FRBは今回の利下げ発表とその先の追加利下げにより米国景気がわずかに過熱しても構わないと考えているようです。このことが欧州債券市場にとって予想外の支えとなる可能性について、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが解説します。
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トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
今回は弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが登壇し、FRBが景気の過熱をいとわない様子であることと、これが米国外の債券市場を支える可能性について解説します。
このエピソードは9月19日 にロンドンにて収録されたものです。
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FRBは今週、金利誘導目標を0.25%引き下げ、追加利下げの実施を示唆しました。は失業率が低く、インフレが高止まりしているにもかかわらず、FRBは利下げして景気を支えようとしています。
FRBがこれを正当化するのは、労働市場が今後軟化し始める可能性があるためです。このため、今は景気の支えを増やす方がよいとの考えです。たとえそれによってインフレ率が多少上昇し、多少長く続いたとしてもです。実際、FRBの景気見通しは景気が若干過熱する方がましだとの考えを裏づけています。直近のFRBは以前と比べて今後の経済成長率とインフレ率を高く、失業率を低く見積もっています。しかし、それにもかかわらず、以前よりも速いペースでの利下げを予想しています。
労働市場が実際に弱まり始めた場合、そしてそれがすぐに起きた場合、短期的な支えを増やす方向に舵を切ったFRBの判断は実に正しいといえます。しかし、成長が続いた場合は、その背景を考える必要があります。現在、銀行貸出の伸びは加速し、インフレは高止まりし、政府債務は膨らみ、株式のバリュエーションはおよそ約30年ぶりの高水準で、信用スプレッドはおよそ約30年ぶりの低水準です。そして今、FRBは立て続けに利下げしようとしています。そうなれば状況はあっという間に過熱するように思えます。
大西洋の向こう側の諸国が必ずしもFRBと同じ戦略をとらないことにも注意すべきです。英国とユーロ圏も労働市場の軟化とインフレ目標の超過に直面しています。しかし、これら諸国の中央銀行はもっと慎重な姿勢をとっており、少なくとも当面は金利を据え置く意向です。
FRBがインフレに寛容だと米ドルにとってはマイナスだと思われ、私の同僚は向こう12ヵ月でドルがユーロ、ポンド、円に対して大幅に下落すると予想しています。クレジットについては適度を好む資産であるため、米国景気が過熱しすぎるか、冷え込みすぎるか、2つのシナリオの間に置かれつつあることが問題です。
では、このふたつを合わせてみましょう。米国の投資家が単純に欧州債券を買ったならどうでしょうか。
欧州市場は過熱しすぎる、あるいは冷え込みすぎるといった大きなリスクにはそれほど傾いていないように思えます。インフレに直面してもより慎重に対応する中央銀行が支える通貨への投資となります。欧州の投資適格債の利回りは3%程度で、弊社の予想ではユーロは来年対ドルでおよそ約7%上昇する見込みであることから、一見眠っているような市場がドル換算で10%近いリターンを生む可能性があります。
米国の投資家は為替をヘッジしないようにしてください。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
정보
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- 주기매일 업데이트
- 발행일2025년 9월 19일 오전 7:00 UTC
- 길이5분
- 에피소드121
- 등급전체 연령 사용가