岡大徳のポッドキャスト

岡大徳

病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。 www.daitoku0110.news

  1. 23h ago

    先進医療の新3技術を解説|中医協総会(第648回)報告のポイント

    令和8年3月11日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第648回)で「先進医療会議からの報告について」が議題となりました。この報告資料は2つの表にまとめられており、技術名や費用は一覧できる一方、制度上の位置づけや患者の実負担までは読み取りにくい構成です。本記事では、報告された3技術の評価結果を、先進医療制度の基本とあわせて整理します。 今回の報告では、がん領域の3技術がいずれも総評「適」と評価されました。先進医療Aでは、標準治療終了前に実施するがんゲノムプロファイリング検査(整理番号357)が、令和8年1月1日から告示適用となりました。先進医療Bでは、進行・再発大腸がん向けの遺伝子パネル検査(整理番号179)と、切除可能な膵臓がん向けの3剤併用療法(整理番号180)が、それぞれ令和8年1月1日と同年2月1日から告示適用となりました。費用欄は「保険給付されない費用」「保険給付される費用」「一部負担金」の3区分で示されており、患者の実負担は欄外の注記まで読んで確認する必要があります。 先進医療会議からの報告は、保険導入前の技術を確認する議題 先進医療会議からの報告は、保険導入前の新しい医療技術について、科学的評価の結果を中医協に伝える手続きです。今回の報告では、第147回会議(令和7年10月3日)と第149回会議(令和7年12月4日)で評価された3技術が対象となりました。 先進医療とは、保険診療との併用が認められた評価段階の医療技術です。この併用を支える仕組みが保険外併用療養費制度であり、先進医療に係る部分は保険給付の対象外、診察や検査など通常の診療と共通する部分は保険給付の対象となります。有効性と安全性が確認された技術は、将来的に保険導入の検討対象となります。保険導入されれば、その技術は診療報酬上の評価を受けることになります。 先進医療会議は、この評価段階の技術を専門家が審査する場です。会議では、申請された技術の有効性、安全性、技術的成熟度などを検討し、その結果を総評として示します。総評が「適」となった技術は告示に掲載され、告示適用日から先進医療として実施できます。 先進医療は、使用する医薬品や医療機器の扱いによってAとBに区分されます。先進医療Aは、未承認等の医薬品・医療機器等の使用や適応外使用を伴わない技術です。また、体外診断薬、検査薬、検査目的の医療機器を未承認等で用いる技術のうち、人体への影響が極めて小さいものも含まれます。先進医療Bは、未承認等の医薬品・医療機器等の使用や適応外使用を伴う技術です。また、安全性や有効性等に鑑み、重点的な観察・評価を要すると判断された技術も含まれます。今回の報告では、Aが1件、Bが2件でした。 先進医療A:標準治療終了前のがんゲノムプロファイリング検査 先進医療Aとして報告された1件は、がんゲノムプロファイリング検査を標準治療の終了前に実施する技術です(整理番号357)。この技術は、検査の実施時期を標準治療の終了前に前倒しする点に特徴があります。技術名の「標準治療終了前における」という表現が、その特徴を示しています。 対象となるのは、標準治療が終了する前の進行再発固形がん患者です。この患者は、標準治療が対象となる進行再発固形がん患者に限られます。さらに、関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、全身状態や臓器機能等から、検査実施後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した患者であることが条件です。ただし、局所進行または転移が認められ、標準治療が終了見込みとなる進行再発固形がん患者は、対象から除かれます。 使用する検査システムは、5つのがん遺伝子パネルです。資料には、OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム、FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル、GenMineTOP® がんゲノムプロファイリングシステム、FoundationOne® Liquid CDx がんゲノムプロファイル、Guardant360® CDx がん遺伝子パネルが挙げられています。申請医療機関は国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院であり、告示適用日は令和8年1月1日です。 費用は、先進医療に係る費用が56万円、保険給付される費用が5千円、保険外併用療養費分に係る一部負担金が2千円と示されています。このうち先進医療に係る56万円は保険給付の対象外です。総評は「適」と評価されました。 先進医療B:大腸がんの遺伝子パネル検査と膵臓がんの併用療法 先進医療Bとして報告された2件は、進行・再発大腸がんに対する検査と、切除可能な膵臓がんに対する薬物療法です。いずれも、未承認等の医薬品・医療機器等の使用や適応外使用を伴う技術、または重点的な観察・評価を要する技術として、Bに区分されています。2件とも総評は「適」と評価されました。 1件目は、血中循環腫瘍DNAを用いたマルチプレックス遺伝子パネル検査です(整理番号179)。対象は、切除不能な進行または再発の大腸がんです。使用する医療機器はGuardant360 CDx がん遺伝子パネル、申請医療機関は東京大学医学部附属病院、告示適用日は令和8年1月1日です。費用は、先進医療に係る費用が98万4千円、保険給付される費用が4千円、一部負担金が2千円です。このうち先進医療に係る98万4千円は、全額を研究者および企業が負担するため、患者負担が0円となります。一部負担金2千円は、この注記の対象外です。 2件目は、術前・術後のイリノテカン静脈内投与、オキサリプラチン静脈内投与およびS-1内服投与の併用療法です(整理番号180)。対象は、切除が可能な膵臓がんです。使用する医薬品はオニバイド点滴静注43mgとエルプラット点滴静注液(50mg、100mg、200mg)、申請医療機関は国立がん研究センター東病院、告示適用日は令和8年2月1日です。費用は、先進医療に係る費用が312万円、保険給付される費用が289万円、一部負担金が127万円です。このうち先進医療に係る312万円は、薬剤費を企業が負担するため、患者負担が1万円となります。一部負担金127万円は、この注記の対象外です。 費用欄は3区分で示され、患者負担は注記で確認する 費用欄の3区分は、保険外併用療養費制度の考え方をそのまま反映しています。3つの金額は、いずれも典型的な1症例に要する費用として申請医療機関が記載した額です。記載額は四捨五入された概数です。金額の大小だけを比較しても、患者が実際に支払う額はわかりません。 「保険給付されない費用」は、先進医療そのものに係る費用です。この費用について、医療機関は患者に自己負担額を求めることができます。ただし、研究費や企業負担で賄われる場合は、患者負担が軽減または免除されます。 「保険給付される費用」は、保険外併用療養費に係る保険者負担の額です。この費用は、先進医療と併せて行われる通常の診療部分にあたります。診察、検査、入院などがここに含まれます。 「保険外併用療養費分に係る一部負担金」は、保険給付される部分について患者が負担する額です。この額は、通常の保険診療と同じ考え方で計算されます。したがって、患者の実負担は、先進医療に係る自己負担額とこの一部負担金の合計で把握します。 今回の3技術では、注記の有無によって患者負担が大きく異なります。整理番号179は、先進医療に係る費用の全額を研究者および企業が負担するため、その患者負担が0円です。整理番号180は、先進医療に係る費用のうち薬剤費を企業が負担するため、その患者負担が1万円です。整理番号357には同様の注記がなく、先進医療に係る費用は患者の自己負担となり得ます。 まとめ:3技術の評価結果と費用の読み方 中医協総会(第648回)では、先進医療会議で評価された3技術が報告され、いずれも総評「適」と評価されました。先進医療Aでは、標準治療終了前のがんゲノムプロファイリング検査が令和8年1月1日から告示適用となりました。先進医療Bでは、進行・再発大腸がん向けの遺伝子パネル検査が令和8年1月1日から、切除可能な膵臓がん向けの3剤併用療法が同年2月1日から告示適用となりました。費用欄は3区分で示されるため、患者の実負担を把握するには注記まで確認することが必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

    先進医療の新3技術を解説|中医協総会(第648回)報告のポイント
  2. 1d ago

    公知申請で適応外薬4成分が保険適用|第648回中医協

    令和8年3月11日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第648回)で、公知申請とされた適応外薬4成分の保険適用が報告されました。この保険適用は薬事承認より先に行われるため、仕組みを知らないと、保険で使えるかどうかを誤って判断するおそれがあります。本号では、公知申請による保険適用の仕組みと、今回追加された適応の内容を解説します。 今回の報告は、4成分の新しい使い方が、薬事承認に先立ってすでに保険適用されたことを示すものです。公知申請とされた適応外薬は、4段階の医学薬学的評価を経ていれば、薬事審議会の事前評価が終わった時点で保険適用されます。今回適応が追加されたのは、モキシフロキサシン、ゲムシタビン、フルダラビン、メトトレキサートの4成分の、資料に記載された販売名です。これらの薬を使う際は、公表された報告書の確認と、院内の薬剤情報の更新が欠かせません。 公知申請の仕組み:事前評価の終了時点で保険適用される 公知申請とされた適応外薬は、有効性と安全性が公知であると確認された段階で保険適用されます。この取扱いは、適応外薬の保険適用を迅速に行うため、平成22年8月25日に中医協で了承されました。以下では、2つの用語、4段階の評価プロセス、保険適用のタイミングの順に説明します。 仕組みを理解するには、「適応外薬」と「公知申請」の2つの用語を押さえる必要があります。適応外薬とは、国に承認されていない効能・効果に使われる医薬品です。公知申請とは、有効性と安全性が医学薬学上公知であることを根拠に、承認を申請する方法です。公知申請では、臨床試験の全部または一部を新たに実施せずに申請できます。 公知であることは、次の4段階の評価プロセスで確認されます。 * 検討会議:「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が、医療上の必要性が高いと判断する * ワーキンググループ:検討会議のワーキンググループが、有効性と安全性が公知かどうかを検討し、報告書を作成する * 検討会議:検討会議が、報告書に基づいて公知申請に該当するかを判断する * 薬事審議会:公知申請が可能とされた医薬品について、薬事審議会(旧薬事・食品衛生審議会)の医薬品部会が事前評価を行う 4段階の評価を終えた適応外薬は、薬事承認を待たずに保険適用されます。通常、医薬品の新しい適応は、薬事承認を経てから保険適用となります。一方、この仕組みでは、第4段階の事前評価が終わった時点で、有効性と安全性が公知であると確認されたとみなします。そのため、承認手続きが完了するまでの間も、患者は保険診療でその薬を使えます。 今回保険適用された4成分と追加された適応 今回保険適用されたのは、感染症、がん、造血幹細胞移植の3領域にわたる4成分です。これらの適応は、令和8年1月29日の薬事審議会医薬品第二部会と、令和8年3月5日の医薬品第一部会で事前評価を終えました。両部会で公知申請して差し支えないとされた適応は、それぞれの事前評価が終了した日付けで保険適用されました。資料で保険適用が示されているのは、次の一覧の販売名です。同じ成分でも、一覧にない販売名は今回の資料の対象に含まれていません。 1. モキシフロキサシン塩酸塩 * 販売名:アベロックス錠400mg【バイエル薬品株式会社】 * 追加された適応: * 適応菌種:モキシフロキサシンに感性の結核菌 * 適応症:多剤耐性肺結核 2. ゲムシタビン塩酸塩 * 販売名:ゲムシタビン点滴静注用200mg「ヤクルト」、同1g「ヤクルト」、同200mg「タカタ」、同1g「タカタ」【高田製薬株式会社】 * 追加された適応: * 局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法 * 再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌 3. フルダラビンリン酸エステル * 販売名:フルダラ静注用50mg【サノフィ株式会社】 * 追加された適応: * 同種造血幹細胞移植の前治療(対象疾患の拡大) 4. メトトレキサート * 販売名:注射用メソトレキセート5mg、同50mg【ファイザー株式会社】 * 追加された適応: * 造血幹細胞移植時の移植片対宿主病の抑制 モキシフロキサシン塩酸塩は、多剤耐性肺結核の治療に使えるようになりました。対象の販売名は、アベロックス錠400mg(バイエル薬品株式会社)です。追加された適応菌種は「モキシフロキサシンに感性の結核菌」、適応症は「多剤耐性肺結核」です。多剤耐性肺結核とは、主要な抗結核薬であるイソニアジドとリファンピシンの両方が効かない結核菌による肺結核です。 ゲムシタビン塩酸塩は、局所進行上咽頭癌の導入療法と、再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌に使えるようになりました。対象の販売名は、ゲムシタビン点滴静注用200mg・1g「ヤクルト」と、同200mg・1g「タカタ」(高田製薬株式会社)です。追加された適応は、「局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法」と「再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌」の2つです。導入療法とは、主となる治療(ここでは化学放射線療法)の前に行う薬物療法です。 フルダラビンリン酸エステルは、より多くの疾患の同種造血幹細胞移植の前治療に使えるようになりました。対象の販売名は、フルダラ静注用50mg(サノフィ株式会社)です。追加された適応は「同種造血幹細胞移植の前治療(対象疾患の拡大)」です。前治療とは、移植の前に行う抗がん剤などによる処置で、「移植前処置」とも呼ばれます。拡大後の具体的な対象疾患は、公表されている報告書で確認してください。 メトトレキサートは、造血幹細胞移植時の移植片対宿主病の抑制に使えるようになりました。対象の販売名は、注射用メソトレキセート5mg・50mg(ファイザー株式会社)です。追加された適応は「造血幹細胞移植時の移植片対宿主病の抑制」です。移植片対宿主病(GVHD)とは、ドナー由来の免疫細胞が患者の体を異物とみなして攻撃する合併症です。 保険適用後に押さえたい2つの注意点 保険適用された4成分を使う際は、2つの点に注意が必要です。1つ目は、公表された報告書に基づいて使うことです。2つ目は、薬事承認前であることを踏まえて院内の薬剤情報を更新することです。 1つ目の注意点として、4成分は公表された報告書に基づき、患者ごとの症状に応じて使う必要があります。中医協の資料も、報告書などの資料に基づいて各患者の症状に応じ適切に使用することが必要だと明記しています。報告書とは、「公知申請への該当性に係る報告書」などの資料です。これらの資料は、厚生労働省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで公表されています。 * PMDA 公表ページ:https://www.pmda.go.jp/index.html 2つ目の注意点として、院内の薬剤情報は、薬事承認前の保険適用を反映して更新する必要があります。保険適用の時点では、薬事承認はまだ完了していません。そのため、添付文書の効能・効果には、今回の適応がまだ記載されていない場合があります。院内の医薬品集やレセプトチェックの設定が古いままだと、保険適用された使い方を適応外と誤って判断するおそれがあります。薬剤部と医事課で情報を共有し、診療報酬の請求に支障が出ないよう備えましょう。 まとめ:4成分は承認前でも保険診療で使える 第648回中医協総会では、公知申請とされた適応外薬4成分の保険適用が報告されました。公知申請とされた適応外薬は、4段階の評価を経て事前評価が終わった時点で、薬事承認を待たずに保険適用されます。今回は、多剤耐性肺結核、上咽頭癌(局所進行例の導入療法、再発又は遠隔転移例)、同種造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植時の移植片対宿主病の抑制に、4成分の特定の販売名で適応が追加されました。これらの薬を使う際は、公表された報告書を確認し、院内の薬剤情報を速やかに更新しましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

    公知申請で適応外薬4成分が保険適用|第648回中医協
  3. 2d ago

    最適使用推進ガイドライン改訂4品目の要点|中医協第648回報告

    令和8年3月11日の中医協総会(第648回)で、最適使用推進ガイドラインの改訂等4品目が報告されました。この4品目の新たな要件は、令和7年12月22日または令和8年2月19日から適用されているため、該当薬剤を使う医療機関には早急な確認が必要です。本メルマガでは、4品目の改訂内容と、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に記載すべき事項を整理します。 今回の報告は、4品目の効能・効果または用法・用量の追加に合わせてガイドラインと保険適用上の留意事項が改められたという内容です。4品目のうち、テセントリク(胸腺癌)とテゼスパイア(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)は当該効能のガイドラインが新規作成され、デュピクセント(6〜11歳の気管支喘息)とキイトルーダ(局所進行頭頸部癌の術前・術後補助療法)は既存のガイドラインが改訂されました。がん領域のテセントリクとキイトルーダでは、該当する医療施設要件と治療責任者要件を摘要欄に記載します。アレルギー領域のデュピクセントとテゼスパイアでは、投与対象となる患者の要件に関する判断理由や該当性を中心に摘要欄に記載します。 1. 今回報告された4品目の改訂概要 今回報告された4品目は、効能・効果または用法・用量の追加に合わせて、ガイドラインと留意事項通知が見直された医薬品です。 最適使用推進ガイドラインは、革新的な医薬品を真に必要な患者に、適切な体制の医療機関で使うための国の指針です。このガイドラインは、新しい作用機序の医薬品が既存薬と異なる副作用を示しうることを踏まえ、使用する施設や投与対象患者の要件を定めています。ガイドラインの要件は、保険適用上の留意事項通知によって保険診療のルールに組み込まれます。そのため、医療機関は、留意事項通知が求める事項をレセプトの摘要欄に記載する必要があります。 4品目の改訂内容は、次のとおりです。 テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ/中外製薬) * 追加された効能・用法:切除不能な胸腺癌 * ガイドライン:新規作成 * 留意事項通知で追加された要件:医療施設要件、治療責任者要件 * 適用日:令和7年12月22日 デュピクセント皮下注300mg・200mg(デュピルマブ/サノフィ) * 追加された効能・用法:気管支喘息における6〜11歳小児の用法・用量 * ガイドライン:改訂 * 留意事項通知で追加された要件:患者要件 * 適用日:令和7年12月22日 キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ/MSD) * 追加された効能・用法:局所進行頭頸部癌における術前・術後補助療法 * ガイドライン:改訂 * 留意事項通知で追加された要件:医療施設要件、治療責任者要件 * 適用日:令和8年2月19日 テゼスパイア皮下注210mg(テゼペルマブ/アストラゼネカ) * 追加された効能・用法:鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 * ガイドライン:新規作成 * 留意事項通知で追加された要件:医療施設要件、治療責任者要件等 * 適用日:令和8年2月19日 テゼスパイアの「医療施設要件、治療責任者要件等」は総-7の表記です。参考5で摘要欄への記載を求めている事項は、治療責任者要件と患者要件です(3-2参照)。 4品目の適用日は、製造販売承認事項一部変更承認日と同じ日付です。つまり、新しい効能・用法で使い始めた時点から、新しい要件が適用されています。今回の中医協での扱いは、すでに発出された通知の「報告」にあたります。 2. がん領域2品目:施設要件と治療責任者要件を摘要欄に記載 がん領域の2品目では、追加された効能で投与する場合にも、共通の医療施設要件と、がん種ごとの治療責任者要件を満たす必要があります。追加された効能で投与する場合、摘要欄には、施設要件と治療責任者要件のどれに該当するかを記載します。 2-1. 両剤に共通する医療施設要件 テセントリクとキイトルーダに共通する医療施設要件は、次の5つのいずれかに該当することです。 * (1)厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院等(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院など) * (2)特定機能病院 * (3)都道府県知事が指定するがん診療連携病院(がん診療連携指定病院、がん診療連携協力病院、がん診療連携推進病院など) * (4)外来化学療法室を設置し、外来腫瘍化学療法診療料1、2または3の施設基準を届け出ている施設 * (5)抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準を届け出ている施設 この施設要件に加えて、ガイドラインは、医薬品情報管理の専任者の配置や、24時間診療体制での副作用対応も求めています。 2-2. テセントリク:切除不能な胸腺癌 テセントリクは、切除不能な胸腺癌に対し、カルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用で使えるようになりました。この併用療法では、通常、成人に1回1200mgを3週間間隔で点滴静注します。併用療法の根拠は、化学療法歴のない切除不能な胸腺癌患者48例を対象とした国内第Ⅱ相試験(Marble試験)です。Marble試験の奏効率は56.3%(95%信頼区間:41.2〜70.5%)でした。この95%信頼区間の下限41.2%は、事前に設定した閾値奏効率30%を上回りました。なお、術前補助療法は有効性が確立されていないため、投与対象になりません。 テセントリクの治療責任者は、胸腺癌の化学療法と副作用対応に十分な知識と経験を持つ医師です。具体的には、2年の初期研修修了後に、次のいずれかを満たす医師が該当します。 * 臨床腫瘍学:5年以上のがん治療の臨床研修(うち2年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修) * 呼吸器病学:4年以上の臨床経験(うち3年以上は、胸部悪性腫瘍のがん薬物療法を含む呼吸器病学の臨床研修) * 呼吸器外科学:胸部悪性腫瘍のがん薬物療法を含む5年以上の呼吸器外科学の修練 2-3. キイトルーダ:局所進行頭頸部癌の術前・術後補助療法 キイトルーダは、局所進行頭頸部癌に対し、手術前後の補助療法として使えるようになりました。この補助療法では、通常、成人に1回200mgを3週間間隔、または1回400mgを6週間間隔で、30分間かけて点滴静注します。術後補助療法では、放射線療法またはシスプラチンを用いた化学放射線療法と併用します。補助療法の投与回数の上限は、次のとおりです。 * 3週間間隔(1回200mg):術前補助療法は2回まで、術後補助療法は15回まで * 6週間間隔(1回400mg):術前補助療法は1回まで、術後補助療法は8回まで キイトルーダの治療責任者は、頭頸部癌の化学療法と副作用対応に十分な知識と経験を持つ医師または歯科医師です。具体的には、次のいずれかを満たす医師または歯科医師が該当します。 * 臨床腫瘍学(医師):2年の初期研修修了後、5年以上のがん治療の臨床研修(うち2年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修) * 耳鼻咽喉科(医師):2年の初期研修修了後、4年以上の耳鼻咽喉科領域の臨床研修(うち2年以上は、がん薬物療法を含む頭頸部悪性腫瘍診療の臨床研修) * 口腔外科(医師または歯科医師):初期研修修了後、5年以上の口腔外科の臨床研修(うち2年以上は、がん薬物療法を含む口腔外科のがん治療の臨床研修) 歯科医師が治療にあたる場合は、副作用などの全身管理が必要なため、上記の要件を満たす医師と緊密に連携して診療します。なお、頭頸部癌のガイドラインは、作用機序、臨床成績、投与に際して留意すべき事項などの説明を電子化された添付文書とRMP(医薬品リスク管理計画)に委ねた簡略版です。 2-4. 摘要欄に記載する2項目 両剤を追加された効能(テセントリクは切除不能な胸腺癌、キイトルーダは局所進行頭頸部癌における術前・術後補助療法)で投与する場合、摘要欄には次の2項目を記載します。 * ① 医療施設の要件:2-1の(1)〜(5)のいずれに該当するか * ② 治療の責任者の要件:2-2または2-3の要件のいずれに該当するか 3. アレルギー領域2品目:患者要件への該当性を摘要欄に記載 アレルギー領域のデュピクセントとテゼスパイアでは、投与対象となる患者の要件が詳しく定められています。デュピクセントの摘要欄には、中用量の吸入ステロイド薬(ICS)を併用する患者に投与する判断理由を記載します。テゼスパイアの摘要欄には、投与開始時は治療責任者要件と患者要件への該当性を、継続時は治療責任者要件と投与継続の判断を記載します。 3-1. デュピクセント:6〜11歳の小児気管支喘息

    最適使用推進ガイドライン改訂4品目の要点|中医協第648回報告
  4. 3d ago

    在宅自己注射に2剤追加へ|中医協総会(第648回)の要点を解説

    中央社会保険医療協議会(中医協)総会は、令和8年3月11日に第648回会合を開き、議題のひとつとして「在宅自己注射について」を取り上げました。この議題では、2剤を在宅で使える注射薬に追加する案が示されています。追加案の2剤は、追加される枠組みが互いに異なるため、算定できる診療報酬も変わります。本記事では、今回の追加案の内容と、医療機関が実務で押さえるべき点を解説します。 今回の追加案の要点は、対象が2剤であること、追加先の枠組みが2剤で異なること、判断の根拠が運用基準にあることの3点です。1剤目のオリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤は、「保険医が投与することができる注射薬」にのみ追加する案です。2剤目のアパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤は、同じ注射薬と在宅自己注射指導管理料の双方に追加する案です。この2剤の追加は、令和5年8月23日に中医協総会が承認した運用基準と、関係学会からの要望書に基づいて提案されました。 追加先となる2つの枠組み 今回の追加案を理解する出発点は、「保険医が投与することができる注射薬」と「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」という2つの枠組みの違いです。前者は、保険医が患者に投与できる注射薬、すなわち処方箋を交付できる注射薬の範囲を定めます。後者は、患者自身による注射を指導管理した場合の診療報酬の対象範囲を定めます。両者は重なる部分が大きいものの、同一ではありません。 「保険医が投与することができる注射薬」は、療担規則第20条第2号トに基づき、厚生労働大臣が告示で列挙しています。この告示は、平成18年厚生労働省告示第107号の「第十 厚生労働大臣が定める注射薬等」です。ここに掲げられた注射薬に限り、保険医は患者に投与できます。投与量は症状の経過に応じたものとされ、厚生労働大臣が定めるものごとに1回14日分、30日分または90日分が限度となります。 「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」は、特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の別表第九に掲げられています。この別表第九は、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算および注入器用注射針加算の対象範囲も兼ねます。注入器加算の対象は別表第九の一の三、注入ポンプ加算の対象は別表第九の一の五に、それぞれ別に定められています。したがって、ある薬剤が別表第九に追加されると、在宅自己注射指導管理料に加えて関連する材料加算の算定可否も同時に決まります。 1剤目:オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤 オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤は、「保険医が投与することができる注射薬」にのみ追加する案が示されました。販売名はゼンフォザイム20mgです。在宅自己注射指導管理料の対象には含まれないため、患者本人が注射する前提の薬剤ではありません。 本剤の効能・効果は、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症です。この疾患は、ライソゾームに局在する加水分解酵素の先天的な欠損を原因とする遺伝性疾患群、いわゆるライソゾーム病のひとつです。本剤はヒト酸性スフィンゴミエリナーゼの遺伝子組換え製剤であり、脾臓、肝臓、骨髄、肺、腎臓等の単核-マクロファージ系細胞に蓄積するスフィンゴミエリンを加水分解します。ただし、本剤は血液脳関門を通過しないため、中枢神経系症状の改善は期待されません。 用法・用量は、用量漸増法に従った隔週の点滴静脈内投与です。成人患者では初回0.1mg/kgから開始し、14週目以降に維持用量である1回体重1kgあたり3mgへ到達します。小児患者では初回0.03mg/kgから開始し、16週目以降に同じ維持用量へ到達します。主な副作用には、Infusion reaction、頭痛、悪心、嘔吐、発熱などが挙げられます。本剤は令和4年3月に薬事承認されました。 要望の背景には、酵素補充療法に伴う通院負担の重さがあります。日本先天代謝異常学会は令和7年12月17日付の要望書で、酵素補充療法が毎週または隔週に1回、1から4時間の点滴静注を生涯続ける治療であると説明しました。同学会は、歩行障害や寝たきり、呼吸管理などの高度の障害を有する患者では、本人・保護者・介護者の負担がさらに大きくなると指摘しています。また同学会は、市中感染が流行する時期の通院に伴う感染リスクへの懸念にも言及しました。これらを踏まえ、同学会は本剤を「保険医が投与することができる注射剤」へ追加するよう要望しています。 安全性の確保について、同学会は在宅導入の前提条件を示しました。具体的には、一定期間の酵素補充療法を医療機関で実施し、投与関連反応が適切に制御され安全な投与が可能であることを厳密に確認できた患者を対象とすべきとしています。同学会は、既に承認された酵素製剤による在宅治療で大きな安全性の問題が生じていない点も、根拠として挙げました。 2剤目:アパダムターゼ アルファ/シナキサダムターゼ アルファ製剤 アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤は、「保険医が投与することができる注射薬」と在宅自己注射指導管理料の双方に追加する案が示されました。販売名はアジンマ静注用1500です。あわせて、必要な在宅療養指導管理材料加算として注入器用注射針加算が示されています。 本剤の効能・効果は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)です。この疾患は、ADAMTS13遺伝子の異常により全身の微小血管に血小板血栓が形成される遺伝性疾患であり、血小板減少、溶血性貧血、腎機能障害などを引き起こします。ADAMTS13は、超高分子量VWF多量体を切断することで、VWFと血小板の結合およびそれに続く微小血栓の形成を抑制します。本剤は遺伝子組換えADAMTS13であり、血漿中のADAMTS13活性を回復させることで微小血管の血栓形成を抑制すると考えられています。 用法・用量は、添付の溶解液5mLで溶解したうえでの緩徐な静脈内注射です。投与速度は2〜4mL/分とされています。定期的に投与する場合は、通常1回40国際単位/kgを隔週投与し、患者の状態に応じて週1回投与もできます。急性増悪時に投与する場合は、1日目に1回40国際単位/kg、2日目に1回20国際単位/kg、3日目以降は1日1回15国際単位/kgを投与します。主な副作用には、悪心、熱感、血小板増加症、頭痛のほか、ショックやアナフィラキシーが挙げられます。本剤は令和6年3月に薬事承認されました。 要望の背景には、頻回通院による生活上の制約があります。日本血栓止血学会と日本小児血液・がん学会は令和7年4月15日付の要望書で、本剤の投与頻度が2週または1週ごとであるため、病態が安定していても患者が長期にわたり頻回通院を強いられる点を問題として挙げました。両学会は、cTTP治療が可能な医療機関が限られていることも、患者・介護者・医療従事者の負担を大きくする要因としています。そのうえで両学会は、就労・就学・育児など社会生活への影響を踏まえ、通院を必要最低限の頻度に抑える重要性を訴えました。 安全性の確保について、両学会は在宅自己注射の実施体制を具体的に示しました。本剤の溶解器は、すでに在宅自己注射での投与実績があるファイバ静注用1000と同一です。そのため両学会は、医師が妥当性を慎重に検討し、患者またはその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用することを想定しています。指導内容としては、使用方法、副作用発現時の速やかな医療機関への連絡、使用済み注射器の安全な廃棄方法が挙げられました。管理指導に用いる教育資材は、製造販売業者から提供される予定です。 追加の判断を支える運用基準 2剤の追加案は、「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る運用基準」に沿って提案されています。この運用基準は平成28年8月24日に中医協総会が承認し、令和5年8月23日に改正案が承認されました。運用基準は、対象薬剤の要件、対象への追加時期、その他の取扱いを定めています。 対象薬剤の要件は、補充療法等の頻回投与または発作時の緊急投与が必要で、かつ剤形が注射によるものに限られます。そのうえで、次の3点をいずれも満たす必要があります。第1に、関連学会等のガイドライン等で在宅自己注射の診療上の必要性が確認されていることです。第2に、医薬品

    在宅自己注射に2剤追加へ|中医協総会(第648回)の要点を解説
  5. 4d ago

    DPC高額薬剤判定2026年3月版|出来高算定となる16医薬品を解説

    中央社会保険医療協議会(中医協)は、令和8年3月11日の総会(第648回)で「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応」を議題としました。この対応は、DPC対象病院が新規医薬品をどの方式で請求するかを直接左右します。本記事は、今回示された判定結果と、医療機関が確認すべき実務上の留意点を整理します。 今回の資料は、いずれも「としてはどうか」という事務局提案の形式で示されています。提案の内容は、出来高算定の対象追加と、診断群分類の定義への反映という2つの措置からなります。判定の基準は、当該医薬品を使った場合の1入院当たり薬剤費が、その診断群分類の包括範囲薬剤費の84パーセンタイル値を超えるかどうかです。この基準に該当し、次期診療報酬改定まで出来高算定となる医薬品は16あります。また、類似薬効比較方式で薬価が算定され、比較薬の分岐が既にある医薬品5つは、診断群分類の定義に反映されます。 高額薬剤判定の仕組み 高額薬剤判定とは、高額な新規医薬品を一定期間だけ包括評価の対象外とする仕組みです。判定は診断群分類ごとにおこない、薬剤費の84パーセンタイル値を基準とします。判定作業は、高額薬剤告示への追加と定義告示への追加の2つで構成されます。 高額薬剤判定の目的は、医療の技術革新の導入を妨げない点にあります。新規に薬価収載された医薬品は、DPC/PDPSの診療報酬点数表に反映されていません。そのまま包括評価を適用すると、高額な新薬を使うほど医療機関の持ち出しが大きくなります。そこで厚生労働省は、十分な使用実績データが集まるまでの間、対象薬剤を包括評価の対象外としています。 包括評価の対象外とするかどうかは、個別の診断群分類ごとに判定します。同じ医薬品でも、対象となる診断群分類と対象とならない診断群分類が分かれます。前年度に使用実績のない医薬品は、標準的な使用における薬剤費の見込み額で評価します。この見込み額には、併用する医薬品の費用も含めます。 見込み額の評価では、84パーセンタイル値が判定のものさしになります。まず、添付文書の用法・用量に従って入院初日から退院まで投与した場合の投与回数(仮想投与回数)を求めます。次に、その回数から1入院当たりの薬剤費を算出します。この薬剤費が、当該診断群分類で使われている1入院当たり薬剤費の84パーセンタイル値を超える場合、当該医薬品を高額薬剤として指定します。 高額薬剤として指定された医薬品は、2つの告示によって運用に反映されます。ひとつは高額薬剤告示で、包括評価の対象外となる薬剤と診断群分類を定めます。もうひとつは定義告示で、診断群分類の定義(傷病名・手術・処置等)を定めます。これら2つの作業は、新薬の薬価収載に合わせて年4回実施されます。 出来高算定の対象となる16の医薬品 今回、出来高算定の対象として提案された医薬品は16あります。内訳は、効能効果・用法用量の一部変更が7、事前評価済公知申請が1、新規の薬価収載予定品が8です。これらの薬剤を使用した患者のうち、対応する診断群分類に該当するものは、次期診療報酬改定までの間、出来高で算定します。 対象となった医薬品は、令和7年10月から令和8年3月までの承認・収載の動きに対応しています。効能効果・用法用量の一部変更は、令和7年11月20日および12月22日に追加されたものです。事前評価済公知申請は、令和7年10月29日に受理されたものです。新薬は、令和8年3月18日に薬価収載を予定しているものです。 効能効果・用法用量の一部変更による対象は、次の7医薬品です。 1. ユプリズナ点滴静注100mg(イネビリズマブ) * 効能効果:IgG4関連疾患の再燃抑制 * 対象診断群分類:030500 唾液腺の疾患(その他)、060340 胆管(肝内外)結石・胆管炎、060360 慢性膵炎(膵嚢胞を含む)等、070560 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患、110280 慢性腎炎症候群等、110420 水腎症等 2. ビラフトビカプセル50mg・75mg(エンコラフェニブ) * 効能効果:BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌 * 対象診断群分類:060035 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍、060040 直腸肛門の悪性腫瘍 3. オータイロカプセル40mg・160mg(レポトレクチニブ) * 効能効果:NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌 * 対象診断群分類:010010 脳腫瘍、03001x 頭頸部悪性腫瘍など、固形癌を中心とした35区分 4. ベネクレクスタ錠10mg・50mg・100mg(ベネトクラクス) * 効能効果:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む) * 対象診断群分類:130030 非ホジキンリンパ腫 5. ダラキューロ配合皮下注(ダラツムマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ) * 効能効果:高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延 * 対象診断群分類:130040 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 6. テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ) * 効能効果:切除不能な胸腺癌 * 対象診断群分類:040010 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 7. デュピクセント皮下注200mg・300mg(デュピルマブ) * 効能効果:気管支喘息(既存治療でコントロールできない重症・難治の患者に限る)。今回は6歳以上12歳未満の小児の用法用量が追加されました * 対象診断群分類:040100 喘息 事前評価済公知申請による対象は、マブキャンパス点滴静注30mg(アレムツズマブ)の1医薬品です。効能効果はT細胞性前リンパ球性白血病で、対象診断群分類は非ホジキンリンパ腫です。薬価は1瓶90,907円で、1回投与当たりの標準的な費用も同額となります。 令和8年3月18日に薬価収載を予定している新薬による対象は、次の8医薬品です。 1. プリミーフォート経腸用液6・8・CF(人乳等) * 効能効果:極低出生体重児等の体重増加不全を呈する新生児・乳児の栄養管理 * 対象診断群分類:全診断群分類 2. セピエンス顆粒分包250mg・1000mg(セピアプテリン) * 効能効果:フェニルケトン尿症 * 対象診断群分類:100335 代謝障害(その他) 3. ボラニゴ錠10mg(ボラシデニブクエン酸水和物) * 効能効果:IDH1またはIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫 * 対象診断群分類:010010 脳腫瘍、070030 脊椎・脊髄腫瘍 4. エルゾンリス点滴静注1000µg(タグラキソフスプ) * 効能効果:芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 * 対象診断群分類:130010 急性白血病 5. ブーレンレップ点滴静注用100mg(ベランタマブ マホドチン) * 効能効果:再発または難治性の多発性骨髄腫 * 対象診断群分類:130040 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 6. ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ) * 効能効果:再発または難治性の濾胞性リンパ腫 * 対象診断群分類:130030 非ホジキンリンパ腫 7. リブロファズ配合皮下注(アミバンタマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ) * 効能効果:EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、およびEGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 * 対象診断群分類:040040 肺の悪性腫瘍 8. ルンスミオ皮下注5mg・45mg(モスネツズマブ) * 効能効果:再発または難治性の濾胞性リンパ腫 * 対象診断群分類:130030 非ホジキンリンパ腫 16医薬品のなかでも、1回投与当たりの費用が特に大きい薬剤には注意が必要です。ユプリズナは1回当たり10,485,912円、エルゾンリスは1回当たり3,607,878円に達します。プリミーフォートは、対象となる診断群分類を特定できないため、全包括診断群分類の包括範囲薬剤費を用いて判定されました。その結果、同剤は全診断群分類が出来高算定の対象となります。 診断群分類の定義に反映される5つの医薬品 今回、診断群分類の定義に反映される医薬品は5つあります。いずれも類似薬効比較方式により薬価が算定され、かつ比較薬に特化した診断群分類の分岐が既に設定されている医薬品です。これらは既存の分岐に追加されるため、比較薬と同じ取扱いになります。 1. エクテリー錠300mg(セベトラルスタット) * 反映させる診断群分類:130150 原発性免疫不全症候群 * 追加される分岐(比較薬):イカチバント酢酸塩 2. ジニイズ点滴静注500mg(レチファンリマブ) * 反映させる診断群分類:060040 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 * 追加される分岐(比較薬):ペムブロリズマブ 3. ブーレンレップ点滴静注用100mg(ベランタマブ マホドチン) * 反映させる診断群分類:130040 多発性骨髄腫、免疫系

    DPC高額薬剤判定2026年3月版|出来高算定となる16医薬品を解説
  6. 5d ago

    費用対効果評価で薬価見直し|トルカプ10.7%引下げを解説

    令和8年3月11日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第648回)が「費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直し」を了承しました。対象となった3品目は、引下げと据置きに結果が分かれています。しかも、引下げとなった品目の適用は令和8年6月1日まで猶予されました。本稿では、3品目の調整結果と、結果を分けた評価の考え方、医療機関に必要な実務対応を整理します。 今回の見直しでは、3品目のうちトルカプ錠1品目だけが引下げとなりました。トルカプ錠は令和8年6月1日から約10.7%引き下げられます。エルレフィオ皮下注とテクベイリ皮下注は、現行薬価がそのまま維持されます。結果を分けたのは、費用対効果の指標であるICERの区分に応じて決まる「価格調整係数(β)」です。 1. 今回の調整結果:3品目中1品目のみが引下げ 今回の価格調整では、トルカプ錠だけが引下げ対象となりました。エルレフィオ皮下注は据置きです。エルレフィオの類似品目であるテクベイリ皮下注も据置きです。引下げ幅と適用日が設定されたのは、トルカプ錠だけとなります。 トルカプ錠(カピバセルチブ、アストラゼネカ)は、2規格ともに約10.7%引き下げられます。160mg錠は11,116.20円から9,930.50円になり、1,185.70円の減額です。200mg錠は13,493.20円から12,053.90円になり、1,439.30円の減額です。適用日は令和8年6月1日とされました。この適用日について、資料は「医療機関における在庫への影響等を踏まえ、一定の猶予期間を設ける」と明記しています。トルカプ錠の効能・効果は、内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌です。 エルレフィオ皮下注(エルラナタマブ、ファイザー)は、2規格ともに現行薬価が維持されます。44mg1瓶は558,501円のまま、76mg1瓶は957,222円のままです。据置きのため、適用日は設定されていません。効能・効果は、再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)です。 据置きとなったエルレフィオの評価結果は、テクベイリ皮下注(テクリスタマブ、ヤンセンファーマ)にもそのまま及びます。テクベイリは、費用対効果評価区分のうち「H5(類似品目)」に該当するためです。H5区分とは、すでに評価を受けた品目と類似する品目について、その評価結果を援用して価格を調整する仕組みを指します。この結果、30mg1瓶は216,930円、153mg1瓶は1,081,023円のまま変更されません。 2. 引下げの有無を決めた「価格調整係数(β)」 引下げの有無を決めたのは、ICERの区分に対応する価格調整係数(β)です。ICERの値が大きい品目ほど、βは小さくなります。βが小さいほど、有用性加算部分が大きく削られます。つまり、βを見れば引下げ幅の見当がつきます。 ICER(増分費用効果比)とは、比較対照技術に対して1QALYを追加で獲得するために必要な追加費用を示す指標です。QALY(質調整生存年)は、生存期間を生活の質で重みづけした効果指標を指します。ICERの値が小さいほど、費用に見合った効果が得られていると評価されます。 このICERは、区分ごとに段階的なβに換算されます。今回の資料に示された区分は、200万円/QALY以上750万円/QALY未満がβ=1.0です。750万円以上1,125万円未満がβ=0.7です。1,125万円以上1,500万円未満がβ=0.4です。1,500万円以上がβ=0.1です。このうちβ=1.0の区分は、後述の算式で差し引かれる額がゼロになるため、実質的に引下げが生じません。 βが決まると、調整後の薬価は次の算式で計算されます。「価格調整後の薬価=価格調整前の薬価-有用性加算部分×(1-β)」です。β=1.0であれば、差し引かれる額はゼロになります。β=0.4であれば、有用性加算部分の6割相当が差し引かれます。なお今回は、両品目とも営業利益の価格調整は対象外とされました。 この算式を3品目に当てはめると、結果の違いが明快になります。エルレフィオのICERは200万円以上750万円未満に区分され、β=1.0が適用されました。その結果、エルレフィオとテクベイリは据置きとなっています。一方、トルカプのICERは1,125万円以上1,500万円未満に区分され、β=0.4が適用されました。その結果、トルカプは引下げとなっています。いずれの品目も、患者割合は100%の単一集団で分析されています。 3. 専門組織で争点となった分析上の論点 引下げの根拠となった評価結果は、企業分析と公的分析の相違点を専門組織が検討して決着しました。今回の2品目は、いずれも公的分析による分析結果が妥当と結論づけられました。ただし、企業の受け止め方は2品目で対照的です。 エルレフィオでは、投与期間の推計方法と副作用対策の費用が論点となりました。投与期間について、企業は指数分布を用いて長期推計を行いました。この推計に対し、公的分析は臨床試験の観察値との乖離を指摘し、対数正規分布による推計に置き換えています。副作用対策の費用について、企業は低γグロブリン血症に対する免疫グロブリン製剤(IVIG)の費用を計上していませんでした。この費用について、公的分析はエルラナタマブ群の43.1%にIVIGを投与すると想定し、先行研究を参考に推計した999,931円を計上しています。これらの再分析に対し、企業は「一定の妥当性がある」として異論を述べていません。専門組織はさらに、MAIC(マッチング調整間接比較)の妥当性について追加分析を求め、その結果を妥当と結論づけました。 トルカプでは、比較対照技術の選定と生存期間の推定が論点となりました。比較対照技術について、企業はエキセメスタン+エベロリムスを主張しました。この主張に対し、公的分析はフルベストラント+アベマシクリブを採用しています。生存期間(OS)について、企業は実際のOSデータの公表を待つべきだと主張しました。この主張に対し、公的分析はPFS(無増悪生存期間)とOSの相関に関する先行研究に基づき、保守的な値としてハザード比0.95を設定しています。企業はこれらの点について不服意見を提出しました。しかし専門組織は、両試験の実施時期が大きく異なることなどを理由に企業の主張を退け、公的分析の結果を妥当と結論づけています。 4. 医療機関が押さえるべき実務対応 医療機関の実務で対応が必要なのは、トルカプ錠の1品目だけです。対応の期限は令和8年6月1日です。対応の内容は、在庫管理とシステム更新の2点に整理できます。 在庫管理では、適用日をまたぐ在庫量に注意します。トルカプ錠の新薬価は令和8年6月1日から適用され、5月31日までは現行薬価で算定します。6月1日以降に使用する分は、現行薬価で仕入れていても新薬価で算定することになります。今回の猶予期間は、この影響を緩和するために設けられたものです。トルカプ錠は内用薬であるため、院外処方の場合は保険薬局の在庫が影響を受けます。 システム更新では、薬価マスタの反映時期を確認します。電子カルテとレセプトコンピュータの薬価マスタは、6月1日以降の請求に新薬価が反映される必要があります。院内の採用薬リストや薬価差の管理資料も、あわせて更新しておきます。更新の時期は、システムベンダーに早めに確認しておきましょう。 一方、エルレフィオ皮下注とテクベイリ皮下注については、実務上の対応が不要です。薬価が変更されないため、マスタ更新も在庫調整も生じません。ただし、費用対効果評価の対象品目であった事実は記録しておくと、今後の類似品目の動きを追いやすくなります。 5. 費用対効果評価は今後も対象が拡大 費用対効果評価の対象品目は、着実に積み上がっています。令和8年3月11日時点で、評価が終了した品目は54品目です。評価中の品目は19品目です。同日には、新たに1品目が対象として指定されました。 新規に指定されたのは、ブーレンレップ(グラクソ・スミスクライン)です。効能・効果は再発又は難治性の多発性骨髄腫、収載時価格は1,284,052円(100mg1瓶)、有用性系加算率は10%です。ピーク時予測の市場規模は187億円で、「H1(市場規模が100億円以上)」に区分されました。 評価中の19品目には、市場規模の大きい品目が並んでいます。ケサンラ(796億円)、エアウィン(544億円)、テッペーザ(494億円)などが企業分析または公的分析の段階にあります。これらの結果は、順次中医協総会に報告される

    費用対効果評価で薬価見直し|トルカプ10.7%引下げを解説
  7. 6d ago

    レチファンリマブ最適使用推進GL|中医協で審議された施設要件とレセプト記載

    令和8年3月11日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会は第648回会合を開き、レチファンリマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドライン案を審議しました。このガイドライン案は、本剤を使用できる施設と医師を限定します。したがって医療機関は、自院が要件に該当するかを薬価収載前に確認しなければなりません。本稿では、審議資料3点の内容を整理し、医療機関が確認すべき点を示します。なお本稿で扱う要件と通知は、いずれも令和8年3月11日時点の案に基づく内容です。 今回の審議で示されたのは、レチファンリマブを「要件を満たす施設で、要件を満たす医師のもと、限られた患者に使う」という枠組みです。第一に、最適使用推進ガイドラインは、新規作用機序の革新的な医薬品を真に必要な患者へ届けるための制度です。第二に、レチファンリマブは、肛門管扁平上皮癌の無増悪生存期間を延長した抗PD-1抗体です。第三に、本剤を投与できる施設は、施設・医師・副作用対応という3つの要件をすべて満たす施設に限られます。第四に、医療機関は、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に2つの事項を記載する必要があります。 1. 最適使用推進ガイドラインは新薬を必要な患者に届けるための制度 最適使用推進ガイドライン(以下「最適使用GL」)は、革新的な新規作用機序医薬品の使い方を、承認審査と並行して国が示す制度です。中医協は平成29年9月13日にこの取扱いを了承しました。以下では、制度の趣旨、対象、手続きの順に説明します。 制度の趣旨は、革新的な医薬品を、その恩恵を強く受ける患者に確実に届けることにあります。背景には、高額な医薬品の登場が国民負担と医療保険財政に与える影響への懸念があります。「経済財政運営と改革の基本方針2016」も、革新的医薬品の使用の最適化推進を掲げました。加えて新規作用機序医薬品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品と大きく異なることがあります。そのため情報が十分に蓄積するまでの間は、副作用へ迅速に対応できる医療機関での使用が重要になります。 対象となる医薬品は、投与対象の患者数が非常に多く、多施設で使用される可能性が高い医薬品です。該当するかどうかは、次の5つの観点から総合的に判断されます。第一が、薬理作用が既存の医薬品と大きく異なることです。第二が、安全性プロファイルが大きく異なり、使用上の特別な注意が必要なことです。第三が、既存の医薬品と比較した有効性が著しく高いことです。第四が、臨床的位置づけが異なり、より広い患者に使用される可能性が高いことです。第五が、効能・効果の追加によって使用患者が拡大する可能性です。 手続きは、承認申請から薬価収載までの流れに沿って進みます。まず対象候補の医薬品が承認申請されると、薬事・食品衛生審議会の担当部会へ報告されます。次に関係学会等と医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、ガイドライン案を検討します。その案は担当部会の了承を経て、薬価収載を審議する中医協総会に報告されます。今回のレチファンリマブの審議は、この中医協総会の段階にあたります。その後、薬価収載までに保険適用上の留意事項と最適使用GLが通知されます。 2. レチファンリマブは肛門管扁平上皮癌の無増悪生存期間を延長する抗PD-1抗体 レチファンリマブ(販売名:ジニイズ点滴静注500mg、製造販売業者:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社)は、切除不能な進行・再発の肛門管扁平上皮癌を対象とする抗PD-1抗体です。用法・用量は、パクリタキセル及びカルボプラチンとの併用下で、1回500mgを4週間間隔で30分間かけて点滴静注します。以下では、作用機序、有効性、安全性の順に説明します。 作用機序は、腫瘍細胞による免疫からの回避を解除することです。PD-1は、抗原提示細胞に発現するPD-L1及びPD-L2と結合し、免疫応答を負に制御します。このPD-1/PD-L1経路は、腫瘍細胞がT細胞からの攻撃を回避する機序の一つと考えられています。本剤はPD-1のリガンド結合領域に結合し、両者の結合を阻害します。その結果、がん抗原特異的なT細胞が活性化し、腫瘍の増殖が抑えられます。 有効性は、国際共同第Ⅲ相臨床試験(INCMGA 0012-303試験)で示されました。本試験は、化学療法歴のない切除不能な進行・再発の肛門管扁平上皮癌患者308例(日本人16例を含む)を、本剤群154例とプラセボ群154例に割り付けました。なお、放射線療法と併用する化学療法や、登録の6ヵ月以上前に完了した術前・術後補助療法は、化学療法歴に含めない取扱いとされました。主要評価項目である無増悪生存期間の中央値は、本剤併用群で9.3ヵ月、プラセボ併用群で7.4ヵ月でした。この差はハザード比0.63(95%信頼区間:0.47~0.84)、p=0.0006であり、統計学的に有意な延長を示しました。 安全性は、免疫関連の副作用に注意を要する結果でした。副作用の発現割合は、本剤併用群で89.6%(138/154例)、プラセボ併用群で77.6%(118/152例)でした。Grade 3-4の副作用は、それぞれ33.8%と25.7%に認められました。死亡に至った副作用(Grade 5)は、本剤併用群で1例(0.6%)、プラセボ併用群で0例でした。本剤併用群で発現割合が高かった副作用は、無力症33.1%、下痢25.3%、貧血18.2%、疲労17.5%、悪心16.9%、そう痒症15.6%、甲状腺機能低下症13.0%です(いずれも発現割合5%以上の副作用を示した表からの抜粋)。とくに内分泌障害は、本剤併用群21.4%に対しプラセボ併用群3.3%であり、本剤に特徴的な副作用といえます。 3. 投与できる施設は3つの要件をすべて満たす必要がある 最適使用GLは、投与できる施設の要件を①施設、②院内の医薬品情報管理体制、③副作用への対応の3つに整理し、すべてを満たすことを求めています。あわせて、投与対象となる患者の考え方も示しています。以下では、施設の要件、医師の要件、体制の要件、患者の考え方の順に説明します。 施設の要件は、がん薬物療法の実施体制を示す5区分のいずれかへの該当です。第一が、厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院等です。第二が、特定機能病院です。第三が、都道府県知事が指定するがん診療連携病院です。第四が、外来化学療法室を設置し、外来腫瘍化学療法診療料1・2・3のいずれかの施設基準を届け出ている施設です。第五が、抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準を届け出ている施設です。これら5区分のいずれにも該当しない施設は、本剤を使用できません。 医師の要件は、肛門管扁平上皮癌の化学療法と副作用対応に十分な知識と経験をもつ医師を、治療の責任者として配置することです。該当する医師は、次の3類型のいずれかです。第一が、初期研修修了後に5年以上のがん治療の臨床研修を行い、うち2年以上をがん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修にあてた医師です。第二が、初期研修修了後に、消化器癌のがん薬物療法を含む5年以上の消化器外科学の修練を行った医師です。第三が、初期研修修了後に4年以上の臨床経験を有し、うち3年以上を消化器癌のがん薬物療法を含む消化器病学の臨床研修にあてた医師です。 体制の要件は、医薬品情報の管理と副作用への即応の2点です。医薬品情報の管理では、専任者を配置し、製薬企業からの情報窓口、医師等への情報提供、有害事象の報告業務を速やかに行える体制が求められます。副作用への即応では、24時間診療体制のもと、当該施設又は連携施設において入院管理とCT等の検査結果を当日中に得られる体制が求められます。さらに、副作用モニタリングを含む苦痛のスクリーニングを行うチーム医療体制と、専門性を有する医師との連携体制も必要です。 投与対象となる患者は、有効性と安全性の両面から絞り込まれます。有効性の面では、切除不能な進行・再発の肛門管扁平上皮癌患者に対する、本剤・カルボプラチン・パクリタキセル併用の有効性が示されています。安全性の面では、本剤の成分に過敏症の既往歴がある患者への投与が禁忌です。また、間質性肺疾患の合併・既往がある患者、胸部画像検査で間質影を認める患者や肺に炎症性変化がみられる患者、自己免疫疾患のある患者、臓器移植歴(造血幹細胞移植歴を含む)のある患者、結核の感染・既往がある患者、ECOG Performance Status 3-4の患者には、投与が推奨されません

    レチファンリマブ最適使用推進GL|中医協で審議された施設要件とレセプト記載
  8. Sep 11

    中医協が新薬20品目を了承|令和8年3月18日収載の薬価と加算を解説

    中央社会保険医療協議会(中医協)総会は、令和8年3月11日に第648回会合を開催しました。同会合では、令和8年3月18日に薬価基準へ収載する新医薬品が示されました。収載日は会合のわずか1週間後であり、医療機関と薬局には短期間での準備が求められます。本稿は、今回の収載内容を「品目の全体像」「薬価算定の要点」「処方日数制限の例外」の3点から整理します。 今回の収載は、高額な腫瘍用薬が中心となる点と、1品目に処方日数制限の例外が設けられる点が特徴です。第一に、収載されるのは14成分20品目であり、うち腫瘍用薬が7成分を占めます。第二に、補正加算は8成分に適用される一方で、2品目の不服意見はいずれも認められませんでした。第三に、ボラニゴ錠10mgについては、処方日数制限を14日間ではなく30日間として取り扱う案が示されました。 1.収載品目の全体像:14成分20品目、腫瘍用薬が半数 令和8年3月18日に収載される新医薬品は、14成分20品目です。剤形別の内訳は、内用薬が7成分12品目、注射薬が6成分7品目、外用薬が1成分1品目です。各社が示したピーク時の予測販売金額を単純に合算すると、約1,635億円です。ただし、ピーク時として想定される年度は品目ごとに異なります。 薬効分類では、その他の腫瘍用薬が7成分と最も多くを占めます。具体的には、ボラニゴ錠10mg(ボラシデニブ)、エルゾンリス点滴静注1000μg(タグラキソフスプ)、ジニイズ点滴静注500mg(レチファンリマブ)、ブーレンレップ点滴静注用100mg(ベランタマブ マホドチン)、ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ)、リブロファズ配合皮下注(アミバンタマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ)、ルンスミオ皮下注(モスネツズマブ)の7成分です。いずれも希少疾病や難治性がんを対象としており、対象患者数は限られます。 腫瘍用薬には、算定薬価が100万円を超える品目が並びます。最高額はエルゾンリス点滴静注1000μgの3,607,878円(1瓶)です。これに、ルンスミオ皮下注45mgの2,327,787円(1瓶)、ブーレンレップ点滴静注用100mgの1,284,052円(1瓶)が続きます。一方で予測販売金額が最も大きいのはリブロファズ配合皮下注であり、ピーク時に438億円と見込まれています。 小児および希少疾病領域の品目も、今回の収載の柱です。プリミーフォート経腸用液(人乳等)は、極低出生体重児等の体重増加不全を呈する新生児および乳児の栄養管理を効能・効果とします。セピエンス顆粒分包(セピアプテリン)は、フェニルケトン尿症を効能・効果とします。オプスミット小児用分散錠(マシテンタン)は、3カ月以上の小児の肺動脈性肺高血圧症に用いる分散錠です。 対象患者数の多い品目も含まれており、一般外来への影響も想定されます。アバレプト懸濁性点眼液0.3%(モツギバトレプ)は、ドライアイを効能・効果とし、ピーク時に63.1万人の投与が予測されています。ザズベイカプセル30mg(ズラノロン)は、うつ病・うつ状態を効能・効果とし、同じく20万人が予測されています。イセルティ錠100mg(リンザゴリクスコリン)は、子宮筋腫に基づく諸症状の改善を効能・効果とし、4.1万人が予測されています。 2.薬価算定の要点:加算は8成分、不服意見は2件とも不採用 今回の薬価算定では、算定方式の内訳と補正加算の適否が要点となります。算定方式は、類似薬効比較方式(Ⅰ)が11成分、原価計算方式が2成分、規格間調整が1成分です。類似薬効比較方式(Ⅰ)は、効能・効果や薬理作用が類似する既収載品(最類似薬)と1日薬価をそろえる方式を指します。原価計算方式は、類似薬がない場合に製造原価や営業利益を積み上げる方式を指します。 補正加算が認められたのは、14成分のうち8成分です。特定用途加算はオプスミット小児用分散錠に10%が適用されました。小児加算はプリミーフォート経腸用液とセピエンス顆粒分包に各10%が適用されました。有用性加算(Ⅱ)はエクテリー錠300mg、エルゾンリス点滴静注、ジニイズ点滴静注に各5%、ブーレンレップ点滴静注用に10%が適用されました。市場性加算(Ⅰ)はエルゾンリス点滴静注に15%、ジニイズ点滴静注とミンジュビ点滴静注用に各10%が適用されました。迅速導入加算はブーレンレップ点滴静注用とミンジュビ点滴静注用に各5%が適用されました。なお、ここでいう補正加算は、画期性加算から迅速導入加算までの加算を指します。新薬創出・適応外薬解消等促進加算はこれとは別枠であり、14成分のうち11成分が該当します。 加算が認められても薬価が上がらない品目がある点には、注意が必要です。プリミーフォート経腸用液とエルゾンリス点滴静注は、いずれも原価計算方式で算定され、加算係数が0とされました。加算係数は原価の開示度に応じて設定される係数であり、開示度が低い場合には0となります。その結果、両品目では加算率が算定薬価に反映されず、加算前と加算後の価格が同額となりました。 外国平均価格調整によって薬価が引き上げられた品目は、3品目です。ボラニゴ錠10mgは15,895.90円から31,791.80円へ引き上げられました。エルゾンリス点滴静注1000μgは3,079,692円から3,607,878円へ引き上げられました。ミンジュビ点滴静注用200mgは117,248円から125,201円へ引き上げられました。なお、ザズベイカプセル30mgは、海外での効能・効果が「産後うつ病」に限られることから、調整の対象外とされています。 算定案に対する不服意見は2品目から示されましたが、いずれも認められませんでした。ブーレンレップ点滴静注用は、有用性加算の要件ハ③への該当を主張しました。これに対し第二回算定組織は、同一の観点での重複評価は行わないこと、本邦で最も推奨される標準的治療とは判断できないことを理由に、該当しないとの見解を示しました。アバレプト懸濁性点眼液は、初のTRPV1阻害剤としての新規性を主張しました。これに対し第二回算定組織は、温度感の異常等の特徴的な副作用が注意喚起されていること、ベネフィットがリスクを大きく上回るとまでは判断できないことを理由に、該当しないとの見解を示しました。 費用対効果評価の対象となったのは、ブーレンレップ点滴静注用100mgの1品目です。同品目はH1区分に該当するとされました。H1区分は、ピーク時の市場規模が大きい品目を対象とする区分であり、収載後に費用対効果の分析と価格調整が行われます。 3.処方日数制限の例外:ボラニゴ錠10mgは30日間 ボラニゴ錠10mgについては、処方日数制限を14日間ではなく30日間として取り扱う案が示されました。新医薬品は、薬価基準収載の翌月の初日から1年間、原則として1回14日分を限度に投与することとされています。この「14日ルール」には、平成22年10月27日の中医協了承に基づく例外規定が2種類あります。今回適用されるのは、そのうち②の要件です。②の要件は、疾患の特性や製剤上の特性から1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり、かつ投与初期から14日を超える投薬における安全性が確認されていることです。この要件を満たす場合、処方日数制限は製剤の用法・用量から得られる最少日数に応じた日数となります。 第一の根拠は、疾患の特性です。ボラニゴ錠10mgの対象であるびまん性神経膠腫は、脳機能障害やてんかん発作など多彩な症状を引き起こします。低リスクのGrade2の患者では、毒性の高い化学・放射線療法を延期する「積極的な経過観察」が標準治療の選択肢の一つとなっています。したがって、手術後で直ちに放射線療法等を実施する必要がない患者に対する治療選択肢は、限られています。 第二の根拠は、製剤上の特性です。本剤の包装単位は1ボトル30個です。吸湿性等の特性から、錠剤を分包化することは適さず、ボトルのまま処方・管理する必要があります。そのため、減量が必要な患者や体重40kg未満の12歳以上の小児患者では、14日間で1ボトルを使い切ることができません。 第三の根拠は、投与初期からの安全性です。IDH1またはIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験では、14日間を超える投薬が行われました。承認審査においても、本剤の安全性は許容可能であるとされました。 実務では、対象品目と対象期間の切り分けが重要になります。今回の資料で例外的な取扱いが示されたのは、収載品目のうちボ

    中医協が新薬20品目を了承|令和8年3月18日収載の薬価と加算を解説

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病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。 www.daitoku0110.news

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