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EP#101 企業を支えることばの力

トヨタ自動車は昨年度(2023年度)1年間のグループ全体の決算で、本業のもうけを示す営業利益が5兆3500億円余りとなり、日本の上場企業で初めて5兆円を超えたそうです。 売り上げにあたる営業収益は、前の年度から21.4%増えて45兆953億円となり、過去最高を更新したんですって。すごいですね円安の利益があったとはいえ、ハイブリッド車を中心に販売が好調だったんだそうです。このトヨタ自動車の会社で使われてきたことばが、ビジネス用語になったものがいくつかあるんです。 その一つに「カイゼン」ということばがあります。漢字の「改善」という言葉では、「悪い部分を良くする」という意味です。それに対して、トヨタではカタカナの「カイゼン」に「現状を満足せず、今よりもっと良くする」という意味を持たせているんだそうです。自ら課題を認識し、自ら対策を考え、改善していくということなんですね。このことばはローマ字表記として、「KAIZEN」として世界的にも活用されています。 もう一つが「乾いた雑巾を絞る」です。これは、徹底的に無駄を省いて収益につなげるという意味で使われています。すごいですよね。問題が起こったときに「なぜを5回繰り返す」と言うのもあります。「なぜ」を5回繰り返して突き詰めて分析していけば、間違いの本質にたどり着くというんです。現場の責任者が泣き出すと言われるほどだそうです。これを「5WHY分析」と言ったりするんです。 「見える化」ということばです。「システムを見える化する」というように、ビジネス用語として「見える化」というふうに使うでしょ。手元にある三省堂国語辞典第8版にも、「情報を、だれにでもわかる具体的な形にして示すこと」「何かが行われているかが、だれにでも、わかるようにする」という語釈が載っています。 生産現場で何か問題が起こったら、誰にでも一目でもわかるようにして、問題解決につなげる」という意味で、1960年代には、使われていたようです。それが2000年代に入って、一般的に使われるようになったんですね。同じような言葉に「可視化」というのがありますが、それよりも「見える」ということばを使った方が、より具体的に感じますもんね。 まさに、パナソニックの創業者松下幸之助のことばもそうですが、ことばが会社をつくる典型だと思います。優れた企業は、ことばを活かして、ことばに活かされているんだとつくづく思います。 ◇◇◇ 『伝わる文章がすぐ書ける 接続詞のコツ』(前田安正著、すばる舎)が好評発売中です。 また、『注意ワード・ポイントを押さえれば文章は簡単に直せる』(前田安正著、東京堂出版)です。絶賛発売中です。 Amazonなどでお買いも求めいただけます。 ◇◇◇ 「ことばランド」では、取り上げてほしい「ことばの疑問」や感想をお待ちしています。お便りフォームからお願いします。 ↓ ↓ ↓ https://forms.gle/v4CNrTaroSPYuMgj6 未來交創(前田安正)HP https://kotoba-design.jp/ 江川みどりHP https://www.midori-egawa.com/