転棟」が起こりやすい状況になっているのではないかという指摘がありました。 作業グループは、同一傷病による再転棟については、転棟後7日間を超える場合であっても原則として一連の入院として扱うこととすべきではないかとの意見を述べました。この提案は、制度の趣旨に沿った適正な運用を確保するための重要な見直しとなります。 持参薬ルールの周知徹底|算定ルール違反への対応強化 DPC制度では、患者の負担軽減やDPC制度下での公平な支払いの観点等を踏まえ、入院中の患者に対して使用する薬剤は入院する病院において入院中に処方することが原則です。「入院の契機となった傷病」に対する持参薬の使用は、特別な理由がある場合を除き認められていません。 実態調査の結果、制度の趣旨が十分に徹底されていない状況が明らかになりました。医療機関ごとの全症例数に占める持参薬を使用した症例数の割合を分析したところ、持参薬使用割合が5%未満の医療機関が最も多かったものの、55%以上60%未満の医療機関も一定数みられました。 入院の契機となった傷病に対する持参薬使用割合の分析では、算定ルール上認められていない入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用割合が5%以上となる医療機関が一定数みられました。自院の外来で処方した医薬品を入院の契機となった傷病に対して使用した割合が5%以上となる医療機関も一定数存在していました。 作業グループは、現行ルールの更なる周知徹底を図るべきではないかと指摘しました。具体的には、DPC算定を行う場合は入院の契機となった傷病に対して使用する医薬品は院内で処方されるのが原則であること、DPC算定を行う場合の入院料の中には一般的に入院の契機となった傷病に対して使用する医薬品の薬剤料が含まれていることについて、患者への説明を求めるべきではないかとの意見がありました。 「入院の契機となった傷病」以外の傷病に対する持参薬の使用の可否については、令和10年度診療報酬改定に向けて引き続き議論する必要があります。検討に当たっては、まず持参薬を使用する理由や、使用される頻度が高い持参薬及び診断群分類等について調査を行う必要があるのではないかとの意見がありました。 点数設定方式の変更|平均在院日数から中央値への移行を検討 DPC制度は、入院初期を重点評価するため、在院日数に応じた3段階の定額報酬を設定しています。入院初期に要する医療資源投入量等に応じて、5種類の点数設定方式を設けています。点数設定方式D以外においては、第Ⅱ日は平均在院日数により規定されています。 診断群分類毎の平均在院日数について分析したところ、ばらつきが小さく標準化が進んでいる診断群分類がみられました。一方で、ばらつきが大きく十分に標準化が進んでいない診断群分類もみられました。特定の在院日数のみ患者数が顕著に多い診断群分類が存在していました。多くの診断群分類において、平均在院日数は在院日数の中央値を上回っていました。 作業グループは、多くの診断群分類で在院日数の分布は正の歪度を有していることから、在院日数の中心傾向の指標として平均在院日数は適切でないのではないかと指摘しました。特定の在院日数の患者数が顕著に多い診断群分類について、制度上、特定の日数までの在院を促すインセンティブが内在しているのではないかとの意見がありました。 この指摘に対し、1日当たり入院数の最大値に対する日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低い医療機関が一定数存在していることを踏まえた意見もありました。病床稼働率を過度に重視した病院経営を行うと、病床の活用が硬直的になり、柔軟な対応をできなくなります。必ずしも高い病床稼働率を維持しなくてもよい設計とすべきではないかとの意見です。 作業グループは、点数設定方式における入院期間Ⅱについて、在院日数の標準化が進んでいる診断群分類を中心として、原則として平均在院日数から在院日数の中央値に移行すべきではないかとの意見を述べました。一方で、入院期間Ⅱを在院日数の中央値に移行した場合、一部の診断群分類では入院期間Ⅱが著しく変化しうることから、激変緩和措置を設けるべきではないかとの意見もありました。 特別調査が明らかにしたDPC制度の実態|退出検討と参加意向 特別調査として、在院日数の短縮に向けた取り組みや課題等に関する調査、DPC制度の安定的な運用に関する調査、急性期医療の標準化の推進に関する調査を実施しました。DPC制度の安定的な運用に関する調査については、作業グループにおいてヒアリングを行いました。 在院日数の

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  6. 高度急性期医療の転換点:特定集中治療室の医師配置要件緩和と新たな支援体制

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    高度急性期医療の転換点:特定集中治療室の医師配置要件緩和と新たな支援体制

    令和6年度診療報酬改定により、特定集中治療室の医師配置要件に大きな変更が加えられました。この改定は、医師不足と働き方改革という二つの課題に直面する高度急性期医療の転換点となっています。入院・外来医療等の調査・評価分科会の分析結果から、集中治療室運営の現状と今後の方向性が明らかになりました。 本稿では、特定集中治療室等を有する病院の実態調査結果を踏まえ、医師配置要件の緩和による影響を分析します。年間救急搬送件数と医療資源投入量の相関関係から、集中治療室の適正配置基準を検討します。さらに、新設された遠隔支援加算の活用状況と、特定機能病院における重症患者対応体制強化加算の課題について考察します。これらの分析を通じて、高度急性期医療の質を維持しながら、持続可能な運営体制を構築するための政策的示唆を提示します。 特定集中治療室の運営実態と患者受入状況の詳細分析 特定集中治療室管理料等の届出医療機関数は長期的に増加傾向にあり、高度急性期医療への需要の高まりを反映しています。調査結果によると、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料を算定する病院の多くは二次・三次救急医療施設であり、約6割が年間救急搬送件数4,000件以上の高度な救急医療を提供していました。しかし、一部には年間救急搬送件数が1,000件未満の病院や、救急部門を有していない病院も存在することが明らかになりました。 実際の患者受入状況を見ると、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料を算定した患者のうち、救急搬送され入院した患者は約38%、全身麻酔を受けた患者は約58%でした。注目すべきは、いずれも受けていない患者が約14%存在したことです。この結果は、集中治療室が必ずしも救急や術後管理だけでなく、院内急変患者への対応も担っていることを示しています。 入室経路の分析では、救命救急入院料と脳卒中ケアユニット入院医療管理料では救急外来からの入室が多い一方、特定集中治療室管理料とハイケアユニット入院医療管理料では救急外来に加えて手術室からの入室が多いという特徴が確認されました。いずれの区分においても、急変による入室が一定割合存在しており、院内の重症患者管理における集中治療室の重要性が明らかになりました。 医療資源投入量の分析では、年間救急搬送件数が多い病院ほど入室患者の1日当たり医療資源投入量が高い傾向が確認されました。特に、年間救急搬送件数が1,000件以上2,000件未満の病院では、年間全身麻酔件数が多いほど医療資源投入量の高い患者数が多い傾向があった一方で、年間救急搬送件数が1,000件未満の病院では逆の傾向が見られました。この結果は、病院の規模と機能により、集中治療室の役割が異なることを示唆しています。 脳卒中ケアユニットの運営実態と専門治療への対応状況 脳卒中ケアユニット入院医療管理料を算定する病院の調査では、重要な課題が浮き彫りになりました。多くの病院が超急性期脳卒中加算または経皮的脳血栓回収術を一定回数実施していた一方で、これらの治療を全く実施していない病院も存在していました。分科会では、rt-PAの投与や血栓回収術の実績が一定程度ある病院が脳卒中ケアユニットを設置すべきという意見が出されました。 脳卒中ケアユニットの受入体制を詳細に見ると、「頭蓋内圧持続測定を必要とする患者」を原則受け入れ可能な治療室は約5割にとどまりました。一方、「脳梗塞に対するrt-PA療法・血栓回収療法を受けた患者」を原則受け入れ可能な治療室は約8割となっており、施設間で対応能力に差があることが明らかになりました。この状況は、脳卒中ケアユニットの質の標準化と、適切な患者配分の必要性を示しています。 医師配置要件の緩和がもたらした構造的変化 令和6年度診療報酬改定において、専任医師の常時配置要件を緩和した「特定集中治療室管理料5、6」が新設されました。この新区分では、専任医師に宿日直を行う医師を含めることが可能となり、医師の働き方改革に対応した柔軟な運営が可能となりました。改定後の届出状況を見ると、特定集中治療室管理料5、6の届出医療機関・病床数が大幅に増加し、その多くが従来の特定集中治療室管理料1~4から変更したものでした。 変更理由として最も多かったのは「専任医師が当該治療室において宿日直勤務を行っており、交代勤務体制が組めないため」であり、医師確保の困難さが浮き彫りとなりました。この変更により、近年増加傾向にあったハイケアユニット入院医療管理料の病床数は減少に転じており、診療報酬体系の変更が医療提供体制に直接的な影響を与えたことが確認されました。 注目すべき点は、特定集中治療室管理料5、6とそれ以外の区分において、処置・モニタリングや患者状態に関する受入方針に大きな差が認められなかったことです。集中治療の経験を5年以上有する医師は、当該医師の配置が要件とされていない区分においても一定の配置が行われており、医療の質の維持に向けた各施設の努力が見られました。ただし、特定集中治療室管理料5、6では、夜間・休日に「その他の診療科の医師」を配置している割合が多く、専門性の観点からは課題が残ることも明らかになりました。 分科会では、「治療室内に常時勤務」との要件の厳格性について議論がありました。治療室外に医師がいる場合でも適切な対応が可能な体制があれば、必ずしも室内常駐にこだわる必要はないのではないかとの意見も出されました。一方で、医師の働き方改革の趣旨を踏まえると、宿日直ではない交代勤務体制の維持は重要であり、バランスの取れた制度設計が求められています。 遠隔支援加算の導入と地域医療支援の実態 特定集中治療室遠隔支援加算は、医師少数区域や医療資源の少ない地域への支援を促進する目的で新設されました。この加算により、特定集中治療室管理料1、2を算定する施設から、遠隔モニタリングによる支援を受けることが評価されるようになりました。被支援側への支援を行う医療機関については、医師少数区域又は医療資源の少ない地域に所在する医療機関が含まれていることが要件となっています。 しかし、現状では加算を算定している医療機関は全国で5施設にとどまっています。医師少数区域または医療資源の少ない地域に所在する特定集中治療室管理料5、6算定医療機関は全国に25箇所存在するにもかかわらず、実際に遠隔支援を受けている施設は医師少数区域等の1施設とそれ以外の4施設のみという状況です。この低い活用率は、技術的な課題や運用面での困難さが存在する可能性を示唆しています。 分科会では、地域において必要な役割を果たしている集中治療室であることを前提として、集中治療を専門とする医師等の不足が見込まれる地域に対しては、遠隔支援を活用することが有効であるとの意見が出されました。また、医師少数区域以外にも専門医が不足している地域が存在することが指摘され、今後の要件緩和や支援体制の充実により、より広範な地域での活用が期待されます。 重症患者対応体制強化加算における特定機能病院の制度的課題 重症患者対応体制強化加算は、重症患者に対する24時間体制の医療提供や、専門性の高い看護師・臨床工学技士の手厚い配置、重症患者への対応力向上を目的とした院内・院外研修等を評価する制度です。しかし、特定機能病院は急性期充実体制加算を届け出ることができないため、結果として重症患者対応体制強化加算も算定できない状況にあります。 調査によると、特定機能病院が重症患者対応体制強化加算を届け出できない理由の82.9%が「急性期充実体制加算を届け出ていない」ことでした。その他の理由はいずれも20%未満であり、制度設計上の問題が主要な障壁となっていることが明確になりました。特定機能病院は、その性質上、高度な医療を提供し重症患者への対応能力が高いにもかかわらず、制度的な制約により適切な評価を受けられない矛盾が生じています。 分科会では、この問題について強い見直しの必要性が指摘されました。特定機能病院が算定対象外となる理由や意義について再検討すべきとの意見が出され、特定機能病院の役割と機能を考慮した独立した

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  7. 急性期入院医療の転換点:令和8年度診療報酬改定に向けた3つの論点

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    急性期入院医療の転換点:令和8年度診療報酬改定に向けた3つの論点

    入院・外来医療等の調査・評価分科会は、急性期入院医療の現状分析を通じて、令和8年度診療報酬改定に向けた重要な論点を明らかにしました。看護配置7対1の病床数が令和6年に大きく減少し、急性期医療の機能分化が加速している現状において、地域医療の持続可能性を確保するための制度設計が求められています。本報告では、一般的な急性期機能、拠点的な急性期機能、そして専門病院・離島等の特殊な医療提供体制という3つの視点から、急性期入院医療の課題と改革の方向性を整理します。 調査結果は、急性期入院医療における3つの重要な転換点を示しています。第一に、急性期一般入院料1算定病院の約半数がケアミックス病院となり、医療機能の複合化が進んでいます。第二に、人口20万人未満の二次医療圏の約8割で急性期充実体制加算等の届出病院が存在せず、地域格差が顕在化しています。第三に、救急搬送受入件数と手術実施件数にばらつきが見られ、同じ入院料区分でも医療資源投入量に大きな差が生じています。 一般的な急性期機能の実態と評価の必要性 急性期一般入院料1を算定している病院の分析により、同規模の医療機関でも救急搬送受入件数や手術実施件数に大きなばらつきが存在することが判明しました。人口20万人未満の二次医療圏では、救急搬送件数は比較的少ないものの、地域の救急搬送の多くをカバーする最大救急搬送受入医療機関の地域シェア率が高い傾向にあります。この地域シェア率という指標は、単純な件数だけでは評価できない地域医療への貢献度を示す重要な指標となっています。 夜間・深夜の救急搬送受入体制にも医療機関間で大きな差が見られました。急性期一般入院料1算定病院では夜間・深夜の受入割合が高い傾向にありますが、深夜の受入割合は10~30%の病院が多く、医療機関によってばらつきがあります。救急搬送受入件数が多い病院ほど医業費用が増加し、医業利益率が低下する傾向も明らかになり、救急医療提供に対する適切な評価の必要性が示されています。 DPC制度への参加状況も重要な論点となっています。DPC制度により算定する病床は急性期一般入院基本料等の約85%を占める一方で、約1,800の医療機関は出来高算定を継続しています。分科会では、急性期入院医療の標準化と地域医療機能の適正評価の観点から、急性期一般病棟のDPC制度参画を推進すべきとの意見が出されています。 拠点的な急性期機能の再定義と統合の方向性 総合入院体制加算と急性期充実体制加算を算定している病院は、主に人口20万人以上の二次医療圏に集中しており、地域による偏在が顕著です。救急搬送件数4,000件以上の病院では多くがいずれかの加算を算定していますが、加算を算定していない病院でも地域の救急搬送の半数以上をカバーしている事例が確認されています。この事実は、現行の加算要件が必ずしも地域医療への貢献度を反映していない可能性を示唆しています。 両加算の比較分析により、施設基準に共通部分が多く、実績要件の充足状況も類似していることが明らかになりました。総合入院体制加算1と急性期充実体制加算1では、救命救急センター等の体制整備や全身麻酔手術件数等で共通する基準がある一方、総合的な診療体制は総合入院体制加算1でのみ、手術実績等は急性期充実体制加算1でのみ求められています。14日間で算定できる点数総額は、総合入院体制加算1が急性期充実体制加算1より低く設定されており、評価の不整合が生じています。 人口の少ない地域における拠点病院の課題も浮き彫りになりました。総合入院体制加算3を届け出ている病院の約15%は人口の少ない地域に属しており、地理的事情から症例や医療従事者を集約しても実績要件を満たすことが困難な状況にあります。分科会では、地域性に配慮した評価体系の構築や、両加算の統合による制度の簡素化と機能の明確化が提案されています。 専門病院・離島等の特殊な医療提供体制への対応 200床未満の専門病院では、救急搬送件数は少ないものの全身麻酔手術件数が多い傾向が確認されました。特に子ども病院では、同じ救急搬送件数を受けている一般病院と比較して全身麻酔手術件数が多い一方、地域シェア率が4分の1を超える医療機関は存在しませんでした。これらの専門病院は、地域の救急医療を面的にカバーするのではなく、特定の専門領域で高度な医療を提供する役割を担っています。 有人離島からなる二次医療圏の病院では、救急搬送受入件数が少なく、年間3,000件を超える病院が存在しない実態が明らかになりました。離島医療においては、現場でできることに限界があり、患者搬送機能の向上やリモート診療の活用など、本土とは異なる医療提供体制の構築が必要です。分科会では、離島の最前線で頑張る医療機関と、離島からの患者流入を受け入れる本土の医療機関の双方を適切に評価する必要性が指摘されています。 へき地医療拠点病院の約半数は20万人未満の二次医療圏に所在し、総合入院体制加算や急性期充実体制加算を届け出ていないものの、主要3事業を実施しており、加算算定病院と実施状況に大きな違いは見られませんでした。この事実は、現行の加算体系が地域医療の実態を十分に反映していない可能性を示しており、地域特性を考慮した新たな評価指標の必要性を示唆しています。 急性期入院医療改革の展望と課題 入院・外来医療等の調査・評価分科会の検討結果は、急性期入院医療が大きな転換期を迎えていることを明確に示しています。看護配置7対1病床の減少と急性期機能の分化が進む中で、地域医療の持続可能性を確保するためには、救急搬送受入の実態に応じた評価、地域シェア率を考慮した新たな指標の導入、そして総合入院体制加算と急性期充実体制加算の統合による制度の簡素化が必要です。令和8年度診療報酬改定では、これらの課題に対する具体的な制度設計が求められており、地域特性に配慮しつつ、医療機能の明確化と適正配置を促進する改革が期待されています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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  8. 医療現場の事務負担軽減へ―累次の診療報酬改定による業務簡素化の成果と今後の展望

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    医療現場の事務負担軽減へ―累次の診療報酬改定による業務簡素化の成果と今後の展望

    医療現場では計画書作成やDPCデータ入力などの事務負担が深刻な問題となっており、令和7年度の調査では施設の44.2%が計画書作成の簡素化を、38.2%がDPCデータ作成の簡素化を求めています。これに対し、令和2年度から6年度にかけての累次の診療報酬改定により、ICT活用による会議の効率化、記録・届出事務の簡素化、レセプト業務の改善など、段階的に業務簡素化が進められてきました。さらに令和7年度に向けて、規制改革推進会議の答申に基づき、署名・押印要件の廃止など、より抜本的な改革が検討されています。 これまでの改定により実現した主な成果として、会議のオンライン化、研修の統合実施、添付資料の削減という3つの大きな改善があります。特に病棟においては61.8%が計画書作成の簡素化を、45.1%が患者・家族の署名・記名押印の簡素化を必要としており、これらの声を受けて更なる改革が進行中です。今後は施設基準届出の完全電子化、署名・押印の原則廃止、DPCデータ入力項目の更なる精査により、医療従事者が本来の診療業務により多くの時間を割けるようになることが期待されています。 令和2年度改定で実現した会議・研修の効率化 令和2年度診療報酬改定により、安全管理責任者等で構成される会議について、責任者が必ずしも対面でなくてもよいと判断した場合、ICTを活用した対面によらない方法での開催が可能となりました。この変更により、多忙な医師や管理者の時間調整が容易になり、会議の開催頻度や参加率の向上が実現しています。医療機関では、Web会議システムの導入により、場所や時間の制約から解放され、より柔軟な会議運営が行われています。 院内研修においても効率化が図られました。抗菌薬適正使用支援加算に係る院内研修を院内感染対策研修と併せて実施できることが明確化され、重複する内容の研修を統合することが可能となりました。急性期看護補助体制加算等の看護補助者に係る院内研修の要件も見直され、より実践的で効率的な研修体系が構築されています。 院外研修の指導者要件についても柔軟性が増しています。一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の院内研修の指導者に係る要件が見直され、医療機関の実情に応じた研修体制の構築が可能となりました。これらの改革により、研修に係る時間的・人的負担が軽減され、医療従事者の働き方改革に貢献しています。 令和4年度改定における記録・届出事務の簡素化 令和4年度改定では、診療録への記載要件が大幅に見直されました。栄養サポートチーム加算注2等については、栄養治療実施計画の写しを診療録に添付すれば良いこととなり、従来求められていた詳細な記載を省略できるようになりました。在宅療養指導料等についても、医師が他の職種への指示内容を診療録に記載する必要がなくなり、チーム医療の効率化が図られています。 施設基準の届出においては、研修修了証の写し等の添付資料が削減されました。訪問看護ステーションの基準に係る届出については、適合性に影響がない場合の届出が不要となり、事務処理が効率化されています。小児科外来診療料等の施設基準については、令和4年度改定により届出自体が省略可能となりました。 レセプト摘要欄の記載方法も改善されました。薬剤等について選択式記載が導入され、従来の自由記載から簡素化が進みました。これにより記載ミスの削減と事務処理時間の短縮が実現し、医療事務職員の業務負担が軽減されています。 令和6年度改定で更に進んだ効率化 令和6年度改定では、施設基準の届出について更なる簡素化が実施されました。保守管理計画書や研修修了証の写し等の添付が不要となり、届出事務の負担が大幅に軽減されました。複数の届出様式の提出を求めていた施設基準についても、様式の統廃合が行われ、1つの施設基準につき複数の届出様式が必要だったものが統一されました。 レセプト業務については、画像診断の撮影部位や算定日等について選択式記載が拡大されました。必要以上の記載項目と考えられるものについて見直しが行われ、レセプトに記載されている情報から確認できるものは記載不要となりました。検査等の診療行為については、あらかじめ検査値の記載を求めることで、審査支払機関からのレセプト返戻を減少させる仕組みも導入されています。 施設基準の届出について、現在主に紙で届け出ることとされているものの電子的な届出を可能にする取組も開始されました。これにより、医療機関・薬局の届出業務の効率化が大きく前進することが期待されています。 令和7年度に向けた署名・押印要件の見直し検討 規制改革推進会議の令和6年5月の答申では、医療機関等又は医師等の負担軽減の観点から、診療報酬上の書面における署名・押印要件について「令和6年検討開始、令和7年度結論・措置」というスケジュールで見直しが求められています。入院診療計画書、リハビリテーション実施計画書、診療情報提供書など、多くの書類で現在求められている署名・押印について、不要とすることの可否が検討されています。 電磁的方法による作成や情報提供を行う場合の電子署名についても、不要とすることの可否が検討対象となっています。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」遵守を前提に、電磁的方法による作成や情報提供が可能であることの明確化も進められる予定です。患者の同意についても、電磁的記録によるものでも良いことが更に明確化され、ペーパーレス化の促進が期待されています。 これらの検討により、令和7年度には署名・押印要件の大幅な見直しが実現する見込みです。医療機関においては、電子カルテシステムと連動した計画書作成システムの導入準備を進めることで、手書きによる転記作業が不要となり、書類作成に要する時間を大幅に削減できるようになるでしょう。 リハビリテーション関連書類の課題と改善の方向性 現状、リハビリテーション関連の計画書は複数の様式が存在し、重複する項目が多い状況です。リハビリテーション実施計画書(別紙様式21、21の6、23)、リハビリテーション総合実施計画書(別紙19、20)など、それぞれに署名欄が設けられており、説明者や患者・家族等の署名が必要となっています。これらの様式の統合・簡素化が今後の検討課題となっています。 現行制度でも、やむを得ない理由がある場合には、説明内容及び継続について同意を得た旨を診療録に記載することで、署名を省略できる運用が認められています。しかし、この運用の更なる拡大と明確化が求められており、令和7年度に向けた検討の中で整理される予定です。 医療機関からは、これらの計画書作成が大きな負担となっているとの声が上がっており、様式の統合と項目の整理により、作成負担の軽減が図られることが期待されています。 DPCデータ入力負荷の現状と改善の必要性 DPCデータの様式1において入力を求めているデータには、入力負荷が特に大きい項目が存在します。障害福祉サービス等事業所との面談回数、作業療法士による個別作業療法の実施回数など、入院全期間の評価が必要な項目は、医療機関にとって大きな負担となっています。検査値等の経時的データについても、継続的な入力が必要であり、負荷が高い状況です。 外来・在宅・リハビリデータにおいても同様の課題があります。LDLコレステロール値やHbA1c値などの検査値データ、ブリストルスケールなどの評価項目について、入力頻度や項目数の多さが指摘されています。診療報酬改定のために必要な情報収集と、医療の質評価のための情報収集を区別し、真に必要な項目に絞り込むことが求められています。 今後は、一般的な診療において収集される情報と、診療報酬改定のために特別に収集が必要な情報を明確に区別し、入力項目の精査と削減を進めることが検討されています。医療機関が戦略的にデータ管理を行える環境の整備も重要な課題となっています。 まとめ 令和2年度から6年度にかけての累次の診療報酬改定により、医療現場の事務負担軽減は着実に前進してきました。会議のICT活用、研修の統合、記録・届出事務の簡素化、レセプト業務の効率化など、既に多くの改善が実現しています。令和7年度に向けては、署名・押

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人を尊重して話を聞かせていただく「アクティブリスニング」エバンジェリスト『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』著者赤羽雄二氏公認|『アクションリーディング』読書会開催|仲間と一緒に成長できる「親子のクオリティタイム」「最速ロールプレイング」「A4メモ書き」などのグループ運営|株式会社miiboのmiibo Designer|一般社団法人 遠隔健康医療相談適正推進機構 正会員 【配信内容】 配信URL;https://www.daitoku0110.news 3つの内容を配信中 1. 岡大徳 アクティブリスニングなどについて配信しています。 ブログなどの内容はこちら ・https://daitoku0110.com ・https://daitoku0110.jp ・https://daitoku.site/ 2. miiboDesigner 株式会社miiboのmiiboDesignerの岡大徳がmiiboについての新しい情報や気になった情報、ノウハウなど話していきます。 miiboデザイナーとは、miiboの会話の精度があがるように設計をしていく人のことです。 ・プロフィールサイト:https://daitoku0110.net/ ・miiboガイド(初めての人はこちらから):https://daitoku0110.net/miibo/ ・miibo情報:https://daitoku0110.net/miibo-information/ ・スライド共有サービスドクセル:https://www.docswell.com/tag/miibo 3. ナレッジマネジメント 岡大徳のNotesをもとにナレッジマネジメントの一環として配信しています。 岡大徳のNotes:https://daitoku0110.wiki 【Clubhouse】 https://www.clubhouse.com/@daitoku0110 ・『アクションリーディング』行動が変わり人生が変わる読書会 https://bit.ly/38uMBJP ・親子のクオリティタイム https://bit.ly/3Rf8X6z 【Peatix】 https://peatix.com/user/1425712/ ・実践『アクションリーディング』自分を変える行動読書 https://action-reading.peatix.com/ 【Facebook】 https://ms-my.facebook.com/oka.hironori.1 グループ ・実践『アクションリーディング』自分を変える行動読書:https://www.facebook.com/groups/practiceactionreading ・実践 最速ロールプレイング:https://www.facebook.com/groups/551556716178832 ・実践『ゼロ秒思考』A4メモ書き:https://www.facebook.com/groups/notewriting 【Unstoppable Domains】 https://ud.me/daitoku0110.x 【ドクセル】 https://www.docswell.com/user/daitoku0110 www.daitoku0110.news