
Ep.664 Google「Earth AI」アップデート──Geminiの地理空間“推論”で、地球観測が仕事に直結する日(2025年10月30日配信)
10月23日、Googleは「Earth AI」の大幅アップデートを発表しました。核となるのは“Geospatial Reasoning”。気象・人口・環境・衛星画像といった複数の基盤モデルをGeminiが段取り良く呼び分け、脆弱な地域や被害リスク、対策優先度まで一続きに導き出します。洪水・山火事・サイクロン・大気質の予測モデル群と組み合わせ、SearchやMapsの危機情報にも既に活用されていると説明。洪水予測は「20億人超」をカバーし、2025年のカリフォルニア山火事ではロサンゼルスの1,500万人に避難所情報などを配信したと振り返りました。
実務での“入口”も拡がります。Google Earthの有料プラン(Professional/Professional Advanced)に、衛星画像からの物体検出やパターン発見を対話で実行できる新機能が数週間以内に米国で提供開始。加えて、米国内のGoogle AI Pro/Ultra契約者は本日からEarth内のGemini機能を高リミットで使えるようになります。都市計画や水資源管理では、干上がった河川の自動検出や有害藻類ブルームの早期把握など、現場の判断を前倒しする具体例が示されました。
クラウド側では、画像(Imagery)、人口(Population)、環境(Environment)の各モデルをTrusted Testerに直接開放。企業はBigQueryやVertex AIと連携し、自社データと地球観測モデルを突き合わせた“目的別パイプライン”を構築できます。Maps Platformの「Imagery Insights」とも併用でき、インフラ管理や災害モニタリングの運用に落とし込みやすくなりました。
研究アップデートも濃い内容です。リモートセンシング向けの新ビジョンモデル群(Remote Sensing Foundations)は、オープン語彙の物体検出とテキスト検索で複数ベンチマークのSOTAを報告。人口モデル(Population Dynamics Foundations)は17カ国で統一埋め込みと“毎月の動態更新”に対応し、外部研究でも疫学予測の精度改善が示されたといいます。さらに、FEMAの自然災害リスク指標に対して、人口埋め込みとAlphaEarthの地形・被覆特徴を“融合”することでR²が平均11%向上したという評価も公開されました。
では“推論エージェント”はどう動くのか。Geospatial Reasoningの技術解説では、ユーザーの自然言語の問いをGeminiが分解し、Earth EngineやBigQuery、Maps Platform、Vertex AI Agent Engineを呼び出して段階的に解析する流れが明かされています。たとえばハリケーン対応なら、進路予測→人口・境界データの重ね合わせ→脆弱地区の抽出→衛星画像でのインフラ把握、といった多段処理を自動で連携させます。
“現場での使われ方”も具体的です。WHOアフリカ地域事務所はコンゴ民主共和国のコレラ多発地域の予測・対策にEarth AIの人口・環境モデルを利用。PlanetやAirbusは、日々の衛星画像をEarth AIで処理し、森林の違法伐採や送電線の植生侵入を検知。AlphabetのXのムーンショット「Bellwether」は、保険ブローカー向けにハリケーン予測の洞察提供を始めています。
総じて、今回の拡張は“地球を問えば、答えが返る”体験の実装段階入りを意味します。これまでは専門家が数週間かけてやっていたデータ収集・整備・GIS演算・モデル適用の工程を、Geminiが前段で束ねることで、意思決定の初動が分単位に圧縮されます。まず米国からの段階展開ではあるものの、Trusted TesterやCloud連携が広がれば、企業のサステナビリティ投資や自治体のレジリエンス施策が、“ダッシュボードから現場へ”と速やかに橋渡しされていくはずです。
信息
- 节目
- 频率一周一更
- 发布时间2025年10月29日 UTC 22:00
- 长度5 分钟
- 季1
- 单集664
- 分级儿童适宜