こゆきの小粋にリスキリング

AI時代の働き方改革とリスキリング

第78回放送分【2025年9月27日(土)18:10~18:25】

テーマトーク:

【AIが役員会に】あなたの仕事は、"知識"から"知恵"へ
かつてデータに意味を与え、判断するのは人間の独壇場でした。しかし今、AIがその領域に足を踏み入れています。大手企業ではAIを「仮想役員」として経営に参加させる動きも。これは、私たちの「働く」の定義が根底から変わるサインです。AIに仕事を奪われるのではなく、AIを最高のパートナーにするために必要なこととは?今回の放送では、AI時代の「働き方改革」と、今すぐ始めるべきリスキリングの本質に迫ります。未来の必須科目「プロンプトスキル」ついても深く掘り下げて考えてみるキッカケに。

変化の時代を生き抜くための新しいコンパスがここにあります♪

✅ なぜ今、リスキリングが不可欠なのか?
✅ AIを動かす魔法の言葉「プロンプト」とは?
✅ 人間ならではの価値をどう発揮するか?

クールダウントーク:

AIがデータの意味を理解し判断する・補足

現在の生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)は、人間のように意味論的な「理解」をしているわけではありません。その本質は、膨大なデータから学習した統計的なパターンに基づき、「次に来る確率が最も高い言葉」を予測し、生成する「確率的推論エンジン」と言うべきものです。いわば、あらゆる過去のテキストを学習し尽くした、極めて高度な予測システムです。

一方で、私たち人間の思考もまた、完全な合理性に基づいているわけではありません。心理学でいう「認知バイアス」、すなわち経験則から生じる無意識の思い込みや思考の癖に常に判断を左右されています。

ここで興味深いのは、認知バイアスという不完全さを持つ人間が、過去のデータの統計的集合体であるAIに、客観的で絶対的な答えを求めてしまうという現象です。でも、AIの提示する答えは、あくまで学習データという「過去」の写し鏡であり、その制約やバイアスからも逃れられません。それは未来の可能性を示すものではなく、「過去のデータセットの延長線上にある最適解」に過ぎないのです。

ここで、経営学者ピーター・ドラッカーの有名な言葉が、本質的な意味を帯びてきます。

未来を予測する最良の方法は、それを創り出すことだ

AIは過去から未来を「予測」することはできても、データに存在しない全く新しいビジョンや、倫理観に基づく目的を「創造」することはできません。ビジョンを描き、目的を設定し、未来を創造する意志。これこそが、AIには原理的に実装できない、人間に残された本質的な役割です。

スマートフォンが社会の在り方を不可逆的に変えたように、生成AIもまた同様のパラダイムシフトを確実に引き起こします。

だからこそ今、私たちが取り組むべき働き方改革やリスキリングとは、単なるツール操作の習得ではありません。AIという強力な確率的推論エンジンをどう使いこなし、人間としていかに「未来を創造する」側に立つか。そのための思考法と哲学そのものを、私たち一人ひとりが再構築していく必要があるのだと、私は考えます。

AIを最強の味方につけるための新しい働き方の教科書。
ぜひお聴きください!

地上波でかかった曲:

LittleGleeMonster『夢じゃないならなんなのさ』

※ポッドキャストでは著作権関連で割愛。

番組メールアドレス:

snow@rokinawa.co.jp

番組へのリクエストでも意見、紹介してほしい事などメールを募集しています♪

参考

琉球新報_4.経済「「AI役員」経営に参加」(2025.9.9)

琉球新報「世界初「AI閣僚」が誕生、東欧アルバニア「腐敗ない国に」」(2025.9.20)

森浩昭「未来を創る:ドラッカーの名言に学ぶ」