路上にサンタナ

路上にサンタナ

音を拾い続けながら、街を練り歩いています。 音と文章で、よりその街の空気感を立体的に表現できたら…なんて思ってます。 街録だけでなく、インタビューや動物の鳴き声の特集もやりたい。 街歩き/散歩/路上/紀行/フィールドレコーディング / サウンドスケープ /街録/インタビュー/日本列島聴きくらべ instagram: https://www.instagram.com/lalala_magistral/ twitter: https://twitter.com/santanaonST

Episodes

  1. 【音で巡る再開発】次なる夢は大阪万博。夢の島に響く音は。

    12/05/2023

    【音で巡る再開発】次なる夢は大阪万博。夢の島に響く音は。

    夢の島は、あまりにも長く放置されていた。 もともとはゴミを使って埋め立てた島だった。 ゴミでつくった島をあえて夢洲という。 どこか皮肉が効いていて、逆に未来を感じさせさえする、いいネーミングだと思う。 でも、ここから夢洲の「夢」探しは困難を極めた。 最初は、ベイエリアの新都心として整備が計画された。 しかし、バブルの崩壊でその計画は頓挫。 次なる夢は、オリンピックに求めた。 いかにも夢らしい。 でも、北京に負けた。 夢はまたしても頓挫した。 そして、今。 新たな夢を万博と、その後のカジノに定め、計画が進行している。 「東京がまたオリンピックやるなら、大阪はやっぱり万博しかないやろ!」 わかりやすい夢の求め方だった。 でもかつて、千里の山の麓では花開いた夢が、大阪湾ではその強風にあおられて、吹き飛びそうになっている。 無理もない。 かつての夢は今の夢ではない。 夢洲はそんな今はなき幻の夢を、背負わされそうになっている。 夢洲をその名の通り、夢の島とするために。 真夏の盛り、突き刺すような日差しをあきらめ加減で受け入れながら、夢洲の隣の舞洲に向かった。 夏を代表する音楽フェスがやっていて、とても賑やかだった。 どこまで行っても、その音が追いかけてきた。 音から逃れきれずにたどり着いた先では、大勢の人がのんびりと釣りをしていた。 対岸の夢の島を眺めながら、とてもよく釣れていた。 肝心の夢の島へ向かう歩道橋は、いまだに通行止めだった。 車以外で向かう術はなく、やむなくまたバスに乗り込んだ。 夢の島は建設作業の光景以外は何もない、だだっ広い場所だった。 あまりにもなにもない。 あまりにもなにもないので、その様子を車窓から眺めながら、海底トンネルをくぐって、さらに対岸のコスモスクエア駅に向かった。 コスモスクエアの駅から改めて対岸の夢の島を眺める。 夕日に照らされながら、大きなクレーンが何台も何台も並んでいた。 夢の島のさらにその先に視線を向けると、六甲山系を覆うように大きな雲の塊が、絶え間なく稲光を発していた。 その雨雲は、そのまま夢の島に向かっていった。 この音は、その時のものです。

    2 min
  2. 【音で巡る再開発】神宮外苑 ~垣根のない場所に、等しく響く音~

    09/30/2023

    【音で巡る再開発】神宮外苑 ~垣根のない場所に、等しく響く音~

    初めて来たときには、その意外な牧歌さをしみじみ感じていたと思う。 都心のど真ん中、いわゆる青山エリアにある神宮外苑。 そのまわりは大企業であったり、カーディーラーであったり、ブランドショップであったり。 用のある人はあるのだろうし、ない人はない。 何というか、「あちら側」と「こちら側」がはっきりと分かれてしまうようなエリアだ。 そんな中にありながら、外苑はすこし様子が違った。 軟式野球場では、試合前の練習を行うプロ野球選手と同じグラウンドで一般の人たちの草野球も行われていた。 そこにはプロ野球選手と草野球愛好家のあいだに垣根はなく、はたから見れば、ただ野球を好む人たちの一団のつどいだった。 そんなのどかさに、私は落ち着きを覚え、以来この場所を気に入っている。 そんな神宮外苑で再開発が進行しているのは、もう承知の通りかもしれない。 野球場とラグビー場の建て替えに加え、3棟の商業ビルの建設、そしてそれに伴う樹木伐採が大きな焦点となっている。 特に大規模な樹木の伐採計画が判明してからは、国内外から懸念の声が大きくなり、2023年9月末時点で、東京都が事業者に対し、伐採計画の見直しを求めている。 これだけ環境保護の気運が高まっているときに、都心の緑のシンボルのような木々を簡単に切ってしまおうというのは、やはり首をかしげざる得ないが、問題が複雑なのは、この土地を所有しているのが、都ではなく明治神宮であるという点だろう。 ただ、国家として神道を掲げ、「君民一体」の時代に国民の寄付等もあり整備された土地なのだから、単純に「いち神社のものだから」と切って捨てられるものでもない。 ある意味これも、「あちら側」と「こちら側」の垣根がなかった時代の遺産といえるかもしれない。 神宮球場での野球観戦前に、いつものように軟式野球場に立ち寄ってみた。 東京五輪前にすでに軟式野球場の一般利用は終了しており、この日はプロ選手の試合前練習も行われていなかった。 響くのは球場から聞こえてくるアナウンスと少し前から都心上空を飛ぶようになった飛行機のエンジン音、そして豊かな木々を住処にする鳥と蝉の声。 それでもこの場所の数年後を想像するには、事足りるだけの音々だった。

    2 min
  3. 【音で巡る再開発】日比谷公園~真夏の夕暮れ、蝉の声の背後で響く工事音~

    09/11/2023

    【音で巡る再開発】日比谷公園~真夏の夕暮れ、蝉の声の背後で響く工事音~

    東京のど真ん中、皇居のすぐ南側にある日比谷公園。 官公庁やオフィスに囲まれた土地柄、休日に家族連れでにぎわうというよりは、近隣で働く人や観光で訪れる人が静かに楽しむ公園といった感じだ。 今でこそ、そんな落ち着いた雰囲気の日比谷公園だが、意外にもその歴史は波乱に満ちている。 洋風公園の先駆けとして1903年に開園したが、そのすぐ2年後には、日露戦争の講和条約に不満を抱く市民たちが暴徒化し、日比谷焼打事件が発生する。 1923年の関東大震災発生後は仮設住宅の建設や犠牲者の仮埋葬が行われ、太平洋戦争中は食糧難をしのぐためにジャガイモの栽培も行われた。 戦後も市民運動の舞台になり、一方で野外音楽堂はコンサートの聖地にもなった。 紆余曲折を経て、今年開園120周年を迎えたその日比谷公園に、いま新たな変化が、そして新たな音が生まれ始めている。 10年後、開園130周年を迎える2033年までの予定で再整備が進行しているのだ。 この9月から本格的に工事が開始される予定とのこと。 再整備の一つの目玉は、公園の東側、いま帝国ホテルなどがあるエリアから日比谷通りを越えて橋が2本架けられ、そのエリアとの一体化が図られることにある。 今回のエピソードの工事音は、まさしくそのエリアで進むビル解体の音だ。 120年、この場所で生まれたであろう様々な音。 この工事音が導く先にある10年後の公園がどういうものかわからないが、蝉の声も人の声も遠慮なく自由に響く場所であり続けることを願う。

    4 min
  4. 【夜の界隈 一本録り】血が詰まる街・蒲田は、声が近くにあるところ

    07/30/2023

    【夜の界隈 一本録り】血が詰まる街・蒲田は、声が近くにあるところ

    ここは少し「血が詰まる」街なんだと思う。 心臓のポンプよろしく、日々大量の人を吸い取っては吐き出す東京。 人はまるで血液のようだ。 吸い取るのが朝だとすれば、夜は吐き出される時間。 東京の最南部、川を渡れば神奈川県というこの街にあっては、夜は、東京という心臓の外に送り出される寸前の人たちが集う場所といえる。 送り出される前の人は、よく出ていくのをためらうようだ。 「ちょっと一杯」と踏みとどまったり、その一杯がもう一杯、あと一杯と度を越えたら、そもそも出ていく術を失ったりもする。 雑多でありながら魅惑的な飲み屋が軒を連ねるこの街だからこそ、「血の流れ」は滞りがちなのだろう。 しかし、だからこそこの街は、人の声をとても近くに感じることができる。 「血の流れ」が速い場所では、その声をひとつのものとして、身近に感じることは難しい。 声がないわけではない。 速さと多さで声が増幅し、ひとつの大きな音のかたまりとなってしまうのだ。 でも、この街は「血の流れ」がゆっくりなので、ひとつひとつの声を自分の隣にあるものとして感じることができる。 その声は送り出されることへのためらいか、はたまた安堵か。 想像を楽しみながら、お聴きいただければ何よりです。

    10 min

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