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病院と診療所の違いとは?医療機関の機能分化を理解する【動画解説】

全日本病院協会の神野会長が解説する動画「医療のトリセツ第4回」では、医療機関の仕組みと機能分化について説明しています。高齢化が進む日本では、複数の慢性疾患や医療介護の複合ニーズを抱える患者が増加する一方で、医療従事者のマンパワーには制約があります。こうした状況で質の高い医療を効率的に提供するには、医療機関の役割分担を理解し、適切な医療機関を選択することが重要です。本メールマガジンでは、この動画の内容をもとに、医療機関選択に役立つ情報をお届けします。

病院と診療所は医療法上で明確に区別されており、それぞれ異なる役割を担っています。医療の機能分化により、「治す病院」と「治し支える病院」という2つのタイプが存在し、相互に連携しながら地域医療を支えています。かかりつけ医機能を有する医療機関は、医療と介護をつなぐ重要な役割を果たし、地域包括ケアの中心となっています。これらの仕組みを理解することで、患者は自身の症状や状態に応じた最適な医療機関を選択できるようになります。

病院と診療所の違いを知る

病院と診療所の違いは、単なるベッド数の差だけではありません。病院はベッド数が20床以上あり、入院治療を主な役割としています。診療所はベッド数が19床以下または無床で、かかりつけ医機能、初期診療、慢性疾患の管理を担っています。

病院には夜間も医師が常駐する当直体制があります。診療所にはこの体制がない点が、両者の大きな違いです。夜間や休日に急変した患者に対応できる体制が、病院には整備されています。

病院では医師、看護師、薬剤師、リハビリテーション専門職、管理栄養士、MSW、事務職員など多職種によるチーム医療が実践されています。診療所では医師、看護師、事務スタッフという少人数体制で運営されています。このチーム医療の有無が、病院と診療所の提供できる医療の幅を決定しています。

病院の開設主体は医療法人、公立、大学などが多くなっています。診療所は個人や医療法人が開設している場合が多い傾向があります。この違いが、医療機関の規模や提供できる医療サービスの範囲に影響を与えています。

医療の機能分化と連携体制を理解する

医療機関は「治す病院」と「治し支える病院」に機能分化されています。治す病院には特定機能病院、大学病院、地域の基幹病院が該当します。治し支える病院には、かかりつけ機能を有する病院や診療所が該当します。

治す病院とかかりつけ機能を有する医療機関の間では、紹介と逆紹介という連携が行われています。紹介とは、かかりつけ医が専門的治療が必要と判断した患者を大きな病院に送ることです。逆紹介とは、大きな病院での専門的治療が終了した患者を、かかりつけ医に戻すことです。この双方向の流れにより、医療資源の効率的な活用が実現されています。

国は医療の機能分化を政策として推進しています。この背景には、限られた医療資源を最大限に活用し、必要な患者に必要な医療を提供するという考えがあります。機能分化により、専門的治療が必要な患者は大病院で、慢性疾患の管理は地域の診療所で行うという役割分担が明確になります。

診療報酬制度でも、この機能分化を支援する仕組みが整備されています。診療情報提供料や連携強化診療情報提供料などの点数設定により、医療機関間の連携が経済的にも評価されています。医療機関が適切に連携することで、診療報酬上のメリットも得られる仕組みが構築されているのです。

かかりつけ医機能の役割を把握する

かかりつけ医機能を有する医療機関は、医療と介護のつなぎ役として重要な位置を占めています。この機能は、単に医師個人の役割ではなく、医療機関全体で担うべき機能として位置づけられています。病院の場合、医師だけでなく看護師、薬剤師、MSWなど多職種が協力してかかりつけ機能を発揮します。

かかりつけ医機能報告制度では、継続的な医療を要する者に対する日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能が重視されています。この制度により、医療機関は自らが提供するかかりつけ医機能の内容を報告し、地域住民に情報提供することが求められています。報告内容には、一次診療の対応可能な診療領域、服薬の一元管理、通常の診療時間外の対応、在宅医療の提供、介護サービスとの連携などが含まれます。

地域包括ケアの実現において、かかりつけ医機能を有する医療機関は中心的な役割を果たします。介護サービス、生活支援、行政とをつなぎ、患者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう支援します。かかりつけ機能を有する医療機関を中心として、医療と介護が連携し、包括的なケアが提供される仕組みが構築されています。

機能強化加算や地域包括診療料などの診療報酬上の評価も、かかりつけ医機能を担う医療機関を支援する仕組みです。これらの点数を算定するには、研修の受講、24時間対応体制の整備、他職種との連携など、一定の要件を満たす必要があります。質の高いかかりつけ医機能を提供する医療機関が、適切に評価される仕組みとなっています。

まとめ

病院と診療所はそれぞれ異なる役割を持ち、医療法上も明確に区別されています。医療の機能分化により、「治す病院」と「治し支える病院」が連携しながら地域医療を支えています。かかりつけ医機能を有する医療機関は、医療と介護をつなぐ重要な役割を担い、地域包括ケアの中心となっています。これらの仕組みを理解し、症状や状態に応じて適切な医療機関を選択することが、効率的で質の高い医療を受けるための第一歩となります。



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