内科医たけおの『心身健康ラジオ』

《1359》老人以上、介護未満

■本日ご紹介した書籍■

介護未満の父に起きたこと

ジェーン・スー/著

https://www.shinchosha.co.jp/book/611098/

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■AI要約(誤字はご勘弁ください)

内科医たけおが、自身のラジオ番組「心身健康ラジオ」で、ジェーン・スー氏のベストセラー著書『介護未満の父に起きたこと』を「声の書評」として紹介した。この本は2025年8月に新潮新書から刊行され、非常に売れておりAmazonレビューでも高評価を得ているという。

本書は、著者が一人暮らしをする父親(当時82歳)との5〜6年間にわたる「介護未満」の体験を綴ったノンフィクションである。著者は「同居はしない、仕事も辞めない」というポリシーのもと、離れて暮らす父親の生活をいかにサポートしていくか、その奮闘がリアルに描かれている。

話者が本書で特に感銘を受けたのは、著者の極めてロジカルでビジネスライクな問題解決能力だ。介護という情緒的になりがちな問題に直面した際、著者は介護書のコーナーではなくビジネス書のコーナーへ向かい、課題解決の手法を探す。そして、「父が健やかな一人暮らしを一日でも長く続ける」という明確なゴールを設定し、その達成のために具体的な行動計画に落とし込んでいく。さらに、父親の「できること」「できないこと」「あやういこと」「頼みたいこと」をマトリックスで可視化し、誰が何をどう担当するかを明確にする手法は、多くの読者にとって非常に参考になるだろうと話者は語る。

本書の構成は時系列になっており、2020年の父親からの突然のSOSから物語は始まる。その後、実家の「世紀の大掃除」と称した片付けでは家事代行サービスを活用し、コロナ禍でのワクチン接種の悩みや、体重減少といった身体の変化に直面する。そして、ついに介護サービスを検討する段階へと進むが、介護保険を申請するまでのリアルな手続きなども詳しく書かれている。

また、最新のスマートテクノロジーを駆使して介護の負担を軽減する具体的な方法も紹介されている。Amazon Alexa(Echo Show)を使った遠隔での見守りや、タクシーアプリを活用して病院への送迎を手配・決済する方法など、現代ならではのスマート介護の実践例は非常に興味深い。

医学的な視点からも示唆に富んでおり、フレイルやサルコペニアといった概念に加え、父親のふらつきの原因が「水頭症」であり、手術によって劇的に改善したエピソードも描かれている。もちろん、ロジカルな対応の一方で、家族だからこそのイライラや葛藤といった感情的な部分も率直に綴られており、多くの人が共感できる内容となっている。

話者は、これから介護に直面する人や、現在介護中の人にとって、非常に実践的で有益な一冊だと高く評価した。