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EP#69 語彙は多い方がいい?「頑張る」の言い換えいくつ言えますか?

「語彙は多い方がいい?」「語彙を増やしたい」 ライティングセミナーの場で、こんな質問をよくいただきます。 語彙は少ないより多い方が表現力が増す、と考えている人も多いと思います。 その考えも一理あります。しかし、相手に通じないことばをいくら重ねても、理解は得られません。また、辞書を引いて見つけたことばであっても、使いこなせないものは、木に竹を接ぐようなもの。 たとえば「頑張る」の言い換えをいくつか見てみると、「努めます」「努力します」だと、少し軟らかめの表現になりますね。「精進します」「奮闘します」だと、やや硬い表現になり、正式な場で使われそうです。 「刻苦勉励」「精励恪勤」という四字熟語もあります。「刻苦勉励」は自らを苦しめてまで努力すること。「精励恪勤」はひたすら真面目に努力を重ねるという意味です。しかし「恪勤(かっきん)」を読めるは少ないかもしれません。 他にも「粉骨砕身」「骨を折る」「身を粉にする」「研鑽する」とか、「水火も辞せず」ということばもあります。「水火」は水におぼれ、火に焼かれるようなひどい苦しみのことで、いかなる困難、苦痛にも負けないという意味です。 こうしたことばを覚えること事態が悪いわけではありません。相手も同様の語彙を持っていないとことばは通じない、ということが問題なのです。 「頑張る」ということばのバリエーションを増やすこと以上に、どうやって頑張るか、どうして頑張らなければならないのか、を説明する表現力のほうが重要です。 あまり、語彙の多寡を意識せず、使えることばを自在に使えるようにした方が、文章力はあがると思います。   ◇◇◇ 『注意ワード・ポイントを押さえれば文章は簡単に直せる』(前田安正著、東京堂出版)です。絶賛発売中です。 Amazonなどでお買いも求めいただけます。 https://qr.paps.jp/7Ghyz   ◇◇◇ 「ことばランド」では、取り上げてほしい「ことばの疑問」や感想をお待ちしています。お便りフォームからお願いします。 ↓ ↓ ↓ https://forms.gle/v4CNrTaroSPYuMgj6 未來交創(前田安正)HP https://kotoba-design.jp/ 江川みどりHP https://www.midori-egawa.com/