【Episodio57】今回は小説『鋼鉄紅女』について、徒然なるままにネタバレなるべくなしで語らいます。本作品については前後編に分けてお話する予定で、こちらはそのうちの前編です。
※※ この小説には拷問などの暴力・アルコール依存症の描写、自死や性的暴行に関する言及が含まれます。ご自身の心と相談してお読みください ※※
面白すぎ気持ちわかりすぎマーカー引く箇所ありすぎ/世界や人類を救う話が想定している「世界」や「人類」に含まれていない人/「未亡人」というあまりにひどい言葉/ある人々にとって現実がすでにディストピアであることを前提としてない物語は冷める/最高のカタルシスが描かれるがそれを全肯定していない
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『鋼鉄紅女』(2021年出版(@カナダ))
【ざっくり内容&小説のみどころ】
物語の舞台となるのは、古代中国風の世界。ただし、近未来の設定である。
渾沌(フンドゥン)と呼ばれる宇宙からの侵略者に攻撃されている人類は、渾沌に奪われた土地を取り戻すべく戦っている。戦いの中心にいるのは霊蛹機(れいようき)と呼ばれる巨大なロボットだ。 このロボットは、女性と男性各1名・計2名でないと操縦することができず、二人の「気」によって動く。気の供給力が弱いパイロットは戦闘中気を使い過ぎて死んでしまうのだが、死ぬのはたいてい女性パイロットである。ほぼ「使い捨て」されることが決定している女性パイロットは「妾女(しょうじょ)」 と呼ばれ、亡くなった後は家族に多額の戦死補償金が支払われる。
主人公の武則天(ウー・ゾーティエン)は、農村に暮らす娘。戦死補償金目当てで戦いに出され死んでしまった姉の仇討ちのために、自ら妾女パイロットに志願する。
モノガミー規範に腹を立てている人、ノンバイナリーをいないことにしないフェミニズム物語が読みたい人に、きっと応えてくれる物語。主要登場人物には中国の歴史や伝説の有名人物の名前がそれぞれの人物の背景を踏まえてあてられているので、中国史好きならさらに楽しめる。
著者はシーラン・ジェイ・ジャオ、翻訳は中原尚哉。
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小説『パワー』 (ナオミ・オルダーマン 著、安原和見 訳) https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309467825/
ドラマ『パワー』 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B8NXNXY8/ref=atv_dp_share_cu_r
映画『ノマドランド』(クロエ・ジャオ 監督) https://www.searchlightpictures.jp/movie/nomadland/special
映画『パシフィック・リム』(ギレルモ・デル・トロ 監督) https://wwws.warnerbros.co.jp/pacificrim/
小説『血を分けた子供』 (オクテイヴィア・E・バトラー 著、藤井光 訳) https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309208558/
グラフィックノベル版(コミック)『侍女の物語』 (マーガレット・アトウッド 著、ルネー・ノールト 著、斎藤英治 訳) https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000613024/
※ラジオ内で触れた作品等について、けそがブログで補足する可能性があります。 https://queso-samba.hatenablog.com/
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Informations
- Émission
- FréquenceDeux fois par semaine
- Publiée26 septembre 2025 à 12:00 UTC
- Durée32 min
- Saison1
- Épisode57
- ClassificationTous publics