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【10-1】令和のハラスメントとは? パワハラ相談“8.8万件”の正体と企業の致命的リスク【令和のハラスメント①】

ハラスメント相談は令和5年度に8.8万件。15年連続で最多。

あなたの会社にも“見えない損失”が始まっている可能性があります。

シリーズ10では、今日から4回にわたり「令和のハラスメント」を扱います。

第1回となる今回は、最新データと歴史的背景をもとに、問題の“全体像”と“本質的リスク”を整理します。

▶︎ 令和のハラスメント──データが示す現実

厚生労働省の統計によると、「いじめ・嫌がらせ」相談件数は15年連続トップ。

令和5年度は 8万8,000件超(1日約220件) にのぼります。

ただし、この数字は“相談に踏み切れたケースのみ”。

ためらい・恐怖・諦めによって表に出ない事案を含めれば、実数はさらに大きいと予想されます。

また、ハラスメントの種類は増加を続け、現在では約50種類あると言われています。

「ヌーハラスメント(食事の音が不快)」など、感情ベースの相談が増え、境界線はますます曖昧化しています。

▶︎ なぜ令和でここまで増えたのか?(歴史的背景)

・平成11年:男女雇用機会均等法改正でセクハラが明確化

・令和:パワハラ防止法により対応義務が企業に課される

・昭和:根性論・体育会系文化が主流で、概念そのものが希薄

・価値観の多様化が進んだ現代では、受け止め方の差が拡大

また2000年代後半以降、総合労働相談窓口の整備により、相談行動のハードルが下がったことも増加の一因です。

▶︎ 企業を脅かす3つの“経営リスク”

ハラスメントは“人間関係の問題”ではありません。

組織を揺るがす、極めて深刻な経営リスクです。

① 法的リスク

・セクハラ:男女雇用機会均等法

・パワハラ:労働施策推進法

義務違反となれば、安全配慮義務違反として訴訟・損害賠償の対象に。

② 組織リスク

・被害者・加害者だけでなく

 “目撃者が疲弊して辞める”現象が発生中

・その結果、欠員→採用難→負荷集中という連鎖が起きる

③ 信用リスク

・SNS時代では不祥事が数時間で拡散し、取引停止に直結

・中小企業ほど、1つの炎上が致命傷になる可能性

▶︎ 経営者がまず取り組むべき「初動」

・事案が起きた瞬間の対応が、その後の企業ダメージを大きく左右する

・“感情論”ではなく、“経営課題”として扱うべき

中村の問い:

 「自社では、ハラスメントを経営リスクとして共有できていますか?」

これは、社長がその認識を持たない限り、組織には浸透しません。

▶︎ 次回(10-2)のテーマ

「萎縮させない上司の伝え方」

指導とパワハラの境界線を、現場の具体例と共に解説します。

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