ブックカタリスト

goryugo

面白かった本について語るポッドキャスト&ニュースレターです。1冊の本が触媒となって、そこからどんどん「面白い本」が増えていく。そんな本の楽しみ方を考えていきます。 bookcatalyst.substack.com

  1. 3d ago

    BC141『置き配的』と『「手に負えない」を編みなおす』

    2冊テーマシリーズの第二弾です(第一回は以下)。 今回は、福尾匠さんの『置き配的』と友田とんさんの『「手に負えない」を編みなおす』の二冊を紹介しつつ、そこにある共通的なテーマを取り上げてみました。 プラットフォームが前提の社会において 収録時に参照したメモは以下に置いてあるので、書誌情報などはそちらでご確認ください。 ◇ブックカタリストBC141用メモ | 倉下忠憲の発想工房 私たちは、プラットフォームが前提の社会に生きています。SNS的言論空間だけでなく、ITサービスそのものが全般的にその方向に進んでいます。企業が作った土俵の上で生活しているといっても過言ではありません。 その上で、言論的空間のプラットフォームは私たちにある傾向を持たせようとします。プラットフォームにとって「好ましい」立ち振る舞いをそれとなくするように環境設計するのです。 はっきりそれをしろ、と命令するまでもありません。”適切”な報酬を見つけ出し、効果的なUIを構築すれば、ユーザーは自ずからそうした行動をとるようになります。大量のA/Bテストと、私たちの即時のフィードバックが「どんな機能が誘導において有効か」という問題を進化論的に解決してしまうのです。 BC034『啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために』 で「外部足場」という概念を紹介しましたが、そうした外部環境は自らを好ましい方向に拡張していくためだけに機能するものではなく、ある種のデバフ的効果も持ちえるものです。 だからこそ、私たちは何かしらの「対抗策」を持っておいた方がいい。 SNSをまったく使わなくても話はかわりません。私たちの身の回りは重商主義ならぬ重消費主義で満ちあふれていて、物事の価値や意義が経済性のみで測られます。私たちが社会=関係の中で生きていく以上、仮に自分がだけがそうした刺激から解放されたとしても、この社会の有り様はぜんぜん変わらないのです。 もちろん、そんな大きな問題を快刀乱麻に解決できるはずがありません。だからといって、何をしても無駄、ということはないでしょう。きっと手に負えないけども、手当てくらいはできる、ということがあるはずです。 別にそうしたプラットフォーマーを悪だと断じる必要はないのです(そもそも、その物の見方はあまりにも単純です)。それよりも日常に向ける目線、自分が感じる価値を多様に構築していく。それで人々の日常生活が少しでも変わるなら、まわりまわりまわりまわりまわりまわって、やや大きな何かが変わるかもしれません。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

    57 min
  2. May 19

    BC139『ケアと編集』と『遊びと利他』

    今回から2冊テーマシリーズを始めます。第一回は、『ケアと編集』と『遊びと利他』の二冊を取り上げます。 二冊テーマシリーズとは “二冊テーマシリーズ”は、一見異なる二冊の本から共通的なものを取り出そうという試みです。読書の醍醐味の一つです。 そうした「取り出し」を行うには、まず本の外側に立つ必要があります。本の中に閉じこめられていると「その本」しか目にはいりません。そうではなく、より広い視野で本を捉え、位置づけること。 ただし、手前勝手に位置づけるのは厳禁です。読むときは本の世界に入り込み、読み終えた後でその外に出て考える。言い換えれば、一人の著者が言わんとしていることを捉え、また別の著者の言わんとしていることを捉え、その二つを呼応させる。そういうアプローチです。 もちろん、誰がどう見ても同じこと言っているよね、という二冊を取り上げても面白みはありません。かといってどれだけ言葉を尽くされてもその二つがつながっていると理解できないものは受容はされないでしょう。 「一見すると」遠いような、しかし読んでみると納得できる程度の距離感を見つけるのが書き手・語り手としての腕の見せ所です。 入れ子状の構造 といったことが、知的に面白いのだよ、と示す為にまさにそういうことを行っている二冊を今回は取り上げました。それが『ケアと編集』と『遊びと利他』です。 タイトルが示すように、それぞれ「ケアと編集」と「遊びと利他」のつながりを示している本です。つまり、一見すると異なるトピックが結び合わされています。 そのような本二冊から共通するテーマを取り出そうとする、という入れ子状の構造になっています。 (文字で書いて説明していても、こんがらがってきますね) 意図・意志・支配・管理・効率…… 実際どんな風に語って、要素を取り出しているのかは本編をお聴きいただくとして、重要なのは単一の主体の「思った通りにする」ことの貧しさです。 私がある種の自己啓発に拒否感を覚えるのはこの点で、「思考が現実化する」ことが嬉しいことのように語られることがあるわけですが、自分の思考ってバイアスだらけで、ろくな想像力をしていないわけですから、その通りになるのは現実を「自分の思考の枠組み」に抑えこむのに等しいのです。ぜんぜん嬉しくありませんね。 でもってこれは、強引にたとえるならば、「単一意志の独裁政権」と言えます。独裁政権がヤバイことが直観的に理解できるなら、単一意志の思い通りになる(思い通りにしかなっていない)ことのヤバさもイメージできるかもしれません。 でもって、独裁政権はある観点で言えば、圧倒的に効率が良いのです。だって、トップが決めたら、他の誰も口を挟むことはできません。会議も打ち合わせも根回しも妥協もいらないのです。それが最高効率を実現させるのだとしても、長期的にみてそれでいいと言えるのかどうかはちょっと考えた方がよいでしょう。 管理や効率は、部分的に効いているならばうまく働いてくれます。でも、それが全体を支配し、「それって変じゃないですか」と誰も言わなくなったら、危険度が増します。 倉下は片方では、そのような効率化への工夫を好んでいますが、もう片方ではそのようなものが支配的になることへの警戒感を持っています。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

    1h 8m
  3. BC137 薄い本を読む

    Apr 21

    BC137 薄い本を読む

    今回は、「薄い本を読む」をテーマに、読書初心者向きのレーベル・シリーズを紹介しました。ちなみに、135回の続きのつもりです。 知的好奇心、あるいは知的背伸びとして、難しい本に取り組むのもよいと思います。一方で、それが無理そうならばぐっと簡単な本に手を伸ばすのも懸命な判断です。初心者だから薄い本から読むべしという規範ではなく、「まあ、こういう本から手に取ってみてもいいんではないでしょうか」という提案として聴いてもらえればと思います。人間はその二つをジグザグに進みながら、”読書技能”を高めていくものです。 名前を挙げたレーベル・シリーズについては、以下のページでテキストとしてまとまっていますのでご興味あればご覧ください。 ◇BC137メモ 薄い本を読む | 倉下忠憲の発想工房 ちなみに、水声社さんの本はAmazonでは買えないので、書店か公式のサイトからどうぞ。 倉下流読書理論 第135回と今回は、「倉下流読書理論」の構成素材について少し語っています。本をどう読むのか、という話ですね。 その「理論」は、一冊一冊の本をどう読解していくのかというレイヤーと、複数の本をどう渡り歩いていくのかというレイヤーの二層で構成されていて、それぞれがお互いに影響を与え合っているのがポイントです。 また、「何のために本を読むのか」という目的論的分析も欠かせません。そう考えると、読書のノウハウって存外に複雑です。 どこかの時点で、そういった話を一冊の本にまとめたいとも考えております。請うご期待。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

    1h 6m
  4. Mar 24

    BC135 難解な本を読む技術

    今回は倉下が、『難解な本を読む技術 (光文社新書 406)』と『難しい本を読むためには (ちくまプリマー新書)』の二冊のさわりを紹介しながら、難しい本を読むときのポイントを確認しました。 本を読むことの多様さを捉えたい 本編でも触れましたが、最近の倉下のテーマは”「本を読むことの多様さ」を語りたい”です。 読書についてさまざまな言説があるわけですが、そのどれか一つが正解なのだと特権化するのではなく、そのようなさまざまな人と本との関係の総体こそが「読書」という営みなんだ、と言いたいわけです。 その上で、じゃあ自分はどんな風に本との関係を結んでいこうかと考えることができればバッチリですね。 でもって、それぞれの関係にズームすればそこまでややこしい話にはなりません。個別の読み方において安定的なスタイルは確認できます。一方で、別の関係を覗いてみるとそれとはぜんぜん違うスタイルが実践されていて、その二つが相反することも珍しくないのです。 その意味で、そこに広がっているのは「読書の多様体」だと言えるでしょう。全体そのものはとても複雑で、でも局所化すればある程度平易な説明が可能である。そういう見立てです。 というわけで、今回は多様な読書のうち、「自分の身の丈を少しだけ越えている本」を読むための技法を紹介している二冊の本を中心に紹介しました。 どちらもきわめて実践的な内容で、「自分の身の丈を少しだけ越えている本」(長いので「背伸びする本」と呼びましょう)を読むときの大きな助けになってくれると思います。それぞれの本は、もちろん読みやすく書かれているので、初心者読書家にも安心です。 それぞれの読書にあった方法で 結局のところ、「一読してわかる本」を読むのと同じスタイルで「背伸びする本」を読んでもうまくわからないのは当然です。別に頭が悪いわけでも、読書が苦手なわけでもありません。適切な方法に習熟していないだけ。 もちろん方法に習熟すれば、すべての読みが可能になるというものではありません。つまり、どんな本でもすらすらと「わかる」ようにはなったりしません。単にそれに合った「読み方」が可能になる、ということです。 手持ちの読み方が限られていると、「一読してわかるように書かれた本」しか楽しむことができません。これは、趣味としての読書を考えてもちょっと寂しい感じがします。教養を得るためとか、正確に原典を理解するためとかではなく、読書という行為の楽しみを広げる意味でも、いろいろな読み方ができるといいな、と思います。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

    1h 7m
  5. BC134 アメリカの文化と歴史を過去から現代まで

    Mar 10

    BC134 アメリカの文化と歴史を過去から現代まで

    面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。 今回は「アメリカ」について語りました。 今回は、2026年最初のBC131 短歌を学ぶで倉下さんが実践していた「複数冊の本を横断して語る」というスタイルに影響を受け「ごりゅごが好きor興味を持ったアメリカの文化」をテーマに3つのコンテンツを繋げて語りました。 今回のトピック * 反知性主義(森本あんり著): トランプ支持層の背景にもある「知性と権威の癒着への反抗」。アメリカ建国以前から続く、不安を癒やす装置としての特殊な宗教観と「リバイバリズム(信仰復興)」の波が、いかにアメリカ人の行動原理になっているか。 * はじめてのアメリカ音楽史(J・M・バーダマン、里中哲彦著): 奴隷労働から生まれたワークソングや黒人教会の音楽が、ラジオと電化という技術変化を経て、いかに「フォーマット」として統一され、世界的なポップ・ロックへと進化したか。 * 2026年スーパーボウル: 最新のハーフタイムショー(Bad Bunny)に見る、アメリカ文化の変節点。全編スペイン語のパフォーマンス、演出の「スマホ・メディア前提」へのシフト、そしてプエルトリコという政治的背景を背負った強烈なメッセージ性。 1冊を深掘りするのとはまた違う、「無理やりに関連性を見つけ出し、一つの文脈として立ち上げる」楽しさを詰め込んだ回です。 今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 参考資料・リンク * 書籍: * 反知性主義――アメリカの正体 (新潮選書) * はじめてのアメリカ音楽史 (ちくま新書) * 配信: コテンラジオ「リンカーン編」 (話の前提としてお勧めしたシリーズ) * 動画: Bad Bunny | Super Bowl 60 Halftime Show 関連エピソード * BC131 短歌を学ぶ * BC132 音と脳 (「聞くこと」の歴史的な深さなどに触れた回) This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

    1h 11m

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