復職名人が読む三手先

Centro Salute

この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210%E2%81%A0

  1. SEP 24

    第84回|産業医基礎研修会反省会

    今回は、先日行った産業医基礎研修会の反省会を行いました!テーマだけでなく、運営やその後のフォローなど、いろいろと考えてみました。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、懇親会を開催予定です。またご案内いたします。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾 産業医基礎研修会の後半+週末の産業研法学会で、19連勤になる見込み。 前園 夜、家事が終わった後に寝るまでの小一時間で読める、優しい系の漫画を探してます。 銀の匙 Silver Spoon 動物のお医者さん いいひと。 森 オンラインデータベースをGrowiで構築しました。 議論した内容 基礎研の内容・運営について 直近の基礎研は成功裡に終わり、懇親会への参加者も多く、今回研修を受けた受講者のうち実際に産業医を始める方が過去最高になる見込み。 来年度の基礎研の実施時期は、9月が5連休であるため、7月と10月に変更する予定である。 事前に手書きの制約書/重要事項確認書を提出させるステップを設けた。来年度も続ける。 健診事後措置の実習では、受講者が戸惑うような意地悪な出題形式(教えずにやらせるなど)は避け、講義の後に実習を行う流れを意識する。 実習で用いるケーススタディの健診結果は、就業制限の必要性を検討しやすい、より「程よい」健康状態の悪い人を選定する。 弁当の質を上げる方針と並行して、コーヒーやお菓子(チョコ、飴など)の提供は、コロナ禍で中止していたが、復活させることを検討する。 産業医を始める先生への支援 受講者からの質問の半分程度は、講義内容よりも産業医活動そのものに対するものであり、例年よりリアルな活動を想定した質問が多かった。特に産業医を始めた際、「孤独」や「相談相手がいない」という悩みが受講者から多く寄せられた。 産業医活動への橋渡しやステップアップ支援として、地域や経験に応じたネットワーク化(メンター制度)の構築が必要である。 インターネット禁煙マラソンの事例を参考に、経験者(先輩)が初心者を支援するメンター制度を基礎研修了者を対象に実施できる。 メンター・メンティは、3~5人程度のグループを作り、その中で希望者が当事者間の合意で関係を築く形式を検討する。 地域ごとの自主運営に近い勉強会(東京、大阪、名古屋など)を、やりたい人が3人以上集まったところから支援していく。 この支援活動の費用は、Office d'Azurがスポンサーすることも視野に入れ、自主運営をサポートする形で進める。 編集後記 高尾 産業医基礎研修、あと12年(12回)はやるつもりなので、4年に1回想定の自治体向け基礎研とあわせれば、おおよそ2500人の産業医を世に送り出すことになりますね。うち、、、500人くらいが実際に産業医をやってくれるのが目標!? 前園 弁護士には「労働法弁護士になるための基礎研修」のような単位制度はありません。 生涯研修のような更新単位もありません。(倫理研修は義務として存在しますが) ときどき、「質の担保のために、弁護士も10年に1回は更新試験を受けさせるべきだ」という厳しい意見も聞かれますが、継続的に学ぶ機会が(強制的に)あることで、得るものも多いだろうと思ったりします。 森 ゾノ先生の発話量がかなり少なくなってしまったので、次回以降はもっと話してもらおうと思います! (次回は、産業保健法学会の反省会を予定しています!)

    57 min
  2. SEP 12

    第83回|産業医面談のタネと仕掛け

    今回は、産業医面談のニーズがなぜあるのか、面談のタネと仕掛けについて、議論しました! 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、懇親会を開催予定です。またご案内いたします。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾 ボストンに出張してきました 前園 Nintendo Switch2をゲットしました 森 AI音声アナウンスを流す際の注意点について 議論した内容 産業医・医療職と人事・総務の違い 医療職(産業医)は、相手の反応を過度に気にせず、伝えるべき医学的事実を必ず伝える。一方、人事・総務は、従業員が怒ったり否認したりするのを恐れ、「体調が良くなさそうだから」といった曖昧な言い方をし、産業医に難しい役割を押し付けようとする。 多くの会社では、療養導入時に従業員の否認や怒りに対し変化球で対応しようとして失敗し、業務的アプローチの一貫性が欠けている。 臨床経験のある医療職は、伝えるべきことはその日のうちに伝える姿勢を持ち、「ヒットアンドアウェイ」のような技法を用いつつも、相手の受け入れ段階を見ながら情報を伝える。 「あなたは仕事ができていない。それは病状が悪いからだろう」という本質的なメッセージは、産業医にとっても人事にとっても伝えにくい枕詞である。それでも産業医はメッセージを伝え切る。 伝えるべき重大な情報は、相手が怒ることを織り込んだ上で、情報の正確性と一貫性を保ちながら伝えることが重要である。 質問の整理とコミュニケーション 長すぎる質問は、意図が不明瞭になり、回答を困難にする。これは、相手の怒りや否認を恐れてどうでもいい情報が混ざるためである。 相談する際は、100文字程度に整理することで、本質的な問題が明確になり、答えも導き出しやすくなるかもしれない。 重要な情報や優先順位が高いことは、相手が怒ろうが否認しようが直接伝えるべきであり、躊躇すると問題解決から遠ざかる。 「これは医療の問題だから」と人事・総務が口を挟まないことで、仕事の問題として伝えるべき本質から目をそらしてしまう状況がある。 医療への「逃げ」問題と企業の期待 企業の人事・総務は、従業員が病気を理由に遅刻や業務遂行の困難を正当化しようとする状況を恐れる。従業員の反発を恐れて産業医に面談を依頼するのは、普段のやり取りで反論してきた従業員が精神的に不安定になると、さらに反論が強くなるためである。 産業医は上司や人事よりも距離があるため、従業員からすると怒りをぶつけにくい存在であり、外部の専門家として難しいことを言わされやすい立場にある。ただ、企業が産業医に「言うべきことを代わりに言って怒られ役になってほしい」と期待するのは、産業医の中立的な立場を考えると「ひどい」期待である。 産業医が耳の痛いことを言っても、体調を崩す従業員はいる。人事・総務は、救急車を呼ぶなどの判断ができないため、いざという時の対応を想定し、産業医に任せたくなる気持ちは理解できる。企業の人事・総務は、「そんなに心配なら同席するから、言うべきことはあなたが読み上げなさい」というスタンスで臨み、高尾メソッド(役割分担と手順化)を実践すべきである。産業医は、まずは同席して人事・総務が実践できるよう学習を支援すべきである。 療養導入時の課題と動画の可能性 療養開始時のAI音声動画は可能だが、療養導入時の動画作成やその使い方は難しいのではないか。 療養導入は、本来「労務提供の受領拒否」という親心であり、懲戒を避けるための手段であるため、労務管理上の指摘動画は作れるはずだ。 アバターに指摘させても、人が言うからこそ受け入れられる反応があるため、人間が関与する重要性があるのでは。裁判官の代理をAIができるかという問いと同様に、客観的なデータに基づく指摘はAIでも可能だが、有効性や妥当性の観点から人間が必要な「儀式」である。 通常の労務管理とシームレスに繋がっているべきであり、従業員が遅刻の理由を健康問題にすり替えるのは、本来の労務管理の流れではない。面接シナリオを用いて淡々と伝える方法が、イレギュラーな対応には有効かもしれないが、療養か懲戒か選択の余地がある間は動画では決めつけになってしまう。 療養導入時では、通常勤務の定義や労働契約の内容をAI動画で説明させ、その上で人間が具体的な逸脱について伝える、という役割分担が考えられる。 議論のまとめ 従業員の勤怠不良に対し、シナリオを使い、健康問題にすり替えてくることは想定して対応する。会話のゴール(遅刻はダメ、改善してください)を達成し、理由を述べてうやむやにされることを避けることが重要だ。 「種明かし」の結論は、「種と呼べるほどの種ではなかったことを明かした」ということだ。誰にでもできる簡単な話である。 ただし、種が分かっても実践には「手際の良さ」などのテクニックが重要になるかもしれない。ここは面接シナリオで補えるはず。 編集後記 高尾 産業医面談の「魔法のタネ」は、いたってシンプルなもの。そして、面接シナリオ(OR動画)を利用すれば、実践にもテクニックもそれほど要りません。 前園 マジックといえば私は子どもの頃はトランプマンに熱狂していたことを思い出しました。調べてみると今でもご活躍中らしく、公式インスタグラムもありました!皆さんぜひ、フォローをお願いします。 https://www.instagram.com/trumpman_official?igsh=MXdyc2l4ZmliNDZwMw== 森 収録トラブルにより、いつもよりも音声のズレが生じてしまったので、その修正が大変でした!

    1 hr
  3. AUG 21

    第82回|AMA復職ガイドラインについて

    ポッドキャスト「復職名人が読む三手先」第82回では、AMAの復職ガイドラインについて議論しました。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、懇親会を開催予定です。またご案内いたします。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 近況報告 高尾 ウイスキーのストックが83本を超えました。最近はジャパニーズが手に入りやすくなってます。 中国のSF小説「三体」を全巻読破しました。 前園 笑い飯・哲夫著の「ブッダも笑う仏教のはなし」を読みました。 https://amzn.asia/d/0yF5t05 森 日本人の死生観について本を読んでみました。 https://note.com/pelicans/n/ncfa5b993ab08 議論した内容 AMA復職ガイドラインにおける「リスク」「キャパシティ」「トレランス」の定義 AMA Guide to the Evaluation of Work Ability and, Return to Work Second Edition https://amzn.asia/d/bcT1TJP Risk 従業員が特定の業務に従事することで、本人、同僚、第三者などに害をなす恐れがある状態である。これには「就業制限」を考慮する。例えば、コントロール不良のてんかん患者の航空機パイロットやタクシー運転手への就業制限がこれに当たる。これは本人はできるが、雇用主としてはやらせるべきではない側面がある。 Capacity 筋力、柔軟性、持久力といった、科学的医学的に測定可能な身体的能力を指す。「ワークリミテーション」として表現する。肩の手術直後の患者の上肢挙動を伴う作業の制限などが例である。これはあくまで現時点での能力であり、本人の潜在的な能力ややる気によって変動しうる。精神的な能力はここには含まれない。 Tolerance 従業員が特定の作業を「やろうと思えばできるが快適にはできない」状態である。従業員がそれをやるかやらないかは本人が選択する。医師はトレランスについて意見を述べるべきではないと明確にされている。これは医学的科学的に測定・検証されないため、医師間で意見の不一致が生じる主な原因となる。 @Hiroshi_Tsuji https://x.com/Hiroshi_Tsuji 日本型雇用慣行への適用と課題 医師の意見の整理 日本の文脈、特に精神疾患に関する復職判断では、主治医意見がリスク、キャパシティ、トレランスの概念を混在させて述べられていることが多い。精神疾患における「異動が望ましい」や「軽減勤務」といった意見は、多くの場合、本人の「やりたくない」というトレランスの問題である可能性が高い。日本の医師は「全部医者がやってあげようとする」傾向があるが、AMAガイドラインは医学が関与すべき範囲を明確に線引きしている。 メンバーシップ型雇用との不整合 AMAガイドラインは米国におけるジョブ型雇用を前提としている。日本のメンバーシップ型雇用では職務を限定せず、能力不足の場合でも教育研修や異動による支援が当然とされる傾向があるため、キャパシティの評価は「する意味すらあまりない」ことが多い。これは「働く権利」や「雇用した責任」といった日本独特の文化的背景が、労働契約外の支援を企業に要求する原因となっている。 医師の役割の再定義 医師は「単なるアドバイザーに過ぎない」という立ち位置を明確にすべきである。「ドクターストップでできない」という医師の意見が、実際には医学的根拠のないトレランスの問題であるにもかかわらず、本人の意思をすり替えている状況が問題である。産業医は、リスク、キャパシティ、トレランスの概念を主治医に共有し、トレランスの問題については意見を求めず、尊重しない旨を事前に伝えるべきである。これにより、医学的根拠に基づいた意見表明に専念できる環境が整う。 具体的な運用と展望 企業内での合意形成 企業と労使間で、AMAガイドラインの考え方を取り入れ、自社に落とし込んで採用する旨を合意することが重要である。これにより、主治医に対して合理的な根拠を持って復職判断の基準を示すことができる。 教育研修の強化 産業医や医療従事者へのAMAガイドラインの普及、特にリスク・キャパシティ・トレランスの概念の共有が不可欠である。これにより、日本の「過保護的」な健康管理を見直し、より合理的で明確な復職支援体制を構築することを目指す。 メンタルヘルス不調への適用 メンタルヘルス不調においては、リスクもキャパシティも概念として成立しにくく、ほぼトレランスに関する問題だろう。自傷行為のリスクなども、特定の業務に起因するものではなく、治療コントロールの問題として捉えるべきである。 司法への浸透 準備書面などを通じて、裁判官などの司法関係者にもこの概念を広く知ってもらうことで、より公正な判断が期待できるのでは。 編集後記 高尾 お盆休みを利用して、連載原稿のドラフトを複数準備しました。5本目くらいになると、だいぶ内容が希薄になってくるのが自分でもわかります。。。 前園 まさか仏教的な探求を森先生もされているとは思いも寄らなかったです。 「長年連れ添うと夫婦は似てくる」などといいますが、森先生と私もどんどん似てきたということでしょうか。 いやしかし、労務の現場は諸行無常。 メソッドの議論は常に3人、喧々諤々・是々非々でなければなりません。 改めて気を引き締めたいと思います。 森 AMAガイドラインの正式名称を入力すると、なぜかWordPress側でエラーが出てしまい、四苦八苦しました(おそらく、なんらかの不正な攻撃コードと誤解されていた)。

    1h 9m
  4. AUG 12

    第81回|高尾メソッドの誤用への懸念

    ポッドキャスト「復職名人が読む三手先」第81回では、最近耳にする高尾メソッドの誤用について、その懸念や何を大事にしているのか議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 雑談 高尾 若者向けと高齢者向けとで、病院の対応も分けた方が良いのでは、と思いました。 前園 家族旅行へ行ったところ、アレルギー表示が杜撰なホテルでした。 森 ポッドキャストの配信方法を少し変えました。リンク切等がありましたら、お知らせください。 議論した内容 高尾メソッドの誤用と本質 高尾メソッドが産業医によって誤解され、職場の健康管理における「楽をする」ためのツールとして誤用されている懸念がある。 メソッドの本来の想定ユーザーは法人の人事・総務担当者であり、産業医が主体ではない。 メソッドは思考を整理する軸を提供し、不要な悩みを軽減するが、仕事を安易に片付けるためのものではない。 安易に結論に飛びつくのではなく、原則に立ち返り、現実の状況を考慮しながら頭を使って考えるプロセスが重要である。 メソッドは「考え方」であり、「こうすれば良い」という具体的な手順書ではない。 原理原則と段階的な改善の必要性 職場の健康管理において、「業務的」と「医療的」の区別を理解することが極めて重要である。 労働者の不利益を避けるためには、会社側や関係者全員が痛みや負担を分かち合い、段階的に軌道修正していくプロセスを無視してはならない。 メソッドは、安易な後退や脇道に逸れることを防ぎ、あるべき方向へ進むための指針である。 理論は実践にそのまま適用できるものではなく、現実の多様な条件を考慮し、誤差を減らしていく努力が求められる。 メソッドは、後から学ぶ者がより少ない時間と労力で到達できるよう言語化された経験の集合体である。 「考える」ことの重視 高尾先生の回答は、長時間の議論の背景と思考プロセスを凝縮したものであり、単に結論を暗記するだけでは意味がない。 重要なのは、原理原則に基づいて自ら考え、問題解決のプロセスを実践することである。 「高尾メソッドはメソッドではない」という表現も、考えることの重要性を強調するものである。 ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。

    1h 14m
  5. JUL 21

    第80回|特別ゲスト!森晃爾先生登場!

    ポッドキャスト「復職名人が読む三手先」第80回では、産業医科大学の森晃爾先生をゲストに迎え、森先生の産業医としてのキャリアを中心に、産業医業務への考え方などを伺いました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ 議論した内容 森先生のご経歴 1960年愛知県生まれ。86年産業医科大学医学部卒業。90年同大学院博士課程修了。 92年エッソ石油の医務部長。2000年エクソンモービル医務産業衛生統括部長。 2003年から産業医科大学産業医実務研修センター所長。 2005年~10年副学長。 現在は産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室教授、福岡県労働衛生指導医。 森の父です。 森晃爾先生の産業医キャリア初期 32歳でエッソ石油(後のエクソンモービル)に専属産業医として入社。きっかけは、産業医科大学初代学長・土屋健三郎先生とエクソンモービルの労働衛生トップであったトム・マクドナー先生との縁である。 当時の企業風潮は若手産業医の現場経験を歓迎し、ガソリンスタンドでの実地作業や地方営業への同行など、幅広い経験を積ませてくれた。 全従業員1200人を対象に、全国の事業所で全員面談を実施し、従業員との信頼関係を築き、現場の課題を深く理解した。 当時の健康増進プログラムは、既存のTHPや人間ドックなどの資源を組み合わせて効果的に実施した。 外資系企業のエクソンモービルはリスク管理に非常に厳格で、問題発生前から多額の費用を投じて訓練を行うなど、日本企業とは異なる文化を持っていた。 産業医の仕事は単なる医療行為に留まらず、企業コンサルティング的な発想が必要だと感じていた。 企業の合併とダイナミックな業務 エクソンモービルの合併時には、早期退職制度の支援や新たなグローバル基準の導入、合併チームの構築など、ダイナミックな業務を経験した。 特に早期退職制度の支援では、従業員の不安解消のための教育を行い、精神的に不安定な状況を抱える社員への対応に尽力した。 合併を機に、それまで潜在していた従業員のメンタルヘルス問題が顕在化するケースを多く経験した。 産業医科大学への帰還と教育への貢献 森先生は大学卒業時には、特にやりたいことがなく、研究室に配属されたことがきっかけで産業医学の道に進んだ。 日常の社会とそこで生きる人々に興味があり、臨床医学ではなく産業医を選択した。 産業医科大学の卒業生として、産業医学の経験を大学に伝え、産業保健の「言語化」の必要性を強く感じ、実務研修センターでその実現に努めた。 ハーバードメソッドのケースメソッドを産業医の教育に導入するなど、実践的な研修プログラムを開発した。 産業医大の産業医養成プログラムについて 高尾メソッドへの評価 高尾メソッドは「冷たい制度」として見られがちだが、「システムとして成り立っている」と評価した。 人事や職場の役割を明確にする汎用性の高い選択肢であり、特に地方自治体など、これまでの健康管理が行き届きにくかった組織に非常にフィットする。 「システムはドライに、運用はウェットに」という原則が高尾メソッドにも当てはまると述べた。 エクソンモービルの「ドライな」リスク管理の考え方や、早期退職における「優しい」退職支援の例を挙げ、高尾メソッドに通じる点があると示唆した。 定年退職後の展望 今年度で定年退職し、今後は「普通の産業医」としての活動(週3日程度)を望んでいる。 加えて、学会活動のコンサルティングや社会貢献、インドネシアの大学での客員教授、健康経営のコンサルティングを計画している。 森産業医事務所、森労働衛生コンサルタント事務所、森健康経営研究所という3つの組織が並列にあるような状態をイメージしている。 若手産業医へのメッセージ 医者であることを忘れず、組織やマネジメントを理解することの重要性 一つの業界や文化、組織を深く理解することが、他の多様な現場を理解する上での基礎になる 組織のトップが抱える孤独さや経営側の視点を理解し共感することが、産業医として深く関わる上で非常に重要。 ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。

    1h 22m
  6. 第79回|「企業医務部の挑戦」を読んで

    JUL 13

    第79回|「企業医務部の挑戦」を読んで

    第80回にゲスト出演予定の、産業医科大学教授・森晃爾先生に何を聞くか、先生の著書「企業医務部の挑戦」を読みながら、事前に議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】⁠ 各ホストの近況報告 高尾 中高の同期会計画で、遠方からの参加者への配慮が不足していたことについて反省。 前園 ゲンロン戦記 森 四国カルストへ行きました。 議論した内容 次回ゲスト(産業医科大学 森晃爾先生)への質問項目 森晃爾先生の著作について 『企業医務部の挑戦』 著作の発刊時期(1996年)と、高尾や森先生自身が産業医活動を始めた時期との関連性、当時の産業医活動の情景を知りたい。 産業医科大学と産業保健の歴史 産業医科大学が設立された当初、企業界から見てどのような存在だったのか 森先生が産業医を始めた頃の産業医・産業保健の実態(資格や勉強の有無、活動内容) 専属産業医や嘱託産業医活動の初期イメージと、現在の違いについて 著書にある健康管理活動のレパートリー(アブセンティズム対策、海外巡回健康相談など)が、どのような経緯で生まれたのか(手本があったのか、オリジナルな発想か) 海外の産業保健制度との違いや、米国企業における産業保健の位置づけについて エッソでの経験 森先生がエッソを辞めた後、同社の産業保健体制がどうなったのか 外資系企業におけるリスクマネジメントと、日本法人のコスト意識のバランスについて 産業医科大学の組織と外部からの見え方 産業生態科学研究所や実務研修センターの位置づけ、役割。外部からは理解しにくい部分について 産業医学推進研究会 森先生が産業医科大学に入学し、産業医の道に進んだ経緯 キャリア初期のエピソード 産業保健の変遷と現代的課題 当時の従業員に対する見方(性善説ベース)と、現在の性悪説・性弱説との違い 疾病利得への認識の変化と、当時の状況 安全配慮義務や労働災害に関する司法の動向を、どの程度把握し、どのように位置づけていたのか 安全と衛生の専門性の垣根と、労務管理が健康管理に協力を求めてきた経緯 実践としての産業医学と研究としての産業医学の乖離・連携について 個人的な質問 高尾メソッドや、高尾らの最近の活動に対する森先生の率直な印象 過重労働対策やメンタルヘルス対策を、労務問題と医学的な健康影響評価として大胆に整理することへの意見 10年後、20年後(2035年、2050年)の産業保健の課題や問題意識について 後進の育成について ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。

  7. 特別編|合宿2日目ライブ配信

    JUL 3

    特別編|合宿2日目ライブ配信

    合宿2日目の夜に行ったライブ配信の音源を再編集したものです。質問への回答を中心に、踏み込んだ議論をしました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】⁠ 美術鑑賞と芸術の捉え方(雑談) MOA美術館を訪問。高尾先生は和物が多くてつまらなかった。モネなどの印象派作品の見方との比較。 葛飾北斎の絵は余白の取り方が巧み。街並みや船の描写は写実的だが、富士山の描写は写実的ではない。 ゾノ先生は個々の作品より、美術館の空間全体やライティングに注目し、空間設計から学んだ。 西洋美術は文脈(アンチテーゼ)があるのに対し、東洋美術は思いつきの行き当たりばったりな個性派という印象。 芸術鑑賞は脳のシナプスを繋げ、「なんだこれ」という疑問が思考の発達に重要。   議論した内容 会社で働く能力の回復への助言のあり方 産業保健師や会社が、従業員の能力回復を直接助けるという表現は不適切。 能力回復は本人が行う。会社や産業保健は適切なフィードバックやきっかけを提供する役割。 療養専念期から復職準備期、復帰基準に対するフィードバックが重要。 助言で回復に誘う経験は、本人のキャパシティに助けられた偶然(フロック)の可能性がある。ゴルフの例えで説明された。 従業員自身の早く復帰したいという真なる意欲が、能力回復の鍵。 復職準備状況の確認方法(多分働けると思うという連絡に対して) 「多分働けると思う」という曖昧な表現では不十分。会社は具体的な説明を求めるべき。 「主張立証責任」のような裁判用語は避けるべき。従業員が復帰基準を満たすと判断できる材料の提供を会社が求める。 会社は復帰基準を明確に定め、従業員に周知する。 就業制限解除のタイミングとストップ要件の運用 ストップ要件の解除タイミングはあらかじめ決めておくのが基本。ただし、一部の「モンスター社員」には永遠に解除しない態度も必要とされる場合がある。 産業医学的ストップ要件には合理的な期限があるが、上司の判断要件は継続し得る。 「いつまで適用されるか」という問いには、「いつでも適用される」という姿勢がベター。一部従業員によるルール悪用防止のため。 復職準備としてのボランティア活動の評価 ボランティア活動は、「やりたいことをやる」感覚が強く、復職準備に必要な規律性にはそぐわない。 指揮命令下に入らず、対価も発生しないため、労働契約との関係で労務提供義務を果たす準備とは評価しにくい。 企業側は、ボランティア活動を復帰準備として評価することに非常に慎重な態度が適切。 誠実に復帰準備をしている従業員からは、このような報告は来ないことが多い。 健康診断結果が改善しない社員への対応(就業制限・休業検討) 会社が設定したルール(例:3ヶ月で改善傾向がなければ休業検討)は、運用できないなら定めるべきではない。 従業員が休業に抵抗する場合、会社側に賃金請求権の問題が残る。 即座に倒れるリスクがあるごく一部の健康状態(例:血圧の極端な高値、結核疑い)以外は、強制的な休業には慎重な対応が必要。 会社は基準の合理性を明確にし、誰にでも一律に適用できる運用体制を築くのが重要。 産業医は個別の事案ではなく、基準値設定の段階で意見を出すことで、会社の方針に合理性を持たせるべき。 過剰配慮はしないルールへの移行と従業員への伝え方 過去の過剰配慮から過剰配慮はしないルールへの変更は、世間の情勢変化を背景に今が伝える唯一のタイミング。 従業員が完全労務提供できている今のうちに、今後のストップ要件などを明確に伝えるべき。 人事担当者が伝えることに躊躇するなら、動画などを活用した会社のルール客観的周知も有効。 産業医との情報共有のあり方 嘱託産業医との関係は、会社が方針を決定し、産業医がその方針を理解・協力する立場である。 従業員が人事ルートではなく産業医に直接相談を持ちかける場合、情報共有の必要性が発生し得る。 日本の産業医業界は、中央省庁のガイドライン重視からチャレンジ精神に欠ける傾向がある。 労働安全衛生法は、生活習慣病など従業員自身がコントロールすべき健康管理の文脈では時代遅れである。 多害性のあるメンタル不調者への復職対応 同僚や部下への多害行動があった場合、まず懲戒処分を検討すべき。これは疾病の有無に関わらず行う対応。 刑事責任や懲戒免責の対象となる精神疾患は極めて限定的。一般的な精神疾患による多害行動は処分対象となる。 加害者を被害者の部署に戻すのは避け、左遷的な異動を即日行うのが適切。これは復職原則とは独立した問題。 会社が多害行動を放置した場合、被害者のメンタル不調が業務上認定されるリスクがある。 自己申告の血圧記録の信憑性と判断 従業員の自己申告に疑う合理的根拠がある場合、そのまま信用しない。 安易に疑念を抱くのは避け、客観的な根拠に基づいて判断すべき。 自己申告制の就業制限は、初回は自己申告を受け入れ、2年目からは医師による測定を求めるなど、段階的な対応が有効。 ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。

  8. 第78回|生涯研修会の振り返り

    JUN 30

    第78回|生涯研修会の振り返り

    先日3人が揃った産業医生涯研修会の振り返りを行いました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 ⁠⁠https://peing.net/ja/takaomethod⁠⁠ 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 ⁠⁠https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210⁠ ■近況報告 高尾:ノルウェー出張中に舌の痺れと顔の冷感を経験した。帯状疱疹の可能性を自己診断し、ビタミンB12を試したが、容量が少なく効果は限定的であった。具体的な症状として舌の右側の痺れと、顔面神経の上顎枝領域の冷感を挙げ、この症状について医療相談を求めている。 前園:森より先にウイスキー収集を始めたと報告する。ジャパニーズウイスキー(イチローズモルト)やアイラモルト(ラガヴーリン)などを集め、味覚や香りについて学んでいる。 森:大阪万博の「いのちの未来」パビリオンを訪れた経験を共有した。アンドロイドによる案内がスムーズだったことに触れ、AI音声動画による療養説明も、最初に「そういうものだ」と受け入れさせれば違和感なく進むと述べる。 ■議論の概要 精神障害の労災認定基準について(高尾): 令和5年改正のポイントは「カスハラ」と「感染症の危険性」業務の追加である。 長時間労働(月160時間以上または3週120時間)や悲惨な体験は「特別な出来事」として即座に労災認定につながる。 人事異動や昇進など通常の人事権行使も心理的負荷「中」と評価され、時間外労働と組み合わせると労災認定のリスクが高まる点を指摘する。 ハラスメントは身体的攻撃を伴うなど、かなり重大なものしか心理的負荷「中」とされず、世間の感覚と基準にギャップがあると述べる。 労災と安全配慮義務について(前園(ゾノ)): 安全配慮義務は予見可能性と結果回避義務を要件とする。 予見可能性を否定することは難しいため、結果回避義務を尽くすことが重要であり、そのためには労働者を休ませるアプローチが最も確実だと主張する。 医療職が「患者の話を聞くこと」と「必要な情報を収集し判断すること」を区別し、適切に説明を行うことの難しさに言及した。 両立支援について(森): 両立支援が「一人歩き」し、企業が過度に家庭の面倒を見るかのような誤解が生じていると批判する。 両立支援ガイドラインは義務ではないため、企業は残したい人材に手厚く支援し、そうでない人材には不要と明確にすべきだと主張する。 日本の雇用構造では、両立支援が同僚への負担転嫁につながる可能性があり、労働生産性を低下させる要因になりうると指摘する。 「禁止されていないことはやっていいことではない」という、日本人が「自由」を履き違えている現状を問題視する。 安全衛生委員会における産業医の役割について(高尾): 安全衛生委員会の規定や産業医の役割を概説し、メンタル対策や化学物質管理などの役割を期待されていると述べる。 衛生講話をAI音声動画化し、メソッドに準拠した内容を企業に提供することで、自然と企業の健康管理体制を改善できる可能性を示唆した。 事例検討グループワーク(前園(ゾノ)&森): ポッドキャスト第74回で扱った事例をグループワーク形式で実施した。 第74回 事例はパワハラ主張や家族の関与など、多くの要素を含み、現実的な問題提起ができたと評価する。 働く女性の健康管理と生理休暇について(高尾): 生理休暇は歴史的に女性差別的な側面があり、現代ではその役割を終えつつあるという問題意識を提示した。 現代女性の月経回数は大幅に増加しており(昔は50回程度、今は450回)、生理痛は我慢するメリットがなく、治療法も確立されているため、治療を推奨すべきだと主張する。 生理休暇を「なんでも休暇」のような、性別問わず利用できる上位互換の制度に発展させる可能性について議論した。 理屈では可能だが、日本特有の「空気」が改革の障壁になっていると分析する。 このShowNoteはNotebooklmが作成しています。内容についてホストは保証致しません。

About

この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210%E2%81%A0

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