いただいたトピックは、米国時間10月12〜13日にかけて一気に緊張が高まった米中通商の動きです。発端は、中国がレアアースの輸出管理を正当化しつつ引き締めたこと。これに対しトランプ大統領が「中国からの輸入に追加で100%関税も辞さない」と強硬姿勢を打ち出し、中国商務省は「米国が実行すれば断固報復する」と応酬しました。市場は敏感に反応し、アジア株は急落する場面も見られました。
今回のエスカレーションには“伏線”があります。米国は9月末、制裁指定企業の子会社(50%以上保有)にも自動的に規制を及ぼす新ルールを導入し、対中の輸出管理を実質的に拡大しました。中国側も9月下旬に米企業の一部を輸出管理・信頼できない実体リストに追加。双方が制度面の締め付けを強める中で、関税カードが再び前面に出た格好です。
テック企業をめぐる“点の衝突”も増えています。中国は10月10日にクアルコムのAutotalks買収に独禁調査を開始。米側の輸出管理強化と鏡写しのように、個別案件へ圧力が波及しています。トランプ政権の対中方針は強硬と同時に、発言のトーンを抑える場面も混在しており、交渉余地を残しつつレバレッジを高める狙いが透けて見えます。
レアアースはAI・半導体・EVモーターなどIT・製造の“見えない血液”です。中国は採掘・精錬で支配的地位を持ち、輸出規制はサプライチェーン全体に波紋を広げます。米国は内製化や同盟調達を急いでいますが、短期での完全代替は難しいのが実情。ゆえに100%関税という“価格ショック”と、レアアースという“供給ショック”が同時に走ると、企業の在庫・原価・販売計画は一気に組み替えを迫られます。
この先を読み解くカギは三つ。第一に、両政府が示した措置の実施時期です。多くは11月初旬までの“発効前”にあり、駆け込み協議の余地が残る点。第二に、制裁と関税の“対象設計”。米側の子会社ルールや中国側の個別企業対応は、サプライチェーンのボトルネックをピンポイントで突く設計になっています。第三に、市場のセンチメント管理。大統領は「心配するな」と火消しも試みており、強硬と緩和の往復で交渉力を維持する構図が続きそうです。
実務面では、テック企業は代替資源の確保、在庫ヘッジ、設計変更の三本立てで“揺れ”に備える局面です。半導体・電子部品のBOM見直し、磁性材料や触媒での代替サプライヤー開拓、そして対中売上比率の高い企業は中国側の審査・規制リスクを前提にM&Aやアライアンスのタイムラインを再設計する必要があります。足元の相場変動は短期的ショックでも、交渉の行方いかんでは“構造変化”に発展しうる──そんな緊張をはらんだ局面と言えるでしょう。
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- ЧастотаЕженедельно
- Опубликовано15 октября 2025 г. в 22:00 UTC
- Длительность4 мин.
- Сезон1
- Выпуск637
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