中村寿理の優しい漢方入門

ブヘサ中村固腸堂

石川県で明治初期から続く漢方薬店『ブヘサ中村固腸堂(なかむらこちょうどう)』の6代目店主・中村寿理が地元MROラジオで20年送り続けている番組【寿理のやさしい漢方入門】で放送されたアーカイブを、毎週月曜日の放送翌日に更新していきますので、是非ご視聴ください! 「漢方をもっと身近に!」「生活に役立つ東洋医学の知恵」をテーマにこれからも配信していきます。 中村寿理/薬剤師、国際中医専門員、不妊カウンセラー 石川県で薬剤師として初めて不妊カウンセラーを取得。店頭ではPMS、妊活、更年期などの婦人科のご相談をはじめ、子どもからお年寄りまで幅広いご相談に対応しています。 身体のお悩み、漢方相談についてはHP、各種SNSにてお問い合わせください。

  1. 2d ago

    婦人科トラブルの二大原因?「冷え」と「甘い物」が体に与える影響/2026年8月31日MROラジオ放送分

    漢方治療において、根本的な体質改善を早めるためには日々の「養生(生活習慣)」が欠かせません。特に、生理痛や生理不順、不妊症などの婦人科トラブルに悩む女性は、「冷たい物」と「甘い物」の摂りすぎに注意が必要です。 第一に「冷たい物」は、内臓を冷やして病気を作り出す最大の原因となります。東洋医学では、冷えによって血流が悪くなった状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。瘀血には「痛み(生理痛や関節痛など)」、「しこり(ポリープや子宮筋腫などの腫瘍)」、「黒ずみ」の3つを引き起こす特徴があり、また血流が滞ると内臓や各器官の機能も低下するため、「検査では異常がないのに具合が悪い」という不調を招き、万病の元とも言われています。 冷たい物を好む習慣がある方、体を冷やしがちな方には必ず瘀血があると考えられますので、夏でも腹巻きや湯たんぽでお腹を温めたり、シャワーで済ませず湯船にしっかり浸かるなどして、日常の習慣から血流ケアを意識することが大事です。 第二に「甘い物」は、体を冷やすだけでなく、ホルモンバランスを乱す原因にもなります。甘い物を食べて血糖値が上がると、それを下げるために「インスリン」が分泌されます。このインスリンには男性ホルモンを刺激する働きがあるため、過剰に分泌されると女性ホルモンとのバランスが崩れてしまいます。例えば、不妊の原因にもなる「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」は、卵巣内の男性ホルモンが多くなり、排卵障害や生理周期の遅れを引き起こす疾患です。はっきりとした原因はすべて解明されていませんが、インスリンと男性ホルモンの因果関係を知り、甘い物を控えることは有効な養生法の一つと言えます。 東洋医学の観点からも、毎日の食生活から「冷え」と「甘い物」を見直し、血流とホルモンバランスを整えることが、女性の健やかな体づくりの根本的な第一歩となります。

  2. Aug 24

    「漢方はゆっくり効く」の誤解。急性期の風邪に素早く、よく効く正しい選び方/2026年8月24日MROラジオ放送分

    漢方では、風邪を「寒気がする」「のどが痛い」「お腹からくる」といった初期症状によって細かく分類し、それぞれ異なるアプローチで対処します。 例えば、ゾクゾクとした寒気があるタイプ(風寒証)には、毛穴を開いて汗をかかせる「葛根湯」や「麻黄湯」などが有効です。しかし、寒気がなくのどが痛いだけの時に葛根湯を飲んでも効果は期待できません。のどの痛みには「銀翹散(ぎんぎょうさん)」、胃腸風邪には「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」など、症状に合った薬を的確に選ぶことが重要です。また、「風邪予防のために葛根湯を飲む」といった使い方は、体に負担をかけるため避ける必要があります。 特に注意したいのが「夏風邪」です。湿気を好むウイルスが原因となることが多く、吐き気や下痢などの胃腸症状、強いのどの痛みを伴いやすいのが特徴です。高温多湿な環境(特に北陸の夏など)では体温調節がうまくできず、自律神経や胃腸の働きも乱れやすくなります。そのため、熱が下がっても「だるさが抜けない」「食欲が戻らない」と不調が長引くケースが少なくありません。 一般的な風邪薬が症状を抑え込むことを目的とするのに対し、漢方薬は体全体のバランスを整え、人間が本来持つ「自然治癒力」を最大限に引き出して回復をサポートします。「漢方はゆっくり効く」というイメージを持たれがちですが、自分の状態に合った処方を正しく選べば、風邪のような急性疾患にも素早く効果を発揮します。風邪が長引きやすい方は、自己判断で薬を選ぶのではなく、専門家に相談して自分にぴったりの漢方薬を見つけるのがおすすめです。

  3. Aug 17

    「友達が効いた」「昔効いた」は要注意!年齢や季節で変わる「証(しょう/体質)」で選ぶ漢方薬/2026年8月17日MROラジオ放送分

    漢方薬を服用する際、「友人が効いたから」「パッケージの効能に書いてあるから」といった理由で選ぶと、効果を実感できないことがよくあります。 漢方では、単なる病名や表に出ている症状(結果)だけで薬を決めるのではなく、なぜその症状が起こったのかというプロセスや、その人の現在の体質・状態を示す「証(しょう)」を最も重視するからです。 例えば、同じ「不眠」という症状でも、ストレスが原因なのか、加齢なのか、血液不足(貧血)なのかによって用いる漢方薬は全く異なります。また、風邪の引き始めでゾクゾクと悪寒がする時に有効な「葛根湯」を、喉の痛みや咳が出る風邪の中期以降に飲んでも効果がないように、正しいタイミングと症状の見極めも非常に重要です。「漢方は効き目が穏やかで時間がかかる」と誤解されがちですが、実は緻密に計算されたものであり、自身の証やタイミングにぴったり合えば、本来の優れた効果を発揮します。 さらに注意すべき点は、同じ人であっても季節や年齢、体調の変化によって「証」は変化するということです。若い頃は冷え性だった人が年齢とともに暑がりになるように、「昔はこの漢方が効いたから」と同じものを使い続けるのではなく、その時々の状態に合わせて薬を見直す必要があります。 自己判断で市販の漢方薬を選ぶと、根本的な体質に合っていないケースも少なくありません。病名だけで判断せず、専門家に相談しながら「今の自分」に本当に合った漢方薬を見つけることが、不調を改善する一番の近道となります。

  4. Aug 10

    「温度」ではなく「性質」で冷やす!夏こそお腹を守って夏バテ予防/2026年8月10日MROラジオ放送分

    東洋医学における夏バテ予防の最大のポイントは、「胃腸や内臓を冷やさないこと」です。 近年の猛暑をしのぐためには体を上手に冷やす工夫が不可欠ですが、冷たい飲食物で直接内臓を冷やすのではなく、食べ物が持つ「性質」を利用することが大切です。 例えば、緑茶やカニは体を冷やし、紅茶やエビは体を温める性質を持っています。中でもスイカは、体にこもった熱を冷まして潤いを与えるため「天然の白虎湯(漢方薬)」と呼ばれるほど夏に最適な食材です。ただし、冷蔵庫でキンキンに冷やして食べると胃腸が弱り、下痢や夏バテの原因になってしまいます。少し常温に戻してから食べ、さらに効能が高い「皮」の部分もスープや漬物にして活用するのが理想的です。 ※白虎湯とは「熱冷まし」「喉の渇きを鎮める」「汗を止める」作用を目的とされた漢方処方で、3世紀からある中国でも最も古い医学書にも掲載されています。 冷たいもの(アイスなど)の摂りすぎによる過度な冷えは、食欲低下や生理痛の悪化など様々な不調を招きます。エアコンの効いた部屋では温かい飲み物を口にし、夜には薄着のパジャマでも良いのでお腹だけは「湯たんぽ」で温めるのがおすすめです。夏の隠れ冷え性が改善され、朝からしっかり食事が摂れるようになって好循環が生まれます。 また、スパイスを利用するのも効果的です。内臓の冷えを取り、発汗による体温調節や食欲増進を助けてくれます。ただし、過剰摂取は体に熱がこもったり秋口の空咳に繋がったりするため適量を心がけましょう。外仕事で疲れやすい方や夏バテを繰り返す方は、胃腸や心肺機能を高める漢方薬も上手に頼りながら、内臓をいたわる夏の過ごし方を意識してみてください。

  5. Aug 3

    減塩しすぎは要注意!夏バテ・熱中症を防ぐ夏の「味」の正しい選び方/2026年8月3日MROラジオ放送分

    厳しい暑さが続く夏。 夏バテせずに乗り切るための漢方養生法において、特に注意したいのが「塩分補給」と「食の組み合わせ」です。 夏は汗とともに水分だけでなく、塩分(ナトリウム)も失われます。健康のためにと過度な減塩を心がけるとナトリウム不足に陥り、だるさや疲労感、めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれんなどを引き起こして夏バテや熱中症を悪化させる危険があります。 日本人は欧米に比べて塩分摂取量が多いとされますが、これには理由があります。日本は高温多湿で汗をかきやすい気候であることに加え、和食はカリウムを多く含む野菜中心の食事だからです。カリウムにはナトリウムを体外へ排出する働きがあるため、野菜をよく食べる(カリウムをよく摂る)方ほど、熱中症対策として適度な塩分補給が必要になります。 塩分摂取で重要なのは「塩の種類」にこだわることです。精製された食塩(塩化ナトリウム)の過剰摂取は、腎臓への負担や血圧上昇、むくみのリスクを伴います。一方、海塩や岩塩などの「自然塩」は異なります。 海水から取れる自然塩のミネラル構成比は人間の血液のミネラルバランスと類似していると言われています。自然塩にはマグネシウムやカリウムなどの必須成分がバランス良く含まれているため、体内成分のバランスを崩すことなく、安心して栄養を補給できます。 日常的な食事の工夫として、漢方や薬膳の「酸味と甘味を組み合わせる」という考え方がおすすめです。この組み合わせは、単に水を飲むよりも体内に水分を浸透させやすくし、汗で失われた体液をいち早く補う効果があります。 ここで言う「甘味」は砂糖ではなく、食材本来の甘味を指すのがポイントです。 おすすめのメニュー例: 豚肉の甘味とお酢を合わせた「酢豚」、甘味と酸味を併せ持つ「トマト」、「はちみつレモン」など 夏の不調を防ぐためには、良質な自然塩でミネラルを補い、「酸味×甘味」の食事を意識することが大切です。日々の食卓から、熱中症に強くバテない体づくりを始めましょう。

  6. Jul 27

    漢方流・バテない体へ!自律神経を整える「温める×巡らせる」夏の温活と水毒ケア/2026年7月27日MROラジオ放送分

    東洋医学の見地から夏バテを防ぐには、 ・「胃腸機能を落とさないこと」と ・「体のなかの除湿を行うこと」 の2点が重要です。 夏バテは単なる暑さだけでなく、冷たい飲食物やエアコンによる「冷え」が引き金となるケースが多く見られます。 内臓機能が低下して自律神経が乱れると、食欲不振、だるさ、睡眠の質の低下といった悪循環に陥り、女性の場合は生理痛の悪化を招くこともあります。対策として、夏でもシャワーで済まさず湯船に浸かる、氷入りの飲み物を控える、夜は温かいものを飲むといった心がけが大切です。また、胃腸の働きを高めて温めるスパイスを料理に活用するのも効果的です。食事面ではさっぱりしたものに偏りがちなので、そうめんに温泉卵を加えるなどして意識的にタンパク質を補給し、自然塩や梅干しのお湯割りなどを活用してミネラル不足(熱中症リスク)を防ぎましょう。 もう一つの重要なポイントが「除湿」です。日本海側のように湿度が高い地域では、体の水分代謝が悪い「痰湿(たんしつ)」タイプの人が影響を受けやすくなります。このタイプは、雨の日や湿気が多いと頭痛やだるさ、眠気、胃腸の不調を起こしやすいのが特徴です。やせ型の人にも多く見られ、舌が腫れぼったく苔が分厚い傾向があります。対策として、基本的には温かいものを口にし、冬瓜やキュウリといったウリ科の野菜、ハト麦茶やあずき茶など、体内の余分な水を捌く食材を取り入れるのがおすすめです。 症状が強い場合や外仕事の方、いつも夏バテをするという方には、体の湿気を取り除いたり、胃腸や心肺機能を高めたりする専門の漢方薬を活用するのも一つの方法です。暑さをしのぐだけでなく、「内臓機能を元気に保つ」という視点を持つことが、夏を健やかに乗り切る最大の秘訣となります。

  7. Jul 20

    猛毒トリカブトが薬に?同じ原料でも効能が変わる?漢方を支える加工技術「修治」とは/2026年7月20日MROラジオ放送分

    漢方薬は、自然界の植物や鉱物をただそのまま使うわけではありません。「修治(しゅうち)」と呼ばれる独自の加工技術(熱を加える、何かと混ぜるなど)を施すことで、薬効を高めたり、副作用を軽減したりして、より使いやすい薬へと変化させています。 最も身近な例が「生姜」です。風邪薬の葛根湯などに入っている生の生姜は、体表を温めて汗をかかせる働きがあります。一方、腸の手術後などによく処方される「大建中湯」には、蒸して乾燥させた?が使われています。生姜は蒸して乾燥させることで、成分がジンゲロールからショウガオールへと変化し、体表ではなく体の芯(お腹などの中心部)を温める作用へと変わるのです。そのため、冷え性で体の芯から温めたい場合は、一般的な生の生姜よりも、スパイスコーナーにある生姜パウダーやシナモンなどを活用する方が効果的です。 また、修治の技術は「毒を薬に変える」ことも可能です。頻尿や冷えの改善に用いられる「八味地黄丸」には、実は猛毒であるトリカブト(生薬名:附子)が含まれています。特殊な加工技術によって毒性を安全な成分へと変化させ、体を強力に温めて痛みを和らげる薬効を引き出しているのです。ただし、体を温める力が強いため、のぼせやすい体質や熱がこもりやすい人には逆効果になることもあります。 石川県の「フグの卵巣のぬか漬け」が猛毒を無毒化して美味しく食べる知恵であるように、漢方薬もまた、各生薬のクセを調整し、効果を最大限に引き出すための先人の知恵と技術の結晶です。だからこそ、病名だけで判断せず、専門家に相談して自分の体質に合った漢方薬を選ぶことが何よりも大切になります。

  8. Jul 13

    急な胃痛やしゃっくりにも!キッチンから始める「スパイス=漢方」/2026年7月13日MROラジオ放送分

    漢方薬は特別なものと思われがちですが、実は自然界の動植物や鉱物だけでなく、私たちが普段口にしている「スパイス」も数多く使われています。 シナモン(桂皮)やクローブ(丁子)、ターメリック(ウコン)、生姜など、カレーや七味唐辛子でおなじみのスパイスは、目的や配合を変えることで立派な漢方薬になります。スパイスの多くには、消化を助け、胃腸の働きを良くする「健胃作用」があります。ハンバーグにナツメグを入れるのも、臭み消しだけでなく消化を助けるためです。歴史的にもスパイスは防腐剤や薬として重宝され、中世では金と同等の価値を持ち、日本でも奈良時代に薬として正倉院に保管されていました。 また、漢方薬には「ゆっくり効く」というイメージがありますが、スパイスの効果を活かした即効性のある処方も存在します。 安中散(あんちゅうさん): 配合生薬のほとんどがスパイスで構成されており、冷えからくる急な胃の痛みに素早く効くため、常備薬として非常に便利です。 柿蔕湯(していとう): 生姜やクローブなどを配合しており、横隔膜の緊張を緩めることで「しゃっくり」を止める専門の漢方薬です。抗がん剤治療の副作用で止まらないしゃっくり対策として、現代の医療現場でも活用されています。 身近なスパイスの持つ力や漢方薬の得意分野を知り、病院の治療(西洋医学)と上手に組み合わせることで、日々の生活の質はさらに向上します。ただし、胃腸が荒れている方や炎症がある方のスパイスの過剰摂取には注意が必要です。

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石川県で明治初期から続く漢方薬店『ブヘサ中村固腸堂(なかむらこちょうどう)』の6代目店主・中村寿理が地元MROラジオで20年送り続けている番組【寿理のやさしい漢方入門】で放送されたアーカイブを、毎週月曜日の放送翌日に更新していきますので、是非ご視聴ください! 「漢方をもっと身近に!」「生活に役立つ東洋医学の知恵」をテーマにこれからも配信していきます。 中村寿理/薬剤師、国際中医専門員、不妊カウンセラー 石川県で薬剤師として初めて不妊カウンセラーを取得。店頭ではPMS、妊活、更年期などの婦人科のご相談をはじめ、子どもからお年寄りまで幅広いご相談に対応しています。 身体のお悩み、漢方相談についてはHP、各種SNSにてお問い合わせください。

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