<今回の選書>
・『モモ』(ミヒャエル・エンデ)
こんにちは、ホシノです。今回はアワノさんに聞いてもらいながら、エンデ『モモ』の話をもう少し。
読み返してみると、「こんなに巧く作られていたんだ…」と驚くほど構成もキャラクターも練られていて、どこか村上春樹作品の空気とつながるような物語感も感じました。
大きなテーマはもちろん「時間」なのですが、それ以外にも気づくものがあった気がします。
効率化や生産性ばかりを追いかけて、いつの間にか自分の時間を失っていく。そんな現代の光景にそのまま重なる描写が多くて、50年前の物語とは思えないほど普遍的です。
今回、特に面白かったのは「モモの特技」。
彼女は料理が上手いわけでも、面白い話をするわけでもない。ただ聞く
それだけで町の人が次々と訪ねてきて、話すうちに本来の自分が戻ってきたり、仲直りができたり、創作意欲が湧いたりする。
物語のなかで語られる 「人のために時間を使う」 という行為と、聞くという行為がだんだんと結びついていきます。
カウンセリングの理論や、いま語られる「傾聴」の文脈とはまた違う、もっと素朴で、もっと人間的な庶民の知として描かれる聞く力。その原石のような感じが、モモという存在の魅力にもつながっているのかなと話しました。
後半では、「聞くことは幸せなのか?」「相手に本音を引き出すとはどういうことか」など、現代のコミュニケーションに置き換えて考えられるポイントもいくつか登場します。
次回は、この「聞く」というテーマをもう少し派生させて、お互いの経験や理論を交えつつ話していきます。どうぞお楽しみに。
Información
- Programa
- FrecuenciaCada semana
- Publicado27 de noviembre de 2025, 9:53 a.m. UTC
- Duración16 min
- ClasificaciónApto
