ドリアン助川 ECHO WORDS

ドリアン助川

詩や小説、エッセイなどの朗読も含め、言葉で表現される世界を楽しく探求していきます。

  1. Jul 1

    #40 ナイス実存(5)クロコダイルの苦しい恋

    ついに『動物哲学物語 ナイス実存』が発売されました。 今回は、巻末に譜面も掲載しました『クロコダイルの恋』を紹介します。 オーストリアや東南アジアの汽水域に生息する世界最大、最強の爬虫類クロコダイル。 獲物と見れば襲いかかる、誰からも好かれないこの凶暴な生き物が、あることをきっかけにイルカの少女を好きになってしまいます。 誰かを待つ。 暖かな気持ちを持つ。 クロコダイルは初めて恋を知ったことで、自分が生まれたことや、世界がここにあることを、初めて鮮やかな感覚と共に受け入れます。 しかし、叶うはずがない恋でした。 イルカの少女に裏切られたとわかったとき、 思い詰めた気持ちは怒りへ、憎悪へと変わっていきます。 もとの乱暴な気性に戻ったクロコダイルは、イルカの少女への復讐のために、大海原に向けて泳ぎだします。 自分をこの世に出現させた「神様」にも喧嘩を売って。 待ち構えているのは悲劇です。 この物語のヒントとなったニーチェやアルチュール・ランボーの人生と同じく、暗い闇に沈んでいくラスト。 でも、本当の最後の最後に・・・クロコダイルは気づきます。 イルカの少女とまた逢えるのだと信じたあの日々こそが・・・。 さあ、どんな結末が待っているのでしょう。 ピクルス田村くんと収録した一発録りのCDアルバム『クロコダイルの恋』より、巻末付録の譜面となった「逢いたくて」を聴いていただきます。

  2. Jun 24

    #39 ナイス実存(4)パンダの場合

    いよいよ『動物哲学物語 ナイス実存』の刊行週となりました。6月26日の発売です。 今回は、表紙にもなっているジャイアントパンダの物語を朗読します。 口を開けば鋭い牙もあるパンダ。 れっきとした熊やんなのに、なんで竹や笹ばかり食べているの? いつもからかいに来る野うさぎを追いかけて崖から落ちてしまったパンダの少年。 彼が夢うつつで見ることになった巨大な生命樹とは何か?
 あらゆる生命が網の目のように関係し合い、命の循環においてみんな役割を持って生きているという捉え方は、「ザ・センス・オブ・ワンダー」「沈黙の春」などでレイチェル・カーソンが明確に提唱し、文明と自然に対する20世紀半ばの常識を大きく揺り動かしました。 パンダもまた、生命樹のある分岐点において大いなる選択をした(あるいはせざるをえなかった)生きものです。 レイチェル・カーソンが説くところの自然のあり方と、パンダの運命を絡めて話したのですが、なんとなんと! 編集時に、その部分をうっかりカットしてしまいました。 よって、今回はちょっと話が繋がらない構成になっています。 パンダが竹を食べるしかない状態に追い込まれたこと。 それでも自然は全体として、途切れることなく続いてきたのだということ。 破壊してしまうのだとすれば、それは人間の文明であること。 そのあたりを想像して行間を繋いでくだされば、なんとか聴けると思います。 編集時のカットしすぎ。とほほ、です。 ごめんなさいね。

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