アワノトモキの「読書の時間」

粟野友樹,星野良太,Work-Teller

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

  1. 23 OCT

    ep47-2 「強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考」井上慎平さん/弱いまま今を生きるには?

    <今回の選書>『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考』(井上慎平/ダイヤモンド社) どうもホシノです。今回は、NewsPicksパブリッシングの創刊編集長を務めた井上慎平さんの新著『弱さ考』を取り上げます。見せていい弱さ/見せちゃいけない弱さ”の線引きを雑談しつつ、本論へ。 本編では、著者のキーワードをたたき台に議論。 弱さ=自分をコントロールできない/社会のルールに合わせられない状態 強さ=場に合わせて自分を変えられる力 優秀さ=内側の限界を把握し、外部リソースを上手に配分・調整できること――という整理から、強い像への過剰適応がなぜ破綻を招くかを掘ります。 さらに、「バックキャストで最適化」の逆をいくアプローチにも注目。「詩人の目で見る」「戸惑いをそのまま伝える」「仕事以外の依存先を増やす」など、明日から試せる小さなハウをピックアップして、弱さを前提にした働き方の実験計画を語りました。 終盤は、著者が立ち上げたオンライン読書ゼミ「問い読」へも話題が展開。正解のない問いと対話を軸に「学びを体験化」する場で、共同創業者は元『ハーバード・ビジネス・レビュー』編集長の岩佐文夫さん。弱さを社会実装するための一つのフィールドとして位置づけます。 心理と実務を往復しながら、「つよい一択」の働き方を疑い直す回。ぜひお聴きください。

    25 min
  2. 9 OCT

    ep46-5「庭の話」宇野常寛さん/半透明の隠れ家とマイノリティの声

    「庭の話」宇野常寛さん どうもホシノです。前回に続き、宇野常寛さんが語る「庭」という概念を深掘りしました。 今回印象的だったのは、就労支援施設「ムジナの庭」の事例。そこでは障害を持つ人々が縫い物やジャム作りなどをしているのですが、職員と利用者の区別がつかないほど自然に共存し、「一人でいても孤立していない」場が生まれているといいます。宇野さんはそれを“半透明性”“開かれた隠れ家”と表現しました。 庭の特徴は「話してもいい、話さなくてもいい」「いてもいいし、いなくてもいい」。学校やSNSのように序列や承認欲求に縛られることなく、作ることを通じて存在を肯定できる場所――それがプラットフォーム資本主義の中で必要だと指摘します。 番組後半では、文フリ参加や出版サークルの営みを例に、「作る動機づけ」と庭的な場の共通点を語り合いました。また、宇野さんが示すマイノリティ視点の重要性、さらには『同感と距離感の練習』や『暇と退屈の倫理学』との対話的な批評にも触れ、多角的な読み解きを展開しています。 概念的でありながら、実在の場所や実践と結びつけることで立ち上がる「庭」のイメージ。マジョリティに埋もれがちな声をどうすくい上げるかという問いとともに、今回の一冊を味わいました。ぜひお聴きください。

    17 min
  3. 2 OCT

    ep46-4「庭の話」宇野常寛さん/誰もがお隣にお醤油を借りられるわけじゃないから

    「オルタナティブな庭」宇野常寛さん どうもホシノです。今回の読書の時間では、アワノさんに批評家・宇野常寛さんの「庭」の思想を取り上げてもらいました。オタク文化や自身の経験を背景に「プラットフォーム資本主義の只中でどう生きるか」を問う一冊です。 宇野さんが提案する「庭」とは、SNSの承認やコミュニティの序列に縛られず、個人が生きられるオルタナティブな場所。その条件は4つ①人間以外のものと関わる場、②外部に開かれていること、③人が支配できないこと、④制作に動機づけられること。銭湯・小杉湯や就労支援施設「ムジナの庭」など、現実の場にもその萌芽を見いだせるといいます。 番組内では「ブックオフ」の例を通じて、閉じた論理や序列に縛られない“開かれた場”のあり方を考察。また、「助け合い」や「理想的コミュニティ」の裏で生まれる排除の構造にも触れつつ、資本主義とどう折り合うかを語りました。 資本主義を否定するのではなく、対等な関係を保ちながら個人が安心して存在できる回路=庭をどう持つか。通路のように心を解放するその概念を、河合隼雄さんの「子どもの宇宙」で語られた「秘密」「通路」と響き合わせながら読み解いています。ぜひお聴きください。

    27 min
  4. 25 SEP

    ep46-3「子どもの宇宙」(河合隼雄さん)/絶対的な世界と相対的な世界をつなぐる通路

    「子どもの宇宙」(河合隼雄さん) どうもホシノです。今回も河合隼雄さんの『子どもの宇宙』を取り上げます。前回に続き、児童文学や心理学の視点から「子どもの心の力」をどう読み解くかを語りました。 本書の中で印象的なのは、「絶対的な世界」と「相対的な世界」という対比。子どもは「ありのままの自分を見てほしい」という絶対的な世界に生き、大人は相対的な評価の世界に身を置いている。そのずれが心をすれ違わせ、子どもの力を損なってしまう危うさを河合さんは指摘します。 さらに、その二つをつなぐ「通路」という概念も登場します。児童文学『トムは真夜中の庭で』に描かれる扉や、動物との出会いなど、物語の中に通路は繰り返し現れます。異なる世界を行き来しながら心を癒し、関係を築くために必要な媒介。その意味を日常の育児や対話にどう活かせるのかを考えました。 後半では、子どもが異性に惹かれていく過程や「父なるもの」との衝突・克服が成長にどう関わるかにも触れ、普遍的な心理発達のプロセスに思いを巡らせます。育児における「待てない社会」とのギャップ、そして大人の役割を見直すきっかけとなる一冊。ぜひ耳を傾けてみてください

    19 min
  5. 17 SEP

    ep46-2「子どもの宇宙」河合隼雄さん/子どもが持っている力と、待てない社会

    「子どもの宇宙」(河合隼雄さん) どうもホシノです。今回は河合隼雄さんの『子どもの宇宙』を取り上げます。アワノさんも学生時代に読んだことがあるというこの名著。児童文学やカウンセリング事例を通じて「子どもの心が持つ力」を描き出す一冊を、今あらためて読む意味を語り合います。 番組冒頭では、小学生が書いた詩を紹介。「神様は嬉しいことも悲しいことも皆見ています――」という言葉に、子どもの世界認識の鋭さを見いだす河合さんの視点に触れます。また「大人はみんな同じことを言う」と観察する子どもの目線から、大人がステレオタイプに陥ってしまう構造についても。 さらに、本書のテーマのひとつ「秘密」について深掘り。子どもが秘密を持つことがアイデンティティ形成につながるという指摘や、児童文学の古典(?)『クローディアの秘密』を題材にした解釈を紹介。養子の事例や、情緒不安定な子どもへのカウンセリングの逸話を通して、「秘密を暴くのではなく、寄り添い、共有できる世界をつくること」の重要性を話します。 後半では、子ども自身が世界をつくっていく力、大人が待てずに急かしてしまう「待てない社会」とのギャップに話題が広がり、次回への布石としました。心理学の古典を通して、子どもと大人の心のあり方を見つめ直す回。ぜひお聴きください。

    24 min
  6. 11 SEP

    ep46-1「子どもの宇宙」「庭の話」/夏の家族時間と限界突破の野外研修

    ・「子どもの宇宙」(河合隼雄さん) ・「庭の話」(宇野常寛さん) こんにちは、ホシノです。今回も近況トークからスタートしております。アワノさんは中高生・大学生を連れた野外研修の指導者として山や川を縦走、テントや食料を背負って挑む「限界突破の体験」を話していました。「葛藤に出会わざるを得ない」過酷な環境での出来事、参加者の顔つきの変化、そして日常に戻ったときのギャップなど、研修現場ならではのリアルを感じたきたそう。 一方ホシノはといえば、家族と過ごした熱海での思い出。波に揉まれて海を怖がった息子が、仁王立ちで30分海を見つめ、やがて波に入っていく姿。でも最終的には「流れるプール愛」に目覚めてしまったのでした。 そして本題、今回の選書紹介へ。ホシノのピックアップは河合隼雄さん『子どもの宇宙』。知識やスキル本に疲れたときにこそ沁みる、心理の根っこに迫る温かい視点を語ります。 アワノさんは宇野常寛さん『庭の話』。SNSやコミュニティに振り回される現代において「自分の庭」をつくるという比喩の力強さに共感し、その独特な語り口の魅力を伝えます。 次回はまずはホシノによる「子どもの宇宙」話から始めて参ります!

    19 min

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「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

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