2025年8月24日 三位一体後第10主日
説教題:箱舟の前の祭壇
聖書: 創世記 8:1–22、マルコによる福音書 1:12–13、詩編 34、ローマの信徒への手紙 12:1–2
説教者:稲葉基嗣
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創世記の物語は、ノアがカラスや鳩を放つ様子を描く際、「追い払う」や「解放する」といった意味のヘブライ語の単語を用いています。ノアはカラスや鳩が戻って来ることは期待していませんでした。大雨が過ぎ去り、水が徐々に減ってきたため、地上でのみ生活をする人間たちのペースにあわせて、鳥たちを箱舟の中にいつまでも縛り付ける必要などありませんでした。鳥たちに対するこのようなノアの姿勢を思うとき、神から委ねられた他の生き物たちとの関係を良好に保つことを大切にしてノアが箱舟で生活をしていたかがわかってきます。物事を人間中心で動かし、自分たちのやり方を押し付けようとはしませんでした。人間だけでなく、他の生き物たちが生活できる場所が取り戻され、回復する時間を彼は待ち続けました。神が良しとする時間を待ち続けました。ノアは祭壇を築き、焼き尽くすいけにえを捧げることから、箱舟から降りた後の生活を始めました。ノアはすべてを神に捧げました。神の恵みと憐れみによって、すべてのものが与えられているからこそ、ノアは箱舟を降りたときに目の前に広がっているこの世界のあらゆるものを感謝をもって、受け止めました。振り返ってみれば、カラスや鳩を放つときも、箱舟を降りるタイミングも、新しい生活を始める際も、ノアは自らの主張を貫き通すことはありませんでした。むしろ、他の被造物を配慮しながら、神のタイミングを尋ね求めながら、彼は箱舟の中で生活をし、箱舟から降りた後の生活を始めました。このようなノアの生き様は、私たちに様々な挑戦を投げかけています。私たちの生きる社会は、どうしても人間中心的な社会の作り方をしています。だからこそ、ノアの姿を見つめる時、自分とは異なる人たち、この世界でともに生きる、神によって造られた他の被造物たちを愛と憐れみをもって見つめる心が養われる必要性を思わされます。ノアは何度も立ち止まり、待ちました。自分のやり方に固執せず、神が願うふさわしいタイミングを待ち続けました。ノアは箱舟を降りた後、祭壇を築いたのでしょう。あらゆるものが神の恵みゆえに与えられていることを決して忘れないために。現代に生きる私たちにとって、箱舟の前に建てられた祭壇は礼拝に集うことです。私たちは礼拝に呼び集められることによって、自分たちがどのような存在であるのかをいつも思い出します。
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- تاريخ النشر٢٤ أغسطس ٢٠٢٥ في ٤:٣٩ ص UTC
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