TOKYO FM「鷹の爪団の人工知能ちょっと来い」ゲストパートは、伝説的ゲームデザイナーであり、AIとゲームの融合を牽引するモリカトロン代表・森川幸人さん。リスナーからの「AIをどうエンタメ化するか議論してほしい」という熱い声に背中を押され、ついに実現した対談です。
番組ではまず、モリカトロンの立ち位置から。2010年代半ば以降、AIの急速な進化に対して「ゲーム業界は世の中より4年遅れて動く」と森川さん。ゆえに“最前線の技術を適切に選び・届ける”役割が重要になると語ります。モリカトロンは自社開発だけでなく、他社のゲーム制作に最適なAI技術を「ソムリエ」のように見立て、目的や文脈に合わせて提案・実装を支援。無数の新ツールが“日替わり”で現れる時代、すべてを自力でキャッチアップするのは難しい——だからこそ、選び抜く知見が価値になる。そんな現場目線のリアルが明快でした。
話題は森川さん自身の“原点”にも及びます。プレイステーション黎明期、まだAIがSFの単語として語られていた時代に、機械学習を用いた育成・会話系のゲームを実装。スペックも資料も乏しいなか、誰より先に「これからのゲームにAIは必要だ」と言い切って走った。しかし当時はその革新性が十分に理解されず、インタビューでもAIの要素はしばしばカットされた、と森川さんは苦笑交じりに回想。十の事実を書くには百を知る——徹底した学びと実装で切り拓いてきた先駆者の矜持がにじみます。
一方で、現在の熱はまさに“再点火”。2016~17年の技術ブレイクスルー以降、会話・生成・理解の精度が飛躍し、ゲーム表現の地平が一挙に広がったとのこと。収録直前にも大手モデルの大規模アップデートがあり、画像生成の実用度が一段跳ね上がったという生々しい現場トークも。「昨日まで“使えない”と言っていたツールが、翌朝から制作スピードを一気に上げる」——このスピード感こそ今のAI時代の本質であり、クリエイターにとっては“探して、試して、ハマる”楽しさでもある、と森川さんは語ります。
さらに盛り上がったのは「人材」の話。楽器や声の才能がなくてもDTMで音楽が作れるようになったように、ゲームづくりも“ゲーム心”さえあれば誰もが参入できる時代になる、と森川さん。医療・教育・地域など異分野の専門家が、少人数・低コストでプロトタイプを作り、ユーザーに直接届けられる——そんな民主化が進むと、これまで“予算の壁”で埋もれてきた着想が一気に花開く可能性がある。ゲームは総合芸術です。設計・物語・インタラクションの“面白さの核”を理解する心——それが“ゲーム心”。この言葉に、FROGMANさんと花奈澪さんも深く頷きます。
もちろん、AIが「なんでも解決」するわけではありません。森川さんは、洪水のように現れる技術やツールから“目的に合うもの”を選ぶ設計力、そして実装・運用に耐える地道な検証の重要性を繰り返し強調。最新を追うだけでなく、ゲームの文脈やユーザー体験にきちんと落とし込む編集力こそが勝負どころ——その姿勢は、番組が掲げる「AIで世界征服(=世界を良くするための大作戦)」に、ぴたりと重なります。
終盤、スタジオでは番組恒例の“AIソング”制作も。歌詞はChatGPT、作曲は生成系ツールという、まさにAI×エンタメのライブデモ。人の創意とAIの計算が交わるところに、不意に“温度”が宿る瞬間がある——出来たばかりの楽曲を前に、森川さんの「もう人力の作曲と区別がつかない時代が来た」という言葉は決して危惧ではなく、創造手段の拡張として響きました。
まとめ
・ゲーム業界は“4年遅れ”で潮目が来る——今まさにAI実装の本番期に突入。
・乱立するツールは「AIソムリエ」的視点で選ぶ。技術の“編集”が価値。
・“ゲーム心”があれば、異分野の人もゲーム制作に参入できる民主化の時代へ。
・先駆者としての経験と、現在進行形のアップデートが交差する臨場感。
AIは魔法ではなく、設計・実装・検証の積み重ねで初めて体験になる——森川幸人さんの言葉と実践は、そのことを誰よりも具体的に教えてくれます。次のゲームの扉を開ける鍵は、あなたの中の“ゲーム心”。その小さな衝動を、今日からAIと一緒に動かしてみませんか。
※本編で語りきれなかった内容はポッドキャスト版でも配信中。番組ページ「鷹の爪団の人工知能ちょっと来い」をチェックして聴いてください。ハッシュタグ #人工知能ちょっと来い への感想もお待ちしています。
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- 频率一周一更
- 发布时间2025年9月11日 UTC 12:54
- 长度26 分钟